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愛し子
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アーロンはラムステーキと、スコッチエッグと、ミートローフを平らげた後、牛肉と豆の煮込みを手に取った。そろそろお腹も膨れてきたので、これが終わったら葡萄でも食べようかなと目を付けている所だ。
「よお、アーロンよく食べるな」
「リバー先生」
リバーはあちこちを回って生徒達と満遍なく話している。やる気が無さそうに見えたが、案外ちゃんとした教師らしい。
「せんせ、先生も食べて!」
そこへ、ミートローフののった皿を持ってキースが突撃して来た。
「おお、悪いな」
リバーは皿を受け取ると、「肉だけかあ、サラダも食いたいな」と言ってキースを取りに行かせた。
「全く、あいつは気が利くんだか利かないんだか」
と苦笑するリバーに、
「先生、お飲み物もどうぞ」
アップルサイダーのジョッキを持って来たのは、伯爵家の婿になると答えたアレックスだ。アレックスはふわふわの茶色い髪をした少年で、可愛らしい顔立ちをしている。同じクラスではないので、アーロンはまだ話した事がない。話し掛けようとしたら、誰かに呼ばれて戻って行った。その時にばいばいと小さく手を振るので思わず振り返してしまった。仕草が可愛い。自分にああいう愛らしさは無いので、彼の方が周りに守られるべき存在に相応しいのではと思ってしまう。
キースはサラダを取りに行った先で仲の良い生徒を見つけたようで戻って来ない。相変わらずの自由さだ。
折角横に来てくれたから、アーロンはリバーと会話する事にした。
「もう、あの続きしないんですかねー」
「やりたいのか?」
「やりたくは無いですけど」
キースが怒り出して歓談になった後は、皆自由に樽からアップルサイダーを汲み出して飲んでいる。ルークが言っていた、『一年生は宿題の答えが合っていないと飲めない』という条件は無視されている訳だが、当のルークは気にしていないようだ。結局また寮長やイチロウ達と熱心に話し込んでいるので気が付いていないのかもしれない。
アーロンの宿題は、何でルークが皆に宿題を出す羽目になったのかという事だった。色々考えたけれど、今答えるなら『キースのせい』だ。キースが銀妖精と騎士がなんちゃらと言っていたから、彼が楽しみたかっだけなのだろう。だけどそれをキースを悪者にしないで上手に言葉に出来る自信が無い。別に思ったまま言ってもキースは怒らなそうだが、やらないでくれた方がありがたい。
「まあ、俺としては全員同じ寮にする案も良いとは思う。この雰囲気を他の寮の奴等にも味合わせてやりたい」
リバーは優しい顔で騒ぐ生徒達を眺めている。
「他の寮ってこんな風に集まって食事したりはしないんですか?」
「ああ。派閥があるんで寮全体で何かやる事はないな。仮にもしやったとしても、食堂で個室を貸し切って正統派の食事会だな」
「そうなんですか」
「学院生活は三年間だけだから、馬鹿やって仲間とわいわい過ごす喜びを教えてやりたいんだがな。まあ、追い追いだな。追い追いって言っても、ずうっと先の追い追いだが、此処も昔からこういう雰囲気だった訳じゃないし、いつかは奴等も変わるかもしれない」
(リバー先生って、爵位は何処の出何だろう? ここの寮監をしているって事は、男爵家なのかな? でも、懐中時計を持っていたよね。あれって、確か物凄くお高いはず……)
アーロンは談話室にライム先輩が来た時にリバーが懐中時計を出して時間を確かめていたのと、昨日秘密の花園で王太子が懐中時計を持っていた事を思い出していた。
「そう言えば、ライムの息子の件はどうすんだ?」
(ライムの息子って言えちゃう身分なのかな?)
「まだ考え中です」
「そうか、まあ悩むなら兄貴に相談しろ」
「兄ですか?」
(兄ってどの兄……、いっぱい居るんだけど)
「お前が愛し子に抵抗があるっていうのは兄貴から聞いている。どうしても嫌なら無理に受け入れる必要は無い。だがな、断ったらどうなるかも考えておけ。今日の事は程度が軽い方だ。もっと酷い目に遭う可能性もあったんだからな」
「はい」
「傷付いた生徒にこんな事を言うのは碌でも無い教師だと思うかもしれんが、この学院で色々見て来た大人の意見だと思ってくれ」
「はい」
(真剣に考えよう、取り敢えず明日は先輩と二人きりで食事をしてみる。もし二人っきりが気まずかったら、そもそも愛し子なんて無理な訳だし。逆に楽しかったらその先を……、うっ、あんまり考えたく無いけど……考えてみてもいいし。それに先輩だって、今はまだ僕の事見た目しか知らない。二人っきりになって話したら、思ったのと違うやっぱり止めるってなるかもしれないし。後、魔道具の件も聞いてみよう。うん、色々考えるより取り敢えず聞いてみてそれから考えよう。もしも魔道具の勉強する時間なんて無駄だとか言われたら断れば良いんだし)
ルークやキースのした事はアーロンの為になったのかというと、そうでも無いのかもしれない。でも向き合うきっかけにはなった。自分は家族構成や外見で周りから愛し子狙いだと見られている、という事をアーロンはしっかり理解出来るようになったのだった。
「よお、アーロンよく食べるな」
「リバー先生」
リバーはあちこちを回って生徒達と満遍なく話している。やる気が無さそうに見えたが、案外ちゃんとした教師らしい。
「せんせ、先生も食べて!」
そこへ、ミートローフののった皿を持ってキースが突撃して来た。
「おお、悪いな」
リバーは皿を受け取ると、「肉だけかあ、サラダも食いたいな」と言ってキースを取りに行かせた。
「全く、あいつは気が利くんだか利かないんだか」
と苦笑するリバーに、
「先生、お飲み物もどうぞ」
アップルサイダーのジョッキを持って来たのは、伯爵家の婿になると答えたアレックスだ。アレックスはふわふわの茶色い髪をした少年で、可愛らしい顔立ちをしている。同じクラスではないので、アーロンはまだ話した事がない。話し掛けようとしたら、誰かに呼ばれて戻って行った。その時にばいばいと小さく手を振るので思わず振り返してしまった。仕草が可愛い。自分にああいう愛らしさは無いので、彼の方が周りに守られるべき存在に相応しいのではと思ってしまう。
キースはサラダを取りに行った先で仲の良い生徒を見つけたようで戻って来ない。相変わらずの自由さだ。
折角横に来てくれたから、アーロンはリバーと会話する事にした。
「もう、あの続きしないんですかねー」
「やりたいのか?」
「やりたくは無いですけど」
キースが怒り出して歓談になった後は、皆自由に樽からアップルサイダーを汲み出して飲んでいる。ルークが言っていた、『一年生は宿題の答えが合っていないと飲めない』という条件は無視されている訳だが、当のルークは気にしていないようだ。結局また寮長やイチロウ達と熱心に話し込んでいるので気が付いていないのかもしれない。
アーロンの宿題は、何でルークが皆に宿題を出す羽目になったのかという事だった。色々考えたけれど、今答えるなら『キースのせい』だ。キースが銀妖精と騎士がなんちゃらと言っていたから、彼が楽しみたかっだけなのだろう。だけどそれをキースを悪者にしないで上手に言葉に出来る自信が無い。別に思ったまま言ってもキースは怒らなそうだが、やらないでくれた方がありがたい。
「まあ、俺としては全員同じ寮にする案も良いとは思う。この雰囲気を他の寮の奴等にも味合わせてやりたい」
リバーは優しい顔で騒ぐ生徒達を眺めている。
「他の寮ってこんな風に集まって食事したりはしないんですか?」
「ああ。派閥があるんで寮全体で何かやる事はないな。仮にもしやったとしても、食堂で個室を貸し切って正統派の食事会だな」
「そうなんですか」
「学院生活は三年間だけだから、馬鹿やって仲間とわいわい過ごす喜びを教えてやりたいんだがな。まあ、追い追いだな。追い追いって言っても、ずうっと先の追い追いだが、此処も昔からこういう雰囲気だった訳じゃないし、いつかは奴等も変わるかもしれない」
(リバー先生って、爵位は何処の出何だろう? ここの寮監をしているって事は、男爵家なのかな? でも、懐中時計を持っていたよね。あれって、確か物凄くお高いはず……)
アーロンは談話室にライム先輩が来た時にリバーが懐中時計を出して時間を確かめていたのと、昨日秘密の花園で王太子が懐中時計を持っていた事を思い出していた。
「そう言えば、ライムの息子の件はどうすんだ?」
(ライムの息子って言えちゃう身分なのかな?)
「まだ考え中です」
「そうか、まあ悩むなら兄貴に相談しろ」
「兄ですか?」
(兄ってどの兄……、いっぱい居るんだけど)
「お前が愛し子に抵抗があるっていうのは兄貴から聞いている。どうしても嫌なら無理に受け入れる必要は無い。だがな、断ったらどうなるかも考えておけ。今日の事は程度が軽い方だ。もっと酷い目に遭う可能性もあったんだからな」
「はい」
「傷付いた生徒にこんな事を言うのは碌でも無い教師だと思うかもしれんが、この学院で色々見て来た大人の意見だと思ってくれ」
「はい」
(真剣に考えよう、取り敢えず明日は先輩と二人きりで食事をしてみる。もし二人っきりが気まずかったら、そもそも愛し子なんて無理な訳だし。逆に楽しかったらその先を……、うっ、あんまり考えたく無いけど……考えてみてもいいし。それに先輩だって、今はまだ僕の事見た目しか知らない。二人っきりになって話したら、思ったのと違うやっぱり止めるってなるかもしれないし。後、魔道具の件も聞いてみよう。うん、色々考えるより取り敢えず聞いてみてそれから考えよう。もしも魔道具の勉強する時間なんて無駄だとか言われたら断れば良いんだし)
ルークやキースのした事はアーロンの為になったのかというと、そうでも無いのかもしれない。でも向き合うきっかけにはなった。自分は家族構成や外見で周りから愛し子狙いだと見られている、という事をアーロンはしっかり理解出来るようになったのだった。
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