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第三章
第七話 学園、秋のイベント。参観日〜何かと様々大渋滞②ルゼル「はわわわ」連発。
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参観日初日の学舎入口。
まず新入生が来園した家族を迎えに来た。
噂以上の美幼児に当てられた人々の中、ルゼルがユリアンに言った。
「はにあいたい」…なんて?
「んー。どうしようかなー」
ユリアンは口元を手で隠して笑っている。ユリアンはリゼルからルゼルがユリアンの歯の抜けたところを見たがっていると聞いていたので、ルゼルの唐突なお願いに慌てることなく少しいたずらに返すことができた。
「えぇ?ユリアン様がふざけていらっしゃる?」ざわっ。
「ユリアン様がおどけていらっしゃる?」ざわわっ。
いつも冷静沈着で知られるユリアンが小さな従兄弟相手にふざけている。リゼル相手にもあまり見ない姿にユリアンを知る同級生たちが目をみはった。
「ユリアンの歯が抜けた話をしたらルゼルが見たいと言ったのです」
リゼルがコーク公爵夫妻に説明をした。コーク公爵夫妻にしても息子がこのようにふざける姿は見たことがない。これだけでも参観に来た甲斐があった。
「見たいの?」
とユリアンがルゼルに聞く。
「はい!みたことないなので、みたいでしゅ!しょれでしょれで、あろんにおしえてあげるのでしゅ」
アロンが体調不良なのはリゼルから聞いていた。弟に教えたいなんてルゼルも自分と同じ兄仲間になったんだなとユリアンがなんとなく嬉しくなる。
「アロンに教えてあげるならちゃんと見せてあげないとね」
ユリアンが一層いたずらに笑う。
「はい!ゆりあんにいしゃま、ありがとござましゅ!」
ルゼルの手はわーいになっている。そして小さく跳ねている。可愛い。
「いくよ。よく見てね。3…2…1…」
ルゼルの手がわーいからグーになる。翡翠の瞳が瞬きをしないでユリアンを見る。キラキラしている。
向かい合うユリアンとルゼルの美しい光景に、どの家族もしばし自分の家族の存在を忘れて見入っていた。実際はこれから歯を見せる子どもと見る子どもの姿なのだが、なんだか神々しかった。
「いーっ」
ユリアンが手を離してルゼルに前歯を見せた。
「はわわわわーっ!」
ルゼルは、ユリアンの無くなった前歯を見て(無くなっているから見えないのだが)驚きのあまり尻もちをついた。本当に歯がなかった!
「はわーっ…かえる…」
かえる?蛙?すぐさまコーク家族とクイン家族はリオンを見た。
リオンは、つたないルゼルの言葉でも言いたいことが何故だか全部わかるので皆はリオンの解説待ちだ。
「かえるみたときと、おなじなびっくりって。兄上、すごい!るぜ、こんなにびっくり。兄上、すごいの!きゃー」
リオンはルゼルが今までで一番驚いた出来事が蛙発見の瞬間だと知っている。それだけにルゼルをこんなに驚かせた兄が誇らしくて嬉しくて跳ね始めた。
「あはは。蛙か。相変わらずお前たちは可愛いなぁ」
ユリアン様が無防備に口を開けて笑っている!周囲も驚いている。
「どう?ルゼル。前歯が抜けたの見て」とリゼル。
「はわー。ゆりあんにいしゃま、いたくない?」
「うん。痛く無いよ。ただ今まであったところのものが無くなると変だなって感じはある」
ルゼルは目がまん丸になったままだ。
驚いて言葉にならないルゼルにリオンが説明した。
「おしょくじ、ちゃんとできるの。でね、でね、ぬけたは、だいじだいじにするの。うえのはは、ゆかのしたーのしたーのところで、したのはは、おやねのうえーのところなの」
抜けた歯はそれぞれ置き場所が決まっているらしい。
「それでね、あたらしの、は、はえてくるのよ」
「はわっ!…あねーれ、あたらしのいたいでしゅか?」
ルゼルはわからないことは基本まずリディラに聞く。
「新しい歯が生えてくるときは痛くないみたい。かゆいことはあるようよ」
「かゆい?ゆりあんにいしゃま、かゆい?」
「私の新しい歯はまだ生えてこないからわからないな」
「あたらし、きたら、みせてましゅ?」
「うん。新しい歯が生えてきたら見せてあげるよ。その前に学園の中を見せてあげようね。父上、母上、伯父上、ご案内いたします。リゼル、行こう」
「ああ」
なんてスマートな導入だ。
ルゼルも今一番の関心事を確認できてスッキリした。
ユリアンとリゼルは自分たちの教室の他、音楽室やダンス室、美術室、図書室や理科室などを案内した。
音楽室には有名な音楽家の肖像画があった。どれか画家様が描いたものかもしれないとリオンとルゼルはドキドキしながら見た。
美術室には有名な作品の模写やレプリカがあった。幾つかは王宮で実物を見たことがあったし、コーク公爵家でも見たものがあった。
「これ、りろんのおうちにあるましゅ」
その一つを指差してルゼルが父侯爵のジゼルに言った。
「ああ、あれはリリィラが公爵家に嫁ぐ時に持たせたものだ」
こともな気にクイン侯爵ジゼルが言った。
「私が子どもの頃からお気に入りでね。あなたたちのお祖父様がそれを知っていたから持たせてくださったのよ」
と、公爵夫人かつ、侯爵の妹のリリィラが補足する。
「義父上のお気持ちと思ってリリィラの見やすい所に飾らせているんだ」
と、これはコーク公爵アーネスト。
なんかセレブリティな会話がサラッとされてるし、公爵閣下なにげにノロケたし、名前呼びとか聴いてて照れるし、レプリカが作られるほどの有名美術品を間近で見ている生活?嫁ぐ妹に軽く持たせる家?「うちなら宝物室にしまっておく!」聞くともなしに聞いていた周囲の内心の感想は一致していた。
リオンとルゼルが最も関心を持って見て回ったのは理科室だ。
「ずかんのもの、たくさんあります!」
まずリオンが言った。ルゼルは感動で「はわわ」以外言えなかった。
図鑑で絵や写真でしか見たことのなかった実験道具や人体模型や鳥の骨格標本、色とりどりの押し花のケースなど本で見るよりずっとカッコよく見えた。
人体模型には歯があった。大人の歯だとユリアンが教えてくれた。
これらの教室で兄たちはどんな勉強をしているのか。
「がくえん、かっこいい…」
リオンの呟きにユリアンもリゼルも微笑んだ。
二限からはそれぞれの教室で授業参観だ。
ユリアンとリゼルはマグヌスと同じ教室だ。
マグヌスはコーク公爵夫妻、クイン侯爵と簡単な挨拶をした後リオンたちに向かって言った。
「来たな、リオン、ルゼル。リディラも」
「まぐにゅしゅしゃま、ゔぁじゅらしゃまは?」
「ヴァジュラは城で留守番だ」
マグヌスが笑って答える。
マグヌスの家族は王族だ。参観するとなると警備に国家予算がかかるし学生たちの緊張もはかりしれないため、家族の参観は自粛だ。母王妃が残念がっていた。マグヌスのように家族が参観しない学生は一限は自習だったそうだ。
一国の王太子に普通に声をかけるルゼルたちに周囲は驚いたが、それ以上に公爵夫妻と侯爵が教室に入ってきたこと、それぞれに見たことがないほどの美幼児がいることに驚いていた。しかし、驚きはこれに止まらなかった。
二限は算数だった。繰り上がりや繰り下がりの二桁三桁の計算が授業内容だった。
数式に、15-7-8=0 というものが出た時だ。それを見ていたリオンが父公爵アーネストに聞いた。
「父上、すうじ、ぜろよりちいさい、ありますか?」
「うん?0より小さい数字もあるぞ」
「ぜろは、ないない、ですよね?」
「そうだ」
「ないないより、ちいさいって、みえますか?」
「概念としては見えない。だが、こちらの都合として可視化できるものもある」
「父上の仰っているのはね、0より小さいものは本当は見えないのだけど、私たちが考える上では見えるものにできると仰っているのよ」
公爵夫人リリィラの解説も難しい。
「もしもだとどうですか?」
リオンは「例えば?」という意味で聞いている。今の解説でわかるのか。なんだかすごいな。公爵が続ける。
「0は『ない』ということだ。だから0より小さいものはない。だがどこに0を置くかで0より下が見えることがある。
例えばユリアンの歯を埋めた時のことを思い出しなさい。地面を0とする。石一つを1とした時、石を3つ積むといくつだ?」
すぐにリオンが答える。
「3です」
「そうだな、地面より上に3だ。では歯を埋めるために穴を掘る。掘る深さを石3つ分とする。その時は地面より下に3だな。これは見える0より小さな3だ」
「みえないの3もありますか?」
どうやら今の説明でリオンは理解したらしい。このあたりで教授の手も止まり、リオンをさりげなく見ている。
「ある。例えば、図鑑を作るために紙が5枚必要なのに2枚しかない。足りない3枚は見えない3枚だ」
「あったらいいなが、ないときが、みえない3…」
授業をしていた教授は内心驚いていた。公爵の話は新学園生にも難しい。それをリオンはどうやら理解しているらしい。それより0より小さな数字とか思いつくのはなぜだ?概念じゃないか。
すると今度はルゼルが聞いた。
「しょれにおなまえ、あるましゅ?」
「『マイナス』だ」
「まいなす」
「まいなしゅ」
ルゼルも理解していた。
マグヌスは一連のコソコソ話(というには教室中が聞いていた)を聞いて驚いたが、立場上反応は控えていた。しかしそこここから驚嘆らしき呟きが聞こえていた。「天使、天才?天才天使?」そう言ったバークレイの声だけは驚きの表情とともにしっかりと教室に響いた。
二限が終わるとコーク公爵は妻のリリィラを残して執務のため帰って行った。(残念そうに目で追うお母様方多数)
参観はまだまだ続く。
まず新入生が来園した家族を迎えに来た。
噂以上の美幼児に当てられた人々の中、ルゼルがユリアンに言った。
「はにあいたい」…なんて?
「んー。どうしようかなー」
ユリアンは口元を手で隠して笑っている。ユリアンはリゼルからルゼルがユリアンの歯の抜けたところを見たがっていると聞いていたので、ルゼルの唐突なお願いに慌てることなく少しいたずらに返すことができた。
「えぇ?ユリアン様がふざけていらっしゃる?」ざわっ。
「ユリアン様がおどけていらっしゃる?」ざわわっ。
いつも冷静沈着で知られるユリアンが小さな従兄弟相手にふざけている。リゼル相手にもあまり見ない姿にユリアンを知る同級生たちが目をみはった。
「ユリアンの歯が抜けた話をしたらルゼルが見たいと言ったのです」
リゼルがコーク公爵夫妻に説明をした。コーク公爵夫妻にしても息子がこのようにふざける姿は見たことがない。これだけでも参観に来た甲斐があった。
「見たいの?」
とユリアンがルゼルに聞く。
「はい!みたことないなので、みたいでしゅ!しょれでしょれで、あろんにおしえてあげるのでしゅ」
アロンが体調不良なのはリゼルから聞いていた。弟に教えたいなんてルゼルも自分と同じ兄仲間になったんだなとユリアンがなんとなく嬉しくなる。
「アロンに教えてあげるならちゃんと見せてあげないとね」
ユリアンが一層いたずらに笑う。
「はい!ゆりあんにいしゃま、ありがとござましゅ!」
ルゼルの手はわーいになっている。そして小さく跳ねている。可愛い。
「いくよ。よく見てね。3…2…1…」
ルゼルの手がわーいからグーになる。翡翠の瞳が瞬きをしないでユリアンを見る。キラキラしている。
向かい合うユリアンとルゼルの美しい光景に、どの家族もしばし自分の家族の存在を忘れて見入っていた。実際はこれから歯を見せる子どもと見る子どもの姿なのだが、なんだか神々しかった。
「いーっ」
ユリアンが手を離してルゼルに前歯を見せた。
「はわわわわーっ!」
ルゼルは、ユリアンの無くなった前歯を見て(無くなっているから見えないのだが)驚きのあまり尻もちをついた。本当に歯がなかった!
「はわーっ…かえる…」
かえる?蛙?すぐさまコーク家族とクイン家族はリオンを見た。
リオンは、つたないルゼルの言葉でも言いたいことが何故だか全部わかるので皆はリオンの解説待ちだ。
「かえるみたときと、おなじなびっくりって。兄上、すごい!るぜ、こんなにびっくり。兄上、すごいの!きゃー」
リオンはルゼルが今までで一番驚いた出来事が蛙発見の瞬間だと知っている。それだけにルゼルをこんなに驚かせた兄が誇らしくて嬉しくて跳ね始めた。
「あはは。蛙か。相変わらずお前たちは可愛いなぁ」
ユリアン様が無防備に口を開けて笑っている!周囲も驚いている。
「どう?ルゼル。前歯が抜けたの見て」とリゼル。
「はわー。ゆりあんにいしゃま、いたくない?」
「うん。痛く無いよ。ただ今まであったところのものが無くなると変だなって感じはある」
ルゼルは目がまん丸になったままだ。
驚いて言葉にならないルゼルにリオンが説明した。
「おしょくじ、ちゃんとできるの。でね、でね、ぬけたは、だいじだいじにするの。うえのはは、ゆかのしたーのしたーのところで、したのはは、おやねのうえーのところなの」
抜けた歯はそれぞれ置き場所が決まっているらしい。
「それでね、あたらしの、は、はえてくるのよ」
「はわっ!…あねーれ、あたらしのいたいでしゅか?」
ルゼルはわからないことは基本まずリディラに聞く。
「新しい歯が生えてくるときは痛くないみたい。かゆいことはあるようよ」
「かゆい?ゆりあんにいしゃま、かゆい?」
「私の新しい歯はまだ生えてこないからわからないな」
「あたらし、きたら、みせてましゅ?」
「うん。新しい歯が生えてきたら見せてあげるよ。その前に学園の中を見せてあげようね。父上、母上、伯父上、ご案内いたします。リゼル、行こう」
「ああ」
なんてスマートな導入だ。
ルゼルも今一番の関心事を確認できてスッキリした。
ユリアンとリゼルは自分たちの教室の他、音楽室やダンス室、美術室、図書室や理科室などを案内した。
音楽室には有名な音楽家の肖像画があった。どれか画家様が描いたものかもしれないとリオンとルゼルはドキドキしながら見た。
美術室には有名な作品の模写やレプリカがあった。幾つかは王宮で実物を見たことがあったし、コーク公爵家でも見たものがあった。
「これ、りろんのおうちにあるましゅ」
その一つを指差してルゼルが父侯爵のジゼルに言った。
「ああ、あれはリリィラが公爵家に嫁ぐ時に持たせたものだ」
こともな気にクイン侯爵ジゼルが言った。
「私が子どもの頃からお気に入りでね。あなたたちのお祖父様がそれを知っていたから持たせてくださったのよ」
と、公爵夫人かつ、侯爵の妹のリリィラが補足する。
「義父上のお気持ちと思ってリリィラの見やすい所に飾らせているんだ」
と、これはコーク公爵アーネスト。
なんかセレブリティな会話がサラッとされてるし、公爵閣下なにげにノロケたし、名前呼びとか聴いてて照れるし、レプリカが作られるほどの有名美術品を間近で見ている生活?嫁ぐ妹に軽く持たせる家?「うちなら宝物室にしまっておく!」聞くともなしに聞いていた周囲の内心の感想は一致していた。
リオンとルゼルが最も関心を持って見て回ったのは理科室だ。
「ずかんのもの、たくさんあります!」
まずリオンが言った。ルゼルは感動で「はわわ」以外言えなかった。
図鑑で絵や写真でしか見たことのなかった実験道具や人体模型や鳥の骨格標本、色とりどりの押し花のケースなど本で見るよりずっとカッコよく見えた。
人体模型には歯があった。大人の歯だとユリアンが教えてくれた。
これらの教室で兄たちはどんな勉強をしているのか。
「がくえん、かっこいい…」
リオンの呟きにユリアンもリゼルも微笑んだ。
二限からはそれぞれの教室で授業参観だ。
ユリアンとリゼルはマグヌスと同じ教室だ。
マグヌスはコーク公爵夫妻、クイン侯爵と簡単な挨拶をした後リオンたちに向かって言った。
「来たな、リオン、ルゼル。リディラも」
「まぐにゅしゅしゃま、ゔぁじゅらしゃまは?」
「ヴァジュラは城で留守番だ」
マグヌスが笑って答える。
マグヌスの家族は王族だ。参観するとなると警備に国家予算がかかるし学生たちの緊張もはかりしれないため、家族の参観は自粛だ。母王妃が残念がっていた。マグヌスのように家族が参観しない学生は一限は自習だったそうだ。
一国の王太子に普通に声をかけるルゼルたちに周囲は驚いたが、それ以上に公爵夫妻と侯爵が教室に入ってきたこと、それぞれに見たことがないほどの美幼児がいることに驚いていた。しかし、驚きはこれに止まらなかった。
二限は算数だった。繰り上がりや繰り下がりの二桁三桁の計算が授業内容だった。
数式に、15-7-8=0 というものが出た時だ。それを見ていたリオンが父公爵アーネストに聞いた。
「父上、すうじ、ぜろよりちいさい、ありますか?」
「うん?0より小さい数字もあるぞ」
「ぜろは、ないない、ですよね?」
「そうだ」
「ないないより、ちいさいって、みえますか?」
「概念としては見えない。だが、こちらの都合として可視化できるものもある」
「父上の仰っているのはね、0より小さいものは本当は見えないのだけど、私たちが考える上では見えるものにできると仰っているのよ」
公爵夫人リリィラの解説も難しい。
「もしもだとどうですか?」
リオンは「例えば?」という意味で聞いている。今の解説でわかるのか。なんだかすごいな。公爵が続ける。
「0は『ない』ということだ。だから0より小さいものはない。だがどこに0を置くかで0より下が見えることがある。
例えばユリアンの歯を埋めた時のことを思い出しなさい。地面を0とする。石一つを1とした時、石を3つ積むといくつだ?」
すぐにリオンが答える。
「3です」
「そうだな、地面より上に3だ。では歯を埋めるために穴を掘る。掘る深さを石3つ分とする。その時は地面より下に3だな。これは見える0より小さな3だ」
「みえないの3もありますか?」
どうやら今の説明でリオンは理解したらしい。このあたりで教授の手も止まり、リオンをさりげなく見ている。
「ある。例えば、図鑑を作るために紙が5枚必要なのに2枚しかない。足りない3枚は見えない3枚だ」
「あったらいいなが、ないときが、みえない3…」
授業をしていた教授は内心驚いていた。公爵の話は新学園生にも難しい。それをリオンはどうやら理解しているらしい。それより0より小さな数字とか思いつくのはなぜだ?概念じゃないか。
すると今度はルゼルが聞いた。
「しょれにおなまえ、あるましゅ?」
「『マイナス』だ」
「まいなす」
「まいなしゅ」
ルゼルも理解していた。
マグヌスは一連のコソコソ話(というには教室中が聞いていた)を聞いて驚いたが、立場上反応は控えていた。しかしそこここから驚嘆らしき呟きが聞こえていた。「天使、天才?天才天使?」そう言ったバークレイの声だけは驚きの表情とともにしっかりと教室に響いた。
二限が終わるとコーク公爵は妻のリリィラを残して執務のため帰って行った。(残念そうに目で追うお母様方多数)
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