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ライム先輩と
特別講義
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アーロンは掲示板に向かった。お昼にライム先輩が誘ってくれた特別講義の内容を確認する為だ。
いつもの仲間にその事を話すと、イチロウが興味を持ったので四人で見に来たのだ。と言っても、イアンは参加するつもりは無し、タイスケは気乗りはしないがイチロウが行くならという事でついて来た。
「あ、あった。これ」
アーロンが指差してイチロウに教える。
「成る程、オペラ座の観劇と見学」
「うん。普段観劇だけだと見られない様な場所も見学出来るんだって」
「バレエなんてさっぱり分かんないのに。寝そうっす」
「でも、ライム先輩が仰るには、モダンバレエだから話の内容とか理解出来なくてもただ見てるだけもで楽しいよって」
「そうは言われても、ライム先輩の楽しいと、おいらの楽しいは別の気がするっす」
タイスケはよっぽど気乗りがしないらしく、ぶつぶつ文句を言い続けている。
「おや、君達も行くの?」
後ろから声が掛かったので振り返ると寮長だった。
「フランク殿もですか」
寮長と仲が良いイチロウは嬉しそうだ。
「ええ、これ結構人気の企画らしいのですよ。学院の生徒達は観劇経験があってもいつも決まった席だし、下手にうろうろ出来ない身分の方も居らっしゃるので」
「確かにそうですね」
「早い者勝ちだから、急いで申し込みに行きませんと」
「今から行きますか?」
「そうしましょう」
「アーロン様は?」
「僕はライム先輩が申し込んでおいてくれるって」
「じゃあ早速行きましょうか」
寮長とイチロウが早足で学生課に向かうのに、ため息を吐きながらタイスケがついて行く。残ったアーロンとイアンは掲示板の前で「この後どうしよっか」と話していると、「失礼」と後ろから声が掛かった。
「あ、すみません。占領してしまって」
アーロンは慌てて避けた。その横で、イアンがひゅっと息を呑む。
何事、と見ると掲示板の前に立ったのはアーロンとそう身長の変わらない、黒い髪の少年だった。王太子だ。ほぼ一ヶ月振りに会う王太子だが、アーロンには知らんぷりだ。もしかしたらアーロンの事なんて忘れてしまったのかもしれない。勿論アーロンの方から話し掛ける事も出来ない。
袖を引かれたので見ると、イアンが引き攣った顔をしていた。ぐいぐい引っ張られるので、そのまま引っ張られるままに掲示板から離れると、今度は腕を掴まれて早足で歩かれる。
「に、逃げよ」
「うん」
小声で言われたのに同意する。まあ、気持ちは分かる。
「吃驚した。ほんとに、普通に歩いてる」
「そうだねえ」
もうすっかり廊下の王太子狙いの生徒は見かけなくなった。
というのも、王太子が神出鬼没だからだ。噂では何か魔道具を使っているのではと思われる位に存在感が薄い時があるらしい。廊下ですれ違って「あれ、今の人髪の毛が黒くなかった?」と思って振り返ったら王太子だったけど、周りの人は誰も気が付いていない様だったという経験をした生徒も多いと聞く。そしてそういう時は大抵、誰も連れずに一人で移動しているのだそうだ。
アーロンは服の上から、首にぶら下がっている鍵の存在を確かめた。毎日持ち歩いているけれど、最近は全く使っていない。
「寮長とイチロウ様、さっき行って良かった」
「申し込み?」
「うん、この後きっと人凄い」
「あ、そうかー、早い者勝ち?」
「うん」
「でもさあ、王太子殿下も他の生徒と同じ様に自分で申し込みされるんだねー」
「うん。だから何に参加するか分からない」
「あ、そうか、そういうのも考えていらっしゃるのかな?」
「分からない」
「まあね」
この件は、確かに騒動になったらしく、その日の内に人数がいっぱいになってしまったそうだ。アーロン達が行くと聞いて次の日に申し込もうとしたアレックスとキースは学生課に行ったら門前払いされたらしく膨れていた。
「別に王太子殿下狙いじゃないのにー」
「ほんとだよねえ」
二人は王太子狙いの生徒と見られて学生課で嫌味を言われたそうだった。
いつもの仲間にその事を話すと、イチロウが興味を持ったので四人で見に来たのだ。と言っても、イアンは参加するつもりは無し、タイスケは気乗りはしないがイチロウが行くならという事でついて来た。
「あ、あった。これ」
アーロンが指差してイチロウに教える。
「成る程、オペラ座の観劇と見学」
「うん。普段観劇だけだと見られない様な場所も見学出来るんだって」
「バレエなんてさっぱり分かんないのに。寝そうっす」
「でも、ライム先輩が仰るには、モダンバレエだから話の内容とか理解出来なくてもただ見てるだけもで楽しいよって」
「そうは言われても、ライム先輩の楽しいと、おいらの楽しいは別の気がするっす」
タイスケはよっぽど気乗りがしないらしく、ぶつぶつ文句を言い続けている。
「おや、君達も行くの?」
後ろから声が掛かったので振り返ると寮長だった。
「フランク殿もですか」
寮長と仲が良いイチロウは嬉しそうだ。
「ええ、これ結構人気の企画らしいのですよ。学院の生徒達は観劇経験があってもいつも決まった席だし、下手にうろうろ出来ない身分の方も居らっしゃるので」
「確かにそうですね」
「早い者勝ちだから、急いで申し込みに行きませんと」
「今から行きますか?」
「そうしましょう」
「アーロン様は?」
「僕はライム先輩が申し込んでおいてくれるって」
「じゃあ早速行きましょうか」
寮長とイチロウが早足で学生課に向かうのに、ため息を吐きながらタイスケがついて行く。残ったアーロンとイアンは掲示板の前で「この後どうしよっか」と話していると、「失礼」と後ろから声が掛かった。
「あ、すみません。占領してしまって」
アーロンは慌てて避けた。その横で、イアンがひゅっと息を呑む。
何事、と見ると掲示板の前に立ったのはアーロンとそう身長の変わらない、黒い髪の少年だった。王太子だ。ほぼ一ヶ月振りに会う王太子だが、アーロンには知らんぷりだ。もしかしたらアーロンの事なんて忘れてしまったのかもしれない。勿論アーロンの方から話し掛ける事も出来ない。
袖を引かれたので見ると、イアンが引き攣った顔をしていた。ぐいぐい引っ張られるので、そのまま引っ張られるままに掲示板から離れると、今度は腕を掴まれて早足で歩かれる。
「に、逃げよ」
「うん」
小声で言われたのに同意する。まあ、気持ちは分かる。
「吃驚した。ほんとに、普通に歩いてる」
「そうだねえ」
もうすっかり廊下の王太子狙いの生徒は見かけなくなった。
というのも、王太子が神出鬼没だからだ。噂では何か魔道具を使っているのではと思われる位に存在感が薄い時があるらしい。廊下ですれ違って「あれ、今の人髪の毛が黒くなかった?」と思って振り返ったら王太子だったけど、周りの人は誰も気が付いていない様だったという経験をした生徒も多いと聞く。そしてそういう時は大抵、誰も連れずに一人で移動しているのだそうだ。
アーロンは服の上から、首にぶら下がっている鍵の存在を確かめた。毎日持ち歩いているけれど、最近は全く使っていない。
「寮長とイチロウ様、さっき行って良かった」
「申し込み?」
「うん、この後きっと人凄い」
「あ、そうかー、早い者勝ち?」
「うん」
「でもさあ、王太子殿下も他の生徒と同じ様に自分で申し込みされるんだねー」
「うん。だから何に参加するか分からない」
「あ、そうか、そういうのも考えていらっしゃるのかな?」
「分からない」
「まあね」
この件は、確かに騒動になったらしく、その日の内に人数がいっぱいになってしまったそうだ。アーロン達が行くと聞いて次の日に申し込もうとしたアレックスとキースは学生課に行ったら門前払いされたらしく膨れていた。
「別に王太子殿下狙いじゃないのにー」
「ほんとだよねえ」
二人は王太子狙いの生徒と見られて学生課で嫌味を言われたそうだった。
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