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眠りは世界を救う、のでしょうか?
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店を出るとすぐ近くの道端で、あやかし同士が掴み合いの喧嘩をしていた。
行き交うあやかしたちは通りすがりに目をくれるだけで、立ち止まったり野次馬ができることもない。
その様子からも、珍しい光景ではないことが窺えた。
それでも影雪は、そのあやかしたちの元へ足を進めた。
やっぱり止めに入るつもりなのだろうか?
夢穂がそう思いながら、影雪の動向を後方から見守っていた時だった。
「えいせーーつ!」
目の覚めるような溌剌とした声が突き抜けた。
いきなりのことに身体をびくりと震わせた夢穂が、声の発信源を振り向こうとする。
しかし夢穂の視線が追いつかないスピードで、その主は影雪に飛びついていた。
「影雪、今度はどこに行ってたんだ? 探してたんだぞ!」
少年は影雪の腰にしがみつき、赤茶色のまんまるい瞳をキラキラさせながら話した。
茶色と白のしま模様の丸い耳に、瓜のような形をした尻尾は、一見しただけで狸だとわかる。
着物の袖と裾を短く切りっぱなしにした焦茶色の布を身につけ、膝から下は白い包帯で巻かれていた。
「八重太、それはすまなかったな、少し出かけていた」
八重太と呼ばれた狸のあやかしは、影雪に頭を撫でられくすぐったそうに笑った。
夢穂は初めて、影雪があやかしの名前を呼んでいるのを聞いた。
弾丸の勢いで抱きつかれても動揺一つ窺えない影雪を見ると、これは二人にとっては日常的なやり取りなのかと思われた。
人間の年齢で言うと十歳くらいだろうか?
八重太は夢穂より背が低く、だいぶ幼く見えた。
影雪との再会を終えると、八重太は側にいる夢穂に気がついた。
「なんだあんた? 影雪の連れか?」
「あ、う、うん」
「見ねえ顔だなあ? おいらたちと違う感じの匂いがするし」
くんくんと匂いを確かめる鼻先は少し黒く、狸のそれを思わせた。
首元まであるふわりとした淡茶色の髪が、柔らかくて気持ちよさそうだ。
行き交うあやかしたちは通りすがりに目をくれるだけで、立ち止まったり野次馬ができることもない。
その様子からも、珍しい光景ではないことが窺えた。
それでも影雪は、そのあやかしたちの元へ足を進めた。
やっぱり止めに入るつもりなのだろうか?
夢穂がそう思いながら、影雪の動向を後方から見守っていた時だった。
「えいせーーつ!」
目の覚めるような溌剌とした声が突き抜けた。
いきなりのことに身体をびくりと震わせた夢穂が、声の発信源を振り向こうとする。
しかし夢穂の視線が追いつかないスピードで、その主は影雪に飛びついていた。
「影雪、今度はどこに行ってたんだ? 探してたんだぞ!」
少年は影雪の腰にしがみつき、赤茶色のまんまるい瞳をキラキラさせながら話した。
茶色と白のしま模様の丸い耳に、瓜のような形をした尻尾は、一見しただけで狸だとわかる。
着物の袖と裾を短く切りっぱなしにした焦茶色の布を身につけ、膝から下は白い包帯で巻かれていた。
「八重太、それはすまなかったな、少し出かけていた」
八重太と呼ばれた狸のあやかしは、影雪に頭を撫でられくすぐったそうに笑った。
夢穂は初めて、影雪があやかしの名前を呼んでいるのを聞いた。
弾丸の勢いで抱きつかれても動揺一つ窺えない影雪を見ると、これは二人にとっては日常的なやり取りなのかと思われた。
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「なんだあんた? 影雪の連れか?」
「あ、う、うん」
「見ねえ顔だなあ? おいらたちと違う感じの匂いがするし」
くんくんと匂いを確かめる鼻先は少し黒く、狸のそれを思わせた。
首元まであるふわりとした淡茶色の髪が、柔らかくて気持ちよさそうだ。
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