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第二章 鍛冶と鉱山の国トトリ

第八話

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「ミチル、ここでいいかな?」
侑はシートを広げながら、ミチルを呼んだ。

庭は一面芝生で、丁寧な手入れがされている。
ミチルは侑の膝の上にするか悩みながら、横に座った。

「庭がきれいだから、テーブルセットが有ると良いですね。」
「お茶を飲んだり、バーベキューなんかも良いかもしれませんね。」
ミチルは庭が気に入ったらしい。

「バーベキューかぁ、落ち着いたらバトラさん夫婦を呼んでやりたいね。」
侑が同意すると、あとでテーブルセットを作りましょうとミチルは乗り気だった。

…バトラさんの事、嫌な感じがするって言ってなかったっけ?
まぁ、仲良くしてくれるなら良いけど。

侑はバーガーを包んでいる紙をミチルの前で開いてあげた。

目の前にあるバーガーなミチルの目はキラキラしてる。
「侑様、私の好きなモスバーガーそっくりです。
レタスとトマトのバランス、それとこのトマトソース。」

「それは良かった。あと気づいたんだけど、レベルアップすると痛みを伴うんだけどスキルのレベルアップは痛みが無いから上がった瞬間が分からないんだよ。」

侑はさっきのカニのおかげで、水魔法と風魔法のスキルレベルが上がったらしい。

「ひと目で分かるようになる何かが欲しいですね。」
ミチルは待ちきれなかったのか、食べながら受け答えしてる。

「いただきます。」
侑も包みを開いて、バーガーを食べ始めた。

周りの景色を楽しみながら食事をしていると、視界の片隅で青い物がピョンピョン跳ねている。

侑はランゲージを切っていたので気付かなかった。

ランゲージを発動すると、声が聞こえた。

「やっと気付いてくれました、疲れました。」
「貴方様のお屋敷だったのですね、それに良い匂いがします。」
スライムは侑に挨拶をした。

「ちょっと食べる?」
侑はバーガーをちぎって、スライムに渡した。

「これ、美味しいです。」
スライムはピョンピョン跳ねて、喜んでいる。

「貴方様のお屋敷ならお願いしたいのですが、暫く居ても良いですか?」
スライムは上目遣い?でお願いする。

「別に良いけど、何かあったの?」
侑が聞くと、スライムは恥ずかしそうに答えた。

「ここは苛める者が居ないのです、僕等は弱いので戦う事も出来ないし。」
「あまり役に立たないので、テイムされる事も期待出来ません。」
「なので暫くの間、庭の片隅に居させて下さい。」

「うん、分かった。」
「この家に出入りする人には苛め無いように伝えるから、庭で自由にして良いよ。」
「近くに仲間が居るのなら、別に呼んでも構わないよ。」

「改めてだけど俺の名前は侑、青い鳥はミチルね。」
侑は快くスライムを受け入れた。

「………」
ミチルは不安そうな顔をしている。
侑は気付いて、ミチルに問いかける。

「ミチル、気に入らない?」

「そんな事は無いんだけど…折角の一面緑の芝生が青に染まったらヤダなって。」
ミチルはスライムが群れで動く事を知っていた。

「ミチルさん、大丈夫ですよ。
僕等は集合体になってサイズを変えられますから皆さんの前に居るのは一匹だけです。」
「それは100匹集まっても変わりません。」

「なら、良いんだけど。」
ミチルの不安が取り除かれたタイミングでバトラが現れた。

「侑様、何かご要望がお有りとの事で参上致しました。」
バトラはスライムを見ながら、侑に挨拶をする。

「お忙しい所呼び出してしまって申し訳ありません。」
「あと、この子は友達なので駆除しないでくださいね。」
侑はスライムを友達と紹介した。

「分かりました、スライムに危害を加える事は致しません。」
「あとそちらのミチル様は話す事が出来るそうですね、妻から聞きました。」
「ミチル様からのご要望の他にも、妻が見繕った物をミチル様へとお持ちしました。」
ミチルは尾羽をフリフリ、嬉しさを隠さずバトラに挨拶をした。

「宜しければ、中でご用件をお伺いしたいのですが。」
バトラは中の様子が気になるらしい。

「ちょっと待って下さいね。」
侑はシートを片付け、バトラを中に招き入れた。

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