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第三章
第三十一話 指圧は難しい。〜皆を癒したい。〜皆はとっくに癒されている。
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今日はリオンとルゼルが騎士団の練習を見学する日だ。
前回の見学から一年近くが経った。騎士の事もあれから少しは詳しくなった。マグヌスも今では頻繁に騎士団練習場で練習しているらしい。少しわかった目で、兄たちの姿や自分たちの護衛についている騎士の姿を見たいのだ。
本来そのような願いは簡単には叶うものではないが、二人に関しては国王と騎士団長の許可がすぐさま降りた。最近では騎士団員たちも本能でこの二人が特別であろうことを察知しているので、許可の出る流れの速さになんの疑問も持たなかった。それより、二天使降臨!の方に気持ちが行く。
今日の護衛はキーツとヨハンとエールとギンだ。それにグイン団長もいる。団長が付くなど、やはり二人は特別扱いだ。だが、理由は誰も聞かない。
最近知ったが、このギンは兄リゼルの従者ギンと親戚だそうだ。
二人は練習場に行く間、今回もお約束の確認をしている。
「騎士様、えいっえいってしてるから」とリオンが言うと
「ひとりで、はしらないのね」とルゼル。
「うん。それから、騎士様えいっえいってしてるから」
「わぁーわぁーってしないのね」
「うん。それからだいじだいじなのは」
「ごあいさちゅよね」
二人して深くうなずく。眉間にシワだ。真剣にお約束を確認し、しっかりと手を繋ぎ直した。騎士たちにはホワァな時間だ。
「…お二人はここでもこうなのか?」
とグイン団長。
「はい。いつもいつもこのような感じです」
とキーツ。
グインは海のお土産以来二人に関わることが多くなった。周囲はその理由をぼんやりと感じ取ってはいるが誰も明言はしない。その方がいいと騎士の本能が言うからだ。
いざ練習場に入ると、今日もそこは活気づいていた。正確には二天使が来るとわかっているだけにいつも以上の活気だ。二人は入口で
誰にともなく「しつれいします」と言ってぺこりと頭を下げた。そして向き合って「できたね」「うん」と言う。ご挨拶の約束を果たせたという意味だろう。
そして、今回はもうすぐに兄たちを見つけられた。
「兄上よ!リゼル兄様も!」
「マグヌス殿下も!」
二人同時に兄たちを指差して言った。前より兄たちはかっこいい。剣の運びが滑らかで速くなっている。
「兄上たち、すてきすてきだね」
「つよいつよいがいっぱいになってるね」
「あ!ルカ様もいるよ!」
「ルカ様、きょうはここでおしごとね」
ルカが兄たちとは違うエリアで練習をしている。汗をかいて身体のあちらこちらに力を込めているのがわかる。
「はわわわっ!だいようきん!せきちゅうきりつきん!じょうわんにとうきん!ふくちょくきん!ふくちょくきん!ふくちょくきん!」
ルゼルは腹直筋連呼だ。
「…筋肉の名前のように聴こえるが…」グインは従者ヤンを見て言った。
「はい。大腰筋、脊柱起立筋、上腕二頭筋、腹直筋、腹直筋、腹直筋。と仰いました」
「はははは!人体模型が好きだと話されていたが、相当お好きなようだな」
グインが笑って言う。驚かずに笑っているあたりに団長の器が見える。
一行は見学席に行くと長い時間練習をずっと眺めていた。幼児が見るには退屈になりそうな練習ばかりだが、二人は全く飽きる事なく筋肉の名前を連呼したり「あの騎士様、おててのおけが、なおったみたいだね」とか「あの騎士様、みぎのおてて、いたいにしてるね」とか、話している。なぜわかる?なぜ知ってる?百歩譲って、今右手を痛くしている騎士はわかるとして…それでも幼児が見抜ける所作はしていない…治った騎士はなぜわかるのか。
「あの者が怪我をしていたこと、ご存知なのですか?」
とグインが聞いた。団長、知りたい事聞いてくれて助かる。
「しらないでした。でもでも、おてての色がみぎとひだりでちがうです」
「それって、かたほうだけおひさまがあたってなかったってことです。海にいったとき、おひさまがあたったとこのはだは色がちがうになってました」
「だからわかったんだよねー」
「ねー」
「それに、あの騎士様、ときどきおててふりましゅ」
「それって、おてて、いたいいたいなの、だいじょぶかなーってしてるとこです」
「ねー」
「ねー」
…そうなのだが、それがわかる年齢ではない。
「二天使、すげぇ」
ヨハンが思わずこぼした。
しばらくすると、キエル副団長の号令で全体休憩の時間となった。
「兄上方の所に行らしていただいて大丈夫ですよ」
とグインが声をかけると
「はい!」
と元気な返事をして二人が階段を降りて行った。今も階段の手すりに捕まるが、一段を片足ずつで降りていける。ルゼルは相変わらず「んしょ、んしょ」と言っているが。…と、階段の途中で二人が止まった。
「どうされました?」
「だんちょさま。あれはなにしているですか?」
指さされた方向には、長椅子に腹這いになったルカが他の騎士に背中を押されている。指圧だ。
「あれは、指圧ですね。身体を沢山使うので、あのようにして筋肉をほぐすのです」
「きんにくをほぐす…」ルゼル。
「しあつ…」リオン。
リオンは単語をインプットすると質問を始めた。
「しあつはいたくないですか?きもちいですか?じぶんではできないですか?騎士様しかできないですか?おすのだめなばしょはありますか?」
グインは丁寧に答えた。
「指圧は必要とする者には痛くないです。時々痛いですが、力をさほど込めなくても痛い時はより悪くなっていることがあります。指圧は気持ち良いです。自分ですると別の筋肉を使うことになりますし、力を込めるには手が届きにくいこともあり、あまり効果を実感できません。指圧は騎士以外でもできます。指圧師という仕事もあるくらいです。押すことを禁じられている場所もあります」
「なるほど…よくわかりました。ありがとござましゅ」ぺこり。
内容と仕草と滑舌のギャップがすごい。すごい可愛い。
「私、しあつおぼえます」
は?
「あ、私もおぼえましゅ」
は?
「兄上やマグヌス殿下、しあつでいやすのです」
「いつも、ありがとなことばかりなので兄上たちに、おかえししたいのでしゅ」
優しい。やはり天使。
貴族の、それも大貴族の、しかも国王直々に護衛を任された二人に指圧をさせるなどあってはならないはずだが、紫と翡翠のキラキラした瞳に見上げられたグインは負けた。
「…キーツ、少しだけ教えて差し上げなさい」
グインは一番力加減が出来そうなキーツに指導を任せた。
さて、休憩時間だが、二人が練習場の長椅子にいるということで、皆集まってきた。マグヌスも兄たちもいる。
キーツはルカに事情を説明してモデルを依頼した。
「まず、体験していただきますね。このルカのように横たわってください。手は顎の下です」
そうして簡単な指圧の手順をルカにしてみせる。
「これをリオン様、まず体験の方でお願いします」
「はい。おねがいします」
リオンが長椅子に腹這いになった。キーツの手が背中全体に当たる。温かくて気持ちいい。リオンには凝りが全くないので指圧そのものの気持ちよさはわからないが、他人の手の温もりだけでも気持ち良い。ルゼルも体験した。同じ感想だった。
「では今私がしたことを少しずつお二人でやってみてください」
「はい」
まず、リオンが腹這いになり、ルゼルが背中に手を当てた。小さくて可愛い手だ。少し背中を撫でた後、キーツがしたように腰を押した。
「きゃー!きゃははは」
リオンが身をよじって笑い出した。もう一度ルゼルが押すと、またリオンは「きゃー、きゃはは」と我慢できずに笑って起き上がった。
「だめよ、だめよ、くずぐったい」
「リオン、ちゃんとして。アニューレたちをきもちいにするんだから」
え?私たちのため?見ていたユリアンとリゼルがキュンとなる。
「うんうん。マグヌス殿下もね」
え?私も?時差でマグヌスもキュンとなる。
「うん。騎士様たちも、いつもありがとねってしあつするものね」
えーっ⁉︎私たちも?ルカたちは特大のキュンだった。
ルゼルがされる側になるとやはりくすぐったくて、すぐさま
「きゃー。きゃははは。くすぐったいー。かわって」
となり、二、三度押すと再び
「きゃー。きゃはは」交代。
「きゃー。きゃはは」交代。忙しい。
二人の手が小さすぎてくすぐったいツボにハマりやすいようだ。全然練習にならないが、二人を見ているだけですっかり癒される騎士や兄たちだった。
前回の見学から一年近くが経った。騎士の事もあれから少しは詳しくなった。マグヌスも今では頻繁に騎士団練習場で練習しているらしい。少しわかった目で、兄たちの姿や自分たちの護衛についている騎士の姿を見たいのだ。
本来そのような願いは簡単には叶うものではないが、二人に関しては国王と騎士団長の許可がすぐさま降りた。最近では騎士団員たちも本能でこの二人が特別であろうことを察知しているので、許可の出る流れの速さになんの疑問も持たなかった。それより、二天使降臨!の方に気持ちが行く。
今日の護衛はキーツとヨハンとエールとギンだ。それにグイン団長もいる。団長が付くなど、やはり二人は特別扱いだ。だが、理由は誰も聞かない。
最近知ったが、このギンは兄リゼルの従者ギンと親戚だそうだ。
二人は練習場に行く間、今回もお約束の確認をしている。
「騎士様、えいっえいってしてるから」とリオンが言うと
「ひとりで、はしらないのね」とルゼル。
「うん。それから、騎士様えいっえいってしてるから」
「わぁーわぁーってしないのね」
「うん。それからだいじだいじなのは」
「ごあいさちゅよね」
二人して深くうなずく。眉間にシワだ。真剣にお約束を確認し、しっかりと手を繋ぎ直した。騎士たちにはホワァな時間だ。
「…お二人はここでもこうなのか?」
とグイン団長。
「はい。いつもいつもこのような感じです」
とキーツ。
グインは海のお土産以来二人に関わることが多くなった。周囲はその理由をぼんやりと感じ取ってはいるが誰も明言はしない。その方がいいと騎士の本能が言うからだ。
いざ練習場に入ると、今日もそこは活気づいていた。正確には二天使が来るとわかっているだけにいつも以上の活気だ。二人は入口で
誰にともなく「しつれいします」と言ってぺこりと頭を下げた。そして向き合って「できたね」「うん」と言う。ご挨拶の約束を果たせたという意味だろう。
そして、今回はもうすぐに兄たちを見つけられた。
「兄上よ!リゼル兄様も!」
「マグヌス殿下も!」
二人同時に兄たちを指差して言った。前より兄たちはかっこいい。剣の運びが滑らかで速くなっている。
「兄上たち、すてきすてきだね」
「つよいつよいがいっぱいになってるね」
「あ!ルカ様もいるよ!」
「ルカ様、きょうはここでおしごとね」
ルカが兄たちとは違うエリアで練習をしている。汗をかいて身体のあちらこちらに力を込めているのがわかる。
「はわわわっ!だいようきん!せきちゅうきりつきん!じょうわんにとうきん!ふくちょくきん!ふくちょくきん!ふくちょくきん!」
ルゼルは腹直筋連呼だ。
「…筋肉の名前のように聴こえるが…」グインは従者ヤンを見て言った。
「はい。大腰筋、脊柱起立筋、上腕二頭筋、腹直筋、腹直筋、腹直筋。と仰いました」
「はははは!人体模型が好きだと話されていたが、相当お好きなようだな」
グインが笑って言う。驚かずに笑っているあたりに団長の器が見える。
一行は見学席に行くと長い時間練習をずっと眺めていた。幼児が見るには退屈になりそうな練習ばかりだが、二人は全く飽きる事なく筋肉の名前を連呼したり「あの騎士様、おててのおけが、なおったみたいだね」とか「あの騎士様、みぎのおてて、いたいにしてるね」とか、話している。なぜわかる?なぜ知ってる?百歩譲って、今右手を痛くしている騎士はわかるとして…それでも幼児が見抜ける所作はしていない…治った騎士はなぜわかるのか。
「あの者が怪我をしていたこと、ご存知なのですか?」
とグインが聞いた。団長、知りたい事聞いてくれて助かる。
「しらないでした。でもでも、おてての色がみぎとひだりでちがうです」
「それって、かたほうだけおひさまがあたってなかったってことです。海にいったとき、おひさまがあたったとこのはだは色がちがうになってました」
「だからわかったんだよねー」
「ねー」
「それに、あの騎士様、ときどきおててふりましゅ」
「それって、おてて、いたいいたいなの、だいじょぶかなーってしてるとこです」
「ねー」
「ねー」
…そうなのだが、それがわかる年齢ではない。
「二天使、すげぇ」
ヨハンが思わずこぼした。
しばらくすると、キエル副団長の号令で全体休憩の時間となった。
「兄上方の所に行らしていただいて大丈夫ですよ」
とグインが声をかけると
「はい!」
と元気な返事をして二人が階段を降りて行った。今も階段の手すりに捕まるが、一段を片足ずつで降りていける。ルゼルは相変わらず「んしょ、んしょ」と言っているが。…と、階段の途中で二人が止まった。
「どうされました?」
「だんちょさま。あれはなにしているですか?」
指さされた方向には、長椅子に腹這いになったルカが他の騎士に背中を押されている。指圧だ。
「あれは、指圧ですね。身体を沢山使うので、あのようにして筋肉をほぐすのです」
「きんにくをほぐす…」ルゼル。
「しあつ…」リオン。
リオンは単語をインプットすると質問を始めた。
「しあつはいたくないですか?きもちいですか?じぶんではできないですか?騎士様しかできないですか?おすのだめなばしょはありますか?」
グインは丁寧に答えた。
「指圧は必要とする者には痛くないです。時々痛いですが、力をさほど込めなくても痛い時はより悪くなっていることがあります。指圧は気持ち良いです。自分ですると別の筋肉を使うことになりますし、力を込めるには手が届きにくいこともあり、あまり効果を実感できません。指圧は騎士以外でもできます。指圧師という仕事もあるくらいです。押すことを禁じられている場所もあります」
「なるほど…よくわかりました。ありがとござましゅ」ぺこり。
内容と仕草と滑舌のギャップがすごい。すごい可愛い。
「私、しあつおぼえます」
は?
「あ、私もおぼえましゅ」
は?
「兄上やマグヌス殿下、しあつでいやすのです」
「いつも、ありがとなことばかりなので兄上たちに、おかえししたいのでしゅ」
優しい。やはり天使。
貴族の、それも大貴族の、しかも国王直々に護衛を任された二人に指圧をさせるなどあってはならないはずだが、紫と翡翠のキラキラした瞳に見上げられたグインは負けた。
「…キーツ、少しだけ教えて差し上げなさい」
グインは一番力加減が出来そうなキーツに指導を任せた。
さて、休憩時間だが、二人が練習場の長椅子にいるということで、皆集まってきた。マグヌスも兄たちもいる。
キーツはルカに事情を説明してモデルを依頼した。
「まず、体験していただきますね。このルカのように横たわってください。手は顎の下です」
そうして簡単な指圧の手順をルカにしてみせる。
「これをリオン様、まず体験の方でお願いします」
「はい。おねがいします」
リオンが長椅子に腹這いになった。キーツの手が背中全体に当たる。温かくて気持ちいい。リオンには凝りが全くないので指圧そのものの気持ちよさはわからないが、他人の手の温もりだけでも気持ち良い。ルゼルも体験した。同じ感想だった。
「では今私がしたことを少しずつお二人でやってみてください」
「はい」
まず、リオンが腹這いになり、ルゼルが背中に手を当てた。小さくて可愛い手だ。少し背中を撫でた後、キーツがしたように腰を押した。
「きゃー!きゃははは」
リオンが身をよじって笑い出した。もう一度ルゼルが押すと、またリオンは「きゃー、きゃはは」と我慢できずに笑って起き上がった。
「だめよ、だめよ、くずぐったい」
「リオン、ちゃんとして。アニューレたちをきもちいにするんだから」
え?私たちのため?見ていたユリアンとリゼルがキュンとなる。
「うんうん。マグヌス殿下もね」
え?私も?時差でマグヌスもキュンとなる。
「うん。騎士様たちも、いつもありがとねってしあつするものね」
えーっ⁉︎私たちも?ルカたちは特大のキュンだった。
ルゼルがされる側になるとやはりくすぐったくて、すぐさま
「きゃー。きゃははは。くすぐったいー。かわって」
となり、二、三度押すと再び
「きゃー。きゃはは」交代。
「きゃー。きゃはは」交代。忙しい。
二人の手が小さすぎてくすぐったいツボにハマりやすいようだ。全然練習にならないが、二人を見ているだけですっかり癒される騎士や兄たちだった。
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