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紹介される。

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「あっ、甘路さん、お疲れさまです」

 甘路とバッチリ目が合ったくるみは、すぐに笑顔で労いの言葉を口にした。
 しかし甘路はそれには返さず、下から上へと視線を移動させる。
 そしてくるみの背後に立つ、長身の青年をロックオンした。

「……蜜流、くるみになんの用だ」
「なーんも、楽しくお話ししただけやで、なっ、くるみーん?」
「あ、は、はい」

 重ねた手で後頭部を支え、とぼけた様子の蜜流に、素直に同意するくるみ。
 対する甘路は内なる炎を燃やした目で蜜流を見ている。
 ――わーお、怒ってる怒ってる。
 予想以上の好感触に、ついつい面白くなる蜜流。今までこんな甘路を見たことがないので、新鮮で仕方がないのだ。
 とはいえ、蜜流は二人の恋路を邪魔する気など毛頭ない。
 くるみが本当に甘路の恋人ならば、最初から食事に誘ったりもしなかっただろう。
 蜜流は女好きだが、獣ではない。親友の彼女は異性として見ない、その辺りはちゃんとわきまえている。
 知らん顔をする蜜流に、甘路が再び口を開こうとした時、厨房の方から足音が近づいてきた。
 甘路が開け放したドアから、外に顔を出した洋子が「ああ、いたいた」と呟いた。

「蜜流さんの限定チョコ、海外に郵送できないかってお客様が」
「D’accord、すぐ行くわ、んじゃあくるみん、また後で」

 蜜流はくるみにパチッとウインクすると、ドアから中に入り、洋子と一緒に店頭に向かった。
 蜜流が去ると、甘路はため息をつく。やっとくるみと二人になってホッとしたのと、蜜流の「くるみん」呼びにあきれたのもあった。
 そんな甘路の心労をよそに、くるみは蜜流のウインクが似合ってすごいなぁとか考えていた。

「誰にでもほいほいついていくんじゃない」
「でも、甘路さんのお友達ですし」
「菓子職人としては認めているが、女性関係に信用はない、メレンゲのように軽い男だぞ」

 物事をお菓子に例えるのは、蜜流だけではなく甘路も同じだ。職業病の一種かもしれない。
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