漫画読み過ぎて悪役令嬢に転生したけど乙女ゲームは未経験です ノブリージュ学園には毎年ヒロインが出現します

在江

文字の大きさ
29 / 74
第二章 留学生

11 従妹という設定なのですね

しおりを挟む
 そこからは、わたしが参加したオリエンテーリングの話をし、ディディエくんとサンドリーヌから狩猟実習の話を聞いた。

 乙女ゲーム内では表示されないんだけれど、実習に使う犬には、一頭一頭名前がある。

 家が近い生徒は、自分の犬を連れてくるのだ。攻略対象の生徒三人は、当然自分の犬を連れてきた。

 ちょっと待って。何で、学年の違うリュシアンが一緒に参加しているの?

 「去年、何かで参加できなかったらしいわ」

 サンドリーヌが教えてくれた。じゃあ、その日欠席した授業の分は、どうなるのかしら。補習でもする?
 きっと、これはゲーム都合だわ。アメリちゃんが、逆ハーレムルートを辿たどっているか、リュシアンをねらっているかしているに違いない。

 「学園で飼っていた犬に、僕のと同じ名前のがいたんだよね。見た目もちょっと似ていて、途中までついてきちゃったんだ」

 わたしが考えをめぐらせる間に、ディディエくんが話し始めた。ちなみに、ションスーという名だったそうな。それにサンドリーヌが気付いて、元へ戻してあげたとか。

 悪役令嬢は、攻略対象三人と一緒にいたのだけれど、その犬を生徒へ帰すのに、リュシアンと離れてしまった。おお、イベントフラグだわ。

 「それで、リュシアンが獲物を見つけた時に、デュモンド嬢も近くにいたらしくて」

 サンドリーヌが後から聞いた話として説明してくれるのは、イベントが気になるわたしのためだ。

 「きっと同時に撃ったのね。リュシアンのルゥが先に落ちた獲物を拾ったのだけれど、デュモンド嬢が自分の獲物だって主張して」

 「そういう時は、どうするんですか?」
 「判定員を呼ぶ」

 ディディエくんが教えてくれた。何かうっすらと記憶が蘇った。

 「その時は、クレマン先生が判定員として来てくれて、リュシアンが撃ったと判定されたの。デュモンド嬢は減点されてしまったわ」

 あら~。攻略対象がかぶった上に、好感度が足りなかったのね。
 わたしが逆ハールート攻略した時には、トラブった相手はモブ生徒で、クレマン先生はわたしに味方してくれたものよ。

 でも、リュシアンはいなかった気がするなあ。弁当のことと言い、ゲーム世界でも、実際生きてみると、色々な要素があって、その分シナリオそのまんまとはいかないものね。

 「リュシアンは気がとがめたらしくて、一緒にお昼を食べるよう彼女を連れてきたの」

 じゃあ、アメリちゃん的には結果オーライなのかな。

 食後、買い出しに行くというサンドリーヌに付き合って、というか、馬車が一緒だから断る選択肢はないのだけれど、とにかく街中へ戻った。

 目当ての店は、本屋と食料品店だった。

 ロタリンギアでもメロデウェルでも、街中歩きは初めてだわ。つい前世の感覚で独り歩きをしかけて、ヘルミーネやディディエくんに止められちゃった。

 本屋さんは、本当に久しぶり。メロ語の本がほとんどだから、どうしても見るのに時間がかかってしまう。丸一日居座って、じっくり見たかったなあ。

 「ロザモンドも本が好きなんだね。今度、二人で一緒に来よう」

 ディディエくんが嬉しそうに約束してくれた。そういえば、彼は元々病弱で本がお友達、という設定だったわね。

 サンドリーヌが買い込んだ本は、全部参考書みたいだった。『総天然色解説付きブーリ料理』とか、『最新版 剣 弓 槍』とか。割と絵が多い本を選ぶところが乙女ゲーでのおバカな悪役令嬢っぽい。

 侍女のジュリーと侍従のトビが、ヴェルマンドワ姉弟の買った本を馬車へ置きに行く間に、わたし達は食料品店へ移動した。色々な店が立ち並んでいるので、行き交う人々も様々だ。石畳の上を自分の足で歩くことが楽しい。

 と、視界にストロベリーゴールドが入ってきた。女の子と一緒に歩いているけれど、ジョゼフィーヌではない。あの金髪は‥‥え?

 「イーゴ」

 つい口走りそうになって手で口をふさぐ。マリエル=シャティヨンと並んで歩くのは、イーゴリ=オレーグ王太子だ。
 でも、女性の服を着ているわよ。女装ですかっ!

 「マリエルさん、でしたっけ?」

 わたしが声を出したせいで、サンドリーヌも二人に気付いてしまった。お忍びとは言え、公爵令嬢に声をかけられた二人はとぼけられない。

 「あっ。こんにちは、サン‥‥」

 決して名前を忘れた訳ではなく、お忍び設定を知らず困っているのだ。

 「サンディですわ。弟のディディと婚約者のローズです。そちらの方は?」

 察して助け舟を出すサンドリーヌ。

 「イリーナです。イーゴリの従妹です」

 女装したイーゴリが、普段より高めの声で名乗った。
 マジですか。カツラは金髪だけれど、眉毛もまつ毛も黒いままですよ。

 似合ってはいる。知らなければ、普通に女の子に見えなくもない。

 「街を案内しているところなんです」

 マリエルが嘘をつかない範囲で説明する。正直な子ね。態度がわかりやすいわ。

 「あら、そうなのね。私達は買い物に行くのよ。では、学園で。ごきげんよう」

 サンドリーヌは自然な様子で話を切り上げると、きびすを返した。彼女が王太子の女装に気づいたかどうか、側から見ていたわたしには、わからなかった。
 わたしが転生者だから、あの変装に気づいたのかもしれない。そうなると、下手にイーゴリだかイリーナだかの話題を持ち出したら、変だよね。

 サンドリーヌに引き続いて、わたし達も会釈えしゃくした後、急いで立ち去った。
 今目撃したことについて考えながら歩いたせいか、息を詰めてしまったみたい。目当ての店に着いた時には、わたしだけ息切れしていた。

 「ごめんねローズ。君の調子を考えないで歩いてしまった。ここで少し休んでいて。すぐ戻るから」

 ディディエくんが、済まなさそうに謝ると、サンドリーヌとは別の店へ小走りに行ってしまった。そこへ、身軽になったジュリーとトビが追いついた。

 「お待たせして済みません」
 「サンディ様とディディ様は、お店の中ですか?」
 「ええ、まあ」

 ヘルミーネが曖昧あいまいうなずくと、二人は早速店内へ姿を消した。
 正確には、サンドリーヌとディディエくんは、別の店へ入ったのよね。
 幸い、トビが出てきた時には、彼のご主人様が戻っていた。

 「立ち飲みになってしまうけれど、飲んでみて」

 ディディエくんは、木製のカップを差し出した。フレッシュな果実の香りが立ち上る。前世庶民のわたしには、立ち飲みなんて、全然抵抗ない。お礼を言って、口をつけるなり、旨さに一気飲みしてしまった。

 「ぷはーっ。美味しかったです。ありがとうございました」

 手の甲で口をぬぐいながらディディエくんを見、慌てて手を下ろす。その手をさりげなく布でくヘルミーネ。
 貴族令嬢としては失態レベル。ディディエくんの目が点になっていた。

 「あ、わたし、カップをお店に返してきますね。ご馳走様ちそうさまでした」

 逃げるように遠ざかる。絶対、引いていたわ。恥ずかしくて身の置き所がない。あああ、どうしよう。

 「ローズ、お店を通り過ぎているよ」

 腕をつかまれて、足が止まった。ディディエくんだった。

 「ごめんなさい。どこでしたっけ」

 実は、どの店かわかっていなかった。

 「僕が返すつもりだったのに。一緒に行こう」

 ディディエくんは手を離さない。嫌われてはいないのかな。そうだといいんだけれど。


 年末年始はロタリンギアに帰省した。

 クリスマスパーティ、出たかったなあ。ブーリ教の世界だから、正確にはクリスマスじゃないんだけれど。
 風邪か花粉アレルギーか、とにかくくしゃみと鼻水が止まらなくて、ダンスパーティは無理だ、となったのよ。

 折角せっかく、衣装を用意してくれたディディエくんと、踊れなかったのも残念だったし、何よりも、アメリちゃんと攻略対象のみんながどんな衣装を着て、誰と誰が踊るのか、見てみたかったわ。

 好感度の高い攻略対象者と多めに踊るのよね。今は二年目だ。わたしの予想では、リュシアン、クレマン先生、ディディエくん、シャルル王子の順番と見た。

 王子は未だサンドリーヌを好きでいるみたいだし。王子ルートを攻略するなら、この時点で悪役令嬢に冷たくなるぐらいじゃないと、好感度目標値の達成は厳しい。

 パーティ欠席の代わりに、アメリちゃんがいる寮に残りたかったんだけれど、今世では一応王家に連なる家柄の留学生だし、イーゴリ=オレーグも帰国するって言うし、空気を読むことにしたわ。

 イーゴリは、マリエルが残らないから帰るのよね。

 二人は慎ましく仲が良い感じで、モブながら、密かに応援してあげたく思っている。
 生徒会長のドSや副会長のドM、会計の百合毒牙にかかるよりは、女装趣味の方がマリエルに合っている気がする。
 単に、二人のエロいシーンを見ていないせいかもしれないけれど。
 これまでに何度もラブシーンかエロシーンか何かを目撃する羽目になっちゃって、『ラブきゅん!』ファンとしては、結構キツかった。

 何というか、アメリちゃんと違って、マリエルは巻き込まれ感が強い。普段話していても、常識的だし、どっちかと言うと大人しい。

 十八禁てことは、乙女ゲームじゃなくて、単なるエロゲーなのかもしれない。ここは原作を知らないから何とも言えない。そもそも、ゲームとも断言できないわ。
 もしかしたら、ノブリージュ学園を舞台にした小説ってことも、あるよね?


 実家では、一家総出で大歓迎。
 わたしとしては、大好きな『ラブきゅん! ノブリージュ学園』の舞台に入り込めて、家のことなんかほぼ忘れていた。
 戻ってみたら、気が緩むのがわかった。わたしにとって、ここが家なんだ、と実感した。離れてわかる家の有り難み。

 両親の一番の心配は、わたしが前世の話をして、婚約破棄されないか、という点だった。

 そりゃそうよね。

 サンドリーヌとディディエくんに話した、と言った時の彼らの顔ったら!
 お母様、危うく卒倒しかけたわ。でも、話した上で仲良くしていると聞いて、ものすごく安心していたの。
 そこは良かった。

 心配された原因は、わたしが年末に風邪を引いたせいもある。
 その上、せて帰ってきたからね。

 この世界でのわたしは、ちょっと太り気味だった。
 だって、前世じゃ我慢ばっかりだったのが、今世じゃ貴族で高級食材が食べ放題なんですもの。三度の食事だけでなく、間食もし放題。
 ロタリンギアでは運動もほとんどしなかったし、そりゃ太りますわ。それも不健康な方向で。

 メロデウェル料理はロタリンギアよりも洗練されていて、目でも楽しむことができた。見て、食べて、お腹いっぱい、という感じ。
 それに、ノブリージュ学園の全寮制の食堂は、お代わりがなくて、自然と食事量が減ったのよね。

 しかも、学園は広いし授業が意外と体育系多くて、体を動かす機会も増えた結果、無理してダイエットなんてする必要もなく、自然と体が締まったのだった。

 アメリちゃんとか、マリエルとか、揃って可愛いヒロインを見て、あんな感じになりたいって思っていたから、ちょうど良かったのよ。でも家族は心配するよね。

 で、フォアグラ用のガチョウみたいに詰め込まれて、元通りの体型になって戻ったのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

【完結】異世界召喚 (聖女)じゃない方でしたがなぜか溺愛されてます

七夜かなた
恋愛
仕事中に突然異世界に転移された、向先唯奈 29歳 どうやら聖女召喚に巻き込まれたらしい。 一緒に召喚されたのはお金持ち女子校の美少女、財前麗。当然誰もが彼女を聖女と認定する。 聖女じゃない方だと認定されたが、国として責任は取ると言われ、取り敢えず王族の家に居候して面倒見てもらうことになった。 居候先はアドルファス・レインズフォードの邸宅。 左顔面に大きな傷跡を持ち、片脚を少し引きずっている。 かつて優秀な騎士だった彼は魔獣討伐の折にその傷を負ったということだった。 今は現役を退き王立学園の教授を勤めているという。 彼の元で帰れる日が来ることを願い日々を過ごすことになった。 怪我のせいで今は女性から嫌厭されているが、元は女性との付き合いも派手な伊達男だったらしいアドルファスから恋人にならないかと迫られて ムーライトノベルでも先行掲載しています。 前半はあまりイチャイチャはありません。 イラストは青ちょびれさんに依頼しました 118話完結です。 ムーライトノベル、ベリーズカフェでも掲載しています。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

勘違いで嫁ぎましたが、相手が理想の筋肉でした!

エス
恋愛
「男性の魅力は筋肉ですわっ!!」 華奢な男がもてはやされるこの国で、そう豪語する侯爵令嬢テレーゼ。 縁談はことごとく破談し、兄アルベルトも王太子ユリウスも頭を抱えていた。 そんな折、騎士団長ヴォルフがユリウスの元に「若い女性を紹介してほしい」と相談に現れる。 よく見ればこの男──家柄よし、部下からの信頼厚し、そして何より、圧巻の筋肉!! 「この男しかいない!」とユリウスは即断し、テレーゼとの結婚話を進める。 ところがテレーゼが嫁いだ先で、当のヴォルフは、 「俺は……メイドを紹介してほしかったんだが!?」 と何やら焦っていて。 ……まあ細かいことはいいでしょう。 なにせ、その腕、その太もも、その背中。 最高の筋肉ですもの! この結婚、全力で続行させていただきますわ!! 女性不慣れな不器用騎士団長 × 筋肉フェチ令嬢。 誤解から始まる、すれ違いだらけの新婚生活、いざスタート! ※他サイトに投稿したものを、改稿しています。

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!? 容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。 「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」 ところが。 ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。 無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!? でも、よく考えたら―― 私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに) お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。 これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。 じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――! 本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。 アイデア提供者:ゆう(YuFidi) URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464

処理中です...