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ライム先輩とのお出掛け
夕食
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※ライム先輩とのお出掛け編が考えていたより長くなったので、新しく章立てしました。
☆
魔道具についての知識を改めたアーロンを乗せた馬車は、ライム先輩の領地の食事を出す店に着いた。
白と青で纏められた店内は洗練された雰囲気で一年生三人は息を呑む。
「なんか、ライム先輩っぽい店っす」
タイスケが呟くのにアーロンも頷く。こんな綺麗なお店で食べる料理ってどんな物が出て来るのだろうと、緊張してしまう。個室に通されて、まず出て来たのはサラダだった。上にのっている物を見て、イチロウとタイスケが不思議そうにする。
「これは、何かの肝でしょうか?」
「あん肝みたいっす」
二人の様子に、ライム先輩とアーロンは頬を緩めた。
「フォアグラと言って、太らせた鵞鳥の肝臓だよ」
「鳥なんすね」
ライム先輩は知らない様だが、アーロンにはタイスケが言った「あん肝」というのが何か分かったので、一層面白かった。
「フォアグラは我が領の名産品でね。お二人は初めてだった様だね」
「成る程、これは美味です」
「気に入ってくれた様で嬉しいな。パンにつけて食べても美味だよ」
「本当っす」
米好きのタイスケも気に入ったらしい。それならきっと、三番目の兄ケビンの様に、フォアグラ丼やフォアグラ大根とかも好きだろう。高いのが難点だが、ライム先輩にお願いしたら安く手に入れられたりしないだろうか、土日の食事のお礼に作ってあげるのも良いかもしれないとアーロンは考える。ただ、ライム先輩が事前に「量が多い」と話していた割に、サラダは普通の量だったので物足りなく感じた。
「もっと沢山あっても食えそうな気がするっす」
とタイスケもフォアグラがなくなってしまった皿を残念そうに見ている。
しかし次の料理が出て来ると一年生三人は喜びの声を上げた。
「ピザ!」
木の板の上にのった薄いピザの様な料理が出て来た。一人一枚ずつだ。
「これは、タルトフランベと言う。食べ方はこう」
ライム先輩はそれをナイフとフォークで少し大きめの何等分かに切り分けた後、一つを手でくるくるっと巻き取り、そのまま食べ始めた。
「えっ、手で食べていいんですか?」
その様子を見て三人は目を丸くする。
「うん。これが正しい食べ方だよ。他所の領地から来た私の母は未だに手では食べないがね。やってみてご覧」
「はい」
と三人は直ぐに真似た。
「美味です」
「だろう? タルトフランベはピザとは違いトマトソースは使わない、生地も此方の方が軽い。これはフロマージュブランに玉葱とベーコンだが、もし食べられる様ならマッシュルームの物も注文しようか? ただ、この次に出てくる料理の量はかなり多いが」
「食べたいです!」
「これなら二枚位余裕っす」
「そ、そうかい?」
ライム先輩は一年生三人の前のめりな様子に驚いた様だが、二枚目を頼んでくれた。先輩は次の料理の量が多いから、と二枚目は頼まなかった。
「タルトフランベ、まだまだ食べられる気がするっす」
「うん」
とタイスケとアーロンが話している所へ、最後の料理が運ばれて来た。
「大きい!」
五、六人前はありそうな深めの大皿が二つ。一つには塊肉やソーセージ等と丸ごとの馬鈴薯の山盛り、もう一つには魚の切り身と貝そして丸ごとの馬鈴薯が山盛りになっていた。
「ふふふ。これは、シュークルトと言ってね、こちらは肉のシュークルト、こっちは魚のシュークルトだ」
「何だか、思ってた料理とは違うのが出て来たっす」
「そうかい?」
「こう、ライム先輩にぴったりなお洒落な料理がちょびっとずつ出て来ると思ってましたけど、いい意味で裏切られたっす!」
タイスケは嬉しそうだ。固かった口も美味しそうな料理を前によく回る様になって来たのか、すっかりいつも通りだ。
「肉の方は、豚脛肉、ソーセージ、ベーコンと馬鈴薯、下には塩漬けして発酵させたキャベツが入っている。魚の方は鮭と鱈とムール貝で後は肉と同じだ。さあ、何方を食べるかい?」
ライム先輩とタイスケとアーロンは肉、イチロウは魚を選んだ。
「僕、このお料理凄く好きです」
「そうかい?」
「はい。この脛肉の煮込まれてほろほろっとした感じと、よく味の染み込んだ馬鈴薯、それに少し酸っぱいキャベツとの取り合わせが何とも言えません」
「おいらはソーセージとベーコンが美味いっす」
「うん、分厚いベーコンが煮込まれて柔らかくなっているのも美味しいよね!」
とアーロンとタイスケが盛り上がっている中、イチロウはにこにこしながら黙ってゆっくりと魚のシュークルトを味わっている。ライム先輩はそんな後輩達の様子を満足気に見ていた。その後、アーロンとタイスケは魚の方も味見し、やっぱり肉の方が好きだと意見が合い、もう一回お代わりしてライム先輩を驚かせた。
デザートはタルト・オ・フロマージュで、アーロン達はお腹一杯になり、満足に食事を終えた。
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魔道具についての知識を改めたアーロンを乗せた馬車は、ライム先輩の領地の食事を出す店に着いた。
白と青で纏められた店内は洗練された雰囲気で一年生三人は息を呑む。
「なんか、ライム先輩っぽい店っす」
タイスケが呟くのにアーロンも頷く。こんな綺麗なお店で食べる料理ってどんな物が出て来るのだろうと、緊張してしまう。個室に通されて、まず出て来たのはサラダだった。上にのっている物を見て、イチロウとタイスケが不思議そうにする。
「これは、何かの肝でしょうか?」
「あん肝みたいっす」
二人の様子に、ライム先輩とアーロンは頬を緩めた。
「フォアグラと言って、太らせた鵞鳥の肝臓だよ」
「鳥なんすね」
ライム先輩は知らない様だが、アーロンにはタイスケが言った「あん肝」というのが何か分かったので、一層面白かった。
「フォアグラは我が領の名産品でね。お二人は初めてだった様だね」
「成る程、これは美味です」
「気に入ってくれた様で嬉しいな。パンにつけて食べても美味だよ」
「本当っす」
米好きのタイスケも気に入ったらしい。それならきっと、三番目の兄ケビンの様に、フォアグラ丼やフォアグラ大根とかも好きだろう。高いのが難点だが、ライム先輩にお願いしたら安く手に入れられたりしないだろうか、土日の食事のお礼に作ってあげるのも良いかもしれないとアーロンは考える。ただ、ライム先輩が事前に「量が多い」と話していた割に、サラダは普通の量だったので物足りなく感じた。
「もっと沢山あっても食えそうな気がするっす」
とタイスケもフォアグラがなくなってしまった皿を残念そうに見ている。
しかし次の料理が出て来ると一年生三人は喜びの声を上げた。
「ピザ!」
木の板の上にのった薄いピザの様な料理が出て来た。一人一枚ずつだ。
「これは、タルトフランベと言う。食べ方はこう」
ライム先輩はそれをナイフとフォークで少し大きめの何等分かに切り分けた後、一つを手でくるくるっと巻き取り、そのまま食べ始めた。
「えっ、手で食べていいんですか?」
その様子を見て三人は目を丸くする。
「うん。これが正しい食べ方だよ。他所の領地から来た私の母は未だに手では食べないがね。やってみてご覧」
「はい」
と三人は直ぐに真似た。
「美味です」
「だろう? タルトフランベはピザとは違いトマトソースは使わない、生地も此方の方が軽い。これはフロマージュブランに玉葱とベーコンだが、もし食べられる様ならマッシュルームの物も注文しようか? ただ、この次に出てくる料理の量はかなり多いが」
「食べたいです!」
「これなら二枚位余裕っす」
「そ、そうかい?」
ライム先輩は一年生三人の前のめりな様子に驚いた様だが、二枚目を頼んでくれた。先輩は次の料理の量が多いから、と二枚目は頼まなかった。
「タルトフランベ、まだまだ食べられる気がするっす」
「うん」
とタイスケとアーロンが話している所へ、最後の料理が運ばれて来た。
「大きい!」
五、六人前はありそうな深めの大皿が二つ。一つには塊肉やソーセージ等と丸ごとの馬鈴薯の山盛り、もう一つには魚の切り身と貝そして丸ごとの馬鈴薯が山盛りになっていた。
「ふふふ。これは、シュークルトと言ってね、こちらは肉のシュークルト、こっちは魚のシュークルトだ」
「何だか、思ってた料理とは違うのが出て来たっす」
「そうかい?」
「こう、ライム先輩にぴったりなお洒落な料理がちょびっとずつ出て来ると思ってましたけど、いい意味で裏切られたっす!」
タイスケは嬉しそうだ。固かった口も美味しそうな料理を前によく回る様になって来たのか、すっかりいつも通りだ。
「肉の方は、豚脛肉、ソーセージ、ベーコンと馬鈴薯、下には塩漬けして発酵させたキャベツが入っている。魚の方は鮭と鱈とムール貝で後は肉と同じだ。さあ、何方を食べるかい?」
ライム先輩とタイスケとアーロンは肉、イチロウは魚を選んだ。
「僕、このお料理凄く好きです」
「そうかい?」
「はい。この脛肉の煮込まれてほろほろっとした感じと、よく味の染み込んだ馬鈴薯、それに少し酸っぱいキャベツとの取り合わせが何とも言えません」
「おいらはソーセージとベーコンが美味いっす」
「うん、分厚いベーコンが煮込まれて柔らかくなっているのも美味しいよね!」
とアーロンとタイスケが盛り上がっている中、イチロウはにこにこしながら黙ってゆっくりと魚のシュークルトを味わっている。ライム先輩はそんな後輩達の様子を満足気に見ていた。その後、アーロンとタイスケは魚の方も味見し、やっぱり肉の方が好きだと意見が合い、もう一回お代わりしてライム先輩を驚かせた。
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