貴方の杖、直します。ただし、有料です。

椎茸

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第1章 就職と解雇

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「ねぇ、フク、これからどうしよう。」

店の2階、自分の部屋でいくつもの不採用通知を手に、ユミルは項垂れていた。
膝には、飼っているケットシーの“フク”が暢気にあくびをしている。

「ねぇ、フクってば。これじゃあ、貴方の食事も用意できないんだよ?」

ユミルがフクの背を撫でて言い聞かせるように言うので、フクは煩わしそうに身をよじる。

『僕、いつもの食事じゃないと、嫌だよ。』

ケットシーは魔力を使った念話ができる。魔法使いとはコミュニケーションが取れるのだ。
しかし、見た目の可愛さから、一般家庭にもよく買われている妖精の類で、街中では専用の餌がいくつも売られている。

「そうは言っても…毎月ぎりぎりまで仕送りしていたから、貯蓄もないし。」
『頑張れ、ユミル。僕の食事のために。』

フクは学園時代に学園内で見つけたケットシーだ。誰かに虐められたのか、息も絶え絶えになっているところをユミルが発見して、こっそりと育ててきた。ケットシーにしては随分と体格が良く、太い手足に長毛を身に纏っているので、見た目はぬいぐるみのようである。
白い体毛に、灰色のハチワレと尻尾、サファイアのような青い瞳をしているフクはユミルの一番の癒しだ。

ユミルは学園時代に自由にできるお金は持っていなかったので、その餌は友人が用意してくれていた。
学園を卒業してから知ったことだが、その餌は随分と高級な餌だったらしく、すっかりその味を食べ慣れてしまったフクは、ユミルが最初に購入した安物のケットシーフードには見向きもしなかった。仕方がないので、今やユミルの食事代よりも、フクの食事代にお金がかかっている始末だ。
ただ、こうして膝に乗ってくれたり、足に纏わりついてきたりするのが可愛くて、ついつい甘やかしてしまうのだ。

「それに、首都は家賃が高すぎるのよ。最低でも月に7~8ガルはするのよ?
このままじゃ、家も職もない浮浪者になっちゃうじゃない!」

刻一刻と、無職になるまでのタイムリミットが近づいてきているが、今日は勤務日だ。
ユミルはささっと準備を整えると、1階に降りて開店の準備を始めた。
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