転生者とバグでない異世界人の物語

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35.学院入学

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 それからさらに1年の月日が経過した。現在ハルト9歳10月になると10歳である。学院の入試は夏に行われる。今は王都の公爵邸で、入学試験の勉強の最後の仕上げといったところである。

 試験は2日間にわたって行われ、1日目は午前中が国語、数学、魔法理論、外国語の4教科、午後が地理と歴史、貴族の常識、法律の3教科、2日目が魔法か剣術の実技である。
 なお、2日目の実技で高得点を出した人は優遇されるとのこと。
 また王族、公爵家、侯爵家の人間は試験の結果によらず入学できるとのことである。ただしクラス分けは点数次第なので点数によって最底辺のクラスになるかもしれないとのこと。
 ユリアーネお姉様はもちろん、俺もレンも養子ではあるが、一応公爵家の人間なので入学はできるとのこと。
 しかし、ユリアーネお姉様の護衛をする必要があるため、全力を出すようジグムントお義父様からはっぱをかけられた。

 1日目の午前中は完璧にできた。午後は貴族の常識が難しかった。レンも同様と言っていた。ユリアーネお姉様は午前中の数学が難しかったが、午後は完璧にできたとのこと。
 2日目の実技は3人とも魔法を選択した。魔法だと的に向かって魔法を放つだけで済む。これが剣術だと相手がいるだけに怪我をさせると恨まれる。
 ユリアーネお姉様はファイアーボールで的を破壊した。緊張したのかユリアーネお姉様は詠唱をしていた。俺は無詠唱で、土魔法で作った銃弾を撃ち込んで的を破壊した。レンは土魔法で杭を打ち出し、的を下から破壊した。他の受験生の魔法を見ていたが、威力はこの3人が特出していると思われた。

 数日して結果が発表になった。俺たち3人はともにAクラスになった。主席合格者はユリアーネお姉様、今年の入学者の中に王族はいなかったとのこと。
 俺は5番、レンは10番とのこと。元平民の俺とレンに貴族の常識は難しすぎる。よく頑張ったと、ジグムントお義父様から褒められた。
 それから、勉強会の残りのメンバー12人もすべて合格したとのこと。

 朝早く俺たち3人は馬車で公爵邸を出て、学園についた。また夕方迎えに来てくれるとのこと。
 学園は王都の北西貴族街に隣接して建てられている。広大な敷地に学舎と寄宿舎、食堂、売店などが配置されている。生徒数は1クラス30人が5クラスで1学年150人ほど、3学年で450人ほどになる。

 アムスム王国の国民なら試験に合格すれば誰でも入学でき、外国人は許可制となっていることになっているが、学費が高いので、入学するのは王族、貴族、それに裕福な平民である。
 それに試験に合格しても、その後の審査で犯罪歴や素行不良のある者は不合格となる。これは王族や貴族の子弟が学ぶため、危険を可能な限り排除するためである。

 正門を入って、まっすぐ講堂に行った。講堂に行くとクラスごとに席が決まっていた。クラス内での席順は特に決めてないようである。俺たち3人は並んで座った。
 入学する生徒全員がそろい、しばらくすると校長の挨拶が始まった。校長は元王族のおじいちゃん、名前はアントン・マイン伯爵とのこと。生徒には王族や上級貴族の子弟がいることから、元王族でないと問題が起こった時に対応できないとのこと。

 学院内では生徒は身分にとらわれず平等、ただし、これはあくまで学院の敷地内でのこと、学院の外に出れば、この国の身分制度に縛られるとのこと。
 これらのことは、ユリアーネお義姉様の話。それからユリアーネお義姉様は主席合格ということで入学生代表の挨拶をした。

 入学式が終わり、俺たちはAクラスの教室に行った。ここでも席は特に決められていないようなので適当に後ろ方に3人並んで座った。
 席に着くと勉強会で一緒だった子が挨拶に来た。1人はロア伯爵家のアメリア様、それともう1人は以前ハルトとレンが災害復旧で協力した、ツーラ男爵領のエバン様だった。

 担任はユリアナ様、伯爵家の3女だそうだが、今は家を出ているとのこと、独身とのこと。綺麗な人だなと思って見ていたらレンにつねられた。
 間にユリアーネお義姉様がいるのに器用なものだ。前世の記憶がはっきりしないため、俺がいくつまで生きたかはっきりしないが、どうも俺の女性に対する許容範囲はかなり広いようである。年上の女性を見てもときめいてしまう。レンから
「ユリアナ先生を見て、そのあと私を見て、ため息を漏らすのはやめてほしい。」
と小声で言われた。
 これを聞いたユリアーネお義姉様が笑いをこらえている。

 ユリアナ先生が
「順番に自己紹介をして」
と言ったので、自己紹介が始まった。
俺の順番になった。
「俺はハルト・テー、テー公爵家の養子です。元平民なので、誕生日ははっきりしないが一応10月1日となっています。得意なのは魔法で、一応魔法全般が使えます。隣のレンは妻です」
すると、教室のあちこちから
「ハルトさん結婚しているの」
とため息が漏れる。
レンの番になった。
「私はレン・テー、テー公爵家の養子です。元平民なので、誕生日ははっきりしませんが一応10月1日となっています。得意なのは魔法で土魔法が使えます。隣のハルトは夫です」
すると教室の後ろ方から
「ええ、あの顔でハルトさんの妻。何か汚い手でも使ったの」
と小声が聞こえる。
 するとレンは後ろを向いてその娘に向けて魔力を開放した。するとその娘が泡を吹いて気絶した。
 レンは器用なものだ。普通魔力を開放すると辺り一面に魔力が広がるのだが、レンの場合特定の方向に開放できる。
 これは勉強会の実地訓練の時に魔獣を捕まえるのに使っていた。最近はオークぐらいだと平気で魔力開放で気絶させていた。
 仕方ないので、その娘に向けて回復魔法をかけた。その子が気が付いたので
「すみません。妻が迷惑を掛けました」
と謝った。

 そのようにして波乱の学園生活が始まった。初日のことがあるので、クラスの女の子はあまり俺に声をかけて来ない。レンは
「夫に変な虫がつくのを防ぐのは妻の務め」
と息巻いている。
 仕方ないので俺はユリアナ先生を見ている。するとレンにつねられる。最近レンは土魔法で作った手で離れたところの物を取ったり、離れたところに字を書いたりできるようになった。つねるぐらい朝飯前。実に器用である。

 俺は朝ユリアーネお義姉様に魔力の防具をセットし、時折索敵で周囲を監視している。
 学園の授業内容は、貴族の常識以外は特に難しいものはない。ただ、もっと変わった魔道具が作りたいと思っているので、魔法陣の講義は真剣である。
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