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第2話
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――アレス視点――
「(さて、あれほど強く言葉をかけたなら、今まで以上にこの僕に従うこととなるだろう。人間を従えるというのはこやはり簡単なことだとも♪)」
第一王子である以上、相手の心を掌握するというのは非常に重要な能力となる。
それが自らの婚約者であるというのなら、その影響はさらに大きなものであろう。
「(これで本当にイザベラがいなくなるはずがない。逆に言えば、今まで以上に僕に対して逆らえないような思いにさせることができたはずだ。クックック、ここまで思惑通りに事が運べるとなんだか笑い声が出てくるな…♪)」
イザベラが第一王子であるこの僕に逆らうことなどありえない。
それはつまり、どれだけ強く言葉をかけようとも彼女はここを出ていくことなどありえないということになる。
ゆえに、僕はどれだけ彼女の事を強く縛ろうとも僕の自由であり、誰からの影響を受けることもなくイザベラの心を自分の思惑通りに操ることが可能なのだ。
「(婚約相手の心を自分の好き勝手に操る、男にとってこれほど至上の喜びと言えるものはないだろう。これから先もイザベラの心を縛り続けることで、彼女は僕にとって非常に都合のいい存在となるのだ)」
イザベラは整った顔立ちをしており、容姿はそれなりに美人と言っていい部類である。
だからこそ僕の周りの連中も彼女との婚約をうらやましがっており、実際僕が手を出さなければ僕以外の相手との婚約が早急に決まっていた可能性が高かった。
本人はその事をまったく理解していない様子だったが、そんな人気のある彼女だからこそ、僕は自分の言う通りに動く人形のようにしてしまいたいのだ。
「(僕に完全に付き従っているイザベラの様子を見せつければ、他の者たちは僕の事を心の底からうらやんでくるだろう。その時こそ僕は本当の意味で第一王子としての羨望のまなざしを向けられることになるのだ…!)」
これから先の展望を頭の中で妄想しつつ、僕はその日の活動を終えることとした。
さて、この国に住まう全員から羨望のまなざしを向けられるためにも、明日からも頑張らなければな…♪
――翌日――
「アレス様!!!アレス様はいらっしゃいますか!!!」
朝っぱらからうるさいなぁ…。
たぶんこの声は僕の世話担当のクメールだろう。
いつもいつも大したことのない知らせで大声を出しては、僕の心を逆なでしてくる存在だ。
「なんだ、朝っぱらからみっともない。少しは落ち着いたらどうだ」
「アレス様!!大変なのです!!!」
僕の部屋の扉越しに大きな声を上げてくるクメール。
どうせ大したことではないだろうと確信を持っている僕は、クメールの勢いについていくつもりもない。
「じゃあさっさと言ってくれ。どうせ大したことではないんだろ…」
「イザベラ様のお姿がどこにも見られないのです!!!」
「…はぁ??」
…想定外の言葉をかけられたことで、僕は少しあっけにとられてしまう。
「ど、どういうことだ?」
「く、詳しくはわからないのです…。ただ、気づいた時にはどこにもイザベラのお姿が見られないのです…!アレス様、なにかお心あたりなどはありませんか?」
「……」
心当たりがないかと言われれば、大ありだ。
つい昨日、あんな会話を行ったばかりだからだ。
…それじゃあまさか、彼女はあの時の会話をそのまま現実に再現し、本当にいなくなったというのか…?
「アレス様?どうですか、アレス様?」
「……」
…ただ、その事を口にできるほど僕は負けを認めたくはなかった。
出ていきたいなら出て行けと言って本当に出ていかれるほど、間抜けな男はいない。
それを気にしているのならなおの事…。
これをそのままクメールに言ってしまったなら、僕の行いの全てが王宮中、ひいては国中に広まっていくこととなり、その全員から指をさされて笑われることになってしまいかねない…。
「こ、心当たりなどあるはずがないだろう。落ち着け、きっと少し散歩にでも出ているんだろう」
「し、しかしアレス様、今までこのような状況が一度もなかったわけですから、最悪の可能性を想定して動かれる方がいいかと思うのですが…」
「……」
普段はたいして役にも立たないくせに、こういうときだけは冷静で的確な言葉をかけてくる…。
しかし、今回ばかりはその的確な言葉に従うわけにはいかない。
「いいから落ち着け、大事にするんじゃない。こんなことが貴族家や他の王族に知られたりしたなら、大きな混乱をもたらすかもしれない。このことは絶対に表にするんじゃない」
「は、はい……」
混乱などどうでもいい。
しかしこのことを知られてしまっては、僕の思い描いていた誰からも羨望される理想の第一王子から大きく遠ざかってしまう。
それだけはなんとしても阻止しなければ…。
「(イザベラのやつ、まさかここまで本気だったとは…。これは絶対に内密に解決しなければ…)」
第一王子として、婚約前に婚約者に逃げられることほど哀れなことはない。
…こんな恥ずかしい事実、絶対に誰にも知られるわけにはいかないのだ…。
「(さて、あれほど強く言葉をかけたなら、今まで以上にこの僕に従うこととなるだろう。人間を従えるというのはこやはり簡単なことだとも♪)」
第一王子である以上、相手の心を掌握するというのは非常に重要な能力となる。
それが自らの婚約者であるというのなら、その影響はさらに大きなものであろう。
「(これで本当にイザベラがいなくなるはずがない。逆に言えば、今まで以上に僕に対して逆らえないような思いにさせることができたはずだ。クックック、ここまで思惑通りに事が運べるとなんだか笑い声が出てくるな…♪)」
イザベラが第一王子であるこの僕に逆らうことなどありえない。
それはつまり、どれだけ強く言葉をかけようとも彼女はここを出ていくことなどありえないということになる。
ゆえに、僕はどれだけ彼女の事を強く縛ろうとも僕の自由であり、誰からの影響を受けることもなくイザベラの心を自分の思惑通りに操ることが可能なのだ。
「(婚約相手の心を自分の好き勝手に操る、男にとってこれほど至上の喜びと言えるものはないだろう。これから先もイザベラの心を縛り続けることで、彼女は僕にとって非常に都合のいい存在となるのだ)」
イザベラは整った顔立ちをしており、容姿はそれなりに美人と言っていい部類である。
だからこそ僕の周りの連中も彼女との婚約をうらやましがっており、実際僕が手を出さなければ僕以外の相手との婚約が早急に決まっていた可能性が高かった。
本人はその事をまったく理解していない様子だったが、そんな人気のある彼女だからこそ、僕は自分の言う通りに動く人形のようにしてしまいたいのだ。
「(僕に完全に付き従っているイザベラの様子を見せつければ、他の者たちは僕の事を心の底からうらやんでくるだろう。その時こそ僕は本当の意味で第一王子としての羨望のまなざしを向けられることになるのだ…!)」
これから先の展望を頭の中で妄想しつつ、僕はその日の活動を終えることとした。
さて、この国に住まう全員から羨望のまなざしを向けられるためにも、明日からも頑張らなければな…♪
――翌日――
「アレス様!!!アレス様はいらっしゃいますか!!!」
朝っぱらからうるさいなぁ…。
たぶんこの声は僕の世話担当のクメールだろう。
いつもいつも大したことのない知らせで大声を出しては、僕の心を逆なでしてくる存在だ。
「なんだ、朝っぱらからみっともない。少しは落ち着いたらどうだ」
「アレス様!!大変なのです!!!」
僕の部屋の扉越しに大きな声を上げてくるクメール。
どうせ大したことではないだろうと確信を持っている僕は、クメールの勢いについていくつもりもない。
「じゃあさっさと言ってくれ。どうせ大したことではないんだろ…」
「イザベラ様のお姿がどこにも見られないのです!!!」
「…はぁ??」
…想定外の言葉をかけられたことで、僕は少しあっけにとられてしまう。
「ど、どういうことだ?」
「く、詳しくはわからないのです…。ただ、気づいた時にはどこにもイザベラのお姿が見られないのです…!アレス様、なにかお心あたりなどはありませんか?」
「……」
心当たりがないかと言われれば、大ありだ。
つい昨日、あんな会話を行ったばかりだからだ。
…それじゃあまさか、彼女はあの時の会話をそのまま現実に再現し、本当にいなくなったというのか…?
「アレス様?どうですか、アレス様?」
「……」
…ただ、その事を口にできるほど僕は負けを認めたくはなかった。
出ていきたいなら出て行けと言って本当に出ていかれるほど、間抜けな男はいない。
それを気にしているのならなおの事…。
これをそのままクメールに言ってしまったなら、僕の行いの全てが王宮中、ひいては国中に広まっていくこととなり、その全員から指をさされて笑われることになってしまいかねない…。
「こ、心当たりなどあるはずがないだろう。落ち着け、きっと少し散歩にでも出ているんだろう」
「し、しかしアレス様、今までこのような状況が一度もなかったわけですから、最悪の可能性を想定して動かれる方がいいかと思うのですが…」
「……」
普段はたいして役にも立たないくせに、こういうときだけは冷静で的確な言葉をかけてくる…。
しかし、今回ばかりはその的確な言葉に従うわけにはいかない。
「いいから落ち着け、大事にするんじゃない。こんなことが貴族家や他の王族に知られたりしたなら、大きな混乱をもたらすかもしれない。このことは絶対に表にするんじゃない」
「は、はい……」
混乱などどうでもいい。
しかしこのことを知られてしまっては、僕の思い描いていた誰からも羨望される理想の第一王子から大きく遠ざかってしまう。
それだけはなんとしても阻止しなければ…。
「(イザベラのやつ、まさかここまで本気だったとは…。これは絶対に内密に解決しなければ…)」
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…こんな恥ずかしい事実、絶対に誰にも知られるわけにはいかないのだ…。
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