ある日世界がタイムループしてることに気づいて歓喜したのだが、なんか思ってたのと違う

ジェロニモ

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ビッチ裁判、開廷

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「初めて会った時からあなたのことが好きでした!」

 屋上へと続く階段の先。屋上が立ち入り禁止なだけあって、ここはまず人が近寄らない僕の昼食スポットだった。友達がいないとはいえ、やっぱり便所飯は衛生的に良くないと思うのだ。
 僕はそこでクラスの女子に告白していた。誰だったか名前は忘れた。顔面偏差値は中の下。正直言って好みの顔じゃない。
 じゃあなぜ告白なんてしているのか。それは単純に、クラスの女子で僕に告白されて付き合ってくれる子っているのかなー、と気になったからだ。一ループにつき一人ずつ告白していっている。これはクラスの女子が僕に対してどう思っているかを確かめる意識調査なのだ。

 車の盗難、無免許運転、器物損害、信号無視と犯罪行為のオンパレードな帰宅を成し遂げた僕は遠慮というものが吹っ切れ、このループを思う存分エンジョイしてやることに決めた。
 このループの中でなら一度はやってみたかったことが後先考えずに実行できるのである。このクラスの女子全員に告白というのもその手始めだ。

 現在クラスメイトの半数の女子、8人に告白したが彼氏がいるだの好きな人が居るだのと似たり寄ったりな文面で断られ、今回で9人目だ。
 「クラス全員に告白すれば一人くらいオッケーしてくれんだろ。よゆーよゆー」と謎の自信にあふれていた僕としては正直焦りを感じ得ない。
 まさか僕と付き合ってくれる人は誰もいないといのか。確かにみんなロクに話したことない奴らばっかだけど、一人くらいオッケーしてくれたっていいじゃないか! 

 この際本当に付き合うわけではないのだから相手の容姿は問題ではない。これは僕の自尊心、プライドの問題なのだ。
 全員に断られたら流石に泣くぞ。現実を認められずになにかの間違いだと全学年へと調査対象を拡大するぞ。

「ごめんなさい。私好きな人がいるから。気持ちは嬉しいけど、友達のままでいようよ。それじゃ。」

 そう言って顔面中の下の彼女は階段を駆け下りていった。
 はて。僕と彼女はほぼ初会話で友達でも無いはずなのだが。彼女はクラスメイト=友達とでも思っているタチだったのだろうか。
 それにしてもどいつもこいつも同じような文面で断りやがって。バリエーションというものがないのか。これじゃあテンプレの決まり切った面接のようだ。変化が無さすぎて実につまらない。
 そこで僕はなぜ皆似通った答えになるのかに思い至った。

「ねぇ! ちなみに君、友達らしい僕の名前は言える?」

  そそくさと階段を降りる彼女を呼び止めると、彼女は目を右往左往と泳がせて、気まずそうに「ごめんなさい」と言って逃げるように走り去っていった。

 やはりそうか。名前も知らない相手から告白されたらそりゃあ似通った反応にもなるだろう。心の中では皆、「誰だこいつ」とでも思っていたに違いない。衝撃の事実にだいぶ精神的ダメージを食らいながら、10分が過ぎタイムループが実行される。

  もはや耳にタコが出来るほど聴いた星野先生の古典の朗読をBGMにして思考を巡らせる。
 そもそもの話、今まで接点がなく、友達ですら無かったやつに告白されてオッケーしちゃうような女の子はいわゆるビッチと呼ばれる存在なんじゃないだろうか。そんな奴らにオッケーを貰ったところで果たして僕は嬉しいのか。プライドは満たされるのか。否、否である。

 確かに僕は顔がそれなりに良いものだから、オッケーされる可能性は十分にありえる。釣り竿を垂らせば、面食いビッチの入れ食いフィーバータイムだ。しかし僕が望むのはプラトニックな恋愛であるから、僕の告白を顔だけ見て即オッケーしちゃうようなビッチ女子は恋愛対象として避けるべきなのである。

 いずれプラトニックな恋愛を経験する為、僕はなおさら女子の意識調査へやる気をみなぎらせた。いやこれはもう意識調査などという生ぬるいものではないのだ。
 言うならばこれは魔女裁判ならぬビッチ裁判。隠れた面食いビッチの本性を明るみにするのだ。
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