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試練と覚醒
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永久banされるという理不尽な通告をエレウスから受け、オレはショックと怒りのあまり声を発することが出来なかった。
頭の中では何度も何度も「聞いていないぞ!」と繰り返し叫び続けていた。
「今言ったよ。リスクなしに栄光を掴もうだなんて甘いにもほどがあるぜ? ちなみに新クラス名は『無職』です」
「無職ってなに?」
オレは慌ててステータスを表示させると、クラス名の他、スキルや各種ステータス値を確認する。
スキル無し。各種ステータス値はいずれも最低値。
はて? これは何の冗談なのだろうか? あまりに酷いステータスを前にオレは一瞬意識が遠のいてしまった。
「シュウト君にはこれからイアンカムス誕生以来、史上類を見ない最弱最低辺のクラス『無職』でゲームをプレイしてもらうよ」
「ちょっと待て! 試験に不合格の場合、デバッカー用のアカウントを消去するのは当然としても、オレの個人用アカウントまで消すのは横暴が過ぎるんじゃないか⁉ しかもこの『無職』のクラスって何の冗談なんだ⁉ こんなのゴブリンすら倒せないだろうが⁉」
オレは必死に抗議の声を上げた。
「契約書にちゃんと書かれていたはずだ。ちゃんと確認しなかった君が悪い」
「そんな……!」
そんな契約書、まともに読む奴なんていないだろう。でもエレウスは間違ったことは言っていない。その正論に反論できる材料をオレは何一つ持ち合わせてはいなかった。
「それと、話はまだ終わっていないよ。君の反論は話の後でちゃんと聞いてあげるから」
オレはエレウスにそう促され、黙って話を最後まで聞くことにした。
「ゲームをプレイするにあたって幾つか条件がある。まずはソロプレイを徹底すること。次にクエストを受けての経験値の取得は認められない。バトルのみでレベルを上げること」
それはそれでハードルは上がるが、元々ソロプレイ以外するつもりはなかったので何の問題もない。だが、クエスト受注まで禁止されては少々先行きが不安に思えた。イアンカムスのゲーム内では、初心者がレベルを上げるには冒険者ギルドの初心者クエストをクリアするのが最も手っ取り早い方法だったからだ。
「最後に戦闘で死亡した場合は即座に失格となる。その際も永久banになるから気をつけるように。コンティニューは無いからそのつもりで」
エレウスは最後に「以上」と付け加え、オレを見て柔和な笑みを浮かべた。
オレは最後まで話を聞き、頭の中が真っ白になった。一週間でレベルを100まであげるのもほぼ不可能だというのに、ここまで制限をつけられては絶望的な状況だ。何の希望もない。もしかしてエレウスはオレを弄んで楽しみたいだけなのか?
「それはない。そんな風に思われるのは心外だ。流石のボクも少々落ち込むぜ?」
オレの心の声に反応し、エレウスは即座に答えた。その語気にちょっとだけ怒気が含まれているように感じられた。
「あと、シュウト君はまともに契約書を読んでいないようだから教えておいてあげるよ。試験に合格したら君に支払われる報酬のことだけれども、何でも願い事を3つだけ叶えてあげる」
「3つ? 1つじゃなくて?」
何気に豪勢だと思った。1億円寄越せと言えば本当に貰えるのだろうか?
「はあ? たったの1億円ぽっちを君は願うのかい? 君は無欲だねぇ。それとも君はボクを見くびっているのかな? その程度のはした金なら今からでも進呈してあげるよ?」
どうやらまたオレの心の声を聞いたようだ。エレウスは心底呆れかえったようにそう言って深く嘆息する。
「まず君の一番の願いはプロゲーマーになることだろう? それは願うまでもなく結果的に叶ってしまうだろう。だって全ての試練が終わった後、シュウト君はイアンカムス最強のプレイヤーになっているだろうからね」
「そうなのか⁉」
もしその話が本当なら俄然やる気が出て来たぞ。でも、それはどういうことだろうか?
「女神様はね、越えられない試練を勇者には与えないんだ。ボクはきっとシュウト君がこの試練を乗り越えてくれるのを信じているよ」
ハイリスク超リターンだ。契約を交わしてしまった以上、もう後戻りは出来ない。なら、オレに出来るのは最後まで足掻くこと。現実世界で死なずに足掻き続けて来たのはきっとこの日が来るのを待っていたからだ。今ならそう思う。
とにかく今のオレが運命の岐路に立たされていることだけは理解出来た。成功すれば栄光が、失敗すれば再びどん底に叩き落される。機会をもらっただけでもオレは幸運なのだろう。失うものが無いオレに恐れるものはなかった。迷いはこの時点で捨てた。
「さっきは弱音を吐いてすまない。話が済んだなら試験を開始してくれ。覚悟は出来たから」
オレは真剣な眼差しでエレウスを見つめた。
「分かった。ならばシュウト君、頑張って試験をクリアしてくれたまえ。なお、試験期間内はその部屋を自由に使ってもらって構わないからね」
「衣食住の心配をしなくていいのは助かる。ありがとう、エレウス。恩に着る」
オレは目を細めながら微笑を浮かべた。それが一年ぶりの笑みだだということに、この時のオレは気づかなかった。
「ならば試験を開始しよう。何か分からないことがあったらいつでもボクを呼んでくれ。可能な限り君の力になることを約束しよう」
「大丈夫。オレは誰の力も借りずにこの試練を乗り越えて見せるさ」
「では健闘を祈る。また会おう、我が友よ」
エレウスがそう呟いた瞬間、オレは眩い光に包まれた。
光が消えると、オレは森の中に佇んでいた。そこは初心者の森と呼ばれるモンスターの狩場だった。
「さあ、とっととモンスターを倒してレベルを上げるとするか」
オレはステータスを開き、武器を装備することにした。武器や防具は装備しないと意味が無いぜ、という街のNPCの声が頭の中に響いたような気がした。
「さて、初期装備は何があるのかな?」
冒険者の服はあるとして、さしずめショートソードとウッドシールドくらいはあるだろう。ぶっちゃけ初心者の森に出るモンスターが最弱とはいえ、ソロでしかもレベル1のプレイヤーがそれらの装備も無しに生き抜けるほど甘いものではなかった。
しかし、オレは再度絶望の淵に立たされることになる。何故なら、アイテム欄には初期装備どころかポーションの一つも無かったのだから。
唯一あるのは、今装備している冒険者の服のみだった。
「装備が冒険者の服以外何もないじゃないか⁉」
早速、オレはエレウスの名を叫んだ。
「エレウス! ちょっと出てこい!」
「おやおや、短いお別れだったね? 流石に寂しがり屋がすぎるんじゃないかな?」
頭の中に茶化すようなエレウスの声だけが響いて来る。
「初期装備が冒険者の服だけってどういう了見だよ⁉ 流石に素手ではゴブリン一匹すら倒せないぞ⁉」
「それも試験の内だから自分で何とかおしよ。ボクに言えるのはそれだけさ。他に用事が無ければボクはこれで失敬させてもらうよ」
冷たく突き放すようなエレウスの声が聞こえた後、頭の中が急にしんと静まり返った。
「おい、エレウス! クソッ、返答がない。助けるつもりは毛頭ないってことか」
オレは再びステータス画面を開いた。あるのは空白状態のスキル欄に悲惨にも程がある各種最低値のステータスだった。だが一つだけ希望を見つけることに成功する。
「HPの値だけが異様に高いぞ」
アバターを作成すると、最初に様々なクラスを選択することが出来る。
それは戦士などの攻撃職であったり、魔法使いやヒーラーなどの魔法職であったり、鍛冶屋などの生産職だ。それぞれのクラスで初期ステータス値に違いは出て来るものの、HPの数値はどれも似たようなもの。だが、この無職のクラスのHPだけは通常のクラスの3倍程度は高く設定されていた。
「これなら何とかなるかもしれない」
初心者の森最弱のモンスターはゴブリンだ。ゴブリン相手に一対一の戦いに持ち込めれば何とか勝てる可能性も無くはない。だが、二匹以上は絶対に相手には出来ないだろう。
ここは慎重に単独行動を取っているゴブリンのみを標的にすることにした。
オレは森の中に入り、ゴブリンの姿を探した。
すぐにオレはモンスターの気配に気づき、咄嗟に茂みに隠れた。
草の隙間からそっと前方の状況を確認すると、一匹だけで行動するゴブリンを発見することが出来た。
これは幸先がいい。不意を突ければ先制攻撃をしかけることが出来る。
オレはそっと茂みから出ると、ゴブリンが背中を見せるのを待った。その機会はすぐに訪れる。
すぐにゴブリンが背中を見せた。オレはその隙を逃さず躍り出るとゴブリンに殴りかかった。
助走をつけオレは右拳を振りかぶり全力でゴブリンの背中を殴りつけた。
『3Pのダメージ』
と画面上に表示された。
不意をついての攻撃だというのにたったの3Pだって⁉ オレはたちまち戦慄する。
予想以上に無職の攻撃力は低かった。レベル1の戦士が初期装備でゴブリンを攻撃したら最低でも20P程度のダメージを与えることが出来る。不意打ちなら自動的にクリティカルヒット判定になり、その威力は倍近くにもなる。
ゴブリンのHPは45~50程度。あまりにも絶望的な現実がオレにのしかかった。
「とにかく攻撃をしなくては!」
オレは怯んだゴブリンにパンチを繰り出した。更に絶望的な状況がオレに襲い掛かる。
オレの攻撃は命中値が最低値である為、相手が回避行動をしなくても外れ判定になってしまったのだ。たまにヒットしてもわずかに1Pのダメージを与えるだけ。
間もなく態勢を整えたゴブリンによる無情な反撃が始まった。
ゴブリンはボロボロのショートソードでオレに斬りかかってくる。
攻撃は命中し、真っ赤なエフェクトがオレの視界に広がった。
「ちょっと待て。たったの一撃で3割以上もHPが削られたぞ⁉」
唯一の優位性であるHPの高さも無職には無意味だったみたいだ。ただ即死を免れただけだ。この後、連撃を食らえばそれで一巻のおしまい。敵を倒すまで食らいつくというオレの作戦は見事に破綻してしまった。
通常ならここで盾で攻撃を防いだりしてダメージはほとんど通らないはずだった。ゴブリンは言わば戦闘のチュートリアル的な存在だ。ここで武器や盾の使い方を覚える。ほとんどのプレイヤーは一時間もすればここでの戦闘に物足りなさを覚え、すぐに次のフィールドに移動するのが普通だ。だが、オレはその最初の戦闘で絶体絶命の危機に陥ってしまった。
ゴブリンは興奮した様子で二撃目の攻撃を繰り出してくる。
再び真っ赤なエフェクトが現れオレの視界は激しく振動した。
この攻撃で4割ものHPが削られてしまった。次の攻撃を食らえば間違いなくオレのアバターは文字通り死亡する。
オレはここで終わってしまうのか? 一週間どころか試験が始まって10分も経過していないぞ。
目の前が真っ暗になり、恐怖と絶望がのしかかってくる。
ゴブリンはオレが怖気ついているのが分かったのか、ニタリと口の両端を吊り上げて歪な笑みをこぼした。
殺される!
そう思った瞬間、オレはゴブリンに背中を向けて脱兎のごとく駆け出していた。
しかし、オレの逃走劇は束の間に終わる。
気づけば周囲を5体のゴブリンに囲まれていたからだ。
ゴブリン達はボロボロのショートソードを身構えながら包囲を狭めるようにオレににじり寄って来た。奴らが一歩近づくごとにオレも後ずさる。だが、すぐに木に阻まれオレは逃げることすら出来なくなった。
焦るオレにゴブリン達が迫りくる。ダメージの自然回復は未だに1%も回復していない。後一撃食らえばオレのアカウントは消滅する運命にある。それと同時に人生が終わる。イアンカムスから永久banされてしまったオレにはもう生きる希望も価値もなくなる。それは実質上の死と同義だ。
「死にたくない! お願いだ、殺さないでくれ!」
オレは惨めにもゴブリンに対して悲鳴にも似た命乞いの叫びを上げた。きっと現実世界のオレは惨めに泣きじゃくっていることだろう。
その時である。突然、目の前のゴブリンの頭に矢が突き刺さった。そのゴブリンは一撃で消滅する。
雄たけびと共に複数の人影が躍り出て来る。一般プレイヤーのパーティーだった。
彼等は瞬く間にゴブリン達を殲滅すると、地面に落ちた魔石を拾い上げた。それはモンスター討伐の証明になるアイテムでハンターギルドに持っていけば換金したりすることが出来る。
助かった。オレは地面にへたり込みながら深く嘆息した。
ありがとうと彼等に感謝の言葉を述べようと目線を向けると、オレの目に飛び込んできたのは彼等の苦笑いだった。
「おい、あんた。見たところ初心者みたいだけれどもさ、いくらなんでも怯えすぎでしょ? たかがゲームにそれは無いわ」
憐みの眼差しがオレの胸を突き刺した。
「あまりに悲痛な叫び声を上げるもんだから何があったかと駆けつけてみれば、たかがゴブリン相手に殺されそうになっていただけって、マジウケるんですけど」
冷笑塗れのその言葉がオレの耳の中で木霊する。
「怖いならさっさとログアウトしてゲーム実況の動画でも見てた方がいいよ。あんた、ゲームのセンスが無さすぎるから」
それはオレにとって死ねと言っているのと同義だ。気遣いの言葉は罵声に変換されオレの頭の中で何度も繰り返し再生された。
最後に彼等は一瞬だけオレに振り返るとボソッと呟いた。
「あいつ、まるで豚ゴブリンみたいだよな? あんな化け物みたいなアバター、初めて見るぜ」
彼等はブハッと噴き出すと、嗤いながらこの場を立ち去って行った。
残されたオレはただ放心状態で座り込み彼等の後ろ姿をただ見送った。
「ふざけるな……!」
魂の奥底からマグマでも噴き出して来たような怒りが込み上げて来た。
しかし、それはオレを侮辱した彼等に対してではない。彼等にそう言わせたオレの不甲斐なさに対して怒りが込み上げてきたのだ。
もうどうなろうと構わない。例え永久banされようともこんな屈辱を味わわされるくらいなら死んだ方がマシだ。進むも退くも死が待っているなら、オレは前のめりになって死にたい。
「オレのクソったれがああああああああ!」
オレは慟哭めいた咆哮を発した。もうゴブリンの群れが現れても逃げることはしない。戦って死んでやる。
そう半ばヤケクソになった時だった。
オレの目の前にメッセージ画面が現れた。
『新たなスキルが解放されました』
「新たなスキル? いきなりどうしてスキルが解放されたんだ?」
訳が分からないが、どうやらオレはスキル解放の条件を満たしたみたいだ。
とにかくオレは新たにゲットしたスキルを確認する。
『狂戦士〈バーサーカー〉レベル1』
それが無職のオレが初めてゲットしたスキルだった。しかし、何故かスキルの説明文らしきものは見当たらなかった。特性が分からない以上、おいそれと使う訳にもいかない。万が一にも自爆スキルだったら目も当てられない。使用した時点でオレはゲームと人生を詰んでしまうことになるのだから。
すると、後方よりモンスターの気配を感じた。
振り返ると、そこにはゴブリンの群れが見えた。まだこちらに気づいている様子はない。逃げるなら今がチャンスだ。
「逃げるなんて選択肢はオレには無い」
そう呟き、オレは狂戦士〈バーサーカー〉レベル1のスキルをタップする。
「死ぬならこのスキルを試してから死んでやる!」
次の瞬間、オレは溺れたような感覚に陥り意識が混濁した。抑えきれない破壊衝動と憤怒の感情が込み上げてくるのが分かった。オレはそれらの感情を制御する術を知らなかった。まるでオレの中にいる別人に自分の身体が乗っ取られるような感覚を味わった。
四肢が引き裂かれるような痛みを感じた。骨が砕け、肉が裂け、足が折れる感触を味わってもオレの意識は元に戻らなかった。視界が闇に包まれ何が起きているのか確認することは出来ない。まるで嵐の中に放り込まれたような錯覚を味わっていた。
それからしばらくして、ようやく混濁した意識は元に戻りオレは我に返った。
「いったい、何が起きたんだ……?」
オレの目の前には焦土と化した初心者の森の一部と、足元にはモンスターの討伐証明となる魔石がそこら中に散乱している光景だった。
その時、レベルアップのメッセージ画面が現れる。
『レベルがアップしました』×20
気づけばオレのレベルはいつの間にかレベル20に到達していたのだった。
頭の中では何度も何度も「聞いていないぞ!」と繰り返し叫び続けていた。
「今言ったよ。リスクなしに栄光を掴もうだなんて甘いにもほどがあるぜ? ちなみに新クラス名は『無職』です」
「無職ってなに?」
オレは慌ててステータスを表示させると、クラス名の他、スキルや各種ステータス値を確認する。
スキル無し。各種ステータス値はいずれも最低値。
はて? これは何の冗談なのだろうか? あまりに酷いステータスを前にオレは一瞬意識が遠のいてしまった。
「シュウト君にはこれからイアンカムス誕生以来、史上類を見ない最弱最低辺のクラス『無職』でゲームをプレイしてもらうよ」
「ちょっと待て! 試験に不合格の場合、デバッカー用のアカウントを消去するのは当然としても、オレの個人用アカウントまで消すのは横暴が過ぎるんじゃないか⁉ しかもこの『無職』のクラスって何の冗談なんだ⁉ こんなのゴブリンすら倒せないだろうが⁉」
オレは必死に抗議の声を上げた。
「契約書にちゃんと書かれていたはずだ。ちゃんと確認しなかった君が悪い」
「そんな……!」
そんな契約書、まともに読む奴なんていないだろう。でもエレウスは間違ったことは言っていない。その正論に反論できる材料をオレは何一つ持ち合わせてはいなかった。
「それと、話はまだ終わっていないよ。君の反論は話の後でちゃんと聞いてあげるから」
オレはエレウスにそう促され、黙って話を最後まで聞くことにした。
「ゲームをプレイするにあたって幾つか条件がある。まずはソロプレイを徹底すること。次にクエストを受けての経験値の取得は認められない。バトルのみでレベルを上げること」
それはそれでハードルは上がるが、元々ソロプレイ以外するつもりはなかったので何の問題もない。だが、クエスト受注まで禁止されては少々先行きが不安に思えた。イアンカムスのゲーム内では、初心者がレベルを上げるには冒険者ギルドの初心者クエストをクリアするのが最も手っ取り早い方法だったからだ。
「最後に戦闘で死亡した場合は即座に失格となる。その際も永久banになるから気をつけるように。コンティニューは無いからそのつもりで」
エレウスは最後に「以上」と付け加え、オレを見て柔和な笑みを浮かべた。
オレは最後まで話を聞き、頭の中が真っ白になった。一週間でレベルを100まであげるのもほぼ不可能だというのに、ここまで制限をつけられては絶望的な状況だ。何の希望もない。もしかしてエレウスはオレを弄んで楽しみたいだけなのか?
「それはない。そんな風に思われるのは心外だ。流石のボクも少々落ち込むぜ?」
オレの心の声に反応し、エレウスは即座に答えた。その語気にちょっとだけ怒気が含まれているように感じられた。
「あと、シュウト君はまともに契約書を読んでいないようだから教えておいてあげるよ。試験に合格したら君に支払われる報酬のことだけれども、何でも願い事を3つだけ叶えてあげる」
「3つ? 1つじゃなくて?」
何気に豪勢だと思った。1億円寄越せと言えば本当に貰えるのだろうか?
「はあ? たったの1億円ぽっちを君は願うのかい? 君は無欲だねぇ。それとも君はボクを見くびっているのかな? その程度のはした金なら今からでも進呈してあげるよ?」
どうやらまたオレの心の声を聞いたようだ。エレウスは心底呆れかえったようにそう言って深く嘆息する。
「まず君の一番の願いはプロゲーマーになることだろう? それは願うまでもなく結果的に叶ってしまうだろう。だって全ての試練が終わった後、シュウト君はイアンカムス最強のプレイヤーになっているだろうからね」
「そうなのか⁉」
もしその話が本当なら俄然やる気が出て来たぞ。でも、それはどういうことだろうか?
「女神様はね、越えられない試練を勇者には与えないんだ。ボクはきっとシュウト君がこの試練を乗り越えてくれるのを信じているよ」
ハイリスク超リターンだ。契約を交わしてしまった以上、もう後戻りは出来ない。なら、オレに出来るのは最後まで足掻くこと。現実世界で死なずに足掻き続けて来たのはきっとこの日が来るのを待っていたからだ。今ならそう思う。
とにかく今のオレが運命の岐路に立たされていることだけは理解出来た。成功すれば栄光が、失敗すれば再びどん底に叩き落される。機会をもらっただけでもオレは幸運なのだろう。失うものが無いオレに恐れるものはなかった。迷いはこの時点で捨てた。
「さっきは弱音を吐いてすまない。話が済んだなら試験を開始してくれ。覚悟は出来たから」
オレは真剣な眼差しでエレウスを見つめた。
「分かった。ならばシュウト君、頑張って試験をクリアしてくれたまえ。なお、試験期間内はその部屋を自由に使ってもらって構わないからね」
「衣食住の心配をしなくていいのは助かる。ありがとう、エレウス。恩に着る」
オレは目を細めながら微笑を浮かべた。それが一年ぶりの笑みだだということに、この時のオレは気づかなかった。
「ならば試験を開始しよう。何か分からないことがあったらいつでもボクを呼んでくれ。可能な限り君の力になることを約束しよう」
「大丈夫。オレは誰の力も借りずにこの試練を乗り越えて見せるさ」
「では健闘を祈る。また会おう、我が友よ」
エレウスがそう呟いた瞬間、オレは眩い光に包まれた。
光が消えると、オレは森の中に佇んでいた。そこは初心者の森と呼ばれるモンスターの狩場だった。
「さあ、とっととモンスターを倒してレベルを上げるとするか」
オレはステータスを開き、武器を装備することにした。武器や防具は装備しないと意味が無いぜ、という街のNPCの声が頭の中に響いたような気がした。
「さて、初期装備は何があるのかな?」
冒険者の服はあるとして、さしずめショートソードとウッドシールドくらいはあるだろう。ぶっちゃけ初心者の森に出るモンスターが最弱とはいえ、ソロでしかもレベル1のプレイヤーがそれらの装備も無しに生き抜けるほど甘いものではなかった。
しかし、オレは再度絶望の淵に立たされることになる。何故なら、アイテム欄には初期装備どころかポーションの一つも無かったのだから。
唯一あるのは、今装備している冒険者の服のみだった。
「装備が冒険者の服以外何もないじゃないか⁉」
早速、オレはエレウスの名を叫んだ。
「エレウス! ちょっと出てこい!」
「おやおや、短いお別れだったね? 流石に寂しがり屋がすぎるんじゃないかな?」
頭の中に茶化すようなエレウスの声だけが響いて来る。
「初期装備が冒険者の服だけってどういう了見だよ⁉ 流石に素手ではゴブリン一匹すら倒せないぞ⁉」
「それも試験の内だから自分で何とかおしよ。ボクに言えるのはそれだけさ。他に用事が無ければボクはこれで失敬させてもらうよ」
冷たく突き放すようなエレウスの声が聞こえた後、頭の中が急にしんと静まり返った。
「おい、エレウス! クソッ、返答がない。助けるつもりは毛頭ないってことか」
オレは再びステータス画面を開いた。あるのは空白状態のスキル欄に悲惨にも程がある各種最低値のステータスだった。だが一つだけ希望を見つけることに成功する。
「HPの値だけが異様に高いぞ」
アバターを作成すると、最初に様々なクラスを選択することが出来る。
それは戦士などの攻撃職であったり、魔法使いやヒーラーなどの魔法職であったり、鍛冶屋などの生産職だ。それぞれのクラスで初期ステータス値に違いは出て来るものの、HPの数値はどれも似たようなもの。だが、この無職のクラスのHPだけは通常のクラスの3倍程度は高く設定されていた。
「これなら何とかなるかもしれない」
初心者の森最弱のモンスターはゴブリンだ。ゴブリン相手に一対一の戦いに持ち込めれば何とか勝てる可能性も無くはない。だが、二匹以上は絶対に相手には出来ないだろう。
ここは慎重に単独行動を取っているゴブリンのみを標的にすることにした。
オレは森の中に入り、ゴブリンの姿を探した。
すぐにオレはモンスターの気配に気づき、咄嗟に茂みに隠れた。
草の隙間からそっと前方の状況を確認すると、一匹だけで行動するゴブリンを発見することが出来た。
これは幸先がいい。不意を突ければ先制攻撃をしかけることが出来る。
オレはそっと茂みから出ると、ゴブリンが背中を見せるのを待った。その機会はすぐに訪れる。
すぐにゴブリンが背中を見せた。オレはその隙を逃さず躍り出るとゴブリンに殴りかかった。
助走をつけオレは右拳を振りかぶり全力でゴブリンの背中を殴りつけた。
『3Pのダメージ』
と画面上に表示された。
不意をついての攻撃だというのにたったの3Pだって⁉ オレはたちまち戦慄する。
予想以上に無職の攻撃力は低かった。レベル1の戦士が初期装備でゴブリンを攻撃したら最低でも20P程度のダメージを与えることが出来る。不意打ちなら自動的にクリティカルヒット判定になり、その威力は倍近くにもなる。
ゴブリンのHPは45~50程度。あまりにも絶望的な現実がオレにのしかかった。
「とにかく攻撃をしなくては!」
オレは怯んだゴブリンにパンチを繰り出した。更に絶望的な状況がオレに襲い掛かる。
オレの攻撃は命中値が最低値である為、相手が回避行動をしなくても外れ判定になってしまったのだ。たまにヒットしてもわずかに1Pのダメージを与えるだけ。
間もなく態勢を整えたゴブリンによる無情な反撃が始まった。
ゴブリンはボロボロのショートソードでオレに斬りかかってくる。
攻撃は命中し、真っ赤なエフェクトがオレの視界に広がった。
「ちょっと待て。たったの一撃で3割以上もHPが削られたぞ⁉」
唯一の優位性であるHPの高さも無職には無意味だったみたいだ。ただ即死を免れただけだ。この後、連撃を食らえばそれで一巻のおしまい。敵を倒すまで食らいつくというオレの作戦は見事に破綻してしまった。
通常ならここで盾で攻撃を防いだりしてダメージはほとんど通らないはずだった。ゴブリンは言わば戦闘のチュートリアル的な存在だ。ここで武器や盾の使い方を覚える。ほとんどのプレイヤーは一時間もすればここでの戦闘に物足りなさを覚え、すぐに次のフィールドに移動するのが普通だ。だが、オレはその最初の戦闘で絶体絶命の危機に陥ってしまった。
ゴブリンは興奮した様子で二撃目の攻撃を繰り出してくる。
再び真っ赤なエフェクトが現れオレの視界は激しく振動した。
この攻撃で4割ものHPが削られてしまった。次の攻撃を食らえば間違いなくオレのアバターは文字通り死亡する。
オレはここで終わってしまうのか? 一週間どころか試験が始まって10分も経過していないぞ。
目の前が真っ暗になり、恐怖と絶望がのしかかってくる。
ゴブリンはオレが怖気ついているのが分かったのか、ニタリと口の両端を吊り上げて歪な笑みをこぼした。
殺される!
そう思った瞬間、オレはゴブリンに背中を向けて脱兎のごとく駆け出していた。
しかし、オレの逃走劇は束の間に終わる。
気づけば周囲を5体のゴブリンに囲まれていたからだ。
ゴブリン達はボロボロのショートソードを身構えながら包囲を狭めるようにオレににじり寄って来た。奴らが一歩近づくごとにオレも後ずさる。だが、すぐに木に阻まれオレは逃げることすら出来なくなった。
焦るオレにゴブリン達が迫りくる。ダメージの自然回復は未だに1%も回復していない。後一撃食らえばオレのアカウントは消滅する運命にある。それと同時に人生が終わる。イアンカムスから永久banされてしまったオレにはもう生きる希望も価値もなくなる。それは実質上の死と同義だ。
「死にたくない! お願いだ、殺さないでくれ!」
オレは惨めにもゴブリンに対して悲鳴にも似た命乞いの叫びを上げた。きっと現実世界のオレは惨めに泣きじゃくっていることだろう。
その時である。突然、目の前のゴブリンの頭に矢が突き刺さった。そのゴブリンは一撃で消滅する。
雄たけびと共に複数の人影が躍り出て来る。一般プレイヤーのパーティーだった。
彼等は瞬く間にゴブリン達を殲滅すると、地面に落ちた魔石を拾い上げた。それはモンスター討伐の証明になるアイテムでハンターギルドに持っていけば換金したりすることが出来る。
助かった。オレは地面にへたり込みながら深く嘆息した。
ありがとうと彼等に感謝の言葉を述べようと目線を向けると、オレの目に飛び込んできたのは彼等の苦笑いだった。
「おい、あんた。見たところ初心者みたいだけれどもさ、いくらなんでも怯えすぎでしょ? たかがゲームにそれは無いわ」
憐みの眼差しがオレの胸を突き刺した。
「あまりに悲痛な叫び声を上げるもんだから何があったかと駆けつけてみれば、たかがゴブリン相手に殺されそうになっていただけって、マジウケるんですけど」
冷笑塗れのその言葉がオレの耳の中で木霊する。
「怖いならさっさとログアウトしてゲーム実況の動画でも見てた方がいいよ。あんた、ゲームのセンスが無さすぎるから」
それはオレにとって死ねと言っているのと同義だ。気遣いの言葉は罵声に変換されオレの頭の中で何度も繰り返し再生された。
最後に彼等は一瞬だけオレに振り返るとボソッと呟いた。
「あいつ、まるで豚ゴブリンみたいだよな? あんな化け物みたいなアバター、初めて見るぜ」
彼等はブハッと噴き出すと、嗤いながらこの場を立ち去って行った。
残されたオレはただ放心状態で座り込み彼等の後ろ姿をただ見送った。
「ふざけるな……!」
魂の奥底からマグマでも噴き出して来たような怒りが込み上げて来た。
しかし、それはオレを侮辱した彼等に対してではない。彼等にそう言わせたオレの不甲斐なさに対して怒りが込み上げてきたのだ。
もうどうなろうと構わない。例え永久banされようともこんな屈辱を味わわされるくらいなら死んだ方がマシだ。進むも退くも死が待っているなら、オレは前のめりになって死にたい。
「オレのクソったれがああああああああ!」
オレは慟哭めいた咆哮を発した。もうゴブリンの群れが現れても逃げることはしない。戦って死んでやる。
そう半ばヤケクソになった時だった。
オレの目の前にメッセージ画面が現れた。
『新たなスキルが解放されました』
「新たなスキル? いきなりどうしてスキルが解放されたんだ?」
訳が分からないが、どうやらオレはスキル解放の条件を満たしたみたいだ。
とにかくオレは新たにゲットしたスキルを確認する。
『狂戦士〈バーサーカー〉レベル1』
それが無職のオレが初めてゲットしたスキルだった。しかし、何故かスキルの説明文らしきものは見当たらなかった。特性が分からない以上、おいそれと使う訳にもいかない。万が一にも自爆スキルだったら目も当てられない。使用した時点でオレはゲームと人生を詰んでしまうことになるのだから。
すると、後方よりモンスターの気配を感じた。
振り返ると、そこにはゴブリンの群れが見えた。まだこちらに気づいている様子はない。逃げるなら今がチャンスだ。
「逃げるなんて選択肢はオレには無い」
そう呟き、オレは狂戦士〈バーサーカー〉レベル1のスキルをタップする。
「死ぬならこのスキルを試してから死んでやる!」
次の瞬間、オレは溺れたような感覚に陥り意識が混濁した。抑えきれない破壊衝動と憤怒の感情が込み上げてくるのが分かった。オレはそれらの感情を制御する術を知らなかった。まるでオレの中にいる別人に自分の身体が乗っ取られるような感覚を味わった。
四肢が引き裂かれるような痛みを感じた。骨が砕け、肉が裂け、足が折れる感触を味わってもオレの意識は元に戻らなかった。視界が闇に包まれ何が起きているのか確認することは出来ない。まるで嵐の中に放り込まれたような錯覚を味わっていた。
それからしばらくして、ようやく混濁した意識は元に戻りオレは我に返った。
「いったい、何が起きたんだ……?」
オレの目の前には焦土と化した初心者の森の一部と、足元にはモンスターの討伐証明となる魔石がそこら中に散乱している光景だった。
その時、レベルアップのメッセージ画面が現れる。
『レベルがアップしました』×20
気づけばオレのレベルはいつの間にかレベル20に到達していたのだった。
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