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ライム先輩と
毎日
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次の日、アーロンが目覚めたら隣にケビンは居なかった。朝食に降りて行くと、タイスケが気まずそうに「朝早く出て行ったっす」と教えてくれた。まあ、あの兄がふらっと居なくなるのは毎度の事なので、アーロンは特に何とも思わなかった。それに講義があるからこれから毎週会う訳だし。
毎日は恙無く過ぎてゆく。
月曜日の一時間目は魔獣学の講義だ。これは敢えて、この時間にとった。本来なら、一般教養の歴史の時間で、担当はアーロンのクラスの担任なのだ。
寮監のリバーから話を聞いて担任の講義は避けようと考えたアーロンは、男爵家の上級生達に色々聞いて考えた結果魔獣学を選んだ。ルークが「単位のとりやすい講義を教える」とか言っていた件は歓迎会のどさくさで有耶無耶になっていたけれど、夕食時や寮の談話室で誰かしら捕まえられるので情報を得る事は容易に出来た。
選んだ理由は、魔獣学がこの時間にしか無いのと、とっても人気が無いからだった。この時間にしか無ければ担任の歴史をとらない理由にはなる。勿論一般教養だから、別の時間に他のクラスの生徒と一緒に歴史を受けなければならないのだけれど。
アーロンの話を聞いて、イアンと火の国の二人も真似したのだが、イアンは初回でもう後悔していた。
「はあ、泥だらけ」
人気が無いのには理由があった。月曜日の一時間目から魔獣の世話をさせられるからだ。
「皆元気だったかな? 先生も会いたかったよ。いい子だねえ」
魔獣達に揉みくちゃにされているのはこの講義の教師であるムッツだが深緑色のマント姿だ。白いマントを支給されているのだが、汚れるからと助手に押し付けて自分は代わりに助手のマントを身に付けているような変わり者だ。
イアンがぶつくさ言いながら獣舎の掃除をしている横で、アーロンはユニコーンに餌をやっていた。ユニコーンは人見知りが激しく、ムッツとアーロンにしか懐いていない為、すっかりアーロンがお世話係になっていた。
「ふん、甘えられるのも今のうちだけっす」
自分にはけんもほろろなのに、アーロンには擦り寄って甘えるユニコーンを忌々しそうに見ながらタイスケが敷き藁を運ぶ。その後ろでは、イチロウがドードーの子供達に餌をやっている。
学院の獣舎にいるのは、人間に捕獲されて数を減らした生き物達で、ムッツ先生はその保護と研究を専門としていた。その為、魔獣と言っても魔物だけでは無く普通の動物も居る。講義は座学では無く実際に生き物達の世話をしながら学ぶ事になるので、汚れるのを嫌う貴族の子息達には人気が無かった。アーロンが人気が無いのを理由にしたのは、競争率が低ければ間違いなくその講義をとれると考えたからだ。それに生き物は好きだし。
がっかりしたのは魔道具の講義だった。
火曜日の四時間目なのだが、声の小さいおじいちゃん先生で黒板にも書かず、教科書も開かずひたすら今やっている自分の研究について話す。専門用語だらけで、早口だし声は小さいわでアーロンには全く理解が出来ない。他の一年生もそうだ。上級生によると、試験は教科書から出るので兎に角教科書を読んでおくように、先生の講義は寝ていても構わないとの事だった。こんな講義をするのは、この先生だけで他の魔道具の先生はちゃんとした講義をしてくれる。だから一年目だけ我慢してとの事だった。
なるべく寝ない様にしているけど、時々我慢出来ずに居眠りしてしまう。他の生徒達は最初から居眠りするか、おしゃべりしている。尚、おしゃべりしていても先生は注意しない。
水曜日の植物学と西の国についての講義も楽しい。ただ剣術はちょっと苦手、タイスケは楽しそうだが。
木曜日は難しい講義が多くて苦手。ライム先輩に愚痴ばかり零してしまう。
金曜日の四時間目は三番目の兄、ケビンの火の国語の講義。毎回横道に逸れ、会話は挨拶程度しかさらっていない代わりに火の国についての雑談が延々と続く。皆面白そうに聞いているけれど、アーロンは毎回はらはらしてしまう。
火の国語の講義は新設なので、一年生以外の生徒もとっている。
イアンによると、アーロン達と同じクラスの伯爵家の子息と一緒にいるのは二年生の子爵家の生徒で、前の三人組は三年生で真ん中の人物はなんと侯爵家の子息だそうだ。どちらともアーロンは話した事は無いが、楽しそうにケビンの講義を聞いてくれているのでほっとしている。特に侯爵家の子息の方はケビンの話が脇道に逸れれば逸れる程喜んでいる様だ。
三年生の侯爵家の生徒についてライム先輩に聞いたら、Eクラスに所属しているが勉強が出来ない訳では無く興味のある講義にしか出ない為だそうだ。とある講義で試験用紙に解答を書かずに反対に教師に対して出題しそれがひどく難しい専門的な内容で当の教師も分からなかったという逸話があり、恐らく家で学院で学ぶ範囲の学習は終えているのだろうとライム先輩は話していた。その為力量が無いと見た教師にはかなりすげない態度をとるそうで、ケビンの講義に毎回出席してそれも楽しそうに聞いているなら何も心配する事は無いと請け合ってくれた。
ライム先輩とは仲良くしている。そのお陰か、同じクラスの子爵家の生徒達はもう絡んで来る事は無くなった。時々デクスターの視線は感じるが、同じ教室の中に居ても線をきっぱり引いたみたいにアーロンの居る方には近づいて来ない。
毎日は恙無く過ぎてゆく。
月曜日の一時間目は魔獣学の講義だ。これは敢えて、この時間にとった。本来なら、一般教養の歴史の時間で、担当はアーロンのクラスの担任なのだ。
寮監のリバーから話を聞いて担任の講義は避けようと考えたアーロンは、男爵家の上級生達に色々聞いて考えた結果魔獣学を選んだ。ルークが「単位のとりやすい講義を教える」とか言っていた件は歓迎会のどさくさで有耶無耶になっていたけれど、夕食時や寮の談話室で誰かしら捕まえられるので情報を得る事は容易に出来た。
選んだ理由は、魔獣学がこの時間にしか無いのと、とっても人気が無いからだった。この時間にしか無ければ担任の歴史をとらない理由にはなる。勿論一般教養だから、別の時間に他のクラスの生徒と一緒に歴史を受けなければならないのだけれど。
アーロンの話を聞いて、イアンと火の国の二人も真似したのだが、イアンは初回でもう後悔していた。
「はあ、泥だらけ」
人気が無いのには理由があった。月曜日の一時間目から魔獣の世話をさせられるからだ。
「皆元気だったかな? 先生も会いたかったよ。いい子だねえ」
魔獣達に揉みくちゃにされているのはこの講義の教師であるムッツだが深緑色のマント姿だ。白いマントを支給されているのだが、汚れるからと助手に押し付けて自分は代わりに助手のマントを身に付けているような変わり者だ。
イアンがぶつくさ言いながら獣舎の掃除をしている横で、アーロンはユニコーンに餌をやっていた。ユニコーンは人見知りが激しく、ムッツとアーロンにしか懐いていない為、すっかりアーロンがお世話係になっていた。
「ふん、甘えられるのも今のうちだけっす」
自分にはけんもほろろなのに、アーロンには擦り寄って甘えるユニコーンを忌々しそうに見ながらタイスケが敷き藁を運ぶ。その後ろでは、イチロウがドードーの子供達に餌をやっている。
学院の獣舎にいるのは、人間に捕獲されて数を減らした生き物達で、ムッツ先生はその保護と研究を専門としていた。その為、魔獣と言っても魔物だけでは無く普通の動物も居る。講義は座学では無く実際に生き物達の世話をしながら学ぶ事になるので、汚れるのを嫌う貴族の子息達には人気が無かった。アーロンが人気が無いのを理由にしたのは、競争率が低ければ間違いなくその講義をとれると考えたからだ。それに生き物は好きだし。
がっかりしたのは魔道具の講義だった。
火曜日の四時間目なのだが、声の小さいおじいちゃん先生で黒板にも書かず、教科書も開かずひたすら今やっている自分の研究について話す。専門用語だらけで、早口だし声は小さいわでアーロンには全く理解が出来ない。他の一年生もそうだ。上級生によると、試験は教科書から出るので兎に角教科書を読んでおくように、先生の講義は寝ていても構わないとの事だった。こんな講義をするのは、この先生だけで他の魔道具の先生はちゃんとした講義をしてくれる。だから一年目だけ我慢してとの事だった。
なるべく寝ない様にしているけど、時々我慢出来ずに居眠りしてしまう。他の生徒達は最初から居眠りするか、おしゃべりしている。尚、おしゃべりしていても先生は注意しない。
水曜日の植物学と西の国についての講義も楽しい。ただ剣術はちょっと苦手、タイスケは楽しそうだが。
木曜日は難しい講義が多くて苦手。ライム先輩に愚痴ばかり零してしまう。
金曜日の四時間目は三番目の兄、ケビンの火の国語の講義。毎回横道に逸れ、会話は挨拶程度しかさらっていない代わりに火の国についての雑談が延々と続く。皆面白そうに聞いているけれど、アーロンは毎回はらはらしてしまう。
火の国語の講義は新設なので、一年生以外の生徒もとっている。
イアンによると、アーロン達と同じクラスの伯爵家の子息と一緒にいるのは二年生の子爵家の生徒で、前の三人組は三年生で真ん中の人物はなんと侯爵家の子息だそうだ。どちらともアーロンは話した事は無いが、楽しそうにケビンの講義を聞いてくれているのでほっとしている。特に侯爵家の子息の方はケビンの話が脇道に逸れれば逸れる程喜んでいる様だ。
三年生の侯爵家の生徒についてライム先輩に聞いたら、Eクラスに所属しているが勉強が出来ない訳では無く興味のある講義にしか出ない為だそうだ。とある講義で試験用紙に解答を書かずに反対に教師に対して出題しそれがひどく難しい専門的な内容で当の教師も分からなかったという逸話があり、恐らく家で学院で学ぶ範囲の学習は終えているのだろうとライム先輩は話していた。その為力量が無いと見た教師にはかなりすげない態度をとるそうで、ケビンの講義に毎回出席してそれも楽しそうに聞いているなら何も心配する事は無いと請け合ってくれた。
ライム先輩とは仲良くしている。そのお陰か、同じクラスの子爵家の生徒達はもう絡んで来る事は無くなった。時々デクスターの視線は感じるが、同じ教室の中に居ても線をきっぱり引いたみたいにアーロンの居る方には近づいて来ない。
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