リ・ルート ~異世界派遣という働き方~

砕けたステンドグラス

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4話 その会社は……2

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部屋の中は普通のオフィスだった。やはりこの扉だけが異質だ。
そして俺を待っていたのはパンツスーツ姿の二十代の女性だった。スーツモデルのように着こなしている目の前の女性に目を奪われてしまうのは仕方がないことだろう。
どこの会社でも顔面採用されそうなほどの美人だ。

「……リ〇ルート?」
「リ・ルートです。お間違えないように!」
人差し指を立てて笑顔で、しっかりと、はっきりと言われてしまった。
そういえば勇也から社名すら聞いてなかったな。

「リ・ルートですね。覚えました。……えっと、勇也――春日に連れられて来たのですが、まだ詳しい内容は聞けていません。先ほど面接があると聞いたのですが、その前に詳しい業務内容などをお聞きできればと思っております、よろしいでしょうか」
「はい、もちろんです。雪兎さんは、すでに当社の基準を満たしておりますので、守秘義務の契約を結んだ後に詳しいお話をさせて頂きたいと思います」

業務説明をする前に守秘義務の契約をするのか? ……どんだけヤバい業務なんだよ。そういや、勇也にまともな仕事なのかは聞いていなかったな。――もしかして八九三の事務所じゃない、よね?
「早速ですが、こちらの契約書に目を通して頂けますでしょうか。問題なければこちらのペンでサインをお願いします」
 応接室に案内されて、すでに用意されていた契約書を渡される。添えられたペンは羽ぺンだ。下にはインク壺まである本格的なもの。会社で羽ぺン使うのか。液だれしないのか?

 契約書には会社の業務についての守秘義務について書かれていた。仕事につかない場合も守秘義務の範囲に入ることを了承する旨が書かれている。わざわざこんな物まで用意するとか少し怖いんだが。それでもサインしないと話も聞けないので覚悟を決めてサインをすることにした。
 初めての羽ぺンに緊張したが、特ににじむこともなく普通に書けた。気になったのはインクの色が水色だったことだ。普通こういう契約書を書くなら黒ではないのだろうか? まぁ相手側が用意した物なので何も言わないけど。

「はい。ありがとうございます。契約を受理しました。それでは早速行きましょうか」
「行く? あの、業務についての説明などは?」
「この場でお話をしてもご理解して頂けないと思いますので、一度現地に行ってもらいます。勇也さんも同行すると連絡を受けていますので、詳しいことは現地でお聞きください」

ニッコリと笑ってこれ以上の質問は受け付けないと笑顔で語っているようだ。実際に職場を見ながら説明してもらえるならその方がいいか。

「それでは、そちらの部屋でお着替えをお願いします。ロッカーの中に着替えが入っています。貴重品なども持ち込めないのでロッカーの中に置いておいてくださいね」
「え、わざわざ着替えるのですか?」
「はい。感染症対策だと思ってください」
……いったい俺はどこに連れて行かれるんだ? それに財布やスマホも持っていけないのか。……会社から連絡がきたらどうしよう。

「ちなみにスマホも置いて行くのですよね?」
「はい。現地には電波がないのでどの道使えませんよ。撮影もできませんので置いておいてくださいね」
「あ、はい。了解しました」
アカネさんの迫力のある笑顔で微笑まれるとそれ以上になにも言えなくなってしまう。

 ……電波がない? 現地ってどこだ? 地下か? 地下に秘密結社の工場でもあるんじゃないだろうな……?
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