さようしからばこれにてごめん 愚かな貴方達とは、もう会いたくありません!

白雪なこ

文字の大きさ
10 / 11

10

「………変な人なら、もうここで散々絡まれましたわよ?」

「………は?」
「えー?こんな警備のしっかりした場所で絡むバカがいたのか?」

「それがいたのです………。王族を名乗るユーリクン ノブシルという方に、なぜか、挨拶にもこない無礼な婚約者扱いされまして。」
「は?ティーナは生まれた瞬間から、私の、私だけの婚約者なのに!?ブシデアの王族にカウントされないノブシルの分際で、婚約者扱いとはどういうことだ!元王族とも言えない、大量生産王子の分際で何をバカなことを!捻り潰して来ようか!」

「いや、ライ、ブチ切れるの早すぎ!気持ちはわかるし、俺もムカつくけど、ここはもう少し詳しい話を聞こう。いや、その前にドレス店と宝飾店だ。先に必要なものを購入して、サイズ調整を待つ間に、ゆっくり話を聞かせてもらおう。この王都で何かバカ対策をとってから国と領に帰った方が良いなら、1泊か2泊、滞在を伸ばしても良いしな。」

(え!ちょっとちょっと!別の場所でなんて困ります!いま!ここで!先に話を聞かせてくださいよ!学園記念サロン屋内広場横オープンカフェの座席を確保できた、昨日までのギャラリー一同談)

「以前シルビー伯爵家当主のアルティア伯母様の後夫候補の見合いに来て、辺境は怖いとすぐに逃げ帰った子爵家の3男坊がいたでしょう?」
「ああ、いたな。庭で見合い中に、ペットの妖狼の子供に戯れられて、泣き叫んで鼻水流しながら逃げ帰った奴が。」
「今は別のお相手と結婚されて、王都の外れの貧民街に住んでいるとか。彼の娘のアンリ嬢が言うには、私はその伯爵家当主夫妻の娘で、アンリ嬢を姉として敬わず無視する極悪非道な妹で、最近親から縁切りされ、平民になったそうですわ。」
「貧民街に住んでる子爵家の3男坊が、伯爵家当主?頭おかしいのか?」
「そうですわよねぇ。大方、(自称)王族のユーリクン ノブシルという男性と運命の出会いをしたと娘のアンリ嬢に報告を聞いて、このチャンスを逃すまいと考えたのでしょうね。娘に伯爵令嬢の振りをさせてまで、結婚まで持っていく計画を立てたのですから。ああ、結婚計画は無事昨日成功しておりましたわ」
「うむ。アンリという女の結婚の話は、そういう詐欺もあるから驚かないが、何故、そ奴らに私のティーナが絡まれるのだ?」
「図書館の利用サービス登録時にフルネームで名前を呼ばれた際に、突然婚約者がどうとか言われ、2週間に渡り絡まれ続けましたの。大声で騒ぐものですから、もう本当に煩くて困りましたが、素敵な耳栓を紹介していただけましたので、こちらの品を手に入れたあとは、相手をせず放置しておりました。まともな会話ができない方々でしたので。」

どんなやり取りがあったのかも、詳しく報告すれば、ミスティーナの兄と夫は激怒のあと、脱力した。相手の家に怒鳴り込んでやるという意気込みはどこかへ消え、頭のおかしな連中の考えが理解できなさすぎて、参ってしまったのだ。

 ちなみに、この国の王族の血に連なるものは多いので、昨日までここで喚いていた少年が本当に王族だとしても、ほとんどの民には知る機会がない。

 広く民に知られている王族とは、両陛下と王太子夫妻、軍部に所属する第二王子とその妃、近隣国に嫁入りした第一王女ぐらいであり、王家としては久しぶりに自国の公爵家に嫁いだ第二王女や、現陛下の弟2人と妹2人の嫁ぎ先まで把握しているのは、貴族や貴族に連なる商家、王都の民ぐらいである。

 この国の王族の名前はブシデアと言い、ノブシルではない。家の興りは数代前に遡る。当時のブシデア王家の王子が隣国の第一王女の下に婿入りした。その際に、正室である王女の性格が大人しかったのを良いことに、側室という名の愛人を大量に抱えたのだ。そして、生まれたのが、婿入り先の王族の血を全く引かない大勢の子供達である。当然それは王家の知るところとなり、離縁され強制送還された。
 王子を返品されたブシデアの王族は困った。王子本人だけでも困るのに、王子と他国女性の側室達と子供達で構成された大家族が、ブシデアの王族の顔をして、王城入りしようとしたのだ。当然お断りである。
 王族として受け入れるわけにはいかないので、仕方がなく、王都のハズレに大きさだけはあるが古びた屋敷とノブシルという新しい家名を与えることにしたそうだ。
 ノブシル家は大家族だったので、今でもその子孫の数は多い。側室制度のない国に帰ってきてからも、そんな家族構成で、王族の一員である意識を持ち続けているので、頻繁に揉め事を起こす。ノブシルだけでなく、王家ブシデアから派生した他の親族も、頻繁に揉め事を起こすので、現王家は、問題ばかり起こす遠い親戚達と縁切りしたそうである。

あなたにおすすめの小説

五度目の人生でも「君を愛することはない」と言われたので、私も愛を捨てました

たると
恋愛
「ルチア、私は君を愛することはない。この婚約は単なる義務だ」 冷徹な公爵、アルベルトの声が夜会会場の片隅で響く。 これで、五度目だ。 私は深く、そして軽やかに一礼した。 「承知いたしました。では、今後はそのように」 これまでは泣いて縋り、彼を振り向かせようと必死に尽くしてきた。 だが、死に戻りを五回も繰り返せば、流石に飽きる。 私は彼を愛することを、きっぱりと辞めた。

次に貴方は、こう言うのでしょう?~婚約破棄を告げられた令嬢は、全て想定済みだった~

キョウキョウ
恋愛
「おまえとの婚約は破棄だ。俺は、彼女と一緒に生きていく」  アンセルム王子から婚約破棄を告げられたが、公爵令嬢のミレイユは微笑んだ。  睨むような視線を向けてくる婚約相手、彼の腕の中で震える子爵令嬢のディアヌ。怒りと軽蔑の視線を向けてくる王子の取り巻き達。  婚約者の座を奪われ、冤罪をかけられようとしているミレイユ。だけど彼女は、全く慌てていなかった。  なぜなら、かつて愛していたアンセルム王子の考えを正しく理解して、こうなることを予測していたから。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

私を捨てて本当に後悔しませんか?

花々
恋愛
公爵令嬢のスカーレットは第一王子ダリウスの婚約者。王族の中では魔力の低いダリウスを支えるために長年尽くしてきたが、本人からは疎まれていた。 ある時、スカーレットたちの通う学園にノーラという平民出身の少女がやってくる。 ダリウスはほかの貴族令嬢たちと毛色の違うノーラを気に入り、常にそばに置くように。そしてついにはスカーレットに婚約破棄を突きつける。 今日からスカーレットの代わりはノーラが務めると言われ、冷たく追い払われるスカーレット。傷心のスカーレットは、休暇の間を母の実家の領地で過ごすことにする。 一方、ノーラさえいればスカーレットなしでもどうにでもなると思っていたダリウスだが、スカーレットがいなくなった途端、何もかもうまくいかなくなりだして……。 ✴︎息抜きに書き始めました。短めの話で終わる予定です!

次期王妃な悪女はひたむかない

三屋城衣智子
恋愛
 公爵家の娘であるウルム=シュテールは、幼い時に見初められ王太子の婚約者となる。  王妃による厳しすぎる妃教育、育もうとした王太子との関係性は最初こそ良かったものの、月日と共に狂いだす。  色々なことが積み重なってもなお、彼女はなんとかしようと努力を続けていた。  しかし、学校入学と共に王太子に忍び寄る女の子の影が。  約束だけは違えまいと思いながら過ごす中、学校の図書室である男子生徒と出会い、仲良くなる。  束の間の安息。  けれど、数多の悪意に襲われついにウルムは心が折れてしまい――。    想いはねじれながらすれ違い、交錯する。  異世界四角恋愛ストーリー。  なろうにも投稿しています。

悪役令嬢に仕立て上げたいのならば、悪役令嬢になってあげましょう。ただし。

三谷朱花*Q−73@文フリ東京5/4
恋愛
私、クリスティアーヌは、ゼビア王国の皇太子の婚約者だ。だけど、学院の卒業を祝うべきパーティーで、婚約者であるファビアンに悪事を突き付けられることになった。その横にはおびえた様子でファビアンに縋り付き私を見る男爵令嬢ノエリアがいる。うつむきわなわな震える私は、顔を二人に向けた。悪役令嬢になるために。

【完結】捨てられた悪役令嬢は大公殿下との新たな恋に夢を見る

花草青依
恋愛
卒業パーティで婚約破棄を言い渡されたエレノア。それから間もなく、アーサー大公から縁談の申込みが来たことを知る。新たな恋の始まりにエレノアは戸惑いを隠せずにいたが、デートを経て二人の距離は縮まって行く。 ■《夢見る乙女のメモリアルシリーズ》1作目 ■王道ものの恋愛小説 ■2026/4/4に改稿しました ■画像は生成AI(ChatGPT)

10年もあなたに尽くしたのに婚約破棄ですか?

水空 葵
恋愛
 伯爵令嬢のソフィア・キーグレスは6歳の時から10年間、婚約者のケヴィン・パールレスに尽くしてきた。  けれど、その努力を裏切るかのように、彼の隣には公爵令嬢が寄り添うようになっていて、婚約破棄を提案されてしまう。  悪夢はそれで終わらなかった。  ケヴィンの隣にいた公爵令嬢から数々の嫌がらせをされるようになってしまう。  嵌められてしまった。  その事実に気付いたソフィアは身の安全のため、そして復讐のために行動を始めて……。  裏切られてしまった令嬢が幸せを掴むまでのお話。 ※他サイト様でも公開中です。 2023/03/09 HOT2位になりました。ありがとうございます。 本編完結済み。番外編を不定期で更新中です。

復縁は絶対に受け入れません ~婚約破棄された有能令嬢は、幸せな日々を満喫しています~

水空 葵
恋愛
伯爵令嬢のクラリスは、婚約者のネイサンを支えるため、幼い頃から血の滲むような努力を重ねてきた。社交はもちろん、本来ならしなくても良い執務の補佐まで。 ネイサンは跡継ぎとして期待されているが、そこには必ずと言っていいほどクラリスの尽力があった。 しかし、クラリスはネイサンから婚約破棄を告げられてしまう。 彼の隣には妹エリノアが寄り添っていて、潔く離縁した方が良いと思える状況だった。 「俺は真実の愛を見つけた。だから邪魔しないで欲しい」 「分かりました。二度と貴方には関わりません」 何もかもを諦めて自由になったクラリスは、その時間を満喫することにする。 そんな中、彼女を見つめる者が居て―― ◇5/2 HOTランキング1位になりました。お読みいただきありがとうございます。 ※他サイトでも連載しています