1 / 4
1
しおりを挟む夏になる寸前、雨ばかり降るこの時期。
僕にはこの時にしか会えない友達がいた。
保育園を卒業し、小学生になった僕におばあちゃんが新しい合羽を買ってくれた。
緑色でカエルがモチーフのその合羽は、フードがカエルの顔になっていて、目が付いている。動物がモチーフのパーカーでいえば、ちょうど耳が付いている具合に。
お母さんは僕に傘と長靴を買ってくれた。これは普通のどこにでも売っている黄色い傘と長靴。
それでも僕は新しいものがうれしくてすぐさま着た。そして雨がザーザー降る外に駆け出した。
ドッドッと強めの雨が僕の新品の傘を叩く。僕は傘をくるくると回してそれをはじき返しながら歩いた。
大きな水溜りにわざと入り、ジャブジャブと水面を揺らす。
泥と砂利がかき混ぜられて水溜りが茶色になった。
夢中になって遊んでいると、いつの間にか公園の前に来ていた。
いつもは子供たちの遊ぶ声がひびき渡るのに、今日は誰も居ない。雨なのだから当然かもしれないけれど。
僕は公園の真ん中に駆けていった。
今日は僕しかいない。みんなでじゅんばんこに使うぶらんこも、少し上のお兄ちゃんたちが一番上立って、ふんぞり返っているジャングルジムにも誰もいない。この広い公園は僕だけのものになっている。
僕はうれしくて駆け出した。水がばしゃばしゃとはねるのも気にしない。
今僕を怒る人なんていないのだもの。
僕はぴたりと足を止めた。大きな声で叫びたくなったのだ。いつもは子供たちの声で騒がしいこの公園も今は僕の声しかないのだから!
僕はスーっと大きく息を吸い込んだ。そりかえる背中。胸を張って、たくさんの空気を吸い込む。
その空気を声に出そうとした時だった。
0
あなたにおすすめの小説
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
ローズお姉さまのドレス
有沢真尋
児童書・童話
*「第3回きずな児童書大賞」エントリー中です*
最近のルイーゼは少しおかしい。
いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。
話し方もお姉さまそっくり。
わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。
表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
理想の王妃様
青空一夏
児童書・童話
公爵令嬢イライザはフィリップ第一王子とうまれたときから婚約している。
王子は幼いときから、面倒なことはイザベルにやらせていた。
王になっても、それは変わらず‥‥側妃とわがまま遊び放題!
で、そんな二人がどーなったか?
ざまぁ?ありです。
お気楽にお読みください。
悪女の死んだ国
神々廻
児童書・童話
ある日、民から恨まれていた悪女が死んだ。しかし、悪女がいなくなってからすぐに国は植民地になってしまった。実は悪女は民を1番に考えていた。
悪女は何を思い生きたのか。悪女は後世に何を残したのか.........
2話完結 1/14に2話の内容を増やしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる