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試練
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入学式が終わると、生徒たちは各々に帰路に向かう。
そんな中、百恋に誘われたいろりは学校の屋上へと足を運んだ。
授業がないため学校に残っているだけでもいけないのに、普段封鎖されている屋上にまで入ってしまうとは。
まさか入学初日にこんな不良のようなことをするとは思ってもみなかった真面目ないろりである。
しかし百恋は悪びれる様子もなく、誰もいない屋上のフェンス越しに腰を下ろすと、いろりに隣に座るように促した。
そして掌から、紅色の風呂敷に包まれた四角い何かを出す。
コンクリートの地面に置いた布の結びを解くと、中から現れたのは豪華な模様の入った重箱だった。
百恋が蓋を開いた中を覗くと、いろりは関心したような声を上げた。
「わ、わあぁ……! すごい、豪勢ですね!」
「でしょでしょ、僕お寿司大好きなんだ! 特にちらし寿司! 見た目も超可愛くない!?」
「本当、可愛いですね! あ、お寿司がお好きなら狐雲様と似ているのでしょうか?」
「狐雲様はいなり寿司しか食べないんだよねぇ、ていうか、油揚げが好きなんだよ、きつねうどんもきつねの部分しか食べないし! はいっ、これいろりちゃんの分ね。今日お昼ない日だから何も持って来てないでしょ?」
「あ、ありがとうございます」
重箱の蓋裏に分けてもらったちらし寿司と割り箸を受け取るいろり。太陽の日差しを浴びて、イクラと桜でんぶが輝いていた。
「あの、これはどうやって手に入れられたんですか?」
「僕が作ったんだよ~!」
「――ええっ!?」
「材料はお賽銭で買うんだよ。この国にはたっくさん縁結びの神社があるけど、あれぜぇんぶ僕の管轄だからさ、料理も境内にある施設でできるし!」
「た、確かに縁結びの神社は人気があると聞きますね……」
参拝客が多いほど賽銭も増えるため、恐るべき裕福な神である。
そんな中、百恋に誘われたいろりは学校の屋上へと足を運んだ。
授業がないため学校に残っているだけでもいけないのに、普段封鎖されている屋上にまで入ってしまうとは。
まさか入学初日にこんな不良のようなことをするとは思ってもみなかった真面目ないろりである。
しかし百恋は悪びれる様子もなく、誰もいない屋上のフェンス越しに腰を下ろすと、いろりに隣に座るように促した。
そして掌から、紅色の風呂敷に包まれた四角い何かを出す。
コンクリートの地面に置いた布の結びを解くと、中から現れたのは豪華な模様の入った重箱だった。
百恋が蓋を開いた中を覗くと、いろりは関心したような声を上げた。
「わ、わあぁ……! すごい、豪勢ですね!」
「でしょでしょ、僕お寿司大好きなんだ! 特にちらし寿司! 見た目も超可愛くない!?」
「本当、可愛いですね! あ、お寿司がお好きなら狐雲様と似ているのでしょうか?」
「狐雲様はいなり寿司しか食べないんだよねぇ、ていうか、油揚げが好きなんだよ、きつねうどんもきつねの部分しか食べないし! はいっ、これいろりちゃんの分ね。今日お昼ない日だから何も持って来てないでしょ?」
「あ、ありがとうございます」
重箱の蓋裏に分けてもらったちらし寿司と割り箸を受け取るいろり。太陽の日差しを浴びて、イクラと桜でんぶが輝いていた。
「あの、これはどうやって手に入れられたんですか?」
「僕が作ったんだよ~!」
「――ええっ!?」
「材料はお賽銭で買うんだよ。この国にはたっくさん縁結びの神社があるけど、あれぜぇんぶ僕の管轄だからさ、料理も境内にある施設でできるし!」
「た、確かに縁結びの神社は人気があると聞きますね……」
参拝客が多いほど賽銭も増えるため、恐るべき裕福な神である。
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