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2章 我が家
オレの娘は規格外
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キャンディッドの思いを知ってから数日、オレは娘の指導をしつつ、合間に旅支度を整える日々を送っていた。
しかし、どうにもキャンディッドの魔力制御が上達しない。
彼女は体内を巡る魔力を自覚できるようになったのだが、自覚したからといって制御ができるわけではないのだ。
このままでは、いつまで経っても出発ができない。そこでオレは、ある術を使うかどうかを迷っている。それは――
『魔力封じ』の術だ。
魔力封じは、読んで字の如く魔力を封じる、そのままの魔術である。
オレは隣国でたまたまリッチと呼ばれる、体を持たない悪霊の類で魔術が得意な魔物に出会った。
そのリッチが使っていた魔術の一つが、魔力封じだったのだ。
ちなみに、オレは成長期を迎え、体の成長とともに魔力が増えた。そして何故か、目にした魔法陣を記憶し、その魔法陣に書かれた術式を理解することが可能だったのだ。しかもただ理解できるのではなく、解析して改竄もできる。
今思えば、これがオレの得た『特別な力』なのだろう。
天帝の血を引く者が稀に得る『特別な力』は、様々なものがあるらしいのだが、具体的にどのようなものか母も知らなかった。
なので、他に差し当たってそれらしい力を得ていないオレの力が、『一度見た魔法陣を記憶して解析と改竄する』なのかもしれない。
思考が逸れてしまった。
魔力封じを解析したオレは、改竄して一定の割合で相手の魔力を封じる、段階的魔力封じができるようになった。
ただ問題なのが、オレは魔力開放の術を見たことがないので、封じることができても、後に開放することができないのだ。
オレの能力は、覚えた術式を改竄できるだけで、全く違うものに作り変えたりできない。基本的に定義は同じで、割合を変えるなどといった感じだ。
なので、魔力封じを知っていても、真逆の魔力開放に改竄することは不可能であった。
だからこそ、安易にキャンディッドの魔力を一定量まで封じてしまうことが怖いのだ。
今後一生、オレが魔力開放を目にすることがなければ、キャンディッドの大魔力は一生封じられた状態となる。しかし、現状のままだと娘はまともに魔術が使えない。
いくら大魔力を持っていても、魔術が使えなければ宝の持ち腐れなのだ。
オレはどうすべきか、本格的に悩むのであった。
「使えばいいじゃない」
オレは散々悩んだ挙げ句、夕食後のキャンディッドが寝静まった後、日課となった母との話し合いで、魔術に詳しくない母に相談したのだ。その結果、帰ってきた答えがこれだった。
随分と簡単に言ってくれるものだ。
「クラージュ自身が言ってるじゃない。魔術が使えなければ、大魔力も宝の持ち腐れだ、って。私もそのとおりだと思うの」
「でも、例え魔術士になれたとしても、封じられた魔力が今後活かされない可能性もあるんだよ」
「それは魔術士になれてから考えればいいことでしょ? 今は魔術士になる以前に、魔術が使えないのよね? それならまず、魔術が使えるようになること。それこそを優先すべきだと思うわ」
母の言うとおりなのだろうか、とオレの心は揺らぐが、まだ決心ができない。
「それに、キャンディは冒険者になってクラージュと一緒にラフィーネを探したいのであって、大魔術師になりたいわけではないのよ」
「あっ」
そうだ、大魔力はたまたまキャンディッドが得ただけで、現状はそれで困ることはあれども、あの子は何も得をしていない。それどころか、何かと不遇な人生を送ってきた。
そして、その大魔力で以て大魔術師になることなど、娘は望んでいないのだ。
「ねっ、だから問題なんてないのよ」
「そう……だね」
「そうよ。――それに、キャンディが成長した後に、たまたまクラージュが『魔力開放?』という術を目にすれば、そのときに開放してあげればいいだけのこと。今は何より、魔術が使えるようになって、冒険者になることを考えるべきだわ」
「ありがとう母さん」
やはり母は頼りになるな。
母の言葉で、オレは決心がついた。
「でも不安だわ」
「何が?」
「私がいなくても、ちゃんと判断や決断ができるの?」
「うっ……。が、頑張るよ」
「本当に大丈夫かしら……」
漸く決意の固まったオレだが、母の言葉に反論ができないのであった。
決意を固めた翌日、オレはキャンディッドの魔力量を、大凡でいいから量ることにした。
方法は、キャンディッドに可能な限りの魔力を放出してもらう。
体内魔力の生成というのは、個々で違いはあるものの、保有する魔力量の多寡に拘らず、半日から二日で全回復すると言われている。
なので、魔力欠乏症になる程の放出をしても、少々気分が悪くなって気絶するだけだ。暫く寝かせておけば問題ない。
むしろ魔力酔いばかりで、真逆の欠乏症を味わったことのないキャンディッドに、欠乏症の状態を覚えてもらう良い機会だと思う。
「魔力が体内を巡回している感覚は、もう覚えたよな?」
「ん」
今日も今日とて、元草原、現荒廃した謎の窪地にきている。
別の場所を荒廃させるくらいなら、この地をとんでもなくしてやる方がマシだ。
「今日はその感覚がなくなるまで、全ての魔力を放出するんだ。一度で全部出さなくてもいい。何度繰り返してもいいから、とにかく全部出す。分かったか?」
「……大丈夫、なの?」
無感情と言われるキャンディッドとて、多少の感情があることをオレは知っている。
きっと、自分の体から魔力が全てなくなることを想像し、不安になったのだろう。
「大丈夫だ。問題ない」
「……ん。おっさんが、大丈夫って言うなら、ここがどうなっても、平気」
抑揚のない言葉で、娘がとんでもないことを言い出す。
心配していたのは自分の体ではなく、この土地の方だった……。
「お、おう。加減の必要はないぞ」
少し心配になったが、それよりも嬉しく思えたオレがいた。
この地がどうなるか心配したと言うことは、キャンディッドは体内を巡る魔力から、自分の魔力がどれくらいあるか気付いている、ということだ。
完全ではないにしろ、自分の魔力量が把握できているのは、この後の作業もやり易くなるだろう。
そして、オレに似てると言われるキャンディッドだが、他者……ではないが、土地という自分以外の心配をする心を持っている。自分のことだけを考えていたオレとは大違いだ。
これは自虐的かもしれなが、娘がオレのような人間ではないことを嬉しく思う。
――ドゴォーン、ドゴォーン
さて、今のが何発目だったかな?
ただただ魔力を放出するキャンディッドを見守るオレは、かなり感覚が麻痺してきた。
そろそろ終わるだろうと何度も思ったが、娘はまた魔力を放出し、もう終わりだろうと思っても、また爆音が轟く。
もう三割とか五割じゃなくて、大雑把に九割封じても大丈夫な気がする。多分、それでもキャンディッドは困らないだろうな。
キャンディッドのあまりの魔力量に、オレは小さなことに拘り過ぎだと思うようになっていた。
「……おっさん」
「おう、後何発くらいだ?」
「……気持ち、悪く、なって……きた」
「そうか、じゃあ後一発ぶっ放せ」
「……分かった」
無尽蔵かと思われたキャンディッドの魔力だが、流石に有限だったようだ。
気持ち悪くなってきたのは、魔力欠乏症の症状だと思うが、その感覚を覚えてもらうために、オレは敢えて終了にはせず、追加の放出を促した。
すると、口では気持ち悪いと言いながら、表情はいつもと変わらないキャンディッドであったが、オレの言葉どおりもう一発魔力を放出すると、いつもの半眼より更に瞼が降りていたのだ。
娘が体調を崩したというのに、オレは少し嬉しくなった。
何故なら、オレはキャンディッドの表情から、今まで何一つ感情を拾ったことがなかったのだが、今は『気持ち悪い』と言っているように見えたのだ。
「帰って少し休もうな」
「…………」
無言のキャンディッドを抱きかかえると、オレは浮かれた足取りで家路に着いた。
「ただいま母さん」
「おかえり……って、キャンディは大丈夫なの?」
「これも予定通りだからね」
「それでも心配だわ」
オレの腕の中で丸まっているキャンディッドを見て、母は落ち着かない様子だが、魔力欠乏症は寝てれば治る。本当に心配は要らないのだ。
「取り敢えずキャンディッドを部屋に運んでくるよ」
「お水とかは?」
「起きたときに飲ませてあげればいいよ。だから今は要らないよ」
「そうなの?」
「そうなんだよ」
「分かったわ」
あまりにもオロオロする母を見て、オレは笑い出しそうになってしまったが、本気で孫を心配しているのだから、と自分に言い聞かせ、どうにか堪えた。
それにしても、昔の母はいつも凛としたしっかり者で、たまにドジするくらいに思えていたのだが、今になってみると、昔はオレには見せなかっただけで、実は結構ワタワタした人なのだと分かった気がする。
「それで、キャンディの魔力量は判ったの?」
「ああ、気にするだけ無駄だと分かったよ」
「どういうこと?」
「無尽蔵ではないけれど、そう思えるほど規格外の大容量って感じだね」
「とにかく凄いということかしら?」
「そういうこと」
少し落ち着きを取り戻した母は、「魔術のことは分からないから、クラージュに任せるわ」と言いながら、お茶を啜りだした。
実際、キャンディッドが放ったのが魔術であれば、あれくらいの威力で撃てる者はいるだろう。
しかし、術を使って魔力の圧縮やら何やら全くせず、純粋に魔力だけの放出であれだけの威力、あれだけの数を撃てる人はいないと思える。それ程キャンディッドの魔力量は圧巻なのだ。
多分、八割から七割を封じても、魔術を覚えれば上級魔術士と肩を並べられるだろう。
ただし、それだけ抑えても魔力制御ができなければ、下手すると中級魔術士程度になってしまう。それでも普通の冒険者であれば、十分なのだが……。
ひょっとして、キャンディッドが制御を覚えて、魔力開放しても十全に魔術が使えるようになったら、SSSランクとかになれるんじゃないのか?!
一瞬、オレの頭にとんでもない妄想が広がったが、オレは頭を振って馬鹿なことを考えないように気を落ち着かせるのであった。
しかし、どうにもキャンディッドの魔力制御が上達しない。
彼女は体内を巡る魔力を自覚できるようになったのだが、自覚したからといって制御ができるわけではないのだ。
このままでは、いつまで経っても出発ができない。そこでオレは、ある術を使うかどうかを迷っている。それは――
『魔力封じ』の術だ。
魔力封じは、読んで字の如く魔力を封じる、そのままの魔術である。
オレは隣国でたまたまリッチと呼ばれる、体を持たない悪霊の類で魔術が得意な魔物に出会った。
そのリッチが使っていた魔術の一つが、魔力封じだったのだ。
ちなみに、オレは成長期を迎え、体の成長とともに魔力が増えた。そして何故か、目にした魔法陣を記憶し、その魔法陣に書かれた術式を理解することが可能だったのだ。しかもただ理解できるのではなく、解析して改竄もできる。
今思えば、これがオレの得た『特別な力』なのだろう。
天帝の血を引く者が稀に得る『特別な力』は、様々なものがあるらしいのだが、具体的にどのようなものか母も知らなかった。
なので、他に差し当たってそれらしい力を得ていないオレの力が、『一度見た魔法陣を記憶して解析と改竄する』なのかもしれない。
思考が逸れてしまった。
魔力封じを解析したオレは、改竄して一定の割合で相手の魔力を封じる、段階的魔力封じができるようになった。
ただ問題なのが、オレは魔力開放の術を見たことがないので、封じることができても、後に開放することができないのだ。
オレの能力は、覚えた術式を改竄できるだけで、全く違うものに作り変えたりできない。基本的に定義は同じで、割合を変えるなどといった感じだ。
なので、魔力封じを知っていても、真逆の魔力開放に改竄することは不可能であった。
だからこそ、安易にキャンディッドの魔力を一定量まで封じてしまうことが怖いのだ。
今後一生、オレが魔力開放を目にすることがなければ、キャンディッドの大魔力は一生封じられた状態となる。しかし、現状のままだと娘はまともに魔術が使えない。
いくら大魔力を持っていても、魔術が使えなければ宝の持ち腐れなのだ。
オレはどうすべきか、本格的に悩むのであった。
「使えばいいじゃない」
オレは散々悩んだ挙げ句、夕食後のキャンディッドが寝静まった後、日課となった母との話し合いで、魔術に詳しくない母に相談したのだ。その結果、帰ってきた答えがこれだった。
随分と簡単に言ってくれるものだ。
「クラージュ自身が言ってるじゃない。魔術が使えなければ、大魔力も宝の持ち腐れだ、って。私もそのとおりだと思うの」
「でも、例え魔術士になれたとしても、封じられた魔力が今後活かされない可能性もあるんだよ」
「それは魔術士になれてから考えればいいことでしょ? 今は魔術士になる以前に、魔術が使えないのよね? それならまず、魔術が使えるようになること。それこそを優先すべきだと思うわ」
母の言うとおりなのだろうか、とオレの心は揺らぐが、まだ決心ができない。
「それに、キャンディは冒険者になってクラージュと一緒にラフィーネを探したいのであって、大魔術師になりたいわけではないのよ」
「あっ」
そうだ、大魔力はたまたまキャンディッドが得ただけで、現状はそれで困ることはあれども、あの子は何も得をしていない。それどころか、何かと不遇な人生を送ってきた。
そして、その大魔力で以て大魔術師になることなど、娘は望んでいないのだ。
「ねっ、だから問題なんてないのよ」
「そう……だね」
「そうよ。――それに、キャンディが成長した後に、たまたまクラージュが『魔力開放?』という術を目にすれば、そのときに開放してあげればいいだけのこと。今は何より、魔術が使えるようになって、冒険者になることを考えるべきだわ」
「ありがとう母さん」
やはり母は頼りになるな。
母の言葉で、オレは決心がついた。
「でも不安だわ」
「何が?」
「私がいなくても、ちゃんと判断や決断ができるの?」
「うっ……。が、頑張るよ」
「本当に大丈夫かしら……」
漸く決意の固まったオレだが、母の言葉に反論ができないのであった。
決意を固めた翌日、オレはキャンディッドの魔力量を、大凡でいいから量ることにした。
方法は、キャンディッドに可能な限りの魔力を放出してもらう。
体内魔力の生成というのは、個々で違いはあるものの、保有する魔力量の多寡に拘らず、半日から二日で全回復すると言われている。
なので、魔力欠乏症になる程の放出をしても、少々気分が悪くなって気絶するだけだ。暫く寝かせておけば問題ない。
むしろ魔力酔いばかりで、真逆の欠乏症を味わったことのないキャンディッドに、欠乏症の状態を覚えてもらう良い機会だと思う。
「魔力が体内を巡回している感覚は、もう覚えたよな?」
「ん」
今日も今日とて、元草原、現荒廃した謎の窪地にきている。
別の場所を荒廃させるくらいなら、この地をとんでもなくしてやる方がマシだ。
「今日はその感覚がなくなるまで、全ての魔力を放出するんだ。一度で全部出さなくてもいい。何度繰り返してもいいから、とにかく全部出す。分かったか?」
「……大丈夫、なの?」
無感情と言われるキャンディッドとて、多少の感情があることをオレは知っている。
きっと、自分の体から魔力が全てなくなることを想像し、不安になったのだろう。
「大丈夫だ。問題ない」
「……ん。おっさんが、大丈夫って言うなら、ここがどうなっても、平気」
抑揚のない言葉で、娘がとんでもないことを言い出す。
心配していたのは自分の体ではなく、この土地の方だった……。
「お、おう。加減の必要はないぞ」
少し心配になったが、それよりも嬉しく思えたオレがいた。
この地がどうなるか心配したと言うことは、キャンディッドは体内を巡る魔力から、自分の魔力がどれくらいあるか気付いている、ということだ。
完全ではないにしろ、自分の魔力量が把握できているのは、この後の作業もやり易くなるだろう。
そして、オレに似てると言われるキャンディッドだが、他者……ではないが、土地という自分以外の心配をする心を持っている。自分のことだけを考えていたオレとは大違いだ。
これは自虐的かもしれなが、娘がオレのような人間ではないことを嬉しく思う。
――ドゴォーン、ドゴォーン
さて、今のが何発目だったかな?
ただただ魔力を放出するキャンディッドを見守るオレは、かなり感覚が麻痺してきた。
そろそろ終わるだろうと何度も思ったが、娘はまた魔力を放出し、もう終わりだろうと思っても、また爆音が轟く。
もう三割とか五割じゃなくて、大雑把に九割封じても大丈夫な気がする。多分、それでもキャンディッドは困らないだろうな。
キャンディッドのあまりの魔力量に、オレは小さなことに拘り過ぎだと思うようになっていた。
「……おっさん」
「おう、後何発くらいだ?」
「……気持ち、悪く、なって……きた」
「そうか、じゃあ後一発ぶっ放せ」
「……分かった」
無尽蔵かと思われたキャンディッドの魔力だが、流石に有限だったようだ。
気持ち悪くなってきたのは、魔力欠乏症の症状だと思うが、その感覚を覚えてもらうために、オレは敢えて終了にはせず、追加の放出を促した。
すると、口では気持ち悪いと言いながら、表情はいつもと変わらないキャンディッドであったが、オレの言葉どおりもう一発魔力を放出すると、いつもの半眼より更に瞼が降りていたのだ。
娘が体調を崩したというのに、オレは少し嬉しくなった。
何故なら、オレはキャンディッドの表情から、今まで何一つ感情を拾ったことがなかったのだが、今は『気持ち悪い』と言っているように見えたのだ。
「帰って少し休もうな」
「…………」
無言のキャンディッドを抱きかかえると、オレは浮かれた足取りで家路に着いた。
「ただいま母さん」
「おかえり……って、キャンディは大丈夫なの?」
「これも予定通りだからね」
「それでも心配だわ」
オレの腕の中で丸まっているキャンディッドを見て、母は落ち着かない様子だが、魔力欠乏症は寝てれば治る。本当に心配は要らないのだ。
「取り敢えずキャンディッドを部屋に運んでくるよ」
「お水とかは?」
「起きたときに飲ませてあげればいいよ。だから今は要らないよ」
「そうなの?」
「そうなんだよ」
「分かったわ」
あまりにもオロオロする母を見て、オレは笑い出しそうになってしまったが、本気で孫を心配しているのだから、と自分に言い聞かせ、どうにか堪えた。
それにしても、昔の母はいつも凛としたしっかり者で、たまにドジするくらいに思えていたのだが、今になってみると、昔はオレには見せなかっただけで、実は結構ワタワタした人なのだと分かった気がする。
「それで、キャンディの魔力量は判ったの?」
「ああ、気にするだけ無駄だと分かったよ」
「どういうこと?」
「無尽蔵ではないけれど、そう思えるほど規格外の大容量って感じだね」
「とにかく凄いということかしら?」
「そういうこと」
少し落ち着きを取り戻した母は、「魔術のことは分からないから、クラージュに任せるわ」と言いながら、お茶を啜りだした。
実際、キャンディッドが放ったのが魔術であれば、あれくらいの威力で撃てる者はいるだろう。
しかし、術を使って魔力の圧縮やら何やら全くせず、純粋に魔力だけの放出であれだけの威力、あれだけの数を撃てる人はいないと思える。それ程キャンディッドの魔力量は圧巻なのだ。
多分、八割から七割を封じても、魔術を覚えれば上級魔術士と肩を並べられるだろう。
ただし、それだけ抑えても魔力制御ができなければ、下手すると中級魔術士程度になってしまう。それでも普通の冒険者であれば、十分なのだが……。
ひょっとして、キャンディッドが制御を覚えて、魔力開放しても十全に魔術が使えるようになったら、SSSランクとかになれるんじゃないのか?!
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