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第2章 過去のふたり
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ルフェルニアはユリウスと離れて、早速スイーツの置いてある場所へ足を進めようとした。
「ルフェルニア・シラーさん、ちょっとよろしいかしら?」
ルフェルニアが1人になるのを待っていたかのように声をかけられる。
ルフェルニアが振り向くと、3名の令嬢がルフェルニアを睨むような目つきで立っていた。
先ほど挨拶をした家の令嬢だ。
「今、同じ年ごろの令嬢たちで集まってお話をしているところなの、ルフェルニアさんもぜひ一緒にお話ししましょうよ。」
そう言って、令嬢たちがルフェルニアを囲むので、ルフェルニアは観念してそのあとを着いていくと、会場の歓談スペースの一部に、15名ほどの令嬢たちの集まりができていた。
折角のダンスの時間なのに、わざわざルフェルニアを待っていたようだった。
一番大きなソファに腰を掛けている令嬢は、先ほどの挨拶のときには見なかった令嬢だ。
「初めまして、ルフェルニアさん。私はローズマリー・マルキンスです。ユリウス様とは学園の同級生だったの。どうぞよろしくね?」
ローズマリーは綺麗なブロンドにストロベリーピンクのたれ目がとても可愛い令嬢だ。
マルキンスは侯爵家で、かなり裕福な家だと、ルフェルニアでも聞いたことがあった。
高等部のとき、ローズマリーとユリウスはお似合いの”カップル”だったとも学園の噂で聞いていたので、ルフェルニアは「ああ、なるほど、このお方が」と思った。
「初めまして、ルフェルニア・シラーでございます。」
ルフェルニアはすぐに礼を取ったが、ローズマリーはルフェルニアに着席を促さなかった。
「ユリウス様から、妹みたいな子がいるって聞いていたけれど、貴女のことだったのね。」
「はい、恐らくそうだと思います。私もユリウスのことは兄のように…」
「ユリウス様のことを呼び捨てにしてらっしゃるの?」
ローズマリーは不機嫌を隠しもしない声で、ルフェルニアの話を遮った。
「子爵家のくせに、随分なことね。」と周りの令嬢も次々にルフェルニアを責めたてる。
「貴女はもうデビュタントを迎えた立派な令嬢なのですから、ちゃんとわきまえるべきではなくて?」
「そうかもしれませんが、私とユリウスは幼馴染のようなものでして…。」
「あらあら、まぁまぁ!貴女はまだ、小さい子供でいるつもりなのかしら?ミネルウァ公爵家がシラー子爵を重用しているのは存じておりますが、そこに付け入ろうとするなんて。」
きっとローズマリーのこの言葉の後には「なんて汚いのかしら」が続くに違いない。
「ローズマリー様、私の弟がルフェルニアさんと同級生なのですが、ルフェルニアさんは学園長の推薦で王立学園に入学したそうですわ。何でも、植物学の件で名誉賞を受賞したことを鼻にかけているだとか。ただ、学園の成績の方はあまりよろしくないそうですわ。」
ひとりの令嬢がローズマリーに面白い話を聞かせるかのように話しかける。
その声に悪意がにじんでいることは言わずもがな、ルフェルニアは手を握りしめて黙って聞いていた。鼻にかけた覚えはないが、成績がふるわないのは、確かだからだ。
「私も聞いたことがあるわ、貴女の貢献がユリウス様の御病気を救ったって。その点は感謝申し上げるわ。」
ローズマリーのこの言葉に、ルフェルニアは「貴女に感謝される覚えはない」と思ったが、何かを口にすれば周りの令嬢が口々に罵ってくることは明らかなのでぐっと耐える。
「でも、そのことを盾にいつまでもユリウス様に甘えるなんて…ユリウス様がお可哀そう。」
ローズマリーのこの一言に、ルフェルニアは途端打ちのめされたような気持ちになった。
周りから見ると、こう思われていたのか。ルフェルニアは小さく息を飲んだ。
「本当、お可哀そうよねぇ。ユリウス様にはいずれローズマリー様のような公爵家に相応しい方が婚約者になるのだから、身の程をわきまえたほうが良いわ。」
周囲の令嬢もローズマリーに便乗するように、口々に「ユリウス様が可哀そう」とルフェルニアを嘲笑した。
「まぁまぁ皆様、あまり責め立ててはルフェルニア様がお可哀そうですわ。だって、さっきからずっとだんまりじゃない。」
ローズマリーは挑発するようにルフェルニアに声をかけた。
「ねぇ、ルフェルニアさん、貴女は今どのような研究をされているの?学園長の推薦で入ったのだから、きっととても素晴らしい研究をされているのでしょうね。」
ルフェルニアの同級生に弟がいると言っていた令嬢から、“何もない”ことを聞いているに違いない。
ルフェルニアは学園の授業についていくことに精一杯で他に時間が回せていなかった。
それに、ルフェルニアの過去の発見はあくまで趣味の過程で発見したもので、ルフェルニア自身が何かアイディアを凝らす、というのは苦手だった。
このことはルフェルニア自身が一番劣等感を抱いていることだからこそ、第三者の誰にも触れてほしくないことだった。
「いえ、今は特に研究はしておりません。」
ルフェルニアは声が震えないようにするだけで精一杯だ。
「まぁ!それでは、過去の1回きりのことでここまで?」
ローズマリーがわざとらしく驚いて見せると、周りの令嬢もそれに倣うように驚いてから再び嘲笑めいたことを口々に囁きだす。
ルフェルニアはたまらずローズマリーに背を向けて逃げ出した。
ルフェルニアの耳の中にはローズマリーと周りの令嬢が嘲笑う声がずっと残っているようだった。
「ルフェルニア・シラーさん、ちょっとよろしいかしら?」
ルフェルニアが1人になるのを待っていたかのように声をかけられる。
ルフェルニアが振り向くと、3名の令嬢がルフェルニアを睨むような目つきで立っていた。
先ほど挨拶をした家の令嬢だ。
「今、同じ年ごろの令嬢たちで集まってお話をしているところなの、ルフェルニアさんもぜひ一緒にお話ししましょうよ。」
そう言って、令嬢たちがルフェルニアを囲むので、ルフェルニアは観念してそのあとを着いていくと、会場の歓談スペースの一部に、15名ほどの令嬢たちの集まりができていた。
折角のダンスの時間なのに、わざわざルフェルニアを待っていたようだった。
一番大きなソファに腰を掛けている令嬢は、先ほどの挨拶のときには見なかった令嬢だ。
「初めまして、ルフェルニアさん。私はローズマリー・マルキンスです。ユリウス様とは学園の同級生だったの。どうぞよろしくね?」
ローズマリーは綺麗なブロンドにストロベリーピンクのたれ目がとても可愛い令嬢だ。
マルキンスは侯爵家で、かなり裕福な家だと、ルフェルニアでも聞いたことがあった。
高等部のとき、ローズマリーとユリウスはお似合いの”カップル”だったとも学園の噂で聞いていたので、ルフェルニアは「ああ、なるほど、このお方が」と思った。
「初めまして、ルフェルニア・シラーでございます。」
ルフェルニアはすぐに礼を取ったが、ローズマリーはルフェルニアに着席を促さなかった。
「ユリウス様から、妹みたいな子がいるって聞いていたけれど、貴女のことだったのね。」
「はい、恐らくそうだと思います。私もユリウスのことは兄のように…」
「ユリウス様のことを呼び捨てにしてらっしゃるの?」
ローズマリーは不機嫌を隠しもしない声で、ルフェルニアの話を遮った。
「子爵家のくせに、随分なことね。」と周りの令嬢も次々にルフェルニアを責めたてる。
「貴女はもうデビュタントを迎えた立派な令嬢なのですから、ちゃんとわきまえるべきではなくて?」
「そうかもしれませんが、私とユリウスは幼馴染のようなものでして…。」
「あらあら、まぁまぁ!貴女はまだ、小さい子供でいるつもりなのかしら?ミネルウァ公爵家がシラー子爵を重用しているのは存じておりますが、そこに付け入ろうとするなんて。」
きっとローズマリーのこの言葉の後には「なんて汚いのかしら」が続くに違いない。
「ローズマリー様、私の弟がルフェルニアさんと同級生なのですが、ルフェルニアさんは学園長の推薦で王立学園に入学したそうですわ。何でも、植物学の件で名誉賞を受賞したことを鼻にかけているだとか。ただ、学園の成績の方はあまりよろしくないそうですわ。」
ひとりの令嬢がローズマリーに面白い話を聞かせるかのように話しかける。
その声に悪意がにじんでいることは言わずもがな、ルフェルニアは手を握りしめて黙って聞いていた。鼻にかけた覚えはないが、成績がふるわないのは、確かだからだ。
「私も聞いたことがあるわ、貴女の貢献がユリウス様の御病気を救ったって。その点は感謝申し上げるわ。」
ローズマリーのこの言葉に、ルフェルニアは「貴女に感謝される覚えはない」と思ったが、何かを口にすれば周りの令嬢が口々に罵ってくることは明らかなのでぐっと耐える。
「でも、そのことを盾にいつまでもユリウス様に甘えるなんて…ユリウス様がお可哀そう。」
ローズマリーのこの一言に、ルフェルニアは途端打ちのめされたような気持ちになった。
周りから見ると、こう思われていたのか。ルフェルニアは小さく息を飲んだ。
「本当、お可哀そうよねぇ。ユリウス様にはいずれローズマリー様のような公爵家に相応しい方が婚約者になるのだから、身の程をわきまえたほうが良いわ。」
周囲の令嬢もローズマリーに便乗するように、口々に「ユリウス様が可哀そう」とルフェルニアを嘲笑した。
「まぁまぁ皆様、あまり責め立ててはルフェルニア様がお可哀そうですわ。だって、さっきからずっとだんまりじゃない。」
ローズマリーは挑発するようにルフェルニアに声をかけた。
「ねぇ、ルフェルニアさん、貴女は今どのような研究をされているの?学園長の推薦で入ったのだから、きっととても素晴らしい研究をされているのでしょうね。」
ルフェルニアの同級生に弟がいると言っていた令嬢から、“何もない”ことを聞いているに違いない。
ルフェルニアは学園の授業についていくことに精一杯で他に時間が回せていなかった。
それに、ルフェルニアの過去の発見はあくまで趣味の過程で発見したもので、ルフェルニア自身が何かアイディアを凝らす、というのは苦手だった。
このことはルフェルニア自身が一番劣等感を抱いていることだからこそ、第三者の誰にも触れてほしくないことだった。
「いえ、今は特に研究はしておりません。」
ルフェルニアは声が震えないようにするだけで精一杯だ。
「まぁ!それでは、過去の1回きりのことでここまで?」
ローズマリーがわざとらしく驚いて見せると、周りの令嬢もそれに倣うように驚いてから再び嘲笑めいたことを口々に囁きだす。
ルフェルニアはたまらずローズマリーに背を向けて逃げ出した。
ルフェルニアの耳の中にはローズマリーと周りの令嬢が嘲笑う声がずっと残っているようだった。
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