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「………変な人なら、もうここで散々絡まれましたわよ?」
「………は?」
「えー?こんな警備のしっかりした場所で絡むバカがいたのか?」
「それがいたのです………。王族を名乗るユーリクン ノブシルという方に、なぜか、挨拶にもこない無礼な婚約者扱いされまして。」
「は?ティーナは生まれた瞬間から、私の、私だけの婚約者なのに!?ブシデアの王族にカウントされないノブシルの分際で、婚約者扱いとはどういうことだ!元王族とも言えない、大量生産王子の分際で何をバカなことを!捻り潰して来ようか!」
「いや、ライ、ブチ切れるの早すぎ!気持ちはわかるし、俺もムカつくけど、ここはもう少し詳しい話を聞こう。いや、その前にドレス店と宝飾店だ。先に必要なものを購入して、サイズ調整を待つ間に、ゆっくり話を聞かせてもらおう。この王都で何かバカ対策をとってから国と領に帰った方が良いなら、1泊か2泊、滞在を伸ばしても良いしな。」
(え!ちょっとちょっと!別の場所でなんて困ります!いま!ここで!先に話を聞かせてくださいよ!学園記念サロン屋内広場横オープンカフェの座席を確保できた、昨日までのギャラリー一同談)
「以前シルビー伯爵家当主のアルティア伯母様の後夫候補の見合いに来て、辺境は怖いとすぐに逃げ帰った子爵家の3男坊がいたでしょう?」
「ああ、いたな。庭で見合い中に、ペットの妖狼の子供に戯れられて、泣き叫んで鼻水流しながら逃げ帰った奴が。」
「今は別のお相手と結婚されて、王都の外れの貧民街に住んでいるとか。彼の娘のアンリ嬢が言うには、私はその伯爵家当主夫妻の娘で、アンリ嬢を姉として敬わず無視する極悪非道な妹で、最近親から縁切りされ、平民になったそうですわ。」
「貧民街に住んでる子爵家の3男坊が、伯爵家当主?頭おかしいのか?」
「そうですわよねぇ。大方、(自称)王族のユーリクン ノブシルという男性と運命の出会いをしたと娘のアンリ嬢に報告を聞いて、このチャンスを逃すまいと考えたのでしょうね。娘に伯爵令嬢の振りをさせてまで、結婚まで持っていく計画を立てたのですから。ああ、結婚計画は無事昨日成功しておりましたわ」
「うむ。アンリという女の結婚の話は、そういう詐欺もあるから驚かないが、何故、そ奴らに私のティーナが絡まれるのだ?」
「図書館の利用サービス登録時にフルネームで名前を呼ばれた際に、突然婚約者がどうとか言われ、2週間に渡り絡まれ続けましたの。大声で騒ぐものですから、もう本当に煩くて困りましたが、素敵な耳栓を紹介していただけましたので、こちらの品を手に入れたあとは、相手をせず放置しておりました。まともな会話ができない方々でしたので。」
どんなやり取りがあったのかも、詳しく報告すれば、ミスティーナの兄と夫は激怒のあと、脱力した。相手の家に怒鳴り込んでやるという意気込みはどこかへ消え、頭のおかしな連中の考えが理解できなさすぎて、参ってしまったのだ。
ちなみに、この国の王族の血に連なるものは多いので、昨日までここで喚いていた少年が本当に王族だとしても、ほとんどの民には知る機会がない。
広く民に知られている王族とは、両陛下と王太子夫妻、軍部に所属する第二王子とその妃、近隣国に嫁入りした第一王女ぐらいであり、王家としては久しぶりに自国の公爵家に嫁いだ第二王女や、現陛下の弟2人と妹2人の嫁ぎ先まで把握しているのは、貴族や貴族に連なる商家、王都の民ぐらいである。
この国の王族の名前はブシデアと言い、ノブシルではない。家の興りは数代前に遡る。当時のブシデア王家の王子が隣国の第一王女の下に婿入りした。その際に、正室である王女の性格が大人しかったのを良いことに、側室という名の愛人を大量に抱えたのだ。そして、生まれたのが、婿入り先の王族の血を全く引かない大勢の子供達である。当然それは王家の知るところとなり、離縁され強制送還された。
王子を返品されたブシデアの王族は困った。王子本人だけでも困るのに、王子と他国女性の側室達と子供達で構成された大家族が、ブシデアの王族の顔をして、王城入りしようとしたのだ。当然お断りである。
王族として受け入れるわけにはいかないので、仕方がなく、王都のハズレに大きさだけはあるが古びた屋敷とノブシルという新しい家名を与えることにしたそうだ。
ノブシル家は大家族だったので、今でもその子孫の数は多い。側室制度のない国に帰ってきてからも、そんな家族構成で、王族の一員である意識を持ち続けているので、頻繁に揉め事を起こす。ノブシルだけでなく、王家ブシデアから派生した他の親族も、頻繁に揉め事を起こすので、現王家は、問題ばかり起こす遠い親戚達と縁切りしたそうである。
「………は?」
「えー?こんな警備のしっかりした場所で絡むバカがいたのか?」
「それがいたのです………。王族を名乗るユーリクン ノブシルという方に、なぜか、挨拶にもこない無礼な婚約者扱いされまして。」
「は?ティーナは生まれた瞬間から、私の、私だけの婚約者なのに!?ブシデアの王族にカウントされないノブシルの分際で、婚約者扱いとはどういうことだ!元王族とも言えない、大量生産王子の分際で何をバカなことを!捻り潰して来ようか!」
「いや、ライ、ブチ切れるの早すぎ!気持ちはわかるし、俺もムカつくけど、ここはもう少し詳しい話を聞こう。いや、その前にドレス店と宝飾店だ。先に必要なものを購入して、サイズ調整を待つ間に、ゆっくり話を聞かせてもらおう。この王都で何かバカ対策をとってから国と領に帰った方が良いなら、1泊か2泊、滞在を伸ばしても良いしな。」
(え!ちょっとちょっと!別の場所でなんて困ります!いま!ここで!先に話を聞かせてくださいよ!学園記念サロン屋内広場横オープンカフェの座席を確保できた、昨日までのギャラリー一同談)
「以前シルビー伯爵家当主のアルティア伯母様の後夫候補の見合いに来て、辺境は怖いとすぐに逃げ帰った子爵家の3男坊がいたでしょう?」
「ああ、いたな。庭で見合い中に、ペットの妖狼の子供に戯れられて、泣き叫んで鼻水流しながら逃げ帰った奴が。」
「今は別のお相手と結婚されて、王都の外れの貧民街に住んでいるとか。彼の娘のアンリ嬢が言うには、私はその伯爵家当主夫妻の娘で、アンリ嬢を姉として敬わず無視する極悪非道な妹で、最近親から縁切りされ、平民になったそうですわ。」
「貧民街に住んでる子爵家の3男坊が、伯爵家当主?頭おかしいのか?」
「そうですわよねぇ。大方、(自称)王族のユーリクン ノブシルという男性と運命の出会いをしたと娘のアンリ嬢に報告を聞いて、このチャンスを逃すまいと考えたのでしょうね。娘に伯爵令嬢の振りをさせてまで、結婚まで持っていく計画を立てたのですから。ああ、結婚計画は無事昨日成功しておりましたわ」
「うむ。アンリという女の結婚の話は、そういう詐欺もあるから驚かないが、何故、そ奴らに私のティーナが絡まれるのだ?」
「図書館の利用サービス登録時にフルネームで名前を呼ばれた際に、突然婚約者がどうとか言われ、2週間に渡り絡まれ続けましたの。大声で騒ぐものですから、もう本当に煩くて困りましたが、素敵な耳栓を紹介していただけましたので、こちらの品を手に入れたあとは、相手をせず放置しておりました。まともな会話ができない方々でしたので。」
どんなやり取りがあったのかも、詳しく報告すれば、ミスティーナの兄と夫は激怒のあと、脱力した。相手の家に怒鳴り込んでやるという意気込みはどこかへ消え、頭のおかしな連中の考えが理解できなさすぎて、参ってしまったのだ。
ちなみに、この国の王族の血に連なるものは多いので、昨日までここで喚いていた少年が本当に王族だとしても、ほとんどの民には知る機会がない。
広く民に知られている王族とは、両陛下と王太子夫妻、軍部に所属する第二王子とその妃、近隣国に嫁入りした第一王女ぐらいであり、王家としては久しぶりに自国の公爵家に嫁いだ第二王女や、現陛下の弟2人と妹2人の嫁ぎ先まで把握しているのは、貴族や貴族に連なる商家、王都の民ぐらいである。
この国の王族の名前はブシデアと言い、ノブシルではない。家の興りは数代前に遡る。当時のブシデア王家の王子が隣国の第一王女の下に婿入りした。その際に、正室である王女の性格が大人しかったのを良いことに、側室という名の愛人を大量に抱えたのだ。そして、生まれたのが、婿入り先の王族の血を全く引かない大勢の子供達である。当然それは王家の知るところとなり、離縁され強制送還された。
王子を返品されたブシデアの王族は困った。王子本人だけでも困るのに、王子と他国女性の側室達と子供達で構成された大家族が、ブシデアの王族の顔をして、王城入りしようとしたのだ。当然お断りである。
王族として受け入れるわけにはいかないので、仕方がなく、王都のハズレに大きさだけはあるが古びた屋敷とノブシルという新しい家名を与えることにしたそうだ。
ノブシル家は大家族だったので、今でもその子孫の数は多い。側室制度のない国に帰ってきてからも、そんな家族構成で、王族の一員である意識を持ち続けているので、頻繁に揉め事を起こす。ノブシルだけでなく、王家ブシデアから派生した他の親族も、頻繁に揉め事を起こすので、現王家は、問題ばかり起こす遠い親戚達と縁切りしたそうである。
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