異世界でスローライフを目標にしましたが、モテ期到来で先の話になりそうです。

koh

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第二章 鍛冶と鉱山の国トトリ

第二十一話

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「侑~、準備できた~?」
ミチルは遠足が待ち遠しい子供の様に侑を急かす。

「ちょっと待ってて。」
侑はさざれ石に魔法を仕込んでいた。
魔法を溜めこんだ石は風魔法は緑、氷魔法は青に色を変えていた。

「侑~、は~や~く~。」
ミチルは昨日の件から、言葉を選ばず遠慮無しで向き合うと決めた。

「ミチルは忘れ物無い?」
侑はミチルの態度が嬉しくて、ワザと意地悪な質問をした。

「ある筈無いよ、持てないもん。
あっ!アレか!」
ミチルはパタパタとベッドに飛んで行った。

「さてと、あとは朝御飯を入れれば終わりかな。」
侑はミチルが戻ってくる前に仕度を終わらせる。

「侑、これ何~。」
侑に石を渡す。

「これは難しいな、黒の中に細かくキラキラが入っていて…」
侑は鑑定眼を発動した。

英名 オブシディアン
和名 黒曜石

非晶質、魔晶石には使用不可。

「オブシディアンかぁ、俺の持っているのと全然違うから分からなかったよ。」
侑はインベントリから革袋を出した。
中には、ミチルから貰った石が入ってる。
石を袋に入れると、大事そうにまたインベントリに仕舞った。

「さて、行きますか。」
侑は寝る前に作った釣り竿を肩にかけた。

「それ、カバンに仕舞わないの?」
ミチルは肩に乗って行こうと思っていたのにとむくれてる。

「玄関で仕舞うよ?
これから釣りに行くって雰囲気味わってるだけ。」
侑はちょっと意地悪をしてクスッと笑った。

玄関を出るとラピスとルビーがお出迎え。

「侑さん、お出かけですか?」
二匹はピョンピョン跳ねている。

「これから湖畔に行くんだよ。
一緒に行く?」
侑は分け隔て無く、両方連れていくつもりだ。

「いいんですか?
行きたいです。」
ルビーは足元で跳ねてる。

「どうしようかな、カニが居るし。
僕は戦えないし。」
ラピスはプルプルと躊躇ってる。

「ラピスは安全な所で荷物番してくれれば良いよ。」
侑は安心できる言葉をかけた。

「僕も行きます、荷物番します。」
ラピスも足元で跳ね始めた。

「じゃ、みんなで行こう。」
侑は門まで進むと、スキルを発動した。

『偵察』
湖畔までの道沿いにモンスターが居ないか確認した。

「大丈夫、何も居ないよ行こう。」
ミチルは肩に乗って、ラピスとルビーは侑の足元を跳ねるようについてくる。

湖畔に着くと、小高い位置にあるベンチを選び荷物を広げる。
侑はミチルにサンドイッチ、ラピスには水の入ったビンをルビーには生肉を渡した。

「何が起きるか分からないから、先に朝御飯にしよう。」
侑はサンドイッチを手に取り、食べ始めた。

「僕等の分まで、ありがとうございます。」
ラピスとルビーは触手を出し、器用に飲み食いしている。

「こうして見てると、100匹以上が一緒に居るって事を忘れるわね。」
ミチルはサンドイッチを頬張りながら、ラピス達を見た。

朝御飯を食べ終わり片付けを済ますと、侑は釣り道具を出した。

「始めようかな、ラピスは荷物番お願いね。
ルビーはカニとかモンスターが居たら、殲滅ね。食べる分はあるから、気にしないで獲り込んで良いよ。」
侑は連れて行くのを決めた後、モンスター図鑑でスライムの戦い方を読んでいた。

「「了解です。」」
ラピスとルビーは声を揃えて答えた。

「今からランゲージを外すから言葉が分からなくなるけど、帰りに声をかけるからね。」
侑は優しく微笑みながら、ランゲージを外した。

「侑さん、忘れないでくださいね。」
ラピスの声が聞こえた。

「あれっ?声が聞こえる。」
侑はキョトンとしている。

「契約したからじゃない?」
肩の上のミチルが首を傾げる。

「そうかもね、じゃ行ってくるよ。」
侑はミチルを肩に乗せて水際に移動した。

「侑、釣り糸も針も無いよ。
それにエサはどうするの?」
ミチルは侑が忘れたのかと思った。

「問題無いよ、こうするんだ。」
侑は釣り竿に魔力を込めると、竿先から魔糸がのびその先にはルアーのようなものが光ってる。

「ルアー?それで魚が釣れるの?」
ミチルはモンスターが釣れないか心配になってきた。

侑はルアーを『ポチャン』と水の中に入れると、ルアーは生きているかの様に沖に向かって泳ぎ始めた。
しばらくすると、竿先から大きく曲がった。
『きたっ』侑は釣り竿に一段と魔力を込めると暴れる魚が水辺に近付いてくる。
竿を振り上げると、水の中から魚が跳ねた。
釣れたのは虹色に光り、40センチ位の魚だった。
侑は鑑定眼で魚を調べた。

種族 魚
名前 虹鱒
食用になる、新鮮な状態では生でも食べられる。

侑はバケツに入れて、またルアーを泳がす。
後ろではルビーがカニを獲り込んでいる。
ルビーは飲み込むように獲り込むと、カニはルビーの中で暴れるがやがて動かなくなる。
よく見ると、遠くにもルビーが居る。
分離して侑の近くにカニが行かない様に防衛線を張っていた。

虹鱒がバケツ一杯になった所で荷物の所に戻った。
ラピスはルビーと連携して、何処から倒していくか指示を出していた。

「おかえりなさい、いっぱい捕れましたね。」
ラピスはルビーを呼び戻しながら、バケツを覗く。

「そろそろ帰ろう。」
侑が声をかけると、
ラピスに呼ばれたルビーも集合体になり戻ってきた。

みんなで屋敷に戻った。



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