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Candy Rain
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私は雨が嫌いだ。それが神様の涙に形容されるように、気分が塞がって落ち込んでしまう。誰かに泣かれたり自分が泣いたりするのは誰だって嫌なモノだろう。……少なからず、私は嫌いだ。
片思いをしているあの人と一緒に出掛けた日。バケツをひっくり返したような大雨だった。傘を持たない私達は、狭い軒先で分厚い灰色を見上げていた。
私はとても緊張して、会話なんてろくに出来なかったし、お気に入りの靴は泥水が跳ねて台無しだった。やっぱり、雨なんて大嫌いだと思った。
「……君、雨は嫌い?」
「え、何でですか」
「憂鬱そうな顔してる」
「そう、でしょうか……」
「うん」
そんな、気付かれていたなんて。いや、それ以前に、せっかく話題を振ってもらったのに、どうしてこんな気の利かない返ししか出来ないのだろう。だから憂鬱そうなんて思われてしまうんだ。まさか意中の人との外出をふいにされそうで落ち込んでいますなんて、絶対に伝わってはならない。
そうだ、それならこちらから話題を振って、ペースを掴んでしまえばいいんだ。えぇと、なんて話しかければいいだろう。不自然じゃなくて、会話が続きそうな……
「……雨、好きなんですか?」
「そうだね、好きだよ」
我ながら頭を抱えてしまいそうな切り出しだ。さっきの会話の流れ的に、嫌いというわけじゃないのは読めていたハズなのに、他に取っ掛かりが見付けられないなんて……口下手な自分が心底嫌になる。
それに……「好きだよ」……その一言が、雨なんかに向けられているのがどうしようもなく苦しい。雨なんかに嫉妬しても、仕方が無いと分かっているのに。
「……雨のどこが好きなんですか?」
次いで口から出たのは、自分でもびっくりするくらい幼稚な質問。
「そうだなぁ」
空を見上げながら考える横顔さえ、恥ずかしくて直視出来ない。俯く私に反して、耳に届いたのはからっと明るい声だった。
「君と一緒にいられる時間が増えるところかな」
「……え」
「それに、ほら!」
固まって、ろくに動かない頭に、右手を掴まれた感覚が伝わる。
それを認識した頃には、引かれる腕、絡められる指。
「え、ちょ、ちょっと!」
「あはは、びしょ濡れだ。これじゃあ着替えなきゃいけないね。どう? これから、ウチに」
目一杯に雨粒を浴びながら振り返る表情は、春の日差しにも似た温かい笑顔だった。うっすらと赤く染まった頬がいじらしい。
「……強引すぎです」
「そう? でも嫌いじゃないでしょ、こういうの」
全くもって、その通りだ。
二人で浴びる雨粒は何となく甘くて、冷たさなんか少しも気にならなくて、少しくらいは雨を好きになってもいいかも、なんて思った。
片思いをしているあの人と一緒に出掛けた日。バケツをひっくり返したような大雨だった。傘を持たない私達は、狭い軒先で分厚い灰色を見上げていた。
私はとても緊張して、会話なんてろくに出来なかったし、お気に入りの靴は泥水が跳ねて台無しだった。やっぱり、雨なんて大嫌いだと思った。
「……君、雨は嫌い?」
「え、何でですか」
「憂鬱そうな顔してる」
「そう、でしょうか……」
「うん」
そんな、気付かれていたなんて。いや、それ以前に、せっかく話題を振ってもらったのに、どうしてこんな気の利かない返ししか出来ないのだろう。だから憂鬱そうなんて思われてしまうんだ。まさか意中の人との外出をふいにされそうで落ち込んでいますなんて、絶対に伝わってはならない。
そうだ、それならこちらから話題を振って、ペースを掴んでしまえばいいんだ。えぇと、なんて話しかければいいだろう。不自然じゃなくて、会話が続きそうな……
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「そうだね、好きだよ」
我ながら頭を抱えてしまいそうな切り出しだ。さっきの会話の流れ的に、嫌いというわけじゃないのは読めていたハズなのに、他に取っ掛かりが見付けられないなんて……口下手な自分が心底嫌になる。
それに……「好きだよ」……その一言が、雨なんかに向けられているのがどうしようもなく苦しい。雨なんかに嫉妬しても、仕方が無いと分かっているのに。
「……雨のどこが好きなんですか?」
次いで口から出たのは、自分でもびっくりするくらい幼稚な質問。
「そうだなぁ」
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「君と一緒にいられる時間が増えるところかな」
「……え」
「それに、ほら!」
固まって、ろくに動かない頭に、右手を掴まれた感覚が伝わる。
それを認識した頃には、引かれる腕、絡められる指。
「え、ちょ、ちょっと!」
「あはは、びしょ濡れだ。これじゃあ着替えなきゃいけないね。どう? これから、ウチに」
目一杯に雨粒を浴びながら振り返る表情は、春の日差しにも似た温かい笑顔だった。うっすらと赤く染まった頬がいじらしい。
「……強引すぎです」
「そう? でも嫌いじゃないでしょ、こういうの」
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