16 / 45
打ち明ける おまけ
しおりを挟む
〈後藤編〉
二人が帰ったあとで、残された私たちは当然の如く彼らの話で盛り上がった。
特に炸裂したのは前畑で、隠れ腐女子だったらしく、いつも以上に加賀君の美化がすごい。
受けとか攻めとかリバとか、普通の人は知らない専門用語をポンポン出して、高橋君を困惑させていた。
「十センチ以上身長差ありそうなのがまたいいよね、可愛いよね」
前畑がうふっ、うふふふと不気味な思い出し笑いをする。
「僕も主任と十センチ以上差がありますよ?」
「あんたのことはどうでもいい」
可哀想になるくらい軽んじられている。前畑が五歳年上というのも二人の関係性に影響しているかもしれない。
「でもまさか、加賀君が男の人と付き合ってるなんて……夢のよう!」
「あんたも結構おかしなこと言ってるよね」
呆れて言うと、前畑は何がおかしいのかわからない、という顔で首を傾げる。
「加賀君のこと好きなのに、男ならいいや、わーいってなるんだもん。どんだけ腐女子なの?」
「べっ、別に腐女子とかじゃないし!」
「腐女子でしょ? 加賀君と七世君をモデルにした漫画あったら買っちゃうでしょ」
「買っちゃう!」
「あのぅ」
高橋君が手を挙げた。
「質問なんですけど」
「何よ、ゆとり」
「男同士って、エッチできるんですか?」
馬鹿丸出しの顔で高橋君が訊いた。前畑を見ると、眉間に縦皺を何本も刻んで、高橋君を睨んでいた。
「は? なんで今更? さっきからわかってるような顔して調子合わせてなかった?」
「はい、でも、ふと気づいたんです。主任も七世君も男なのに、どうやってエッチするのかなって」
「ふと気づくの遅すぎだよね」
思わず笑ってしまった。高橋君ならではのズレっぷりだ。
前畑は高橋君のこのとろくさいところが大嫌いだ。イライラした顔で、「いい?」と講釈を始めようとする。
「待って待って」
慌てて止める。前畑が不思議そうに私を見る。
「何よ、めぐみさん」
「別に、知らないままでもよくない? ほら、なんていうか、今ここで説明しちゃったら、そのままあの二人に当てはめて想像しちゃうじゃない?」
私がいわんとすることを、前畑は理解したようだ。
「そうね……、加賀君のことそういう目で見始めたら困るかも」
そうじゃなくて、二人の名誉のためだったのだが、それも一理ある。高橋君は加賀君を敬愛しているし、主任になら抱かれてもいいとか言い出しかねない。
「もぉ、なんですかぁ? 気になるんで教えてください」
「あんたには教えない」
「いいですよーだ、自分で調べます」
高橋君がスマホを取り出して、何か検索し始めた。
「やだこいつ、どんだけ興味あるのよ」
「案外本気で加賀君のこと好きだったりして」
「キモイ!」
男同士で大喜びしているくせに、高橋君が相手だと全然受け付けなくなるのが謎だ。でも加賀君と高橋君がどうにかなっているところを想像しても、ちっとも楽しくないのは事実だ。加賀君の相手が七世君だからこそ、前畑も納得してここまで喜べるのだろう。
「私もさ、最初に会ったとき、どっちがどっちだろうって思ったんだよね」
「やだ、めぐみさんたら! ……やっぱ思うよね!?」
「七世君って童貞臭いもんね。大きいけど可愛くて、少年って感じだし。でも、加賀君のこと見る目がぎらついてるっていうか、男になる瞬間があるんだよね」
加賀君の過去の恋愛を匂わせる言葉が出た瞬間も、オスの顔になっていた。
「わかるー、なんか押し倒しそうな雰囲気してたよね!」
「やっぱ、逆じゃない?」
「加賀君が受けなの?」
「わかんないけど、好きですって飛びかかってくる男の子を、そのまま押し倒すより、押し倒されるままに受け入れるほうがすんなりこない?」
「そうかも!? やだ! やだ、エロい! 加賀君エロい! 加賀君ったら、エロいんだからあっ!」
前畑がハアハア言って悶絶する。
「ていうか私たちも本人いないとこでネタにして、ひどいよね」
「加賀君なら許してくれるよ」
確かに。馬鹿みたいに優しいから、笑って「いいんじゃない」で終わりだろう。
「あの」
高橋君が声を上げた。こいつの存在を忘れていた。
「あんたいたの?」
「調べてみたんですけど、なんか動画出てきて」
ブッと前畑が枝豆を吹き出した。
「馬鹿! 何観てんのよ! それちゃんと安全なサイト?」
「よくわかりませんけど、これどうなってるんですか?」
高橋君がスマホの画面をこっちに向けてくる。可愛い感じの男の子二人が、合体してあんあんやっている。
「ちょっと! 見せなさいよ!」
前畑がスマホをひったくる。
「やだっ、入ってる!」
「調べるって言ってなんで動画見てるの?」
「手っ取り早いかなと思ったんですけど、モザイクもかかってるし、よくわかりません」
「よくわかりませんって、ここまでずっぷしいっちゃってるのに!? あんたどんな頭してるのよ」
「えー? どういうことですかぁ?」
面倒になってきた。ししゃもを頭から囓りながら思いついた。
「前畑が高橋君の体で教えてあげればいいじゃない?」
「……はあっ!? どういうこと!? 私にチンチンついてるとでも!?」
前畑が大声で怒鳴った。
「チンチンやめれ」
唇に人差し指を当ててシーッとやる。
「別についてなくてもさ、ラブホいけばそれなりに道具とかあるでしょ」
「嘘、あるの?」
「さあ? あるとこにはあるよね」
前畑が黙った。動画を見ながら、何か思案している。高橋君はまったく会話についてきていない。ぼけっと口を開けて私たちを眺めている。
「わかった」
真面目な顔をして前畑がうなずく。
「ゆとり」
「はいー?」
「今日、ラブホ行くわよ」
「え、えぇーっ、ホントですかぁ?」
「ねえ、変なプレイに目覚めないでよ?」
私の忠告を、聞いているのかいないのか、二人がいそいそと帰り支度を始めた。
二人とも、そこまで酔ってはいないと思うが、ノリがおかしい。
関係を持ったことがバレた途端、たがが外れたのだろうか。
「お金、置いておくんで、お願いします」
高橋君が財布から一万円札を出した。
「行くわよ! 徹底的に教えてやるから!」
「はい、お願いします」
肩を組んで出て行った。
一人きりになった座敷で私は静かにししゃもを噛む。
「若いっていいわあ」
そういうおばさん臭い感想しか出ない。前畑が高橋君を組み敷いて調教している図を、思い浮かべそうになって吐き気がした。
「グロイ」
失礼な発言をして、今度は加賀君と七世君の絡みを想像する。
「美しい」
粛々と、酒を飲み、妄想する。
私も立派な変態の仲間入りを果たしたかもしれない。
〈おわり〉
二人が帰ったあとで、残された私たちは当然の如く彼らの話で盛り上がった。
特に炸裂したのは前畑で、隠れ腐女子だったらしく、いつも以上に加賀君の美化がすごい。
受けとか攻めとかリバとか、普通の人は知らない専門用語をポンポン出して、高橋君を困惑させていた。
「十センチ以上身長差ありそうなのがまたいいよね、可愛いよね」
前畑がうふっ、うふふふと不気味な思い出し笑いをする。
「僕も主任と十センチ以上差がありますよ?」
「あんたのことはどうでもいい」
可哀想になるくらい軽んじられている。前畑が五歳年上というのも二人の関係性に影響しているかもしれない。
「でもまさか、加賀君が男の人と付き合ってるなんて……夢のよう!」
「あんたも結構おかしなこと言ってるよね」
呆れて言うと、前畑は何がおかしいのかわからない、という顔で首を傾げる。
「加賀君のこと好きなのに、男ならいいや、わーいってなるんだもん。どんだけ腐女子なの?」
「べっ、別に腐女子とかじゃないし!」
「腐女子でしょ? 加賀君と七世君をモデルにした漫画あったら買っちゃうでしょ」
「買っちゃう!」
「あのぅ」
高橋君が手を挙げた。
「質問なんですけど」
「何よ、ゆとり」
「男同士って、エッチできるんですか?」
馬鹿丸出しの顔で高橋君が訊いた。前畑を見ると、眉間に縦皺を何本も刻んで、高橋君を睨んでいた。
「は? なんで今更? さっきからわかってるような顔して調子合わせてなかった?」
「はい、でも、ふと気づいたんです。主任も七世君も男なのに、どうやってエッチするのかなって」
「ふと気づくの遅すぎだよね」
思わず笑ってしまった。高橋君ならではのズレっぷりだ。
前畑は高橋君のこのとろくさいところが大嫌いだ。イライラした顔で、「いい?」と講釈を始めようとする。
「待って待って」
慌てて止める。前畑が不思議そうに私を見る。
「何よ、めぐみさん」
「別に、知らないままでもよくない? ほら、なんていうか、今ここで説明しちゃったら、そのままあの二人に当てはめて想像しちゃうじゃない?」
私がいわんとすることを、前畑は理解したようだ。
「そうね……、加賀君のことそういう目で見始めたら困るかも」
そうじゃなくて、二人の名誉のためだったのだが、それも一理ある。高橋君は加賀君を敬愛しているし、主任になら抱かれてもいいとか言い出しかねない。
「もぉ、なんですかぁ? 気になるんで教えてください」
「あんたには教えない」
「いいですよーだ、自分で調べます」
高橋君がスマホを取り出して、何か検索し始めた。
「やだこいつ、どんだけ興味あるのよ」
「案外本気で加賀君のこと好きだったりして」
「キモイ!」
男同士で大喜びしているくせに、高橋君が相手だと全然受け付けなくなるのが謎だ。でも加賀君と高橋君がどうにかなっているところを想像しても、ちっとも楽しくないのは事実だ。加賀君の相手が七世君だからこそ、前畑も納得してここまで喜べるのだろう。
「私もさ、最初に会ったとき、どっちがどっちだろうって思ったんだよね」
「やだ、めぐみさんたら! ……やっぱ思うよね!?」
「七世君って童貞臭いもんね。大きいけど可愛くて、少年って感じだし。でも、加賀君のこと見る目がぎらついてるっていうか、男になる瞬間があるんだよね」
加賀君の過去の恋愛を匂わせる言葉が出た瞬間も、オスの顔になっていた。
「わかるー、なんか押し倒しそうな雰囲気してたよね!」
「やっぱ、逆じゃない?」
「加賀君が受けなの?」
「わかんないけど、好きですって飛びかかってくる男の子を、そのまま押し倒すより、押し倒されるままに受け入れるほうがすんなりこない?」
「そうかも!? やだ! やだ、エロい! 加賀君エロい! 加賀君ったら、エロいんだからあっ!」
前畑がハアハア言って悶絶する。
「ていうか私たちも本人いないとこでネタにして、ひどいよね」
「加賀君なら許してくれるよ」
確かに。馬鹿みたいに優しいから、笑って「いいんじゃない」で終わりだろう。
「あの」
高橋君が声を上げた。こいつの存在を忘れていた。
「あんたいたの?」
「調べてみたんですけど、なんか動画出てきて」
ブッと前畑が枝豆を吹き出した。
「馬鹿! 何観てんのよ! それちゃんと安全なサイト?」
「よくわかりませんけど、これどうなってるんですか?」
高橋君がスマホの画面をこっちに向けてくる。可愛い感じの男の子二人が、合体してあんあんやっている。
「ちょっと! 見せなさいよ!」
前畑がスマホをひったくる。
「やだっ、入ってる!」
「調べるって言ってなんで動画見てるの?」
「手っ取り早いかなと思ったんですけど、モザイクもかかってるし、よくわかりません」
「よくわかりませんって、ここまでずっぷしいっちゃってるのに!? あんたどんな頭してるのよ」
「えー? どういうことですかぁ?」
面倒になってきた。ししゃもを頭から囓りながら思いついた。
「前畑が高橋君の体で教えてあげればいいじゃない?」
「……はあっ!? どういうこと!? 私にチンチンついてるとでも!?」
前畑が大声で怒鳴った。
「チンチンやめれ」
唇に人差し指を当ててシーッとやる。
「別についてなくてもさ、ラブホいけばそれなりに道具とかあるでしょ」
「嘘、あるの?」
「さあ? あるとこにはあるよね」
前畑が黙った。動画を見ながら、何か思案している。高橋君はまったく会話についてきていない。ぼけっと口を開けて私たちを眺めている。
「わかった」
真面目な顔をして前畑がうなずく。
「ゆとり」
「はいー?」
「今日、ラブホ行くわよ」
「え、えぇーっ、ホントですかぁ?」
「ねえ、変なプレイに目覚めないでよ?」
私の忠告を、聞いているのかいないのか、二人がいそいそと帰り支度を始めた。
二人とも、そこまで酔ってはいないと思うが、ノリがおかしい。
関係を持ったことがバレた途端、たがが外れたのだろうか。
「お金、置いておくんで、お願いします」
高橋君が財布から一万円札を出した。
「行くわよ! 徹底的に教えてやるから!」
「はい、お願いします」
肩を組んで出て行った。
一人きりになった座敷で私は静かにししゃもを噛む。
「若いっていいわあ」
そういうおばさん臭い感想しか出ない。前畑が高橋君を組み敷いて調教している図を、思い浮かべそうになって吐き気がした。
「グロイ」
失礼な発言をして、今度は加賀君と七世君の絡みを想像する。
「美しい」
粛々と、酒を飲み、妄想する。
私も立派な変態の仲間入りを果たしたかもしれない。
〈おわり〉
47
あなたにおすすめの小説
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。
きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。
自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。
食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。
ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜
キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」
(いえ、ただの生存戦略です!!)
【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】
生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。
ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。
のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。
「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。
「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。
「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」
なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!?
勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。
捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!?
「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」
ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます!
元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
世界を救ったあと、勇者は盗賊に逃げられました
芦田オグリ
BL
「ずっと、ずっと好きだった」
魔王討伐の祝宴の夜。
英雄の一人である《盗賊》ヒューは、一人静かに酒を飲んでいた。そこに現れた《勇者》アレックスに秘めた想いを告げられ、抱き締められてしまう。
酔いと熱に流され、彼と一夜を共にしてしまうが、盗賊の自分は勇者に相応しくないと、ヒューはその腕からそっと抜け出し、逃亡を決意した。
その体は魔族の地で浴び続けた《魔瘴》により、静かに蝕まれていた。
一方アレックスは、世界を救った栄誉を捨て、たった一人の大切な人を追い始める。
これは十年の想いを秘めた勇者パーティーの《勇者》と、病を抱えた《盗賊》の、世界を救ったあとの話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる