貴方の杖、直します。ただし、有料です。

椎茸

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第7章 レインの不可思議な行動

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「急に困るよね。でも本気なんだ。
君といると、僕は自然体でいられる。君の纏う空気が好きだ。
だから、君に僕のことを知ってほしいし、僕も君のことをもっと知りたい。だから、不純な動機だけど、接点のある場所に居てほしい。」

ウィリアムの表情から、冗談を言っているようには思えない。
ユミルは、ウィリアムが食事に誘ってくれたのは社交辞令だとばかり思っていたので、返事に困っておろおろしてしまう。
何より、ユミルが男性にこのようなことを言われたのは人生で初めてだ。

最初に動きを見せたのは、ユミルでもウィリアムでもなく、近くに控えていたエイドリアンだった。
エイドリアンはユミルとウィリアムの視線の間に手を差し入れると、ウィリアムを睨みつけた。

「別に、良いじゃないか。ユミルはレイン部隊長の恋人じゃないし、危害を与えているわけじゃない。」

ウィリアムは笑顔を作ると、エイドリアンを見据えた。
エイドリアンはそれを挑発と捉えたのか、据わった目をして杖を取り出そうとするので、ユミルは慌ててそれを止める。

「エイディー!ここで杖なんて出さないで!」

ユミルがエイドリアンの腕を咄嗟に掴むと、エイドリアンは不満げな表情をユミルに向けながらも、杖を取り出そうとした手を元に戻した。

「ウィリアム、その、気持ちは嬉しいのだけれど…、今はまだレイン様の下でのお仕事をするのに精いっぱいだし、次のことを考えられないの。」

ユミルが言葉を閊えさせながら言うと、ウィリアムは眉を下げた。

「きっと、レイン部隊長の下に居たいのは、仕事だけじゃないんだろう?」
「えっ!?ええと…。」

(そんなに私って、わかりやすいの!?)

ユミルは、まさか、会って間もないウィリアムにも恋心を察せられるとは思ってもみなかった。あからさまに狼狽えてしまうので、それがもう答えのようなものだ。

「何となく、話しているとわかるよ。
…でも、辛いことを言うようだけれど…レイン部隊長とは難しいんじゃないかな?」
「…わかってる。」

ユミルが一番よくわかっている。
ウィリアムが意地悪をしてやろうとして言っているのではなく、心から心配して言ってくれることも、わかっている。

「僕は平民だから、君が気を揉むことはない。ユミルが僕を生理的に受け付けない、ということがないのであれば、僕を知ってもらう機会が欲しい。
もちろん、魔法局に協力をしてくれれば接点が作りやすいけど…、そうじゃなくても、最初は手紙のやりとりや、時間のある時に会ってくれると嬉しい。」

(ウィリアムの言うことはよくわかる。ウィリアムは魔法局勤めだから高給取りだし、平民だからご家族もうるさくないだろうし。…周りの女性からはやっかまれそうだけど。)

レインと知り合う前のユミルだったら、迷わず頷いていただろう。
ただ、レインと知り合わなければ、ウィリアムと出会う機会もなかっただろう。

「今はまだ、結論を出さないでほしい。僕に時間を頂戴?」

ウィリアムが懇談するようにユミルの目を覗き込んでくるので、ユミルは思わずうなずいてしまった。

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