転生者とバグでない異世界人の物語

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105.王国西部の憂鬱と砂糖工場の建設

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 王国軍が王国北部のトゥール公爵領で帝国軍と対峙している頃、王国西部の海岸では深刻な問題を抱えていた。

昨年は2件だった海賊の襲撃が頻発するのである。危機感を抱いた貴族は王家に海軍の増強と海賊船の取り締まりの強化を要請した。

また、侯爵家や裕福なネイメー伯爵家など自前で海軍を創設する貴族も現れた。王国海軍の見回りは海賊の襲来が多い王国南部の海岸にシフトしていき、王国北部の海岸が手薄になってきた。

そしたら、俺のところに、俺の領地だけでなく隣の領地の海岸も監視してほしいと言われた。依頼してきた子爵家と男爵家は同じシャタイン侯爵家の寄子だったことから、軍艦の寄港地を確保してくれるなら、そこに軍艦を回すと約束した。

 そして、7月に今年新たに建造された4隻をキューリーランド子爵の領都キューリーランドの港に配備し、ここで子爵領と隣の男爵領の海岸警備をすることになった。機密保持のため、船には結界を張って船の乗員以外は船に乗れないようにした。

 8月に、ネイメー水軍の軍艦2隻が海岸警備をしているとき、10隻の海賊船と遭遇した。2隻の軍艦はマニュアルに従い、沿岸から離れ沖に出るように指示した。しかし、指示に従わなかったので、10隻とも沈めた。海賊の捕縛は子爵に要請した。

これはあとで報告書が俺のもとに届いた。キューリーランド子爵からもお礼の手紙が届いた。

 9月に入ると、王国海軍の軍艦1隻が30隻の海賊船に襲われ、船が奪われそうになったので船に火をつけて燃やすという事件が起こった。

この報告が届くと、王宮に激震が走った。これまで海賊は、商船や海岸近くの村や町を襲うだけで、軍艦の姿を見ると逃げだしていたのである。それが逆に襲うようになったのである。
「海賊打つべし」
という声が高まった。
「海賊の基地はイングブリオ王国のどこか」
という報告が以前ハルト伯爵から上がっており、国王はイングブリオ王国に書簡を送って取り締まりを要請した。

しかし、まともな回答は返ってこなかった。イングブリオ王国としては、海賊が自国内で悪事を行えば取り締まりの対象になるが、外国で行うのであれば関係ないというのである。

これには、海賊がもたらす富が国内に流入するという思惑も見えてくる。

 すると、今度は
「イングブリオ王国も打つべし」
という声が高まってくる。

これには国王もあわてた。今帝国と戦争中である。少し前にはフラ王国とも戦争をしていた。それにイングブリオ王国と戦争をすればイングブリオ王国と関係の深いランドル王国との関係も悪化する。周りの国全部を敵に回すなどあり得ない。アムスム王国は小国である。国が亡ぶ。

そこで国王は、今度はランドル王国を通じてイングブリオ王国に書簡を送った。すると少しであるが襲撃が減った。

結局国王としては、軍艦の建造による海軍の増強しかないということになった。

 国による取り締まりが期待できないということで、自前の海軍の増強に走る貴族が増えてきた。海賊討伐に実績を上げており、比較的建造費の安い、フグ町の造船所にも他の貴族から注文が入るようになった。

しかし、軍艦は俺がフグ町の大工から商船を購入後軍艦に改造しているため、軍艦についてはヤマユリ商会で対応することにした。そこで、ヤマユリ商会が注文を受け、フグ町の大工に発注する。ただし俺の船とあまり違っても困るので、スクリューと駒の装置については事前に俺が作ったものを付けてもらうことにした。また、建造後、俺が、防火、衝撃吸収、物理耐性、魔法防御、クリーン、自動補修の魔法陣を設置することにした。

 この船は、揺れが少なくスピードが速い、それに魔石を多く使うという欠点はあるが、向かい風でもスピードが出せる。これにより、海賊船の取り締まりに効果を上げてくるようになった。

すると、同様に海賊の被害に頭を悩ませていたユルノギ王国やベー王国の貴族からも注文が入るようになった。他国に軍艦を売るというのは問題があると思ったのでこれについては王宮に伺いを立てた。

その結果、この2国についてはアムスム王国から販売するということになった。そのため、ヤマユリ商会からアムスム王国に納め、アムスム王国から注文のあった他国の貴族に販売することになった。当然価格も割増しとなった。ただし、フグ町の造船能力は年間8隻であり、外国への販売は来年となった。

 俺の仕事が増えてきたので、今まで俺のアイテムボックスで作っていた物のうち、工場でできそうなものは工場を作って、そこで生産することにした。

今俺がアイテムボックスで作っているのは、テンサイからの砂糖の生産、マジックバッグ、照明パネル、爆裂弾、振動の少ない車輪、魔道馬車、液体肥料の原料の尿素、軍艦のスクリューと駒の装置と砲塔である。

このうち工場でできそうな砂糖について工場を作ることにした。なお、陶磁器はレンとクララが作っている。また、マジックバッグと照明パネルは今後誰かに引き継ぐ予定である。

領都ネイメーに用地を確保すると、まず、テンサイを細断して土鍋に入れて煮込む工程、これはすぐにできた。

次に石灰や活性炭で不純物を除去する工程、これは試行錯誤である。何とか最適な配合や時間を知ることが出来た。

次に、出来た糖液を煮詰めて砂糖の結晶を作る工程、これも何とかできた。

あとは結晶から砂糖を分離する工程、遠心分離機が要るのだっけ、これも試行錯誤である。そしてようやく砂糖が出来た。

しかし、舐めると甘いのだけど色が白くない。しかし、単価を下げれば売れるかなと思い、後はアンナとリタに任せた。

もう仕事が増えすぎて砂糖を作っている暇がないと言ったら残念がられた。

せっかく作った砂糖工場、秘密が漏れると、各地で砂糖が作られ価格が暴落する。実際にテンサイの生産は種が流出したようで、ほかの領地でも行われているようである。そしてそれらの領地でも砂糖の生産は試行錯誤で始めているようである。もし、今回の砂糖工場の生産工程が知られれば各地に工場が出来てしまう。

そこで工場の従業員には秘密保持の魔法契約を結ぶことにした。
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