抱かれてみたい

小桃沢ももみ

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ライム先輩との冬

兄達のいちゃいちゃ

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 アーロンは自室でケビンと食事をとっていた。
 先程体温を測ったら平熱で、リバーから明日は普通に登校して良いと許可を得たので安心だ。
 でも頭の中はぽわぽわしている。さっきライム先輩に抱き付いた時の余韻が引かない。

 (何であんな事出来たのかな、僕。幾らライム先輩を安心させる為とはいえ、熱があった時ならともかく、もうすっかり元気だったのに。しかもあんな所で! 誰も居なかったから良いけど)

 「なあ、アーロン。俺が装ってやろうか?」
 「ううん」
 「自分で出来るのか?」
 「うん」
 「そっか」
 「じゃあ、俺のを装ってくれよ、ケビン」
 「えー、お前元気じゃん」

 アーロンとケビンが寝台に、リバーが椅子に座って、間には勉強机が置かれている。ケビンは相変わらずアーロンの世話をしようとするがもう元気なので断ったらリバーが割って入って来た。
 部屋の机と寝台はまだまだ進化して、机は三人分の料理が置ける大きさに広がっているし、寝台はソファの様な形に変形出来て高さも小柄なマーフィ兄弟が座り易くなっている。
 夕食は食堂だとコースだが、リバーが台車に乗せて運んで来てくれたので、全部一辺に机の上に並べられた。献立は蟹雑炊と茶碗蒸しと漬物と果物だった。病み上がりのアーロンに合わせて柔らかい物が主となっている。蟹雑炊は一人ずつ土鍋に入っていて、まだぐつぐつと煮えていた。

 「いやだってさあ、お前お世話したくて堪んない様だから」
 「それは可愛い弟の為だから」
 「たまには俺に優しくしてもいいと思うぞ」
 「えー、やだね」

 アーロンは隣でいちゃいちゃしている、兄と教師をじいっと観察しながら夕食をとっていた。頭がすっきりしてきた今だから思う。これはいちゃついている以外の何物でもない。何で毎回二人揃ってアーロンの部屋に来るのかと。

 (リバー先生来るなら兄上いらないじゃん。まあ兄上が来てくれるのは嬉しいけどさー)

 「どうした? アーロン大人しいな。まだ具合悪いのか?」
 「ううん」
 「あ、そうだ。アーロン、ジェフから預かって来たぞ!」

 とケビンはマントの内側に手を突っ込むともぞもぞとライム先輩からの契約書を取り出した。アーロンはリバーの前で出さなくてもと不満に思ったが礼を言って受け取る。
 早くリバーに見えない所にしまおうと思ったが、頭側にアーロンが座っていて、その隣にケビンが居るので、机か棚のある方へ行くにはリバーの後ろを通らないと行けない。しかも狭い部屋を目一杯使っているので、リバーの後ろを通るのは無理だ。布団はケビンが寝台の下にしまってくれた。同様に枕は机のあった場所に残されている引き出し部分の上に置かれていて、海豚の抱き枕だけがアーロンの横にちょこんと置かれている。
 仕方無くアーロンは海豚の下にそっと隠した。だが、リバーは見て見て見ぬ振りはしてくれなかった。

 「ジェフから? 何だ?」
 「お前には関係無いから」
 「いやだってさあ、こんな狭い部屋、目の前でやり取りされたら気になるだろ?」
 「それを気付かぬ振りするのが貴族のマナーだろ」
 「おお? お前が貴族について語るのか?」
 「悪いかよ」

 ケビンと話すリバーは楽しそうだ。いつもは柄は悪いけど頼りになる先生って感じなのに、今のリバーは先生じゃ無いみたいだ。リバー先生ってこんな顔してたんだ、先生の顔してる時はすごい年上に見えたけど、兄上と話してるとそんなに上には見えないなあとまじまじとアーロンはリバーを見つめてしまった。

 「何だ、アーロン、リバーの顔にゴミでも付いてたか?」
 「ううん」
 「塵って何だお前」

 げらげら笑うリバーは本当に楽しそうだ。

 (兄上って今はリバー先生だけなのかな?)

 「そう言うお前の顔に塵が付いてるぞ」
 「え? 何処何処?」
 「此処だ」

 とリバーは手を伸ばすとケビンの口の横に付いていた米粒を取って自分の口に入れた。

 「ちょ! お前何やってんだよ」

 ケビンが慌てて気まずそうにアーロンの様子を伺う。アーロンは気付かぬ振りで茶碗蒸しに手を伸ばした。

 「おおお、さすがアーロン。兄と違って出来てんな。これが貴族だよ」
 「いや、お前子供に気を遣わせんなよー」

 やっぱりいちゃいちゃしているとしか思えない二人に呆れながら、自分はこうならない様にしようとアーロンは心に決めた。
 
 
 

 

 
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