63 / 119
63.王都の社交
しおりを挟む
12月になって冬の訪れとともに、王都へ行く季節になった。王都は伏魔殿、魑魅魍魎の世界である。貴族の世界は難しい。
最低出席しなければならないのは、王宮でのパーティーだけであるが、それ以外に寄親のシャタイン伯爵家主催のお茶会やパーティー、あとはテー公爵家やトゥール公爵家からも、声がかかれば出席しなければならない。それ以外の高位貴族から声がかかった時にどうするか、憂鬱である。
「昨年は下位貴族の令嬢に言い寄られた」
という話をしたら
「レンも行く」
と言ってくれた。娘のクララも一緒に親子3人、魔道馬車でお出かけである。途中、魔道馬車で1泊して王都の子爵邸に着いた。
それからテー公爵邸に行くと、公爵家の家族も王都に来ていた。妹のレアも学園を卒業して、公爵家でジグムントお義父様の仕事を手伝っているとのこと。
また、妹のリズも来年学院を卒業したら、公爵家の仕事を手伝うそうである。レアもリズも公爵家の最大戦力で騎士団長も魔法師団長もかなわないとのことで、このまま公爵家に留めておきたいとのこと。
「嫡男アール様の側室でもいいか」
と聞かれたので、
「本人がよければいい。元平民なのだから公爵家の嫡男の側室なら大出世である」
そう答えた。
夜、時間を取ってもらって、以前考えた懸念を伝えた。
「最近農業生産が落ちており、ベー王国とユルノギ王国では穀物価格が値上がりしている。幸いわが国は俺の作っている液体肥料の散布によりシャタイン伯爵家とその寄子の農業生産が増えたことから、均衡が保たれている。
来年は液体肥料をアムスム王国中に販売する予定で、すでに多くの注文が入っており、工場はフル操業をしている。
これが広まればアムスム王国は大豊作となり、たとえベー王国とユルノギ王国が不作でもカバーできると予想される。
しかし、それ以外の国々で不作になった場合は、カバーできない。
その場合、食糧をめぐって戦争になるかもしれない。第1に狙われるのは我が国と考えられる。
現在俺は子爵領に300台の魔道馬車を保有している。また、テー公爵家には80台貸し出している。また、王家やそれ以外の貴族家に1000台貸し出している。合計1380台である。
グ7平原会戦では200台の魔道馬車で3000人の侯爵軍に勝てた。単純に考えれば、1380台の魔道馬車で約2万人の敵軍を破ることができる。
それ以外に1~2万人の騎士や歩兵を配備すれば、疲弊したベー王国やユルノギ王国では、それ以上の動員は出来ないと考えられる。
しかし、もし仮に帝国が動いた場合、どうなるかわからない。魔道馬車は増産するが、なにぶん1人で作っているので、1年に400台程度が限度である。
それから、戦争にならなくても、食料価格が値上がりすると飢えた貧民の間に疫病が発生するかもしれない。その場合、難民が我が国に押し寄せる可能性がある。
国境で飢えた難民をせき止めれば、我が国は周りの国々から非難を浴びることになる。そして、難民を受け入れた場合、適切に対応しないと疫病が我が国にも広がるかもしれない。
疫病対策として、俺は病気を媒介するような害虫を弾く魔道具を作って、子爵領内に配布したが、人に感染した場合は感染した人を隔離するしか方法がない。
病気を治せる魔法士はほとんどいない。俺も病気についてはよくわからない。それに、俺は魔道馬車の生産で手が回らない。
以上2点について、アムスム王国として今後の対応を協議してほしい」
これに対して、
「テー公爵領でも今年の農作物の出来は悪かった。また周辺国でも不作だったことは知っている。最近来た商人が『ユルノギ王国では穀物価格が2割上がっている』と言っていた。
しかし、穀物をめぐって戦争になるであろうか。帝国もそこまでしないだろう。
しかし、飢えた難民が押し寄せ、疫病が発生する可能性は十分ある。
明日王宮に行って疫病対策について国王に話してくる。ついでに帝国の動きについても注意するように伝えてくる」
と言われた。
「俺も来るか」と
言われたが、固辞した。
次の日、ジグムントお義父様が王宮から帰ってくると、
「すでに辺境伯領で、流入した難民から疫病が発生し、難民と領民の接触を禁止し、難民の流入にも制限をかけている」
と国王から言われたそうで、公爵家の家令に命じて
「テー公爵領へ流入する難民については一旦国境で留め置き、しばらく様子を見て病気のない者だけ入国を許可するように」
との通知を出していた。
俺も同様の通知を子爵領に出すことにした。
害虫を防ぐ魔道具のことについて聞かれたので、
「小さい家であれは10個ぐらいで、家を囲うように置けば結界のようになるので害虫は家の中に入ってこられなくなる。屋外で虫に刺されれば仕方ないが、屋内に虫がいなくなるので家は清潔になる。工場を作ったので、1個小銀貨5枚、ヤマユリ商会で売っている。
あと1家に1つのトイレを作るように命令し、公の場所や道端で用を足すと罰するようにした。これで街道や公の場所が清潔になった」
と答えた。
公爵様も同様の通知を出すとのことである。
12月の終わりに王宮で、国王主催のパーティーが開催された。ネイメー子爵家としては俺とレン、テー公爵家としては公爵夫妻とレアが参加した。
国王様の挨拶では、
「周辺国は不作で難民が発生し、我が国へ流入していることと疫病が発生しているので対策をとるように」
との話があった。
俺は魔道馬車と液体肥料のことを聞かれた。それからしばらくして俺とレンは壁の花となった。貴族の会話は難しい。
なお、パーティーはレンが睨みを利かせてくれたので、下級貴族の令嬢に言い寄られることはなかった。一部の令嬢がレンの魔力を浴びて気分が悪くなっただけである。レンの能力も進歩したものである。昔は問答無用で気絶させていたが、最近は油汗を流させるぐらいに加減が出来るようになった。
レアは美人なのでかなりもてていたが、ジキムントお義父様に言われているようで適当にあしらっていたが、そのうち俺とレンのそばに来て離れなくなった。
「俺のそばにいるとレンが魔力で威圧して近づく令息を撃退してくれるので楽」
とのこと。
なお、パーティーの間クララは公爵邸で妹のリズに見てもらった。
領内への難民の流入と領地の疫病対策が急務ということで、俺とレンとクララは王都での社交は王宮のパーティーのあと寄親のシャタイン伯爵家のお茶会に出ただけで、1月の半ばに領都へ戻って来た。
最低出席しなければならないのは、王宮でのパーティーだけであるが、それ以外に寄親のシャタイン伯爵家主催のお茶会やパーティー、あとはテー公爵家やトゥール公爵家からも、声がかかれば出席しなければならない。それ以外の高位貴族から声がかかった時にどうするか、憂鬱である。
「昨年は下位貴族の令嬢に言い寄られた」
という話をしたら
「レンも行く」
と言ってくれた。娘のクララも一緒に親子3人、魔道馬車でお出かけである。途中、魔道馬車で1泊して王都の子爵邸に着いた。
それからテー公爵邸に行くと、公爵家の家族も王都に来ていた。妹のレアも学園を卒業して、公爵家でジグムントお義父様の仕事を手伝っているとのこと。
また、妹のリズも来年学院を卒業したら、公爵家の仕事を手伝うそうである。レアもリズも公爵家の最大戦力で騎士団長も魔法師団長もかなわないとのことで、このまま公爵家に留めておきたいとのこと。
「嫡男アール様の側室でもいいか」
と聞かれたので、
「本人がよければいい。元平民なのだから公爵家の嫡男の側室なら大出世である」
そう答えた。
夜、時間を取ってもらって、以前考えた懸念を伝えた。
「最近農業生産が落ちており、ベー王国とユルノギ王国では穀物価格が値上がりしている。幸いわが国は俺の作っている液体肥料の散布によりシャタイン伯爵家とその寄子の農業生産が増えたことから、均衡が保たれている。
来年は液体肥料をアムスム王国中に販売する予定で、すでに多くの注文が入っており、工場はフル操業をしている。
これが広まればアムスム王国は大豊作となり、たとえベー王国とユルノギ王国が不作でもカバーできると予想される。
しかし、それ以外の国々で不作になった場合は、カバーできない。
その場合、食糧をめぐって戦争になるかもしれない。第1に狙われるのは我が国と考えられる。
現在俺は子爵領に300台の魔道馬車を保有している。また、テー公爵家には80台貸し出している。また、王家やそれ以外の貴族家に1000台貸し出している。合計1380台である。
グ7平原会戦では200台の魔道馬車で3000人の侯爵軍に勝てた。単純に考えれば、1380台の魔道馬車で約2万人の敵軍を破ることができる。
それ以外に1~2万人の騎士や歩兵を配備すれば、疲弊したベー王国やユルノギ王国では、それ以上の動員は出来ないと考えられる。
しかし、もし仮に帝国が動いた場合、どうなるかわからない。魔道馬車は増産するが、なにぶん1人で作っているので、1年に400台程度が限度である。
それから、戦争にならなくても、食料価格が値上がりすると飢えた貧民の間に疫病が発生するかもしれない。その場合、難民が我が国に押し寄せる可能性がある。
国境で飢えた難民をせき止めれば、我が国は周りの国々から非難を浴びることになる。そして、難民を受け入れた場合、適切に対応しないと疫病が我が国にも広がるかもしれない。
疫病対策として、俺は病気を媒介するような害虫を弾く魔道具を作って、子爵領内に配布したが、人に感染した場合は感染した人を隔離するしか方法がない。
病気を治せる魔法士はほとんどいない。俺も病気についてはよくわからない。それに、俺は魔道馬車の生産で手が回らない。
以上2点について、アムスム王国として今後の対応を協議してほしい」
これに対して、
「テー公爵領でも今年の農作物の出来は悪かった。また周辺国でも不作だったことは知っている。最近来た商人が『ユルノギ王国では穀物価格が2割上がっている』と言っていた。
しかし、穀物をめぐって戦争になるであろうか。帝国もそこまでしないだろう。
しかし、飢えた難民が押し寄せ、疫病が発生する可能性は十分ある。
明日王宮に行って疫病対策について国王に話してくる。ついでに帝国の動きについても注意するように伝えてくる」
と言われた。
「俺も来るか」と
言われたが、固辞した。
次の日、ジグムントお義父様が王宮から帰ってくると、
「すでに辺境伯領で、流入した難民から疫病が発生し、難民と領民の接触を禁止し、難民の流入にも制限をかけている」
と国王から言われたそうで、公爵家の家令に命じて
「テー公爵領へ流入する難民については一旦国境で留め置き、しばらく様子を見て病気のない者だけ入国を許可するように」
との通知を出していた。
俺も同様の通知を子爵領に出すことにした。
害虫を防ぐ魔道具のことについて聞かれたので、
「小さい家であれは10個ぐらいで、家を囲うように置けば結界のようになるので害虫は家の中に入ってこられなくなる。屋外で虫に刺されれば仕方ないが、屋内に虫がいなくなるので家は清潔になる。工場を作ったので、1個小銀貨5枚、ヤマユリ商会で売っている。
あと1家に1つのトイレを作るように命令し、公の場所や道端で用を足すと罰するようにした。これで街道や公の場所が清潔になった」
と答えた。
公爵様も同様の通知を出すとのことである。
12月の終わりに王宮で、国王主催のパーティーが開催された。ネイメー子爵家としては俺とレン、テー公爵家としては公爵夫妻とレアが参加した。
国王様の挨拶では、
「周辺国は不作で難民が発生し、我が国へ流入していることと疫病が発生しているので対策をとるように」
との話があった。
俺は魔道馬車と液体肥料のことを聞かれた。それからしばらくして俺とレンは壁の花となった。貴族の会話は難しい。
なお、パーティーはレンが睨みを利かせてくれたので、下級貴族の令嬢に言い寄られることはなかった。一部の令嬢がレンの魔力を浴びて気分が悪くなっただけである。レンの能力も進歩したものである。昔は問答無用で気絶させていたが、最近は油汗を流させるぐらいに加減が出来るようになった。
レアは美人なのでかなりもてていたが、ジキムントお義父様に言われているようで適当にあしらっていたが、そのうち俺とレンのそばに来て離れなくなった。
「俺のそばにいるとレンが魔力で威圧して近づく令息を撃退してくれるので楽」
とのこと。
なお、パーティーの間クララは公爵邸で妹のリズに見てもらった。
領内への難民の流入と領地の疫病対策が急務ということで、俺とレンとクララは王都での社交は王宮のパーティーのあと寄親のシャタイン伯爵家のお茶会に出ただけで、1月の半ばに領都へ戻って来た。
4
あなたにおすすめの小説
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
召喚獣スライムに転生したが、美少女召喚士が自分のすごさにまったく気づかない
椎名 富比路
ファンタジー
美少女召喚士リップルに召喚される形で、スライムの【ロピ】ちゃんとして転生したヒロミ。
リップルは誰しも認める天才美少女召喚士で、召喚獣からも慕われている。
なのに、本人はまったく無自覚で、自分の力より召喚獣のほうが優秀だと思っている。
だが、ロピちゃん本人も、自分が最強だと気がついていなかったのである……。
侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】
のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。
そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。
幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、
“とっておき”のチートで人生を再起動。
剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。
そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。
これは、理想を形にするために動き出した少年の、
少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。
【なろう掲載】
{完結保証}規格外の最強皇子、自由に生きて無双する〜どこへ行っても、後世まで語られる偉業を残していく、常識外れの皇子〜
Saioonji
ファンタジー
母に殴られ、命を奪われた――そのはずだった。
だが目を覚ました先は、白く豪奢な王城の一室。
赤子の身体、仕えるメイド、そして“皇子”という立場。
前世では愛されず、名前すら価値を持たなかった少年が、
今度は世界の中心に生まれ落ちてしまった。
記憶を失ったふりをしながら、
静かに、冷静に、この世界を観察する皇子。
しかし彼の中には、すでに常識外れの思考と力が芽生えていた。
――これは復讐でも、救済でもない。
自由を求めただけの少年が、
やがて国を、歴史を、価値観そのものを揺るがしていく物語。
最強であることすら、彼にとってはただの前提条件だった。
重複投稿作品です
小説家になろうとカクヨムにも投稿しています。
【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~
シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。
前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。
その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。
ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした
渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞!
2024/02/21(水)1巻発売!
2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!)
2024/12/16(月)3巻発売!
2025/04/14(月)4巻発売!
2025/09/12(金)5巻発売!同日コミカライズ開始!
2026/03/16(月)コミカライズ1巻発売!
応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!!
刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました!
旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』
=====
車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。
そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。
女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。
それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。
※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
貞操逆転世界の「内助の功」~掃除と料理を極めた俺が、脳筋幼馴染を女王にするまで~
ありゃくね
ファンタジー
前世の記憶が目覚めたそこは、男女の貞操が逆転した異世界だった。
彼が繰り出すのは、現代知識を活かした「お掃除アイテム」、そして胃袋を掴む「絶品手料理」。 ただ快適に暮らしたいだけのマシロの行動は、男に飢えた女騎士たちを狂わせ、国の常識さえも変える一大革命へと繋がっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる