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甲斐田亮とは親が決めた政略結婚だった。
結婚してから始まった甲斐田の暴力的なところ、女遊びの激しいところが嫌で仕方なかった。
親による強制的な結婚とはいえ、本性を見破れなかった僕の責任は大きい。
「...再婚はしない」
「反抗的だな。春のためにも生みの親はいた方がいいだろ?」
「目的は何?」
建前だということはわかる。
春のことを考えてくれたことはなかったから。
「あー、目的ね。社長の椅子に座る為にさ、お前と春が必要なんだよ。ジジイが条件出してきてさ」
「条件?」
「円満な家庭をつくり、子どもを持つ人に社長の座を譲るっていう条件。社長になったら今よりいい暮らしできる。悪くないだろ」
正直にペラペラと話す甲斐田。
僕が納得する訳がないだろう。
「考えは変わらないから」
「ま、数日経てばお前の意見も変わるだろーけど!」
なっ。
甲斐田は強引に話を終わらすと帰っていった。
落ち着くんだ。
まずは春を迎えに行く。
先生に呼んでもらって、春が教室を出てくる。
「りんくん!今日ははやいねー!」
「今日は早く迎えに来たんだ。いいかな?」
「いいよー!でもむりしなくていいからね」
なんて思いやりのある子なんだ。
じーんと感動してしまう。
きっと甲斐田は何か仕掛けてくるはずだ。
春を守らないと。
ハンバーグは結局作れそうになかったので、カレーにした。
「ほら、お星さまだよー」
人参を型抜きで星にした。
「わぁ~、お星さまだ!」
パクパク食べてくれる。
口の周りにカレーを付けている姿は愛らしい。
食べ終わると春の口を拭いてあげる。
お風呂も済ませて、布団に入るといつも通り絵本を読み聞かせた。
僕も眠りに入る。
甲斐田に何をされるか分からないけれど、今から不安になっても仕方がない。
明日に備えて寝るんだ。
朝、会社に行くと呼び出された。
ミーティングルームに副部長と入る。
「君は解雇だそうだ」
「...理由を教えてもらえませんか?」
「理由は聞かされていない」
「不当な解雇でしたら、上に言います」
急すぎる。
納得できるだけの理由がないと。
「...私が社長に掛け合おう」
「有難いですが、何故副部長がしてくれるのですか?」
「...私も納得していないからだ。正直に話すと、部長の独断だと思う。君は優秀だ。不当な解雇だったら、会社にとって損失だからな」
副部長は僕の能力を買ってくれているようだ。
純粋に嬉しい。
ただ、部長は甲斐田と関わりがあるかもしれない。
「あの、やはり社長には僕から連絡します。名刺を貰ったので」
「そうか、わかった」
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