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麻琴が東大受験?
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沖縄に戻って来てから二、三日。事ある事に千鶴から麻琴のスマホにLINEがあった。
彼女は今日、学校であった事の全部を長いLINEの文章で綴った。彼の方は授業の出席は怪我で動けない事を理由にして免除され、中間テストを受けて合格点に達すればOKということになった。
帰郷して四日目の朝、一台の水色のフォルクスワーゲンが麻琴の家族の住む、那覇市内の一軒家に止まった。
「麻琴!麻琴!起きてるの?変なオジサンがあなたを迎えに来てるわよ!」
母親が随分と面倒くさそうに二階の麻琴の部屋のドアをノックした。
「なんだって?変な?オジサン?」
頭の包帯は取れているが、例の頬骨はくっつきが悪いのか、触ると皮膚がブニュブニュして気持ちが悪かった。まだ、ガーゼ保護してある。
胸から腹まではコルセットをしているため腰が慢性的に痛い。胸骨と腰骨を強く圧迫しているからだ。歩き方がぎこちなくなるが、家族に下の世話をさせていないだけ、親孝行だと麻琴は一人だけ思っている。
彼は一階まで手摺を使ってゆっくりと降りていく。
階段を降りたすぐ先に玄関があった。ドアを開けると、見た顔がこちらを覗き込んでいた。
千鶴と東京で行動を共にしたとき、最後に登場した真栄城家の飛鳥という専属運転手だ。
彼は麻琴と千鶴を東京羽田空港まで車で送ってくれた後、姿を眩ましていた。
「これは、これは、お久しゅうございます。麻琴様。いつぞや、東京では失礼致しました。」
太っちょ白髭の方から先に挨拶してくれた。
「ど・・・ども、東京ではお世話になりました。」
互いに挨拶を交わすと、太っちょ白髭のカーネル・サンダース様の飛鳥は早速。
「さて、麻琴様、いいお散歩日和ですなぁ・・・ドライブを兼ねて少しどうです?ウォーキングなど?」
「ドライブですか?」
「そうです。持ち物も必要ございません。千鶴お嬢様も一緒です。」
「ああ!本当ですか!ぜひ!」
麻琴は玄関先で
『母さん、ちっと出かけてくる!』といい残し、スリッパを履いて外に出た。
5月後半のこっちの陽射しは痛すぎる。千鶴と海に行きたい。コルセットなどぶん投げて恩納村のビーチにダイブしたい。
彼女はきっと来年、現役で東京大学に行く。せめてそれまでは、千鶴と時間を共にしたい。
そんな想いを他所に、麻琴の横で一人ほくそ笑む飛鳥がいた。
水色のフォルクスワーゲンに二人がたどり着くと、後部座席に仏頂面で不機嫌そうな千鶴がいた。空気を読んだ麻琴が。
「よっ!東京ぶりだね!」
と、明るく振る舞ったが、彼女は笑わず。
「うん。」
と、彼の方にさえ向き直らなかった。飛鳥は後部座席を開け、麻琴に乗るように促した。素直に千鶴の隣に座る。
「出発させていただきまぁ~~~~~~~~す。ワッハハハハハハハハハ!」
「飛鳥!黙れ!」
千鶴は顔を真っ赤にして怒っている。彼女は飛鳥を召し使いくらうにしか想っていないが、今日は扱いが格別雑だ。
「黙りませぇ~~~~~~~~~ん。ワッハハハハハハハハハ。楽しいですねぇ~~~~~~~~ドライブ~~~~~~~~。」
負けじと飛鳥が言い返す。彼は運転席を開けて乗り込むと、切られていないエンジンキーを回し、クラクションを二度と鳴らした。
プップウ!と間抜けな音がした。
「出発しま~~~~~~~~~~~~~~~す。ワッハハハハハハハハハ!」
「いいから、黙れ!飛鳥!嫌だもう!」
フォルクスワーゲンはゆっくりと動き出した。
「ちづ、まぁまぁ、いいから、いいから。な。天気がいいから海に行こうぜ!嫌な気分もきっと吹っ飛ぶ。」
その言葉を聞いて、彼女は更に怒りを顕にした。
「もう!私の気持ちなんか全然分かってない!」
「どうしたんだ?さっきから、プリプリ、プリプリ怒ってばかりで、何があったか言ってみろ?ちづ?」
「どうもこうもないのよ。麻琴、あなた、来年、東京大学受験させられるのよ?しかも、文一よ?法学部。」
「は?はぁ?な、なんだって!?」
接続しかけていた骨折部位の骨々にまたヒビが入り、今度は二度と元通りにならないような奇妙な衝撃を麻琴は受けた。
「麻琴様~~~~~~~っ!真栄城の家にようこそ~~~~~~。おめでとう、ございま~~~~~す。ワッハハハハハハハハハハ!」
一人、飛鳥だけが高らかに笑っていた。
彼女は今日、学校であった事の全部を長いLINEの文章で綴った。彼の方は授業の出席は怪我で動けない事を理由にして免除され、中間テストを受けて合格点に達すればOKということになった。
帰郷して四日目の朝、一台の水色のフォルクスワーゲンが麻琴の家族の住む、那覇市内の一軒家に止まった。
「麻琴!麻琴!起きてるの?変なオジサンがあなたを迎えに来てるわよ!」
母親が随分と面倒くさそうに二階の麻琴の部屋のドアをノックした。
「なんだって?変な?オジサン?」
頭の包帯は取れているが、例の頬骨はくっつきが悪いのか、触ると皮膚がブニュブニュして気持ちが悪かった。まだ、ガーゼ保護してある。
胸から腹まではコルセットをしているため腰が慢性的に痛い。胸骨と腰骨を強く圧迫しているからだ。歩き方がぎこちなくなるが、家族に下の世話をさせていないだけ、親孝行だと麻琴は一人だけ思っている。
彼は一階まで手摺を使ってゆっくりと降りていく。
階段を降りたすぐ先に玄関があった。ドアを開けると、見た顔がこちらを覗き込んでいた。
千鶴と東京で行動を共にしたとき、最後に登場した真栄城家の飛鳥という専属運転手だ。
彼は麻琴と千鶴を東京羽田空港まで車で送ってくれた後、姿を眩ましていた。
「これは、これは、お久しゅうございます。麻琴様。いつぞや、東京では失礼致しました。」
太っちょ白髭の方から先に挨拶してくれた。
「ど・・・ども、東京ではお世話になりました。」
互いに挨拶を交わすと、太っちょ白髭のカーネル・サンダース様の飛鳥は早速。
「さて、麻琴様、いいお散歩日和ですなぁ・・・ドライブを兼ねて少しどうです?ウォーキングなど?」
「ドライブですか?」
「そうです。持ち物も必要ございません。千鶴お嬢様も一緒です。」
「ああ!本当ですか!ぜひ!」
麻琴は玄関先で
『母さん、ちっと出かけてくる!』といい残し、スリッパを履いて外に出た。
5月後半のこっちの陽射しは痛すぎる。千鶴と海に行きたい。コルセットなどぶん投げて恩納村のビーチにダイブしたい。
彼女はきっと来年、現役で東京大学に行く。せめてそれまでは、千鶴と時間を共にしたい。
そんな想いを他所に、麻琴の横で一人ほくそ笑む飛鳥がいた。
水色のフォルクスワーゲンに二人がたどり着くと、後部座席に仏頂面で不機嫌そうな千鶴がいた。空気を読んだ麻琴が。
「よっ!東京ぶりだね!」
と、明るく振る舞ったが、彼女は笑わず。
「うん。」
と、彼の方にさえ向き直らなかった。飛鳥は後部座席を開け、麻琴に乗るように促した。素直に千鶴の隣に座る。
「出発させていただきまぁ~~~~~~~~す。ワッハハハハハハハハハ!」
「飛鳥!黙れ!」
千鶴は顔を真っ赤にして怒っている。彼女は飛鳥を召し使いくらうにしか想っていないが、今日は扱いが格別雑だ。
「黙りませぇ~~~~~~~~~ん。ワッハハハハハハハハハ。楽しいですねぇ~~~~~~~~ドライブ~~~~~~~~。」
負けじと飛鳥が言い返す。彼は運転席を開けて乗り込むと、切られていないエンジンキーを回し、クラクションを二度と鳴らした。
プップウ!と間抜けな音がした。
「出発しま~~~~~~~~~~~~~~~す。ワッハハハハハハハハハ!」
「いいから、黙れ!飛鳥!嫌だもう!」
フォルクスワーゲンはゆっくりと動き出した。
「ちづ、まぁまぁ、いいから、いいから。な。天気がいいから海に行こうぜ!嫌な気分もきっと吹っ飛ぶ。」
その言葉を聞いて、彼女は更に怒りを顕にした。
「もう!私の気持ちなんか全然分かってない!」
「どうしたんだ?さっきから、プリプリ、プリプリ怒ってばかりで、何があったか言ってみろ?ちづ?」
「どうもこうもないのよ。麻琴、あなた、来年、東京大学受験させられるのよ?しかも、文一よ?法学部。」
「は?はぁ?な、なんだって!?」
接続しかけていた骨折部位の骨々にまたヒビが入り、今度は二度と元通りにならないような奇妙な衝撃を麻琴は受けた。
「麻琴様~~~~~~~っ!真栄城の家にようこそ~~~~~~。おめでとう、ございま~~~~~す。ワッハハハハハハハハハハ!」
一人、飛鳥だけが高らかに笑っていた。
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