33 / 182
仙界
1
しおりを挟む
蛇珀がいろりの家に滞在するようになり、早一月が経過していた。
三月後半、春休みに入ったいろりは、時折友人や母と出かけたりした。
しかしいろりは生まれつき目が見えなかったせいか、今でもあまり外出を好まなかった。そのため一日のほとんどを蛇珀と共に部屋で過ごしていた。
それは互いにとって至福の時ではあったが、蛇珀はいろりにもっと多くのものを見せたいと思っていた。
その黒くも透明感のある瞳に相応しい、美しい景色を映してやりたいと感じていたのだ。
「これが青、黄に、緑……」
そう言いながら、蛇珀は画用紙に筆で取った絵の具の色を滑らせていく。
いろりに色を教えているのである。
いろりはそんな蛇珀の声に真剣に耳を傾け、白い紙に広がっていく様々な色を目で追っていた。
三月後半、春休みに入ったいろりは、時折友人や母と出かけたりした。
しかしいろりは生まれつき目が見えなかったせいか、今でもあまり外出を好まなかった。そのため一日のほとんどを蛇珀と共に部屋で過ごしていた。
それは互いにとって至福の時ではあったが、蛇珀はいろりにもっと多くのものを見せたいと思っていた。
その黒くも透明感のある瞳に相応しい、美しい景色を映してやりたいと感じていたのだ。
「これが青、黄に、緑……」
そう言いながら、蛇珀は画用紙に筆で取った絵の具の色を滑らせていく。
いろりに色を教えているのである。
いろりはそんな蛇珀の声に真剣に耳を傾け、白い紙に広がっていく様々な色を目で追っていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる