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第三章
第三十話 策士リディラ〜ジゼルの幸せ〜吉報。バーなんとか視界に入っていた。(悲報。本人は知らない)
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「お父様、お話があります」
「よし、聞こう」
クイン家の当主執務室。
普通の貴族家庭では子どもがやすやす入れる場所ではないがクイン侯爵家は何かと例外が多い。
領地の経営を特産物だけでなく、科学的技術の開発や商戦で支えているクイン家はどこにヒントがあるかわからないので人の話は聞く姿勢だ。
リディラはそんなクイン家の人々を「基本お人好しで危ない」と言っている。
クイン侯爵ジゼルにとってリディラは可愛い娘である上にアイディアの逸材だとも認めている。
少し前まで可愛い娘の空想の話を父として聞いてやっていたが、娘が成長していくとその空想が実現可能な「発想」であることに気づいた。娘、すごい。娘、最高。
直近で言うと写真機の発想だ。しかも小型軽量への示唆も。あとは絵本の普及だ。
本来絵本は物語も絵も一人で創り上げていた。どちらかと言うと贅沢品で装飾品に近い扱いだったので職人の領分という印象だった。しかし最近の絵本ブームで需要に供給が追いつかなくなった時、物語と絵を別の者で担当すれば良いと挿絵師の採用を提案してきた。
大人に読み聞かせられる贅沢品ではなく子どもの手にたやすく収まるような身近な絵本も必要だと言ってきたのだ。結果、平民たちに大流行した。
だから、リディラが執務中にやって来ても手を止めて話を聞く。今日は何を話してくれるのか。年甲斐もなくワクワクする。
「お父様、こちらの写真をご覧ください」
リディラは机に何枚もの写真を並べた。すべてルゼルとリオンが遊んでいる写真だ。どれも可愛い。ほぅ、ルゼルたちが木馬に乗って遊んだ時の物だな。リディラの誕生日の劇でも乗っていたな。手にしている巻いた紙は剣のつもりかな?最近気に入ってる騎士様ごっこというものだな。あぁ、瞬間写真機開発できて良かった。
「うむ。可愛いな」
「そうなのです、可愛いのです。でも木馬が危なくて可愛いに集中できないのです!」
木馬は前足と後ろ足がカーブした木で繋げられ、揺れるタイプのものだ。乗って上体を動かすと前後に揺れる玩具だ。侯爵が子どもの頃には既にこの屋敷にあった。男の子なら誰でも大好きな木馬だ。自分の遊んだ玩具で我が子が遊ぶなんて実に感慨深い。浸っていたジゼルにリディラが言う。
「この足の所にルゼルたちの手足が挟まれるのではないかと心配で、可愛いに集中できないのです」
ジゼルは自分が子供の頃そこに人形を挟んでしまい踏み壊した経験がある。確かに手足は挟むと危ない。
「あの二人は一人が乗るともう一人が近くに行ってしまうので危ないのです。だから木馬をもう一つ買っていただきました」
確かに最近買った。だからリディラの誕生日の劇では二人が颯爽と木馬にまたがる凛々しくも可愛らしい姿を見ることができた。そのうちアロンも乗りたがるだろうからもう一台、あとは少し大きめをリゼル用に一台追加と考えていたところだ。全員乗っている写真が見たいのだ。
「いくつあってもダメなのです。ルゼルが乗っているとリオンが寄っていき、リオンが乗っているとルゼルが寄って行くんですわ」
磁石のようなのです。と言ってリディラはその様子を描いた絵を見せた。
これが写真でないのは、ハラハラして近くに行ってしまい写真機を構えていられないかららしい。それにしてもリディラの絵は上手い。画家のロンを家庭教師にして正解だった。
「そこでお父様にお願いなのです」
来ました。策士リディラの新発想。
「ゴムで玩具を作ってくださいませ」
ゴム?あのボールや消しゴムのゴム?
ゴムは少し前に南の国で見つけた樹液のことだ。弾力があるけど、それだけ。現地の子どもたちが丸めてボールにしているのを見て、諸国の大人たちが貴族のスポーツに同じくボールとして取り入れている。確かに少しはずむが固いので木製木馬と大差ないとおもっている。あとは鉛筆が消せるとわかったので小さく固めて消しゴムにしていた。
素材としては面白いが生活用品への応用はまだ研究途中のものだ。
生活用品ではなく玩具?ボール以外に?
「例えば?」とジゼル。
「例えば木馬です。ゴム製の馬を作ってほしいのです」
「…弾みすぎて危なくないか?」
「そこを考えるのが大人の仕事ですわ」
確かに。
「私が求めているのは子どもが手を踏まれても怪我をしない馬の玩具ですわ。安心して騎士様ごっこを見ていられる玩具ですわ」キリッ。
妙な迫力がある。それにしてもゴムを玩具とは。やはりリディラは面白い。
「布製ではダメなのか?」
「木馬の魅力は揺れるところです。布製だと乗り上げるだけで揺れる木馬にはかないませんでしょ?だから、動きが出せそうなゴムでお願いしたいのです」
なるほど。
「どこからその発想が?」
「初等学園の参観日に消しゴムを落とされた方がいらして…お名前はバーなんとかでしたかしら?お兄様と讃美歌を一緒に歌われた方ですわ。授業が終わると慌てて筆記用具をかたつけていて、勢い余って消しゴムを机から落としてしまわれたのです。その消しゴムが床で何度か跳ねたのですわ。その時に閃きましたの。あれを応用したら危なくない馬が作れるのでは?」
「なるほど」
消しゴムが落ちる場面は幾度となく見てきた。だがそこからは何のインスピレーションもなかった。やはりリディラには天性の才がある。消しゴムを落としたバーなんとかに感謝だな。
とジゼルが思っていると、ノックとともにルゼルとアロンの声がした。
「父上、いますか?」
「ちちぃーえー」
邸での執務はこれだから良い。定期的に可愛いが供給されて執務意欲が増す。
二人は手を繋いでやってきた。邸内でもこの二人はよく手繋ぎで歩いている。少し前まではどちらかがつまずくと二人して転んでいたらしいが、今はアロンが転びそうになるとルゼルが踏ん張り、転ばなくなったと報告があった。子どもたちの成長を聞くのは嬉しい。
「どうした?」
にこやかにジゼルが聞く
「あのあの、アロンが私のかいたえに色ぬりぬりしました。アロンじょずなの。だから父上にもみてほしいのでしゅ」
可愛い。ルゼルが兄貴風吹かせているし、ルゼルに褒められたのがわかっている様子でニコニコと真っ直ぐジゼルを見ているアロン。どちらも甲乙なしに可愛い。とジゼルが微笑みながら思っている近くでリディラはハッキリ口に出して
「はぁ~、可愛いわ」
と言っていた。
「どれ、見せてもらおうか」
ジゼルが二人をソファに座らせ、自分もリディラとソファに座る。ゆったりとした三人がけの、贅沢な刺繍をほどこしたアンティークのソファにルゼル、ジゼル、リディラの並びに座り、アロンはジゼルの膝に座った。執事のモーリーはいつ見ても絵になる親子だなと思いながら紅茶をいれる。
絵は、ルゼルが描いた丸と渦巻き多めの中に四角や崩れた三角で、顔らしきものが描き込まれたりしている。筆運びに性格が現れていてなんとも言えない愛らしい絵に仕上がっている。
画家のロンがリオンとルゼルにせがまれて絵を教えていると報告があった。こんな可愛らしい絵を描けるようになっているのだから、リディラとは別に手当金を用意しよう。
その絵に、鮮やかな色がはみだしながら塗り込まれている。とても綺麗だが、四角の赤だけはやけに筆圧がある。
「これはね、おさかななの」
青で塗り込められた丸を指差してルゼルが言う。
「これはわかめ。こっちはおふね。これはかい」
海の様子を描いたものらしい。
「これはかに」
筆圧の強い赤はカニだった。アロンはカニが好きだが、その度合いが筆圧にキッチリ現れている。素直な表現が可愛い。リディラはずっとニコニコして話を聞いている。
「ね、父上、アロン、じょずじょずでしょ?」
自分の描いたものよりアロンの評価が欲しいのかと思うと益々ルゼルが愛おしくなる。
「アロンの色塗りがこれほど上手だとは思わなかった」
とジゼルが言うとアロンは得意気に笑って拍手した。ルゼルは
「ね。アロンはすごいすごいなんでしゅ。でもでも、きれいきれいにかけたのは、父上がりっぱなくれよんくださったからなの。父上、ありがとござましゅ」ぺこり。
執務室が一気に癒やされた。いや、二人が入ってきた時から癒されていたが、癒しが倍増した。癒しの単位は知らないが、絶対倍増したとジゼルは思った。さらに、多色色鉛筆とクレヨンを開発して本当に良かったと思った。
思えばそれも甥のユリアンが提案してきたものだ。ルゼルの瞳は翡翠なのに翡翠色がないのは子どもの感性を理解していないと。子どもは少ない色の中から想像力で色を選んでいるのが現状だと。だが、それはやがて一部の子どもの感性を狭めることになるはずで、それは国の損失だとまで言った。一理あるし、多色色鉛筆は戦後の生活が向上した印象にもなり国民の心が豊かになるのではと開発したが、これが子ども向けの贈り物として大ヒットした。リオンの描くルゼルもカラフルになった。結果ユリアンの案を受け入れて正解だった。
横で笑うリディラとルゼル、膝ではしゃくアロンを見ると、ゴム製の馬に乗せて楽しく安全に遊ばせたい気持ちが膨らむ。
よし。ゴム製の馬を開発だ。まずはあのゴムを馬のサイズにした時どうしたら子どもでも持てるくらいの軽さにするかだな。デザインも木馬と同じにはできない。着色はどうすべきだ?やることは沢山ある。
ゴム製の馬、色鉛筆、写真機、絵本、その他にも子どもたちの発想から生まれた物がいくつもある。
子どもと侮るなかれ、子どもの話す言葉には沢山の宝が隠されている。何より聴いていて楽しいし可愛い。やっぱり子どもは良い。
ジゼルは心底幸せだった。
「よし、聞こう」
クイン家の当主執務室。
普通の貴族家庭では子どもがやすやす入れる場所ではないがクイン侯爵家は何かと例外が多い。
領地の経営を特産物だけでなく、科学的技術の開発や商戦で支えているクイン家はどこにヒントがあるかわからないので人の話は聞く姿勢だ。
リディラはそんなクイン家の人々を「基本お人好しで危ない」と言っている。
クイン侯爵ジゼルにとってリディラは可愛い娘である上にアイディアの逸材だとも認めている。
少し前まで可愛い娘の空想の話を父として聞いてやっていたが、娘が成長していくとその空想が実現可能な「発想」であることに気づいた。娘、すごい。娘、最高。
直近で言うと写真機の発想だ。しかも小型軽量への示唆も。あとは絵本の普及だ。
本来絵本は物語も絵も一人で創り上げていた。どちらかと言うと贅沢品で装飾品に近い扱いだったので職人の領分という印象だった。しかし最近の絵本ブームで需要に供給が追いつかなくなった時、物語と絵を別の者で担当すれば良いと挿絵師の採用を提案してきた。
大人に読み聞かせられる贅沢品ではなく子どもの手にたやすく収まるような身近な絵本も必要だと言ってきたのだ。結果、平民たちに大流行した。
だから、リディラが執務中にやって来ても手を止めて話を聞く。今日は何を話してくれるのか。年甲斐もなくワクワクする。
「お父様、こちらの写真をご覧ください」
リディラは机に何枚もの写真を並べた。すべてルゼルとリオンが遊んでいる写真だ。どれも可愛い。ほぅ、ルゼルたちが木馬に乗って遊んだ時の物だな。リディラの誕生日の劇でも乗っていたな。手にしている巻いた紙は剣のつもりかな?最近気に入ってる騎士様ごっこというものだな。あぁ、瞬間写真機開発できて良かった。
「うむ。可愛いな」
「そうなのです、可愛いのです。でも木馬が危なくて可愛いに集中できないのです!」
木馬は前足と後ろ足がカーブした木で繋げられ、揺れるタイプのものだ。乗って上体を動かすと前後に揺れる玩具だ。侯爵が子どもの頃には既にこの屋敷にあった。男の子なら誰でも大好きな木馬だ。自分の遊んだ玩具で我が子が遊ぶなんて実に感慨深い。浸っていたジゼルにリディラが言う。
「この足の所にルゼルたちの手足が挟まれるのではないかと心配で、可愛いに集中できないのです」
ジゼルは自分が子供の頃そこに人形を挟んでしまい踏み壊した経験がある。確かに手足は挟むと危ない。
「あの二人は一人が乗るともう一人が近くに行ってしまうので危ないのです。だから木馬をもう一つ買っていただきました」
確かに最近買った。だからリディラの誕生日の劇では二人が颯爽と木馬にまたがる凛々しくも可愛らしい姿を見ることができた。そのうちアロンも乗りたがるだろうからもう一台、あとは少し大きめをリゼル用に一台追加と考えていたところだ。全員乗っている写真が見たいのだ。
「いくつあってもダメなのです。ルゼルが乗っているとリオンが寄っていき、リオンが乗っているとルゼルが寄って行くんですわ」
磁石のようなのです。と言ってリディラはその様子を描いた絵を見せた。
これが写真でないのは、ハラハラして近くに行ってしまい写真機を構えていられないかららしい。それにしてもリディラの絵は上手い。画家のロンを家庭教師にして正解だった。
「そこでお父様にお願いなのです」
来ました。策士リディラの新発想。
「ゴムで玩具を作ってくださいませ」
ゴム?あのボールや消しゴムのゴム?
ゴムは少し前に南の国で見つけた樹液のことだ。弾力があるけど、それだけ。現地の子どもたちが丸めてボールにしているのを見て、諸国の大人たちが貴族のスポーツに同じくボールとして取り入れている。確かに少しはずむが固いので木製木馬と大差ないとおもっている。あとは鉛筆が消せるとわかったので小さく固めて消しゴムにしていた。
素材としては面白いが生活用品への応用はまだ研究途中のものだ。
生活用品ではなく玩具?ボール以外に?
「例えば?」とジゼル。
「例えば木馬です。ゴム製の馬を作ってほしいのです」
「…弾みすぎて危なくないか?」
「そこを考えるのが大人の仕事ですわ」
確かに。
「私が求めているのは子どもが手を踏まれても怪我をしない馬の玩具ですわ。安心して騎士様ごっこを見ていられる玩具ですわ」キリッ。
妙な迫力がある。それにしてもゴムを玩具とは。やはりリディラは面白い。
「布製ではダメなのか?」
「木馬の魅力は揺れるところです。布製だと乗り上げるだけで揺れる木馬にはかないませんでしょ?だから、動きが出せそうなゴムでお願いしたいのです」
なるほど。
「どこからその発想が?」
「初等学園の参観日に消しゴムを落とされた方がいらして…お名前はバーなんとかでしたかしら?お兄様と讃美歌を一緒に歌われた方ですわ。授業が終わると慌てて筆記用具をかたつけていて、勢い余って消しゴムを机から落としてしまわれたのです。その消しゴムが床で何度か跳ねたのですわ。その時に閃きましたの。あれを応用したら危なくない馬が作れるのでは?」
「なるほど」
消しゴムが落ちる場面は幾度となく見てきた。だがそこからは何のインスピレーションもなかった。やはりリディラには天性の才がある。消しゴムを落としたバーなんとかに感謝だな。
とジゼルが思っていると、ノックとともにルゼルとアロンの声がした。
「父上、いますか?」
「ちちぃーえー」
邸での執務はこれだから良い。定期的に可愛いが供給されて執務意欲が増す。
二人は手を繋いでやってきた。邸内でもこの二人はよく手繋ぎで歩いている。少し前まではどちらかがつまずくと二人して転んでいたらしいが、今はアロンが転びそうになるとルゼルが踏ん張り、転ばなくなったと報告があった。子どもたちの成長を聞くのは嬉しい。
「どうした?」
にこやかにジゼルが聞く
「あのあの、アロンが私のかいたえに色ぬりぬりしました。アロンじょずなの。だから父上にもみてほしいのでしゅ」
可愛い。ルゼルが兄貴風吹かせているし、ルゼルに褒められたのがわかっている様子でニコニコと真っ直ぐジゼルを見ているアロン。どちらも甲乙なしに可愛い。とジゼルが微笑みながら思っている近くでリディラはハッキリ口に出して
「はぁ~、可愛いわ」
と言っていた。
「どれ、見せてもらおうか」
ジゼルが二人をソファに座らせ、自分もリディラとソファに座る。ゆったりとした三人がけの、贅沢な刺繍をほどこしたアンティークのソファにルゼル、ジゼル、リディラの並びに座り、アロンはジゼルの膝に座った。執事のモーリーはいつ見ても絵になる親子だなと思いながら紅茶をいれる。
絵は、ルゼルが描いた丸と渦巻き多めの中に四角や崩れた三角で、顔らしきものが描き込まれたりしている。筆運びに性格が現れていてなんとも言えない愛らしい絵に仕上がっている。
画家のロンがリオンとルゼルにせがまれて絵を教えていると報告があった。こんな可愛らしい絵を描けるようになっているのだから、リディラとは別に手当金を用意しよう。
その絵に、鮮やかな色がはみだしながら塗り込まれている。とても綺麗だが、四角の赤だけはやけに筆圧がある。
「これはね、おさかななの」
青で塗り込められた丸を指差してルゼルが言う。
「これはわかめ。こっちはおふね。これはかい」
海の様子を描いたものらしい。
「これはかに」
筆圧の強い赤はカニだった。アロンはカニが好きだが、その度合いが筆圧にキッチリ現れている。素直な表現が可愛い。リディラはずっとニコニコして話を聞いている。
「ね、父上、アロン、じょずじょずでしょ?」
自分の描いたものよりアロンの評価が欲しいのかと思うと益々ルゼルが愛おしくなる。
「アロンの色塗りがこれほど上手だとは思わなかった」
とジゼルが言うとアロンは得意気に笑って拍手した。ルゼルは
「ね。アロンはすごいすごいなんでしゅ。でもでも、きれいきれいにかけたのは、父上がりっぱなくれよんくださったからなの。父上、ありがとござましゅ」ぺこり。
執務室が一気に癒やされた。いや、二人が入ってきた時から癒されていたが、癒しが倍増した。癒しの単位は知らないが、絶対倍増したとジゼルは思った。さらに、多色色鉛筆とクレヨンを開発して本当に良かったと思った。
思えばそれも甥のユリアンが提案してきたものだ。ルゼルの瞳は翡翠なのに翡翠色がないのは子どもの感性を理解していないと。子どもは少ない色の中から想像力で色を選んでいるのが現状だと。だが、それはやがて一部の子どもの感性を狭めることになるはずで、それは国の損失だとまで言った。一理あるし、多色色鉛筆は戦後の生活が向上した印象にもなり国民の心が豊かになるのではと開発したが、これが子ども向けの贈り物として大ヒットした。リオンの描くルゼルもカラフルになった。結果ユリアンの案を受け入れて正解だった。
横で笑うリディラとルゼル、膝ではしゃくアロンを見ると、ゴム製の馬に乗せて楽しく安全に遊ばせたい気持ちが膨らむ。
よし。ゴム製の馬を開発だ。まずはあのゴムを馬のサイズにした時どうしたら子どもでも持てるくらいの軽さにするかだな。デザインも木馬と同じにはできない。着色はどうすべきだ?やることは沢山ある。
ゴム製の馬、色鉛筆、写真機、絵本、その他にも子どもたちの発想から生まれた物がいくつもある。
子どもと侮るなかれ、子どもの話す言葉には沢山の宝が隠されている。何より聴いていて楽しいし可愛い。やっぱり子どもは良い。
ジゼルは心底幸せだった。
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