11 / 30
11.旅立ち
しおりを挟む
春になった。雪もすっかり溶けて、新芽が芽吹き、辺りが日一日と緑が増してくるようになった。ハルトは家族に、「6歳になると冒険者登録ができるので、スキル授けの儀式が終わったら、家を出て、テー公爵領都に行って冒険者になる。」と言った。父親は何も言わなかったが、母親は「まだ早い。もう少し大きくなってからでもいいのではないか。」と言った。しかし、「俺の決意は変わらない。ポーションも作れるし、たぶん、このまま冒険者になっても、やっていけると思う。それにゴンも冒険者になる、と言っている。」と言ったら、しぶしぶ了解してくれた。妹たちには泣かれた。「麦用の栄養剤は領都で作って後で届ける。」と言った。昨年はこの栄養剤で我が家の麦の収穫量がいつもの年の1.5倍で、村の人からはすごく不思議がられた。たまたまということで、ごまかしている。こんなことがばれたら、俺の時間が無くなってしまう。麦用の栄養剤は我が家だけの秘密である。
次の日の朝、俺は村の外れまで来た。今日は村長が村を出ていく子たちをまとめて荷馬車で領都まで送ってくれる。領都に行くのは、今回村を出ていく俺より2つ上の子が2人、1つ上が2人、同じ年の子が俺、ゴン、マリーの3人計7人、それに、荷馬車の御者と護衛の村の大人が2人の計10人である。
ゴンは剣士だし「先輩に誘われている。」と言っていたので、当然と思ったが、マリーは意外だった。それで聞いてみた。そしたら「うち水魔法だったでしょ、生活魔法なら村でも嫁に行けたかもしれないけど。それで私も領都に行ってみようかなと思って、領都にはお兄ちゃんがいるし、領都に来たら面倒見るって言われたから。」やはり、人それぞれに事情があるようだ。狭い村、これ以上の人は養えない。あぶれた人間は領都に行くしかない。5年後、10年後にいったい何人が生き残っているのかな。何となく切なくなってきた。
それにしても荷馬車とは、なんと乗心地の悪いことか。なまじっか前世の記憶があるだけに余計つらく感じる。何とか気を紛らそうと遠くを眺める。村から出るのは初めてなので新鮮ではあるのだがこうガタガタ揺れると、おしりも痛くなってくるし、やはり気持ちが悪くなってくる。
「そろそろ限界かな」と思った時に休憩となった。道端に座って、ほっとして周りを見た。途中小さな川を越えたから多分隣村に入っていると思うが、辺りは一面の麦畑でその中に道がまっすぐ続いている。正直言ってうちの村と変わらない。でも、遠くを見ると、みなみの山が少し遠くに見えるから、やはりうちの村じゃないのだなと思う。
それでも夕方には領都についた。テー公爵領、領都。城門のところで順番待ちをしているとき、高い城壁を見て、「ここに一体どれくらいの人が住んでいるのか。」と思った。前世の記憶があるから都市と言っても小さいとは思うが、それでも、俺の住んでいたコー村と比べると大都会だと思う。前世の記憶では、確か、中世ヨーロッパの都市の人口はパリでさえ、5~15万人で、それ以外だとフィレンツェやベネチアで5~10万人、普通は大きくても1~2万人ぐらいだったはず。この世界がそれに当てはまるかどうかわからないが、たぶん1~2万人ぐらいかな。そんなことを考えていたら、冒険者ギルドについた。どうも俺が考え事をしている間に着いたようである。確かに、冒険者登録すれば冒険者カードが身分証明書代わりになるから、そこまで村が面倒を見てくれるようだ。ありがたいことだ。
次の日の朝、俺は村の外れまで来た。今日は村長が村を出ていく子たちをまとめて荷馬車で領都まで送ってくれる。領都に行くのは、今回村を出ていく俺より2つ上の子が2人、1つ上が2人、同じ年の子が俺、ゴン、マリーの3人計7人、それに、荷馬車の御者と護衛の村の大人が2人の計10人である。
ゴンは剣士だし「先輩に誘われている。」と言っていたので、当然と思ったが、マリーは意外だった。それで聞いてみた。そしたら「うち水魔法だったでしょ、生活魔法なら村でも嫁に行けたかもしれないけど。それで私も領都に行ってみようかなと思って、領都にはお兄ちゃんがいるし、領都に来たら面倒見るって言われたから。」やはり、人それぞれに事情があるようだ。狭い村、これ以上の人は養えない。あぶれた人間は領都に行くしかない。5年後、10年後にいったい何人が生き残っているのかな。何となく切なくなってきた。
それにしても荷馬車とは、なんと乗心地の悪いことか。なまじっか前世の記憶があるだけに余計つらく感じる。何とか気を紛らそうと遠くを眺める。村から出るのは初めてなので新鮮ではあるのだがこうガタガタ揺れると、おしりも痛くなってくるし、やはり気持ちが悪くなってくる。
「そろそろ限界かな」と思った時に休憩となった。道端に座って、ほっとして周りを見た。途中小さな川を越えたから多分隣村に入っていると思うが、辺りは一面の麦畑でその中に道がまっすぐ続いている。正直言ってうちの村と変わらない。でも、遠くを見ると、みなみの山が少し遠くに見えるから、やはりうちの村じゃないのだなと思う。
それでも夕方には領都についた。テー公爵領、領都。城門のところで順番待ちをしているとき、高い城壁を見て、「ここに一体どれくらいの人が住んでいるのか。」と思った。前世の記憶があるから都市と言っても小さいとは思うが、それでも、俺の住んでいたコー村と比べると大都会だと思う。前世の記憶では、確か、中世ヨーロッパの都市の人口はパリでさえ、5~15万人で、それ以外だとフィレンツェやベネチアで5~10万人、普通は大きくても1~2万人ぐらいだったはず。この世界がそれに当てはまるかどうかわからないが、たぶん1~2万人ぐらいかな。そんなことを考えていたら、冒険者ギルドについた。どうも俺が考え事をしている間に着いたようである。確かに、冒険者登録すれば冒険者カードが身分証明書代わりになるから、そこまで村が面倒を見てくれるようだ。ありがたいことだ。
12
あなたにおすすめの小説
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~
楠富 つかさ
ファンタジー
ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。
そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。
「やばい……これ、動けない……」
怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。
「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」
異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!
異世界転生した女子高校生は辺境伯令嬢になりましたが
初
ファンタジー
車に轢かれそうだった少女を庇って死んだ女性主人公、優華は異世界の辺境伯の三女、ミュカナとして転生する。ミュカナはこのスキルや魔法、剣のありふれた異世界で多くの仲間と出会う。そんなミュカナの異世界生活はどうなるのか。
明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです
精霊さんと一緒にスローライフ ~異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です~
舞
ファンタジー
かわいい精霊さんと送る、スローライフ。
異世界に送り込まれたおっさんは、精霊さんと手を取り、スローライフをおくる。
夢は優しい国づくり。
『くに、つくりますか?』
『あめのぬぼこ、ぐるぐる』
『みぎまわりか、ひだりまわりか。それがもんだいなの』
いや、それはもう過ぎてますから。
異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる