蛇に祈りを捧げたら。

碧野葉菜

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とこしえの恋路

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「……ったく、間接セクハラじゃねえか。なあ、いろり――」

 と、目の前に視線を戻すと、愛しい少女はリンゴのように顔を真っ赤に染めていた。
 それを見た蛇珀も、つられたようについ赤面してしまう。

「……あ、あ~~……いろり、さんは、その……子供の、作り方を、ごぞん、じ、で……?」

 足と腕を組みながら、思わず敬語で質問をする蛇珀。
 いろりは正座で消えてなくなりそうなほど身体を縮ませていた。

「え、ええと、ついこの間までは、口づけをたくさんしたらできるのかと、思っていたんですが……じゃ、蛇珀様がいらっしゃらないうちに、少し、調べて…………は、はい」
「そ、そう、か……」

 近いうちにそれを俺とするんだが大丈夫か? と聞きたいが聞けない蛇珀に、不束者ですがよろしくお願いいたします。と言いたいが言えないいろり。

 人間界でする紙の契約の婚姻よりも遥かに命懸けの婚姻をしているにも関わらず、未だ純情な二人であった。

「あ……ああああよかったら家の中を散策してみませんか!? なんだか広そうですしどうなってるのかなあ~なんて!!」
「そそそそうだな調べてみようぜ! さすがいろりいい考えだ!!」

 気恥ずかしい空気を変えようとしたいろりの提案に乗った蛇珀が早速押し入れを開いた。
 するとそこには、ハンガーにかかった衣服がずらりと並んでいた。外観は和だが、中は広いクローゼットのようになっていた。
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