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17 結ばれる2人前編 微R15

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学校で働き始めて1か月が経った。仕事にも慣れてだいぶ要領良くなってきた。リンダさんに盾突いちゃダメと言われていたが、リンダさんと俺の相性は良いのか未だ揉めた事はない。アリン曰く、学生時代にレイが廊下で走った勢いで女の子を怪我させてしまったらしく、それを目撃したリンダさんがレイがちびるくらい怒ったらしい。その事件以来アリンの学年では『リンダさんを怒らせるな』というのが暗黙の了解となったみたいだ。


アリンとの生活も順調でずいぶん距離も近くなった。料理なんてした事もなかったが、アリンの仕事が遅くなる時は自分が夕飯を作りたいと伝えると「嬉しい!」と言って簡単な料理を何品か教えてくれた。あの笑顔は可愛かった!
そして一度好きと伝えてしまうと、そのままタカが外れてしまって常に何かあれば好きと言ってしまう。

「アリンおはよう」

「おはよう、フェアン!」

「今日も朝から可愛いな、寝癖さえも可愛い、好き。」

「っ~~!わ、わかったから!」

1か月経つというのに可愛いや好きと言われる事に慣れてなくてまだ顔を真っ赤にさせる。

ーー首筋まで真っ赤っか…。あぁ可愛いなぁ。

照れる姿に思わず笑みが溢れる。

「アリン、今日の約束覚えてる?」

「お、覚えてるよ!」


今日は2人で初めての外でのデートなのだ!何日か前に初めて給料が出たからそれを食費や光熱費や今までのお礼として受け取ってもらおうと全額渡そうとしたら全力で拒否された。

「受け取りません!」

「どうして?」

「これから何にいるかわからないじゃないですか!貯めておいてください!…次からは食費とか受け取りますから」

「今回は受け取らない…?」

「受け取りません!!」

「それじゃあ俺の気が済まない…好きな人に2か月分も金銭的に負担をかけるなんて」

「っ!!わ、わかりました!…じゃ、じゃあご馳走してください。それで、十分です!」

「!!」

という流れでデートになった。アリンの食事の好みはここ1か月でリサーチ済みだ。待ちに待ったデートの日俺の仕事終わりにアリンの働く定食屋に迎えに行く約束だ。……絶対いい夜にしてみせる!!



ーーー



迎えに行くと既にアリンが店の前で待っていた。春用の薄手のジャケットにくるぶしまでのパンツ、髪型は少し伸びた襟足を黒いリボンで結んでいる。

「フェアン、お疲れ様!」

「アリンもお疲れ様。待たせてしまったか?」

「ううん、さっき出て来たところ。それよりお腹すいちゃったよ、早く行こ?」

頭一個分小さいアリンの上目遣いは強烈でクラクラする。

「あ、あぁ。アリンの好きなものを予約したから。」

「楽しみだなぁ!ふふっ」

……やっぱ可愛いすぎる。



食事はノスティアの中で魚料理が有名という割といい値段のするお店を選んだ。というのも、アリンは魚が好きで中でも生魚が大好物だからだ。鯛のカルパッチョや鰹の刺身とやらが好きだが、値段も高くノスティアでは中々食べられるものではないらしい。ちなみにこれはロバートさんから聞いた情報なので確かなことだ。
そして、リンダさんから教えてもらったこのお店で改めてアリンに告白をする、そう決意をした。


デート中のアリンはそれはもう最高だった。店の前に着くのまん丸の目を瞠いてここ大丈夫なの?と驚いていたが、いざ料理が出て来ると「美味しい」「最高」「生まれてきて良かった」と蕩けるような笑顔で言ってくれる。個室を取っておいてよかった。こんな可愛いアリン、誰にも見せたくない!本気でそう思った。


ーーそろそろ、伝えたい…

食事の終盤、デザートのアイスを食べている途中、告白を切り出した。

「ア、アリン!聞いて欲しいんだが!」

「…ん?なぁに?」

「はぁっ…毎日聞いてるからもうわかってると思うが…俺はアリンが好きだ。」

「う、うん…」

「必ず幸せにするから、付き合って欲しい!」

「っ!……」

アリンは顔を赤らめたがすぐ顔を伏せた。返事を知りたくてアリンの顔を覗き込むとアリンの目からは涙が溢れていた。

ーーあぁ、泣くほど嫌なのか…。

失恋決定は悲しく胸が抉られる思いだが、それよりもアリンが泣いている方が苦しい。

「アリン?泣かないでくれ。何も答えなくていいから…。」

「……。」

「さぁもう帰ろう。」

そのままジャケットと伝票を持ち会計を済ませると店の外へ出た。

「アリン、さっきの事は気にしないでいい。俺の片思いだ。今まで通りにしてくれ」

そう言って進もうとした。その時、

「フェアン!違うの!」

「…えっ…?」

「僕、嬉しくて…。誰かに好きって言ってもらえてこともなかったし、ずっと1人で生きていくと思ってた。」

「だからっ…自分の気持ちに正直になれなくて…。フェアンを悲しませてごめん…。」

「フェアン、僕も好きっ…大好きだよ!」

ぎゅっと、フェアンに飛びついた。

ーーこれは夢か…?

いや違う。この匂いと温もりはアリンそのものだ…。
その暖かい体を力強く抱きしめ返しアリンの耳元で囁いた。

「アリン、愛してる」

見つめ合いどちらともなく唇を合わせた。アリンは初めてのキスだからか途中で呼吸ができなくてはふはふ言っている。

ーー我慢できない…

アリンの唇を舌先でノックし少し開いた隙に自分の舌を滑り込ませる。口蓋の裏からアリンの舌全部までむしゃぶりつくように舐め回す。

「ふっ…ふぁ…あっ!フェアンッ…!ま、まっ…て!」

甘い声さえも全てが刺激になり興奮が高まってくる。

「フェ、フェアン!」

焦った声に気を取り戻しアリンの顔を見ると頬が真っ赤になり目が潤んでいる。

「ここ…道の真ん中だから…」

ーーあぁもうダメだ。我慢できない。

「アリン、今すぐ家に帰ろう。…今日君を抱く。」

そう言ってアリンの腕を掴んだ。

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