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第四章
第四話 かいぎにでます。しゅっせき、いうらしいです。〜「しゅっしぇき…」ルゼは言えません。
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ポムポムホース広告改善作戦は大人たちの手により着々と進められた。リオンとルゼルをポムポムホースで遊ばせ、その様子を撮影したものに決め台詞をつけて広告にする。その際、二人の顔をすべて出すことはしないということがまず決まった。新聞などで小さく載ることがある二人は既にいくらか知られた顔ではあるが、広告サイズで載せるには広告本来の伝えたいことが、強めの美幼児パワーで伝わりにくいとの意見と、美幼児愛好家に餌を撒くようなものだとの意見などいくつかの納得する意見が出たためだ。そこで後ろ向きにするか、仮面で顔を隠すかなど議論を重ねた結果、大筋で、騎士に扮装し仮面をかぶるという方向になった。かつて子どもだった大人たちは木馬に乗って騎士ごっこをした。馬と言えば騎士だろう!というのがマード国の男たちだ。
ここでジゼルの遊び心が湧いてきた。二人はどんな姿で写りたいのだろう。
そこで役員たちの許可もとり、二人の意見も聞く運びとなった。
会議と言っても今回出席する役員はジゼルとクイン家の遠縁でありナイン商会の主、ジル・ナインの二人だけだ。大筋が決まっていたので「あくまで私の興味だから許してくれ」とジゼルは他の役員たちに話し(会議などという場はおそらくリオンとルゼル二人のフィールドだ。どんなビックリ発想をするかわからない二人だから…異能さは晒したくない)ジルを役員代表として出席してもらうことになったのだ。他の役員たちはこれが正式な会議とは思っておらず、ジゼルのちょっとしたユーモアだと笑って快諾していた。むしろ「ナイン卿には侯爵の遊びに付き合わせ代表にしてしまいすまないな。商会の仕事も忙しいだろうに」と労いの声をかけていたくらいだ。当のジルは海での一件があったので会議に出席できることに喜びを感じていた。「いえ、私は会議に出席できて光栄ですよ」本音で答えていた。
クイン家で新開発された物の多くは遠縁にあたるジルのナイン商会で扱ってもらうことが多い。今回のポムポムホースもナイン商会が独占販売している。その関係でジルが役員入りしているのだ。しかもジルは二人に面識があるし口も硬い。役員代表としてうってつけの人物だ。
この会議で二人の意向など確認し、その次の会議が最終決定の会議になる予定だ。
一方のリオンとルゼルは大興奮と大緊張だ。
「ルゼ、かいぎに行くの、ドキドキだね」
「うん、大人の人たちのむつかしのお話よね」
そんな二人をリディラは笑って見ながら
「会議に出ることを出席と言うのよ」
「しゅっせき…」
「しゅっしぇき…しゅっしぇき…しゅっしぇ…言えない…」
言えなくても覚えた。しゅっせきだ。大人の仲間入りの日だ。
いざ、出陣!
屋敷内の会議室の前に来るとジゼルの執事のモーリーがいた。
「お待ちしておりましたよ。さぁ、お入りください」
「はい」
「はい」
二人はドキドキで扉が開くのを待った。そっとリオンが「ドキドキが、ドキドキのドキドキだね」と言うとルゼルは筋張で赤い顔をして無言で頷いた。
「しつれします。ルゼル・クインです」ぺこり。いつもはリオンが先に挨拶をするところだが、今日はクイン家での会議なのでルゼルから挨拶をした。上手に挨拶できただろうか。チラッと父上を見ると父上はにこやかに頷いていた。たぶん上手にできた。そう思って「ふぅ」と言うルゼルに大人たちはにっこりだ。そこでルゼルはジルがいることに気づいて「あ、ナインさま!」と言って手を振りかけてハッとして手を下げた。ここは会議室。リディラ姉上が大人の戦場だと言っていた。ルゼルは下げた手をグーにしたままぺこりと頭を下げた。ジルに対して大人の挨拶だ。ルゼルの意図を察したジゼルとジルはますますにっこりだ。続けて
「リオン・コークです。今日はよろしくおねがいします」ぺこり。ジゼル伯父上をチラリ。そして「ふぅ」
和やかな雰囲気で会議が始まった。
会議の進行役はジゼルだ。
「ではこれからポムポムホースの広告に関する会議を始める。今日の会議録はナイン殿にお願いしている。意見は記録されるので是非有意義な意見を望む」
「リオン様、ルゼル様、お久しぶりでございます。ジル・ナインです。本日は書紀役兼任です。よろしくお願い致します」
本格的だ!初めて聞く言葉があって難しいけどそこも会議っぽくて良い!大人ってカッコいい!
「二人とも今日はありがとう。さて、今日の議題だが…議題と言うのは、話し合って決める内容と言う意味だ」
「ぎだい…」
「ぎだい…言えた」
「ん?うん、言えたな。それで、議題は広告を作るためにリオンとルゼルにはどのような格好をさせるか。だ。二人はポムポムホースにどんな格好で乗ってみたい?」
「ポムポムホースにリオンとルゼルのままではのらないですか?」
早速リオンの質問だ。
「そうだ。リオンとルゼルのままでは乗らないんだよ。もしもで乗るならどんな格好が良いかな?」
ジゼルは普段二人が使う言葉で聞いた。
「んー、もしもなら私は騎士様の格好が良いです」
リオンもやっぱりマード国の男だ。大人二人がうんうんと頷いて微笑む。だが、ルゼルはなにやら難しい顔をしていた。
「ルゼルは騎士様は嫌なのかい?」
「いいえ、私も騎士様が良いです」
ルゼルもマード国の男だ。うんうん。
「では何故難しい顔をしているのかな?」
「父上…んとんと、えとえとー。前にお話した時、アネー上がこうこくは買いたいきもちにさせないとだめです言ってました。騎士様になりたいのは私たち子どもです。だからだから、こうこく見た子どもたちは、ポムポムホースほしいなーって思うけど、大人の人たちもほしいなーって思うのかな?」
それを聞いたリオンが間髪入れずに言う。
「あ、そうだよね。買うのは子どもじゃなくて大人だもんね」
反応が速い。
「うん。子どもは働かないからお金だせないもんね。けいざいぐるぐるできないよね」
経済ぐるぐるはまだ使っている言葉なんだな。それにしても相変わらず頭が回る子たちだ、とジルは驚くやら微笑ましいやらで忙しい。
リオンが言う。
「大人の人たちは、子どもがポムポムホースで何していたら買いたいなーになりますか?あれ?伯父上、大人のポムポムホースはないないですか?あったらどんな広告で欲しいなーになりますか?」
リオンの弾丸質問が始まる。
「相変わらず質問が次々出るな」
「父上が言ってました。何か決める時は一番良いなっていうものを一つ決めても、それがダメだった時のために違うこともいくつか決めておくべきだーって。そのためには知ってることがたくさんたくさんある方がいいって」
ジルは思う。父上ってあの宰相様だよな。宰相様、いつも複数案を用意して物事にあたって下さっているのか…まぁそうだろうけどやはり大変な仕事だよな。
リオンが続ける。
「父上は別のいくつかは、一つのことに50は考える言ってました。できれば百って」
ごっ、ごじゅうーぅ⁉︎ひ、ひゃくぅ?いくつかって、普通2、3じゃないの?そうじゃないのね。宰相様、あらためて凄い。流石秀才の家系。
「アーネストはそんな話をリオンにしているのか」
そう言ってジゼルは笑った。
50や百に驚かないところがクイン家当主すごい頼もしい。ジゼルが続ける。
「実は二人の格好についてもいくつか案は出ているんだが、二人の意見も参考にしたくてね。格好だけではなくて決め台詞というのも最終的にどれにしようかと話しているところだよ」
「やっぱりいくつも考えていたんですね。その中に騎士様ありますか?」
「ある。大人たちも騎士に憧れた時代があるからな」
「わぁ、伯父上たちと同じで嬉しです!」
リオンが小さく拍手して喜んだ。
それを微笑ましく見ていたジルが言う。
「では、騎士で本決まりですかね。あとは決め台詞をどれにするか」
今度はルゼルが言う。
「一つじゃないとダメですか?」
ん?決め台詞はバシッと決める台詞だからインパクトのある台詞一つが良いのでは?
「買おうかなどうしよかなって考えてる人がいっぱいいっぱいいたら、いっぱいいっぱいのきめぜりふがあると、いいなーっていうきめぜりふがみつかるの」
「あ、それリディ姉様がお話してた『買ったら良いのに迷ってる人がいたら魅惑的な言葉をたたみかけるのがよろしいのよ』のさくせんだね?」
「そーう!いっぱいいっぱいだとひとつはささるがあるって」
リディラは何を弟たちに教えているんだと言うジゼルの横で、あぁやはりこの二人は面白い、と苦笑いするジルだった。
こうしてこの日の会議は、広告は二人が騎士の扮装をして、決め台詞は数を打って当てるという話にまとまった。
会議室を出るとリオンとルゼルは大きな深呼吸を無意識にしていた。そして晴れやかな顔で
「かいぎしゅっせき、できました!」
「かいぎしゅっしぇき…やりました!」
と言って、両手を高く上げた。
ここでジゼルの遊び心が湧いてきた。二人はどんな姿で写りたいのだろう。
そこで役員たちの許可もとり、二人の意見も聞く運びとなった。
会議と言っても今回出席する役員はジゼルとクイン家の遠縁でありナイン商会の主、ジル・ナインの二人だけだ。大筋が決まっていたので「あくまで私の興味だから許してくれ」とジゼルは他の役員たちに話し(会議などという場はおそらくリオンとルゼル二人のフィールドだ。どんなビックリ発想をするかわからない二人だから…異能さは晒したくない)ジルを役員代表として出席してもらうことになったのだ。他の役員たちはこれが正式な会議とは思っておらず、ジゼルのちょっとしたユーモアだと笑って快諾していた。むしろ「ナイン卿には侯爵の遊びに付き合わせ代表にしてしまいすまないな。商会の仕事も忙しいだろうに」と労いの声をかけていたくらいだ。当のジルは海での一件があったので会議に出席できることに喜びを感じていた。「いえ、私は会議に出席できて光栄ですよ」本音で答えていた。
クイン家で新開発された物の多くは遠縁にあたるジルのナイン商会で扱ってもらうことが多い。今回のポムポムホースもナイン商会が独占販売している。その関係でジルが役員入りしているのだ。しかもジルは二人に面識があるし口も硬い。役員代表としてうってつけの人物だ。
この会議で二人の意向など確認し、その次の会議が最終決定の会議になる予定だ。
一方のリオンとルゼルは大興奮と大緊張だ。
「ルゼ、かいぎに行くの、ドキドキだね」
「うん、大人の人たちのむつかしのお話よね」
そんな二人をリディラは笑って見ながら
「会議に出ることを出席と言うのよ」
「しゅっせき…」
「しゅっしぇき…しゅっしぇき…しゅっしぇ…言えない…」
言えなくても覚えた。しゅっせきだ。大人の仲間入りの日だ。
いざ、出陣!
屋敷内の会議室の前に来るとジゼルの執事のモーリーがいた。
「お待ちしておりましたよ。さぁ、お入りください」
「はい」
「はい」
二人はドキドキで扉が開くのを待った。そっとリオンが「ドキドキが、ドキドキのドキドキだね」と言うとルゼルは筋張で赤い顔をして無言で頷いた。
「しつれします。ルゼル・クインです」ぺこり。いつもはリオンが先に挨拶をするところだが、今日はクイン家での会議なのでルゼルから挨拶をした。上手に挨拶できただろうか。チラッと父上を見ると父上はにこやかに頷いていた。たぶん上手にできた。そう思って「ふぅ」と言うルゼルに大人たちはにっこりだ。そこでルゼルはジルがいることに気づいて「あ、ナインさま!」と言って手を振りかけてハッとして手を下げた。ここは会議室。リディラ姉上が大人の戦場だと言っていた。ルゼルは下げた手をグーにしたままぺこりと頭を下げた。ジルに対して大人の挨拶だ。ルゼルの意図を察したジゼルとジルはますますにっこりだ。続けて
「リオン・コークです。今日はよろしくおねがいします」ぺこり。ジゼル伯父上をチラリ。そして「ふぅ」
和やかな雰囲気で会議が始まった。
会議の進行役はジゼルだ。
「ではこれからポムポムホースの広告に関する会議を始める。今日の会議録はナイン殿にお願いしている。意見は記録されるので是非有意義な意見を望む」
「リオン様、ルゼル様、お久しぶりでございます。ジル・ナインです。本日は書紀役兼任です。よろしくお願い致します」
本格的だ!初めて聞く言葉があって難しいけどそこも会議っぽくて良い!大人ってカッコいい!
「二人とも今日はありがとう。さて、今日の議題だが…議題と言うのは、話し合って決める内容と言う意味だ」
「ぎだい…」
「ぎだい…言えた」
「ん?うん、言えたな。それで、議題は広告を作るためにリオンとルゼルにはどのような格好をさせるか。だ。二人はポムポムホースにどんな格好で乗ってみたい?」
「ポムポムホースにリオンとルゼルのままではのらないですか?」
早速リオンの質問だ。
「そうだ。リオンとルゼルのままでは乗らないんだよ。もしもで乗るならどんな格好が良いかな?」
ジゼルは普段二人が使う言葉で聞いた。
「んー、もしもなら私は騎士様の格好が良いです」
リオンもやっぱりマード国の男だ。大人二人がうんうんと頷いて微笑む。だが、ルゼルはなにやら難しい顔をしていた。
「ルゼルは騎士様は嫌なのかい?」
「いいえ、私も騎士様が良いです」
ルゼルもマード国の男だ。うんうん。
「では何故難しい顔をしているのかな?」
「父上…んとんと、えとえとー。前にお話した時、アネー上がこうこくは買いたいきもちにさせないとだめです言ってました。騎士様になりたいのは私たち子どもです。だからだから、こうこく見た子どもたちは、ポムポムホースほしいなーって思うけど、大人の人たちもほしいなーって思うのかな?」
それを聞いたリオンが間髪入れずに言う。
「あ、そうだよね。買うのは子どもじゃなくて大人だもんね」
反応が速い。
「うん。子どもは働かないからお金だせないもんね。けいざいぐるぐるできないよね」
経済ぐるぐるはまだ使っている言葉なんだな。それにしても相変わらず頭が回る子たちだ、とジルは驚くやら微笑ましいやらで忙しい。
リオンが言う。
「大人の人たちは、子どもがポムポムホースで何していたら買いたいなーになりますか?あれ?伯父上、大人のポムポムホースはないないですか?あったらどんな広告で欲しいなーになりますか?」
リオンの弾丸質問が始まる。
「相変わらず質問が次々出るな」
「父上が言ってました。何か決める時は一番良いなっていうものを一つ決めても、それがダメだった時のために違うこともいくつか決めておくべきだーって。そのためには知ってることがたくさんたくさんある方がいいって」
ジルは思う。父上ってあの宰相様だよな。宰相様、いつも複数案を用意して物事にあたって下さっているのか…まぁそうだろうけどやはり大変な仕事だよな。
リオンが続ける。
「父上は別のいくつかは、一つのことに50は考える言ってました。できれば百って」
ごっ、ごじゅうーぅ⁉︎ひ、ひゃくぅ?いくつかって、普通2、3じゃないの?そうじゃないのね。宰相様、あらためて凄い。流石秀才の家系。
「アーネストはそんな話をリオンにしているのか」
そう言ってジゼルは笑った。
50や百に驚かないところがクイン家当主すごい頼もしい。ジゼルが続ける。
「実は二人の格好についてもいくつか案は出ているんだが、二人の意見も参考にしたくてね。格好だけではなくて決め台詞というのも最終的にどれにしようかと話しているところだよ」
「やっぱりいくつも考えていたんですね。その中に騎士様ありますか?」
「ある。大人たちも騎士に憧れた時代があるからな」
「わぁ、伯父上たちと同じで嬉しです!」
リオンが小さく拍手して喜んだ。
それを微笑ましく見ていたジルが言う。
「では、騎士で本決まりですかね。あとは決め台詞をどれにするか」
今度はルゼルが言う。
「一つじゃないとダメですか?」
ん?決め台詞はバシッと決める台詞だからインパクトのある台詞一つが良いのでは?
「買おうかなどうしよかなって考えてる人がいっぱいいっぱいいたら、いっぱいいっぱいのきめぜりふがあると、いいなーっていうきめぜりふがみつかるの」
「あ、それリディ姉様がお話してた『買ったら良いのに迷ってる人がいたら魅惑的な言葉をたたみかけるのがよろしいのよ』のさくせんだね?」
「そーう!いっぱいいっぱいだとひとつはささるがあるって」
リディラは何を弟たちに教えているんだと言うジゼルの横で、あぁやはりこの二人は面白い、と苦笑いするジルだった。
こうしてこの日の会議は、広告は二人が騎士の扮装をして、決め台詞は数を打って当てるという話にまとまった。
会議室を出るとリオンとルゼルは大きな深呼吸を無意識にしていた。そして晴れやかな顔で
「かいぎしゅっせき、できました!」
「かいぎしゅっしぇき…やりました!」
と言って、両手を高く上げた。
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