金に紫、茶に翡翠。〜癒しが世界を変えていく〜

かなえ

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第三章

閑話 バークレイ兄は落ち着けない。〜教えて!教えてほしい!

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 どうも、家柄も良くイケメンのレイノルド・バークレイです。…って言っても相変わらず知名度は低いレイノルド・バークレイです。

 結局王妃様のお茶会でも学園参観でも王宮新年会でもリディラ嬢と目が合わなかったレイノルド・バークレイだよ。むなしいよ。最近わかったけど、これ片想いってヤツらしい。つまりリディラ嬢は私の初恋の人らしい。やぁー、照れるぅ。
 兄の私がなんとかリディラ嬢の視界に入りたいとヤキモキしている間に妹のエリィは今日、なんと、なななんと、リディラ嬢初めて主催のお茶会に招待されているんですよ。いつの間にそんな仲に?エリィに聞いたけど全然心当たりがないって。気になるなぁ。まさか、私の妹だから?え?え?そんなことある?ドキドキ。
 リゼルに聞いてみようかな。あそこは兄妹仲めちゃ良いから理由知ってそうだよね。でもなんて聞く?リゼルの前でリディラ嬢の名前、噛まずに言える自信ないよ。挙動不審になるよ。それよりエリィは失態さらしてないかな?リディラ嬢は何色のドレスなのかな?ああ、なんでリゼルは妹の初お茶会の日にあんなに冷静で居られるんだ?

 とか思っているうちに昼休みになっているじゃないか!え?午前中って授業あった?

 「バークレイ、どうしたの?具合悪い?」
 ひょーぅええーぃ。ユリアンに声かけられたよ。ビックリしたー。急に美形の顔で覗き込まないでくれる?バクバクしてるんだけど。
 それにしても美形だよなユリアン。ユリアンとは王妃様のお茶会でお互い弟がいるって話から仲良くなったんだ。私の弟はリゼルの下の弟と同い年だ。私はこの世でユリアンが一番の美形だと思っていた。だから、ユリアンが弟の方が断然美形だと言った時は「イケメンの余裕かよ、このやろう、羨ましいぜ」と思っていたんだけど、参観日にその弟見てビックリしたね。いるんだね、ユリアン以上の美形が。しかも二人も!リディラ嬢の弟も超美形だった。あ、ここはリゼルの弟じゃなくて、あえてリディラ嬢の弟ね。脳内くらいリディラ嬢を優先したいのよ、切ない片想い中だから。
 そう、あの弟二人は人外の美形だよ。ユリアンまでがギリギリ人間の美形。あの弟たちは人間超えてるって。あの二人を知っていたら、そりゃユリアンも自分なんてとか思うだろうけど、お前絶対的美形だからな。今後しっかり自覚していけよ。
 それにしても二人の弟は天使みたいにお利口にしていたな。私の弟は走り回って騒ぎまくって全然言うこと聞かないんだけど。

 「レイノルド?」
 「はうっ」
 リゼル、やめて。リディラ嬢に似た顔で急に覗かないで。照れちゃうじゃんよ。てか、あれ?二人ともなに?
 「君、大丈夫?午前中先生に指されてもトンチンカンなこと言ってたけど…」
 「え?今日午前中教授あった?」
 うわー、全然記憶にないよ。頭の中リディラ嬢のお茶会でいっぱいだった。恥ずかしいー。
 「具合悪いの?」とユリアン。
 「いや、その…リゼルんちでするお茶会に妹がお呼ばれしていて…」
 いいぞ、レイノルド・バークレイ。さりげなくなぜエリィが呼ばれたか聞ける流れを作ったぞ。
 「ああ、リディラのお茶会ね」
 はーあー、脳内じゃなくて音声で聞くリディラ嬢の名前、やっぱ至福ー。リゼル、ありがとう。
 「うん。エリィが失礼なことしていないかなって。ほら、その、リ…ディラ嬢との接点が私としてはわからないし…」
 ほほーっ!リディラ嬢って音声にして発しましたよ私。今日一番の事件ですよ。
 「リディラの初茶会、今日だったな」
 ユリアン…リディラ嬢を呼び捨て。従姉妹とはいえ羨ましい限りです。
 「リディラ張り切っていたもんな」
 計画段階から様子を知っているのね、ユリアン。本当羨ましい。
 「レイノルド、心配ないよ、リディラに任せておけば問題ないから。リディラは頼れる妹なんだよ」
 「リディラのお茶会ご招待メンバーは私たちも一緒に決めたしね」とユリアン。
 「えっ!」
 これは、私だけじゃなくて、周辺からも聴こえてきた。そうなんだよ、今日リディラ嬢がお茶会開くって、社交界じゃちょっとした騒ぎになってたんだ。
 天下のクイン侯爵家の令嬢が初めてのお茶会に誰を呼ぶのかでまず話題に。だいたいの予想はリディラ嬢の婚約者候補がいる家門の令嬢か、リゼルの婚約者候補だろうって。ところが蓋を開けると、リディラ嬢と釣り合う年齢の男児がいない家門や婿養子を取ることが知られている家門とかでメンバーが明らかに繋がりがわからないって。皆、知りたがってるんだよな。
 「じゃ、なんでエリィが呼ばれたの?」
 おっふ。私、勢いでストレートに聞いてしまった。貴族らしくなかったかもー。と、ユリアンとリゼルの背後で手を合わせて頭を下げてる人々が見える。あれは「私の妹がなぜ呼ばれたかも聞いて」という『もしかしたら、私がリゼル様の婚約者候補なのでは?』とか『自分がリディラ嬢の婚約者候補なのでは?』とか『なぜうちの妹は呼ばれなかったの?』とかを聞いて欲しい同級生だ。無理無理無理無理。聞けないですって。自分のことでいっぱいいっぱいです。
 「それはね…」
 とリゼルが言いかけた時に予鈴が鳴った。昼休み終わりだ。
 「あっ、次、理科じゃない?」とユリアン。
 「そうだ。人体様を借りてくる当番だった。急げ、ユリアン」
 「バークレイ、ごめん。具合悪くないみたいで良かったよ、じゃ行くね」
 「待って待ってユリアンさまぁー。リゼルさまぁー。お慈悲をーぉ」
 私は両手を伸ばしてみたが、ユリアンたちは人体様を迎えに行ってしまった。
 結局なんでエリィが呼ばれたかわからなかったから午後も悶々として授業の記憶がひとっつもありませんですよ。
 だけど午後は私だけじゃなかった。昼休みに近くで聞き耳を立てて、お茶会メンバーの真実をユリアンとリゼルが握っているとわかった学園生たちも全然心ここに在らずだった。
 放課後こそは聞き出そうとユリアンとリゼルに突進したが、二人は二人で
 「ごめん、今日はリディラにお茶会の話を聞くことになっているから、すぐ帰るんだ」
 「できれば私たちも令嬢たちに会いたいからね」
 え?なぜ?どうしてユリアンたちが令嬢に?てか、リゼルはまだわかるよ。なぜユリアンまで?なぜなぜなぜ?
 「そこ!詳しく!ユリアーン!」
 「悪い、バークレイ、またね!」
 ついでになんでユリアンは私を家名呼びなのかも教えてほしい!
 だけどまたしても私の両手はむなしく伸ばされただけだった。
 
 二人が去ったあとのクラスは大騒ぎになっていたけど、私は騒ぐ余裕もなくモンモンが倍増していた。私も早く帰って、エリィにお茶会の話を聞こう。…主にリディラ嬢の。
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