役立たずの女に用はないと言われて追放されましたが、その後王国は大変なことになっているようです

睡蓮

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第4話

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――それから1か月ほど経過して――

「ぐぬぬ…。レンティウスのやつ、いつまでアリエスの事をかくまうつもりだ…。これではいつまでたっても膠着状態から変わらないではないか…!」

自室で独り言をつぶやきながら、ローレントはいら立ちを隠せない。
それもそのはず、王子である自分がアリエスの身を差し出すよう命を下してから早1か月の時が経過していようというのに、いまだ何の動きもないからだ。

「僕に逆らうような教皇になど、厳しい罰を与えてやってもいいのだが…。しかしそれでは、人々から大きな人気を持っているレンティウスと対立関係になってしまう…。そんなことになってしまったら、人々は僕の事を快くは思わないことだろう…。これは一体どうしたものか…」

ローレントの分析通り、レンティウス教皇はその整ったルックスと温かい人柄から、一般の人々から非常に大きな人気を集めており、そんな彼と対立することはローレントにとっても懸命と言える判断ではなかった。

「これではますますアリエスにとって好都合になっていくばかり…。一方でこのまま手をこまねいていたら、僕はリーリアから愛想を尽かされかねない…。それだけはなんとしても回避しなければならない…」

この状況においてローレントが最も恐れていることはそれであった。
それもそのはず、そもそも彼はリーリアに夢中になっているからこそ、聖女としてのアリエスの力を利用しようと考え、今回もまたリーリアの望みをかなえる形でアリエスに追撃を行おうとしているのだから。

「…しかし、それを恐れてこのままなにもしないわけにもいかない…。レンティウス教皇と対立しない形でアリエスの身を引き渡させる方法を、何か考えなければ…」
「失礼します、ローレント様」
「なっ!?リーリア!?」

頭を抱えていたローレントのもとに、突然にしてリーリアがその姿を現した。
普段なら彼女の出現を心から喜ぶローレントであるものの、今日ばかりは少し驚きの感情がうれしさを上回ってしまっている様子。

「きゅ、急にどうしたんだい?」
「急もなにも…。ローレント様、例のお話はどうなっているのですか?」
「れ、例というと…?」
「ほかでもない、アリエスの事ですよ。あれからなにか進展はあったのですか?」

やはりその事か、という表情をローレントは浮かべる。
たった今その事を考えていたところではあるものの、彼女を満足させれるほどの進展はなに一つありはしないため、一体どうしたものかと言葉を考え始める…。

「(こ、ここで事実をありのまま話してしまったら、それこそ僕は嫌われてしまうかもしれない…。なんとかばれない程度の嘘をついてごまかすしかないか…)」

そう決心したローレントは、きわめて自然を演じながらリーリアに対してこう言葉を発した。

「大丈夫だともリーリア、たった今君に報告をしようとしていたところだったんだ」
「報告??」
「あぁ。僕の命に従うそぶりを見せないレンティウス教皇だが、ついに僕の言葉を受け入れさせることに成功した。これでもうアリエスに逃げ場はない。すぐにでも彼女は君のもとにその姿を現すことになるだろう。許しを請うためにね」
「まぁ、私が知らない間にそこまで話がすすんでいただなんて!!」

ローレントからの話を聞き、リーリアは目に見えて嬉しそうな表情を浮かべる。

「(彼女には聖女の力があるというから、早く始末してしまいたいと思っていたんだもの。予想以上に時間がかかってしまったけれど、手遅れになる前に済みそうでよかったわぁ)」

あくまでその動機にあるのは、個人的な恨みや妬みなどではなく、王子の愛人である自分の立場を脅かしてしまうかもしれない者を早めにどかせておきたいというもの。
それゆえ、どのような形でアリエスがその力を失うことになるかまでは、あまる興味を持っていなかった。
聖女の力さえ封じることができるなら、何でもいいと思っていた。

「それじゃあもう、私たちの関係を邪魔する者はもうどこにもいないということですね!私たちは堂々と、真実の愛を胸を張って受け止められるわけですね!」
「あぁ、そうだとも!リーリア、僕もこうして君との愛を確かなものとすることができて、本当にうれしく思っている!」

リーリアの言葉に呼応する形で、彼女に負けず劣らずのうれしそうな表情を浮かべてみせるローレント。
しかし、その内心は決して穏やかなものではなく…。

「(こ、ここまで言ってしまったらもう後には引けない…。多少強引な形をとってでも、無茶な方法を選んででも、アリエスの事をここまで連れてこなければ…。教皇と対立することになっても致し方ない、最終的に僕らが勝利すれば何でもいいのだから…)」

リーリアの手前、もう手をこまねいてはいられなくなってしまったローレント。
教皇と対立することさえもいとわないという決心をその心に抱くこととなってしまったが、それこそ彼が王子としての立場を失う道を決定づけるものとなるのだった…。
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