妹の身代わり人生です。愛してくれた辺境伯の腕の中さえ妹のものになるようです。

桗梛葉 (たなは)

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第20 サポート役ですから…? 5

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私がわざとそのように誘導した状況ではなかったとしても、エディス様にとっては見下していた相手にしてやられたような状況なのだろう。

「私はでしゃばらずに大人しくしていらっしゃるよう、お伝えしたと思いますが!」

私が行った最後のフォローでさえ、エディス様のプライドを傷付けたのかもしれない。

エレンの立場を考えてあの時は私も分からないフリをした方がよかったのだろうか。でもそうなると、グラネルト伯爵家とヴァラハテール国の今の状況には気が付かなかった。

「貴女様はただリオネル様の手足として、求められたことだけをなさっていれば良いんです! 手足は勝手に動くものではございませんでしょう!? それ以上のことは誰も貴女に期待をしていないんですから!」

だけど、すごい表情でにらみ付けてくるエディス様のその言葉に、私は何も言い返せなかった。

話しかけられて答えただけで、出しゃばったつもりは少しもなかった。でも立ち去らずにこの場所へ止まり続けたのは私自身で、オルスクレームのお話しに加わることを決めたのも私だった。

なによりもリオネル様は私にテラスで待っているように言っていたのであって、それ以上のことは求められていない。

オルスクレームの入手から感じた違和感で、グラネルト伯爵家を探ったのも、ヴァラハテール国のことを聞き出したのもただの自己満足で私の勝手な行動だと自覚がある分だけ言葉を返しにくかった。

それに『誰も貴女に期待をしていない』その言葉にしても分かる気がするのだ。

だって私はリオネル様のケガを負った腕の代わりで。エレンの代わりで。私がここで頑張って何かを得たとしても、それさえもエレンのものになるのだ。
そう思ってしまえば、私自身も私に期待ができなくなりそうなのだから。

でもとりあえず今はそんな言葉を丁寧に拾い上げて、落ち込んでいる暇は私にはなかった。

落ち込むのはテラスにたどり着いてからにするとして、いまはどうにかエディス様の前から抜け出す方法を考え出す必要がある。だけど必死に策を練っていたことも、もう遅いようだった。

「まだここに居たのか。テラスに向かったが姿が見えなくて、少し焦ったぞ」

よく通るお声だった。その声の方向を確認すれば、ホッとした表情を浮かべたリオネル様がエディス様の背後からこちらの方へ向かってくる。

そのお声でさらに注目を浴びている事に気が付かないのか、それとも慣れていらっしゃるのか。招待客の間を大股で進んでくるリオネル様は、周りの視線を気にするような素振りが全くなかった。

声が聞こえた瞬間にエディス様の表情がスッと穏やかな笑みを浮かべたものに変わっていく。

「エディス嬢か、あれからずっと対応頂いていたのか?」

その切り替えの早さに呆気に取られていた私には、そばまでやってきたリオネル様からの質問にも、上手く言葉が出てこなかった。

「どうかしたのか?」

「リオネル様のお世話のためにいらっしゃったと思いますから、お勤めを頑張ってください、とお伝えしておりました」

そう言ってフワッと微笑む姿も様になっていて、思わず感心をしてしまう。

「確かに今日はサポートしてもらうために、相手を頂いてはいるが」

だけどそんな私の感動とはうらはらに、リオネル様の表情はどこか困ったようにも見えていた。
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