上 下
3 / 4

後編*

しおりを挟む
ーーーーー

ひたすらやってるだけかも。
!注意! 攻めフェ、イマラ、濁点喘ぎ

ーーーーー



 ヤマトさんの熱い手がオレの身体をなぞる。それだけでもぞわぞわするのに、あろうことか、ヤマトさんはオレの尻を揉みはじめた。正直、ちょっと、いや結構もどかしい。肝心のところを触ってほしいけど、触ってほしいなんて言うのはちょっと……。

そう思って答えたその言葉が、こんなに効果的だったとは。

仰向けになったオレに覆い被さってくるヤマトさんは、なんというか、デカい。また、キスをされる。そのままヤマトさんの唇はオレの身体をなぞっていく。それが乳首に触れた時、思わず声が出てしまった。

「――ぁっ」
「きもちいい?」
「や、うぅ、んっ、」
「普段から触ってるの?」
「んなわけ、ないっ、ですよっ!」
「そっかぁ、」
「なんで、残念そうなんですか……」
「まぁ、いいや。ここはそのうちかな。」
「え――っ!!あっ!ちょ、え!っく、ぅ、はっ!ああァっ!」

オレのアレが熱いものに包まれた。見下ろした股間にヤマトさんの黒い頭が見える。その頭を引き離そうとして押すが、びくともしない。太ももでぎゅーっと締め付けるが、それも効果がない。

「っ、ひっ、あぅ!ぅんっ!やぁ!も、イく!イくから!はなし、ひ!あァ!!はー…はぁー……。」
「気持ちよかった?」
「は、ぃ……。」

イってしまった。頭がぼぉっとする。ん?イッた、どこで?ヤマトさんの口の中で!?

「ぁ、ヤマトさん!?あの、」
「ごちそうさま。」
「っ!!」

ふふっと笑いながら、ヤマトさんがそんなことを言うので、二の句が継げなくなる。っ!オレだって、男なんだからな!なんとなく反抗心が湧く。

ヤマトさんが一旦身体を起こしたタイミングで、起き上がってヤマトさんの肩を押す。

「ん?どうし――」
「仰向けになってください。」
「え?」
「仰向けで寝てください。」
「え?ぁ、はい。」

カッコ悪いけど、押し倒そうとしたのにびくともしないので、直接言うと、ヤマトさんは困惑しながらも仰向けに寝てくれた。その上に覆い被さる。体格差のせいか、のしかかるようになってしまうのが少し悔しい。さっきやられたことをお返ししようと、キスをする。ヤマトさんの唇に、むにゅっと唇を押し付ける。下唇をはむはむとかじって堪能する。そして――鎖骨。あぁ、いい!これ!この形!


ちゅっと鎖骨にキスをして、甘噛みする、つもりがテンションが上がってガリッと八重歯で噛んでしまう。その瞬間、肩を掴まれ、体を起こされる。
「な、なに!?」
ヤマトさんが珍しく焦ったように言う。
「そんなことされたら、俺……」
そして、両手で顔を覆うと、何かぶつぶつとつぶやいている。とりあえず、嫌だったわけではないらしい。オレは気を取り直して、ヤマトさんのブツに手を伸ばそうとして、止まった。

「で、でか……」
「え、あ、あー……うん。」

ぁ、認めるんだ。うわ、ご立派様だ。なんか、すごい。オレはヤマトさんのモノを握り、無意識にごくりと唾を飲んだ。おそるおそる舌で触れてみる。特になんの味もしない。そのまま口に咥えようと口を開き、先端を口に含んだものの、注意しないと八重歯が刺さりそうだ。気をつけて頭を上下させる。あごがだるい。そう言えば、ヤマトさん静かだな……。そう思い至って、目線を上げると――。


***


 リュウジくんが、俺のものを舐めている……ッ!仰向けになって欲しいと言われた時、正直面食らった。ここまで来てオアズケ!?って……なのに――

こんな、俺のこじらせ妄想通りのことが起きていいのか!?俺明日死ぬんじゃ……?と、リュウジくんが俺の唇をぺろぺろするのに感動していたら、まさかの鎖骨甘噛み!危うく暴発するところだった。慌てて肩を掴んで、距離を取る。リュウジくんはきょとんとしたのち、俺の股間に手を伸ばしてきた。
「で、でか……」
思わず、と言わんばかりのつぶやきが聞こえる。
「あ、あー……うん」
そう、そうなのだ。自慢ではなく、俺のはでかい。風呂の時なんかは二度見くらいされるし、まぁ、その、コレのせいでこういうことが上手くいった試しがない。やっぱり無理だろうか。

――ぺろっ
「っ――!!」
リュウジくんが俺のを舐めている。その視覚的暴力に限界を超える勢いで勃起してしまう。さらに、恐る恐る口に咥えられる。やばい。歯が当たってるし、全然気持ちよくはないんだけど、興奮する。息をするのも忘れて、その光景を目に焼き付ける。ふと、動きが止まる。リュウジくんが上目遣いで俺の方を見上げて、にやりと笑った。
「っ、ごめん!」
「んぐっ!」
リュウジくんの頭をぐっと押さえつけて、喉の奥に射精する。はぁー……やばい、マジできもちぃ……。
「ん゛ンーーっ!!」
はっ!?やばい!!あまりのことに一瞬我を忘れて――慌ててリュウジくんの口から自身を引き抜く。
「っ、ゲホッ!ぐっ、ゲホッ!ガッ、んン!ずビっ!はっ、はー……は、やば……。」

激しく咳き込んだあと、荒い息をするリュウジくんの背中をごめんを連呼しながら撫でる。

「ごめん!!」
「は……ズッ、いえ、やり始めたのオレなんで……」

そう言って顔を上げたリュウジくんを見て、また俺は固まった。息苦しさから紅潮した頬に、涙に濡れた瞳、鼻や口の端から垂れる白い精液。少し萎えていた自身がまた復活する。それに気づいたリュウジくんが、小さく息を飲む。

「っ!」
「こわい?」
「えっと……何というか、怖い、ズッという気持ちも、あるんですけど、その、嬉しい?というか……」
「嬉しい?」
「だって、オレ男ですし、そのたぶん今ひどい顔してるのに……こんな、」
そして、そっとそこに手を伸ばしてくる。
「でも、その……すぐは無理、かも……なんで、その……ゆびで、拡げてくだs」
「喜んで。」

仰向けになったリュウジくんの腰の下に枕を置いて、たっぷりとローションを垂らしたアナルに、これまたたっぷりとローションをまとわせた指を挿れていく。「んんっ……」と、小さく声を上げるのがかわいい。

「大丈夫?」
「ん、だい、じょうぶです、けど……」
「けど?」
「その、自分で、するっ、のとは違っ、て……結構、んんっ!」

感触の違う場所に触れた。たぶんここが前立腺だろう。この旅行、というかリュウジくんを知ってから俺はその手のことに詳しそうな同僚に相談をした。ま、男所帯だからこういうことをしている奴らも一定数はいる。そいつらから情報を得て、準備とイメトレをしてきた。だから、もう少し紳士的に事を運ぶつもりだったし、自分はもっと理性的な人間だと思っていた。まだまだだな。ふるふると肩を震わせ、んっ、あっと控えめに声を上げるリュウジくんを見ながら思う。しかし、結構、なんなんだろう。

「あっ、は……や、まとさん!も、そこ、ばっか、やめ……っひ、あ!」
「でも、気持ちよさそうだよ?少し緩んだから、もう一本挿れるね?」
「っ、う、はぃ。」

一旦指を抜いて、中指と薬指にまたローションをまとわせると、ゆっくり挿入する。入り口はぎゅっと締め付けてくるが、中はふわふわで、ある程度余裕がある。ばらばと指を動かすと、リュウジくんは眉間にしわを寄せて「んん~」と唸る。

「痛くない?」
「だい、じょうぶ、です。」


◇◇◇


 それから、念入りに解した。最終的に、なんとか指が4本入るようになった。括約筋が切れたら大変なことになるからな……入り口は入念に解しておかないと。そうおもったからだが……正直、途中からリュウジくんの反応が楽しくなってきたことは否定しない。ぷちゅっと指を引き抜くと、リュウジくんは「あぅ…は、はぁ……」と太ももを痙攣させる。だらしなく開いた口からよだれが垂れているし、目もとろんとどこか遠くを見ている。

「リュウジくん?」
「は、へ……あ、はい」

声をかけると、俺の方をみて、へにゃっと笑う。普段のクールな感じとはほど遠い姿に、仄暗い満足感を持ちつつ、宣言する。

「じゃあ、挿れるよ。」
「っ、は、い」

少し意識がはっきりしたのか、今度は俺の目を見ながら返事をする。


 自分のモノにローションを垂らし、リュウジくんにもローションを追加して、さっきまで解していた穴に、添える。ひくっと、震えるアナルに自身を沈めていく。

「う、んんンー……んあ、あ゛~……」
「っ、きつ……」

あれだけ解したのに、ギューっとキツいくらい締め付けられる。

「力抜いて……」

そう言いながら、キスをする。少し緩んだので、さらに奥へ進む。行き止まりっぽいところに当たったので、一旦止まる。

「入ったよ。」
「はっ、っふ、は……ほ、んと?」

自分の下腹部を撫でる様子に、つい質量が増す。

「んっ、は……ほん、とだ、あっ、ん、ふぅ……」
「動くよ。」

暴走しないよう、努めて冷静に慎重に動く。

「あ、あ゛~……ぁう、は、んっ、んンっ!あァっ!」

ぶちゅ…、ぐちゅ、ばちゅ、とローションをまとった肌が鈍い音を立てる。ふと、リュウジくんが、シーツを握りしめていることに気づき、身体を倒して首に手を回させる。そして、身体を起こし、対面座位になると、何を思ったのか、リュウジくんが俺の鎖骨に噛み付いてきた。結構痛い。それに、噛んだ場所をぺろぺろ舐めるので、タチが悪い。

「俺が、どんだけ我慢してる、と――っ!」

ついイラついてリュウジくんの腰をつかむと、激しく突き上げてしまう。

「んあ゛っ!あっ!あんンっ!やぁっ!あ゛っ、おっ、お゛んっ!あ゛ぅ!あ゛っ、ひ!い゛!んンっーっ!!」

膝の上の身体がびくびくと跳ねて、腹に生暖かいものがかかる。

「リュウジくん、お尻でイけるんだ……えっろ。」

思わず漏れた言葉に、リュウジくんがビクッと身体を揺らす。

「はっ、はぁ、は……ぁ、ごめ、なさ……」
「え!?」

俺の肩から顔を離したリュウジくんは泣いていた。

「ぇ、ちょ、どうしたの!?痛かった!?」

弱く首を振られる。

「じゃあどうしたの?嫌だった?」

それにも首を振ると、
「オレだけ、勝手に……、それに、エロいって……オレに、あきれたんですよね……」
――は?


***


「すぅー……はぁぁー……」

ヤマトさんが、目の前でため息?深呼吸?をしている。やっぱりあきれて、と思った瞬間、ヤマトさんは珍しく荒い口調で、話し始めた。

「いやいや、えろいってのは褒め言葉というか、嬉しさとかイかせてやったっていう喜びであって、あきれたとかじゃねぇから。というか、もうさっきからお前が俺の妄想を具現化したみたいに、俺を煽りまくるから、なんども暴発しそうなの我慢してんの!いいとこ見せたいからね!だいたい、好きな子が俺ので気持ちよさそうにしてるのが嫌だって思う男なんかいねぇだろ!むしろ嬉しいわ!それに、俺もさっきからめちゃくちゃ気持ちいいから!……あ。」

ヤマトさんが、やっちまったみたいな顔をしているけど、オレはといえば、怒涛の勢いで告げられた言葉に、どきどきして、ヤマトさんが入ってるお腹にきゅと力を入れてしまう。

「あ、の……、えっと……、」

何をいうべきか悩んで、またヤマトさんの首筋に抱きついて、耳元で「お、オレでもっと気持ちよくなってくださ」くらいまで言ったところで、ベッドに押し倒された。

「煽ったんだから、責任とってくれるんだよな」

目が据わったヤマトさんが、オレを見下している。――食べられる。

「はぁっ、あぅ!あんっ!っく、ふ、あァ!」
両足は肩に担がれ、腰骨を掴まれたオレはなすすべなくただただ嬌声をあげている。さっきから痙攣しっぱなしの太ももに噛みつかれる。痛みさえ、快楽の刺激にしかならない。

「あ゛っ!あァぅ!ンんんっ、はっ、ひぃっ!あッ!」
「っく、は、はっ」

ばちゅ!と奥を抉られて、目の前がちかちかしたのと同時に、中のモノがどくどくと脈打つのを感じる。ずるりとそれが引き抜かれる。ローションがこぽっとあふれる感触に身震いする。


担がれていた足がベッドに下ろされても、身動きひとつ取れない。気持ちいい状態が止まらず、ピクピクと身体が震える。なんとか、うつ伏せになり、少し丸まってその快楽に耐えていると、信じられない言葉が聞こえた。

「ごめん、もう一回、いい?」
「ぇ……」

足をつかまれ、ベッドの上をベッド脇に立ったヤマトさんの元まで引きずられる。そして、ヤマトさんはオレの骨盤付近をつかんで持ち上げると後ろから容赦なく突っ込んだ。

「あ゛ア――っ!!ひ、い゛ぁ!あ!あ゛!あ゛う゛!」

もはや、下半身は全部持ち上げられて上半身が申し訳程度にベッドに乗っかってるような感じ。抵抗も何もできないし、ヤマトさんのされるがままで、お腹の中でヤマトさんがびくびくと脈打つのを感じたのを最後に、意識が飛んだ。


***


 ――やっちまった。

ベッドの上で気を失ったリュウジくんを見て、青ざめる。くたっと力を失った身体のあちこちに噛み跡やキスマークがあるし、なにより腰骨のあたりについた手の痕が痛々しい。ゴムを着けるという理性だけはあったらしいが、そもそも大量のローションをぶちまけたせいで、きっと中に入ったはずのローションは、ちゃんと掻き出した方がいいだろう。

「本当に、申し訳ないっ!」

意識のある時にもう一度言うとして、とりあえず謝罪する。汗や涙や、ローションでどろどろのリュウジくんを横抱きして、風呂へ向かう。抱えたまま椅子に座り、シャワーでもろもろを流していく。ちょ、このローション中々落ちねぇな。

綺麗になったところで、やはりリュウジくんを抱えたまま湯船につかる。身体を洗っているときにしかめられたリュウジくんの顔がほっとゆるむ。

二つあるベッドの片方は、ぐちゃぐちゃにしてしまったので、もう片方のベッドにふたりで横になる。さっき口移しですこし水を飲ませたけど、きっと足りないだろうと、枕元に水を置いて、明日リュウジくんが起きたらまず謝らないと、それに……と思いながら目を閉じた。あぁ、幸せだ。
しおりを挟む

処理中です...