転生者とバグでない異世界人の物語

@000-ooo

文字の大きさ
91 / 119

91.伯爵邸の居酒屋

しおりを挟む
 レムが生まれて間もないのでレンは領都に残り、王都へは俺はまた1人で行った。

 王宮のパーティーで、ユリアーネお義姉様には
「レムは結局辺境伯家の嫡男と婚約した」
と言うと
「人間顔だけじゃないのだけどね。ほんとにフアニートも、もう少し見る目があったらいいのに。レムちゃん絶対すごい魔法士になると思うけど」
ユリアーネお義姉様としては未練たらたらといった感じであった。

 王宮のパーティーでは俺が艦隊を育成しようとしていることが伝わっていたみたいで、アムスム王国西部の貴族にも話しかけられたが、派閥が違うようで、その目は懐疑的であった。
「軍艦の製造は進んでいるのですか」
「うちの領地の船大工は商船しか作ったことがなかったのですが、とりあえず商船でいいからということで、10隻ほど作らせております。兵は現在訓練中です」
「商船ですか、それは何とも、それで戦えるのですかね」
「海賊を追い払えれば十分と考えています」

 王都は居心地が悪いので1月半ばには領地に戻ってきた。1隻目の船ができるのは春ごろである。それまで暇である。

「なあレン、以前新しい奴隷を購入するって話があったよな」
「でもその後、アンナを第2夫人に、リタを第3夫人にしたじゃない」
「でも俺の奴隷ハーレム計画は俺の夢だし」
「ハルトはどんなことがしたいの」
「女の子を周りに侍らせて、うまいもの食って楽しく過ごす」
「いいわ、私がしてあげる。ついでにアンナにもリタにもエバにも声かける。いいわね」
「何となく違う」
と思うが、黒いオーラに押しまくられて、結局、受け入れざるを得なかった。

 俺は伯爵邸の一角に居酒屋を作らせた。前世のナイトクラブを思い出して、前に舞台を作って、そこで、踊りやカラオケをできるようにした。
 舞台にはスポットライトを当てたり、映像を映写したりできるようにした。また、舞台の前には踊りができるようなスペースを設けた。
 そしてその後ろには、テーブルとソファーを並べそこで酒やジュースが飲めるようにした。

 今俺は両側にアンナとリタを侍らせ、エールを煽っている。レンが少し黒いオーラを出している。エバは静かに座っている。
 酒のつまみは伯爵邸のシェフに前世のつまみに似た食べ物を作らせた。給仕は伯爵邸のメイドにさせている。舞台では、伯爵邸で働く者に歌わせている。

 アンナが
「これがハルト様の奴隷ハーレム計画ですか。もっと、いやらしいものを想像していたのですが」
「俺の理想とは少し違う。まず給仕が伯爵邸のメイドでは手が出せん。これが奴隷だったら好き放題だ」
レンが
「旦那様は伯爵家当主、もっと威厳を持ってもらわないと」

そうしたら、クララが舞台に出てきて歌を歌い始めた。リヒトやマーサやルナも出てきた。俺が
「あれ、なんで子供たちが出てくるのだ」
そうしたらレンが
「クララに見つかったの。お父ちゃんとお母ちゃんだけでずるいって」
「ま、いいか。それにしてもクララは歌がうまいな」

捻じ曲げられた奴隷ハーレム計画であったが、
「これはこれでいいか」
と思うハルトであった。

 王国歴329年1月、ハルト19歳、家族と過ごす穏やかな1日。ネイメー伯爵領は今日も平和である。

 伯爵邸の一角に、居酒屋ができると、これを伯爵邸で働く職員にも使わせてほしいという要望が上がってきた。そうすると給仕がメイドでは伯爵邸の仕事が回らないということで、新たな職員を雇うことになった。
 しかし、街の人間を雇おうとすると、場所が伯爵邸ということで機密漏えいの問題が出てくる。それで、俺は奴隷メイドの購入を提案した。

 そしたら、レンとアンナ、リズから反対の意見が出た。敵は手ごわい。しかし、これは俺の奴隷ハーレム計画の遂行上どうしても譲れない一線である。そこで、
「伯爵邸で働く人間が日ごろの憂さを晴らすには好きなことを言える場でなければならない。だから奴隷でないと機密漏えいの懸念がある」
という論法で攻めた。

 これで、押し切れたかに思われた段階で、レンの一言で俺の奴隷ハーレム計画は、またも進行が止まったのであった。
「ハルトは絶対手出したらダメ。職員にもおさわり厳禁を通達すること。奴隷の購入はレン、アンナ、リズが行う。奴隷はチョウチョ商会の所有とする」
 結局これをのむしかなく。俺が了解すると、3人は勢い勇んで魔道馬車で王都へ出かけていった。

 そして10人の女性の奴隷を購入してきた。すべて農家の娘。もっさりしているし、色も黒い。何となくレンに似ている。俺は10人の奴隷メイドと機密保持の魔法契約を結んだ。

 このようにしてできた居酒屋であったが、伯爵邸で働く職員には割と好評であった。まず、仕事が終わった後に、一杯ひっかけて帰ることが出来る。
料金が割安であること。機密保持の魔法契約があるため割と自由に愚痴が言える。このような点が評価されたようである。

 俺も割と頻繁に利用している。俺が町の居酒屋なんぞ行こうものなら、顔が知られているだけあって
「御領主様」
と言って要望を聞かされたり、
「愛人にしてほしい」
と言って迫ってくる娘がいたりして、とても行けたものじゃない。しかしここではその心配がない。

 レンやアンナ、リズもここでお茶会をしたりしているようである。

 また、メイドもここで愚痴を言うために利用したりしているようである。
 普通の貴族家のメイドというと給金が非常に安いようであるが、俺は前世の記憶があるため、女性職員やメイドにも働きに見合った給料を払っている。そのため、彼女たちは田舎ではかなりの高給取りとなっているようである。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

召喚獣スライムに転生したが、美少女召喚士が自分のすごさにまったく気づかない

椎名 富比路
ファンタジー
美少女召喚士リップルに召喚される形で、スライムの【ロピ】ちゃんとして転生したヒロミ。 リップルは誰しも認める天才美少女召喚士で、召喚獣からも慕われている。 なのに、本人はまったく無自覚で、自分の力より召喚獣のほうが優秀だと思っている。 だが、ロピちゃん本人も、自分が最強だと気がついていなかったのである……。

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

{完結保証}規格外の最強皇子、自由に生きて無双する〜どこへ行っても、後世まで語られる偉業を残していく、常識外れの皇子〜

Saioonji
ファンタジー
母に殴られ、命を奪われた――そのはずだった。 だが目を覚ました先は、白く豪奢な王城の一室。 赤子の身体、仕えるメイド、そして“皇子”という立場。 前世では愛されず、名前すら価値を持たなかった少年が、 今度は世界の中心に生まれ落ちてしまった。 記憶を失ったふりをしながら、 静かに、冷静に、この世界を観察する皇子。 しかし彼の中には、すでに常識外れの思考と力が芽生えていた。 ――これは復讐でも、救済でもない。 自由を求めただけの少年が、 やがて国を、歴史を、価値観そのものを揺るがしていく物語。 最強であることすら、彼にとってはただの前提条件だった。 重複投稿作品です 小説家になろうとカクヨムにも投稿しています。

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした

渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞! 2024/02/21(水)1巻発売! 2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!) 2024/12/16(月)3巻発売! 2025/04/14(月)4巻発売! 2025/09/12(金)5巻発売!同日コミカライズ開始! 2026/03/16(月)コミカライズ1巻発売! 応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!! 刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました! 旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』 ===== 車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。 そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。 女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。 それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。 ※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

貞操逆転世界の「内助の功」~掃除と料理を極めた俺が、脳筋幼馴染を女王にするまで~

ありゃくね
ファンタジー
前世の記憶が目覚めたそこは、男女の貞操が逆転した異世界だった。 彼が繰り出すのは、現代知識を活かした「お掃除アイテム」、そして胃袋を掴む「絶品手料理」。 ただ快適に暮らしたいだけのマシロの行動は、男に飢えた女騎士たちを狂わせ、国の常識さえも変える一大革命へと繋がっていく。

処理中です...