漫画読み過ぎて悪役令嬢に転生したけど乙女ゲームは未経験です ノブリージュ学園には毎年ヒロインが出現します

在江

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第二章 留学生

12 悪役令嬢は選挙に出ない

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 年明けには、年末にあった試験成績が、張り出されていた。
 わたしは、前世のゲーム知識を駆使くしして、成績上位をキープした。クラスも変わらずに済んだわ。

 フェアじゃなくても、わたしが持つ知識であることには違いない。カンニングとは言えないわよね。

 モブにだって、このぐらいの恩恵おんけいはあったって良いと思う。この先、悪役令嬢に昇格しょうかくするかもしれないけれど。昇格なのかしら?

 学年トップは、マリエルだ。いかにもヒロインぽい。
 攻略対象らしいイーゴリも、成績優秀だ。

 ナタリーやソランジュを含めて、クラスが変わるほど成績が浮き沈みした生徒は、ほぼいなかったみたい。

 ソランジュと言えば、飽きもせずイーゴリと距離を縮めようと頑張っていた。
 美形だし、玉の輿もあるかもだし、近付きたくなる気持ちはわかる。それは、仕方がない。

 いけないのは、マリエルにちょっとした意地悪を仕掛けるところ。

 嫉妬しっとよ、嫉妬。

 彼女の持ち物を、別の場所へ移したり、つまずきやすい場所にモップを立てかけておいたり、教室の移動先を教え忘れたり‥‥まるで悪役令嬢だわ。

 意図的な意地悪と言い切れないところが、かえって陰湿いんしつな気もする。代表委員を務める身だと、一応意識しているんだろうな。

 ナタリーのお姉さん、エヴァ=クルタヴェルが、マリエルを叱っているのを見たこともある。
 後でマリエルに、原因を聞いてみたら、ほぼ言いがかりだった。

 生徒会書記になれなかった悔しさをぶつけるにしても、まずアメリちゃんが相手だよね。
 生徒会の本部メンバーに言い寄られる、マリエルが気に入らないのも理解はできるけれど、完全に八つ当たりだわ。

 それにしても、一緒に働く本部メンバーが、揃ってマリエルに惚れちゃっている状況を、アメリちゃんはどう思っているのかしら。しかも彼女たちは同じような珍しい髪色で、普通は気になるわよね。

 転生者だから、元を知っていて、放ってあるとか。
 ゲームが違うなら、無理に関わっても上手くいかないってことは、ありそうな話だわ。
 

 成績順位は全学年で公開される。当然、アメリちゃん達の分も張り出してあった。

 見るまでもない。『ラブきゅん! ノブリージュ学園』をやりこんだわたしは、空で言える。わかっちゃいるけど、記憶のゲーム画面より、実物を見たい。

 記憶と違うのは、サンドリーヌだけだった。
 あんなに本を買い込んで勉強していたのに、意外と低い順位。ゲームでは、権力で上位クラスに入っていたけど、これは実力っぽい。

 アメリちゃんたちとは、二年間、別のクラスなんだよね。このまま三年間、ヒロインと離れ離れになったら、悪役令嬢を断罪するための絡みがないまま、卒業パーティに突入しちゃう。

 わたしにとっては、将来の義姉が、断罪されない方が嬉しい。
 だって、サンドリーヌは断罪されると、ほとんどのルートで死ぬから。
 悪役令嬢なしでも、転生者のアメリちゃんは攻略を進めているみたいだし。

 ゲームでは、成績発表の場面も、スチルがあった。
 密かに楽しみにしていたのに、時間が合わなかったのか、アメリちゃんの姿を見られなかった。残念。


 この時期には、生徒会選挙がある。
 確かゲームでは、二年目のこの選挙で、シャルル王子が会長、アメリちゃんが副会長、エマ=デュポンが会計、そしてディディエくんが書記になるんだった。

 サンドリーヌもここで副会長に立候補して、アメリちゃんと選挙で競り合うことになるのよ。

 わたし、どっちに投票したらいいのかしら。

 アメリちゃんに清き一票を投票したい。でも、わたしはディディエくんの婚約者で、サンドリーヌは将来の義姉。

 ううう、悩む。悪役令嬢がどのくらいの意気込みなのか、それに、筆跡で誰が投票したのかバレる可能性とか、探りを入れておこう。

 「え、出ないわよ」
 「へ?」

 お茶会の席で、わたしは間抜けな声を出してしまった。

 辺境に住むリュシアンの婚約者、フロランス=ポワチエが近くに来たと言うことで、わたしとディディエくんも呼んでもらえたのだ。

 リュシアンとサンドリーヌが幼馴染だからってのもあるけれど、フロランスと彼女も気が合う友人みたいだった。
 ゲームスチルにはない絵面だ。でも、キラキラしていて、青春って感じ。

 シャルル王子はいない。そもそも呼ばれていないみたいだった。
 今頃、アメリちゃんとデートイベントをこなしているかもしれない。

 ヒロインを思い出したついでに、わたしの頭を悩ます選挙問題を、サンドリーヌに聞いてみた。

 「生徒会役員選挙に、立候補されないのですか?」

 それに対する返事が、予想外で、わたしははからずも、間抜けをさらしてしまったのだった。
 確かに、候補者名簿に名前なかったわ。

 「同じ家から、本部役員を二人も出したら、私物化とそしられてしまうもの」

 「僕としては、姉様と活動できないのは残念だな」

 ディディエくんは、ゲーム通り書記に推薦されている。立候補した王子とアメリちゃんの役職も、ゲームと同じ。

 会計には、ドリアーヌ=シャトノワが推薦されていた。彼女は王子の側近バスチアンの婚約者にして、悪役令嬢の取り巻き。
 サンドリーヌが裏で操れば、十分私物化できそう。むしろそっちの方が、悪役令嬢っぽい。

 悪役令嬢が私物化を目論もくろんでも、攻略対象の二人が味方するのは、やっぱヒロインでしょう。
 逆に主人公の生徒会私物化が進んだりして。
 ヒロインには、断罪の心配もない。生徒会無双むそうっていうべきかな。

 「その代わり、何か委員をやれって、言われているんだろう、シャルル王子に?」

 リュシアンの言い方だと、王子から役員に立候補するよう頼まれたのを、サンドリーヌが断ったみたいに聞こえる。
 わたしが事前に、選挙で対立候補になるって言ったから、サンドリーヌは選挙自体を避けることにしたのだわ。

 むう。てっきり、妨害工作をしないだけかと思っていた。ヒロインから、徹底的に距離をとっているのね。

 一方で、親睦武道会の頃に比べると、リュシアンとサンドリーヌの距離は、以前に戻った気がする。
 何なら今の時期に、婚約者のフロランスと仲良くお茶会をしているのだ。

 アメリちゃんが王子ルートにしぼったとすると、サンドリーヌは処刑か強盗に殺されるか、の二択になっちゃう。

 一番平和なのは、アメリちゃんが全員の攻略に完全に失敗するバッドエンドで、その場合、サンドリーヌは予定通りシャルル王子と結婚できる。

 結婚したがっているようにも見えないけれど。まずは、死亡回避に必死なのだ。

 「ええ。手を挙げたら、そのまま決まるでしょうね」

 王子に命じられたとかで、今年度代表委員を務めているサンドリーヌ。役員は、希望者同士の話し合いで決まるけど、代表委員だけは、希望者の家柄順に決まるのだ。

 「では今回は、選挙なし? 学校にそれで通るかしら。選挙活動も、成績に関わるでしょ?」

 フロランスが指摘した。
 成績って、テストだけじゃないんだ。編入時に、そんな説明を受けた気もする。

 「恒例こうれいになるようでは問題ですが、今回の顔触かおぶれなら、仕方ないのでは」

 ディディエくんが、自信なさげに反論する。

 「前例は前例として残ってしまうから、形だけでも誰か立てるように、指導が入るかもしれないわね」


 フロランスの予想は、現実になったわ。

 副会長候補に、クラスメートのソランジュとマリエルが追加されたの。

 ソランジュは入学時首席で代表委員、マリエルは今回首席で企画委員を務めている。
 そして、ラルミナ家とシャティヨン家は、共に伯爵。

 推薦人は、ソランジュがクルタヴェル姉妹と他の代表委員、つまりサンドリーヌも入っているのに対して、マリエルには現生徒会長及び副会長、会計が名を連ねていたのよ。
 現役役員の推薦ってどうなの? と思うけど、現行規則上は問題ないみたい。

 ところで、現生徒会書記の男爵令嬢アメリちゃんの立場は? 

 学園側から不戦勝にならないよう、候補を立てられたのは仕方ない。でも、対立候補の推薦人に現役役員が名を連ねるって、どんだけアメリちゃん嫌われているのかって、思っちゃう。

 多分、マリエルは後から出てきたゲームのヒロインだ。
 新旧ヒロイン対決って言ったら、やっぱり新ヒロインの勝利だよね。

 『ラブきゅん!』では、アメリちゃんとサンドリーヌ‥‥実際は、エヴァ=クルタヴェルとの対決でアメリちゃんが勝ったから、今度は負ける番なのかな。

 「私が立候補しないから、新入生から候補者を立てた、とエドモン先生にまで言われたのよ。それに、他の代表委員が名をつらねている中、私の名前が欠けていたら、シャティヨン嬢の推薦人とバランスが取れないって」

 参考書山積みで勉強中のところへお邪魔したせいか、生徒会選挙に巻き込まれたせいか、サンドリーヌは迷惑そうな表情で、わたしの質問に答えた。

 イベント情報を事前に知らせる、と言う約束を果たすために、彼女の部屋へちょくちょく行くうちに、何か怖さも薄れてしまって、大した用がない時でも訪ねるようになってしまった。
 いつ行っても、ほぼ勉強しているのだ、この悪役令嬢は。

 「ラルミナ嬢は、やるからには本腰を入れるとかで、気合い十分だし、余計に断れなかった。シャティヨン嬢は、数合わせだって、わかっているみたいだったわ。形は違うけれど、これも貴女の言う『ゲームイベント』なのよね?」

 「はい、そうです。シナリオ通りなら、ヒロインのアメリちゃ‥‥デュモンド嬢が当選する筈、なんですけれど」

 わたしは、サンドリーヌに新旧ヒロイン対決の可能性を言い出せなかった。一つのゲームが終わっていないのに、同時進行で別のゲームが進むなんて、転生者のわたしでも理解できない。それに、これは推測なのだもの。
 サンドリーヌがわかるように、説明できる気がしない。

 乙女ゲームのことは別にして、選挙の行方ゆくえを考えてみた。

 ソランジュもマリエルも新入生。アメリちゃんも書記に推薦された時には新入生だったけれども、書記と副会長では役の重みが違う。

 アメリちゃんは一年間書記として仕事をしてきた実績がある上に、次の最上級生でもある。シナリオ修正力を別にしても、この点は有利。

 あとは、推薦人の格が、どう影響するかよね。

 「新入生がいきなり副会長に推される訳だから、説得力を出すために、先生方も推薦人を揃えたのでしょうけれど、さすがに現役役員を担ぎ出すのは、反則よね。まるでデュモンド嬢を落選させたいみたい。もし、彼女が落選したら、どうなるのかしら」

 サンドリーヌは不安気だ。シナリオ通り、アメリちゃんが当選すれば、未来は見通せるけど、死亡フラグは林立する。落選したら‥‥。

 「その場合、シナリオから外れるので、わたしの情報は役に立たなくなると思います」

 期待に添えなくてごめんなさい。
 サンドリーヌが断罪から遠ざかる可能性は高まると思うけれど、確かなことは言えない。
 今でさえ、わたしの知らない要素が入り込み過ぎているもの。

 「学園の方針からしても、選挙に下手な介入はできない。成り行きを見守るしかないわ」
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