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第1部
9 | 山小屋の二人 - ベルスタ②
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俺と魔術師殿の感情の温度差は人生経験の差だろうか。
「いいなら、はい。俺も、構いませんが」
「…酒でも飲むか」
「時間がないのでは?」
そう問いかけて、素面でできるようなことでもないかと思う。「ない」と応えた声を無視して、「あ、葡萄酒があります。チーズも、今日麓の村から貰ってきました」と席を立つ。
「気が利かず申し訳ないです、一杯くらい飲む時間はありますよね」
◇◇◇
いつも寝ているベッドを使うのは、セルシウスも寝る場所だし気が引けて、葡萄酒とチーズは屋根裏へ運んだ。
屋根裏には、藁にシーツをかけただけの簡易な寝床がある。見習い羊飼いの頃はここで寝泊まりをしていた。天井が低く立ち上がることはできないが、大人の男二人が座って葡萄酒を飲むくらいの空間はあった。
光は隙間から差し込む程度だ。
「…お前は知りすぎたから、羊飼いを辞することは許されない」
王宮から盗まれた書物を預かるのだから当然である。
「分かりました」
シュルッセル様は葡萄酒を一口飲み、ふぅとため息をつく。となりを窺うが視線が合うことはなく、「嘘だ」とだけ返される。
「…分かっているつもりですが? シュルッセル様が生きていることも、預かることになった書物のことも、誰にも話しません」
「いや…そうではなく私の言ったことだ。忘却の魔術をかけてしまえばお前は忘れることができるし、羊飼いを辞めたとて問題ない」
魔術とは便利なものだ。
「この仕事が気に入っているので辞めません。だから魔術も不要です」
「いいのか?」
「はい。魔術と違って信じていただくしかないのですが」
肩が触れる。顔を向けると今度は視線が合った。なにかを読み取るようにじっと目を覗きこまれる。シュルッセル様の髪が頬にかかったと思ったらくちびるが重なっていた。この記憶を消されてしまうのはもったいない。
やわらかな舌の熱を受け入れる。昨日の今頃も同じことをしていた。
いや、同じではないか。強制的に与えられた欲情には混乱するしかなかったが、ゆるやかな昂まりは心地よい。
魔術師殿の置かれている状況はよく分からないが、こんな方法で役に立てるのであれば役得だとしか思えない。
口づけを交わしながら、シュルッセル様は俺の体をさぐる。衣服にすべりこんだ手がくすぐったく、「ふ」と息がもれる。
肋から腰、さらにその下へ。まだ兆しのないものに指が触れる。形を確かめるように撫でられればそれが張りつめるのに時間はかからなかった。
離されたくちびるに名残惜しさを感じながら、俺は艶やかな黒髪のつむじを見下ろす。
つむじ?
「っうぇ、あ…ちょっ」
屹立したものを舐められているのだと分かると、羞恥心やら申し訳なさやら、の後から溶けるような気持ち良さに襲われた。
心拍数がはねあがり呼吸が浅くなる。
「は、なしてください」
「このまま出せ」
「だせ…って、や、むりです」
「お前の魔力をくれるんだろう」
「なる、ほど…」
全っ然、分かっていなかった! それって、まさか……飲むのか!
昨日みたいに、ふつうに交わるだけだと思っていた。いや、ふつうではないのかもしれないが。とにかくただ抱かれるつもりでいた。いや、ただっていうものでもないのかもしれないが。
「ベルスタ、ほら」
このまま?
酔ったみたいにくらくらする。リリスの魔力なんて大したことなかったのかもしれない。
「っ」
達しただけでは物足りない。もっと深くで繋がれることを知っている体は、持て余した熱をくすぶらせている。
シュルッセル様は俺が吐き出したものを舐めとったあとで顔をしかめ、「まずい」と言った。
「…すみません」
「でもお前の魔力は心地よい」
わずかな距離が遠くかんじる。もっと側で声を聞きたい。
「俺にも…わかるようになりますか、シュルッセル様の魔力が」
手のひらが腹部に当てられる。
「もちろん、もうお前の中にあるぞ」
腹部にひやりと冷たさをかんじたのは一瞬で、じわじわとあたたかくなっていく。
「どうだ?」
くちびるを重ねた途端、柔らかな刺激がはしる。ぞわっと肌が粟立ち、「お前の中にある」という感覚が理解できた。
自分がとんでもないことをしているのだと、今更ながらに実感する。
「これは…魔力が発現したということですか」
「そうだ。最初は落ち着かないだろうが、そのうち慣れる」
「慣れる…」
「どうだ? 私の魔力は」
言葉にするのは難しい。
「宝石のかけらのような、かんじでしょうか」
魔力は全身をめぐっていて、だから、ころころと転がるような感覚がずっと続くわけで、まったく落ち着かない。
「お前のは穏やかな風のようだよ」
耳元でささやかれる。体が密着し、シュルッセル様の欲望を感じる。
昨日は背後からだったが、今日は向かい合ったままだった。窄まりを指で丁寧すぎるほどにほぐされ、その間に吐き出したものもきれいに舐めとられた。
快楽に体が麻痺してきたころ、ようやくシュルッセル様自身を受け入れる。奥を開かれる悦びに、だらしなく声がもれる。
すべての動作が俺の体の点検と確認でもしているかのようだった。この行為はあくまで魔力の交換が目的だ。俺はなすすべなく気持ち良さに身をゆだねるしかないが、きっと高尚な事情があって、仕方なくこの状況になっているのだ。
ゆったりと打ちつけられる腰、動作とはうらはらに激しく放たれたシュルッセル様の魔力に体がふるえた。
なにか圧倒的なものに飲み込まれたようだった。
「平気か?」
「俺の…魔力は、もう消え失せたんじゃないですか」
「なにを言っているんだ」
「俺のなか、シュルッセル様の魔力でいっぱいで…」
「加減しなくて悪かったな。すぐに馴染むから安心しろ」
体が離れてしまうとおもったから、腕を掴んで引き寄せた。口づけがしたかった。もう少しだけ近くに、と左手を伸ばして、シュルッセル様の髪に触れる。
左手?
「…な」
魔物に喰いちぎられたはずの左腕がある。恐る恐る手を握って開いてみる。ちゃんと力も入る。
「なにをしたんですか」
「喜ばないのか」
そういう問題ではない。なにが起こったんだ? これも魔術なのか?
「驚きのほうが大きいです」
「預かってもらうものもあるし、礼の気持ちだ」
「……なんて説明しろと?」
「説明?」
「これから会う人に…なかった腕がはえるなんて…」
「ああ…まあ…朝起きたらはえてた、ではだめなのか?」
「そんなばかな」
「星が降るんだ、失った腕が戻ることもあるだろう」
面倒そうに魔術師殿は言って、俺の左手を取るとそこへ口づけをした。
「次は満月の夜に来る。それまでに魔術の入門書を用意するようオンスに手紙を書いておけ」
左腕の衝撃からまだ正常な思考に戻れない。「わかったか」と念押しをされ、かすれた声で「…はい」と応えた。
◇◇◇
ひとつ気がついたことがある。シュルッセル様とセルシウスの声は似ているというより同じなのだ。
セルシウスが話せるのは辺境伯夫人の魔術ではなく、シュルッセル様の魔術ではないか、と推測する。
戻った左腕をセルシウスに見せると、「両腕揃ったところでしがない羊飼いに変わりはない。ワケありの、しがない羊飼いだな」と言った。
偉そうな物言いも、本来の主であるシュルッセル様の態度に似せようとしているのだと考えれば可愛いものだ。
羊飼いと牧羊犬という主従の関係は無理そうだが、仕事仲間のワケあり同士としてなら仲良くできるかもしれない。
「セルシウス」
しゃがみこみ、両手でわしわしと首元を撫でる。
「右目も左腕も元に戻ったわけだが、明日からも放牧に付き合ってくれよ」
「なんだわざわざ、気が向いたらな」
セルシウスはそう言って、俺の顔をぺろりと舐めた。
夏はまだはじまったばかりだ。
「いいなら、はい。俺も、構いませんが」
「…酒でも飲むか」
「時間がないのでは?」
そう問いかけて、素面でできるようなことでもないかと思う。「ない」と応えた声を無視して、「あ、葡萄酒があります。チーズも、今日麓の村から貰ってきました」と席を立つ。
「気が利かず申し訳ないです、一杯くらい飲む時間はありますよね」
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いつも寝ているベッドを使うのは、セルシウスも寝る場所だし気が引けて、葡萄酒とチーズは屋根裏へ運んだ。
屋根裏には、藁にシーツをかけただけの簡易な寝床がある。見習い羊飼いの頃はここで寝泊まりをしていた。天井が低く立ち上がることはできないが、大人の男二人が座って葡萄酒を飲むくらいの空間はあった。
光は隙間から差し込む程度だ。
「…お前は知りすぎたから、羊飼いを辞することは許されない」
王宮から盗まれた書物を預かるのだから当然である。
「分かりました」
シュルッセル様は葡萄酒を一口飲み、ふぅとため息をつく。となりを窺うが視線が合うことはなく、「嘘だ」とだけ返される。
「…分かっているつもりですが? シュルッセル様が生きていることも、預かることになった書物のことも、誰にも話しません」
「いや…そうではなく私の言ったことだ。忘却の魔術をかけてしまえばお前は忘れることができるし、羊飼いを辞めたとて問題ない」
魔術とは便利なものだ。
「この仕事が気に入っているので辞めません。だから魔術も不要です」
「いいのか?」
「はい。魔術と違って信じていただくしかないのですが」
肩が触れる。顔を向けると今度は視線が合った。なにかを読み取るようにじっと目を覗きこまれる。シュルッセル様の髪が頬にかかったと思ったらくちびるが重なっていた。この記憶を消されてしまうのはもったいない。
やわらかな舌の熱を受け入れる。昨日の今頃も同じことをしていた。
いや、同じではないか。強制的に与えられた欲情には混乱するしかなかったが、ゆるやかな昂まりは心地よい。
魔術師殿の置かれている状況はよく分からないが、こんな方法で役に立てるのであれば役得だとしか思えない。
口づけを交わしながら、シュルッセル様は俺の体をさぐる。衣服にすべりこんだ手がくすぐったく、「ふ」と息がもれる。
肋から腰、さらにその下へ。まだ兆しのないものに指が触れる。形を確かめるように撫でられればそれが張りつめるのに時間はかからなかった。
離されたくちびるに名残惜しさを感じながら、俺は艶やかな黒髪のつむじを見下ろす。
つむじ?
「っうぇ、あ…ちょっ」
屹立したものを舐められているのだと分かると、羞恥心やら申し訳なさやら、の後から溶けるような気持ち良さに襲われた。
心拍数がはねあがり呼吸が浅くなる。
「は、なしてください」
「このまま出せ」
「だせ…って、や、むりです」
「お前の魔力をくれるんだろう」
「なる、ほど…」
全っ然、分かっていなかった! それって、まさか……飲むのか!
昨日みたいに、ふつうに交わるだけだと思っていた。いや、ふつうではないのかもしれないが。とにかくただ抱かれるつもりでいた。いや、ただっていうものでもないのかもしれないが。
「ベルスタ、ほら」
このまま?
酔ったみたいにくらくらする。リリスの魔力なんて大したことなかったのかもしれない。
「っ」
達しただけでは物足りない。もっと深くで繋がれることを知っている体は、持て余した熱をくすぶらせている。
シュルッセル様は俺が吐き出したものを舐めとったあとで顔をしかめ、「まずい」と言った。
「…すみません」
「でもお前の魔力は心地よい」
わずかな距離が遠くかんじる。もっと側で声を聞きたい。
「俺にも…わかるようになりますか、シュルッセル様の魔力が」
手のひらが腹部に当てられる。
「もちろん、もうお前の中にあるぞ」
腹部にひやりと冷たさをかんじたのは一瞬で、じわじわとあたたかくなっていく。
「どうだ?」
くちびるを重ねた途端、柔らかな刺激がはしる。ぞわっと肌が粟立ち、「お前の中にある」という感覚が理解できた。
自分がとんでもないことをしているのだと、今更ながらに実感する。
「これは…魔力が発現したということですか」
「そうだ。最初は落ち着かないだろうが、そのうち慣れる」
「慣れる…」
「どうだ? 私の魔力は」
言葉にするのは難しい。
「宝石のかけらのような、かんじでしょうか」
魔力は全身をめぐっていて、だから、ころころと転がるような感覚がずっと続くわけで、まったく落ち着かない。
「お前のは穏やかな風のようだよ」
耳元でささやかれる。体が密着し、シュルッセル様の欲望を感じる。
昨日は背後からだったが、今日は向かい合ったままだった。窄まりを指で丁寧すぎるほどにほぐされ、その間に吐き出したものもきれいに舐めとられた。
快楽に体が麻痺してきたころ、ようやくシュルッセル様自身を受け入れる。奥を開かれる悦びに、だらしなく声がもれる。
すべての動作が俺の体の点検と確認でもしているかのようだった。この行為はあくまで魔力の交換が目的だ。俺はなすすべなく気持ち良さに身をゆだねるしかないが、きっと高尚な事情があって、仕方なくこの状況になっているのだ。
ゆったりと打ちつけられる腰、動作とはうらはらに激しく放たれたシュルッセル様の魔力に体がふるえた。
なにか圧倒的なものに飲み込まれたようだった。
「平気か?」
「俺の…魔力は、もう消え失せたんじゃないですか」
「なにを言っているんだ」
「俺のなか、シュルッセル様の魔力でいっぱいで…」
「加減しなくて悪かったな。すぐに馴染むから安心しろ」
体が離れてしまうとおもったから、腕を掴んで引き寄せた。口づけがしたかった。もう少しだけ近くに、と左手を伸ばして、シュルッセル様の髪に触れる。
左手?
「…な」
魔物に喰いちぎられたはずの左腕がある。恐る恐る手を握って開いてみる。ちゃんと力も入る。
「なにをしたんですか」
「喜ばないのか」
そういう問題ではない。なにが起こったんだ? これも魔術なのか?
「驚きのほうが大きいです」
「預かってもらうものもあるし、礼の気持ちだ」
「……なんて説明しろと?」
「説明?」
「これから会う人に…なかった腕がはえるなんて…」
「ああ…まあ…朝起きたらはえてた、ではだめなのか?」
「そんなばかな」
「星が降るんだ、失った腕が戻ることもあるだろう」
面倒そうに魔術師殿は言って、俺の左手を取るとそこへ口づけをした。
「次は満月の夜に来る。それまでに魔術の入門書を用意するようオンスに手紙を書いておけ」
左腕の衝撃からまだ正常な思考に戻れない。「わかったか」と念押しをされ、かすれた声で「…はい」と応えた。
◇◇◇
ひとつ気がついたことがある。シュルッセル様とセルシウスの声は似ているというより同じなのだ。
セルシウスが話せるのは辺境伯夫人の魔術ではなく、シュルッセル様の魔術ではないか、と推測する。
戻った左腕をセルシウスに見せると、「両腕揃ったところでしがない羊飼いに変わりはない。ワケありの、しがない羊飼いだな」と言った。
偉そうな物言いも、本来の主であるシュルッセル様の態度に似せようとしているのだと考えれば可愛いものだ。
羊飼いと牧羊犬という主従の関係は無理そうだが、仕事仲間のワケあり同士としてなら仲良くできるかもしれない。
「セルシウス」
しゃがみこみ、両手でわしわしと首元を撫でる。
「右目も左腕も元に戻ったわけだが、明日からも放牧に付き合ってくれよ」
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