【完結】能力が低いフリをして騎士団に入団してしまいました

ゆきりんご

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※この世で一番好きな人と

 ベッドには既に、ノルが済ました顔で待ち構えていた。僕はこんなにも落ち着かない心境だと言うのに良い気なものだ、と少しだけ劣等感を感じてしまう。それとも、心がこんなにも浮ついているのは、僕だけなのだろうか。ノルだったら経験豊富だろうし、とどんどん思考が暗い方向へ行く。それが顔に出ていたのか、ノルが言う。

「マティ、もしかして嫌?」
「そういう訳じゃないよ。ただ……」

僕は慌てて首を横に振った。案外、僕は感情が顔に出やすいのかもしれない。今まで自覚はしていなかったけれど。

「……ただ少し怖いだけで」
「そうだよね。大丈夫、ちゃんと優しくするから。ほら、おいで」

ノルはぽんぽんと、自分が座っている横を軽く叩いた。ベッドの横の小さいテーブルには、液体が入ったボトルと避妊用具が置かれており、これから起こることがいよいよ現実味を帯びてくる。男である僕が子を宿すことはまずできないけど、男性どうしならば避妊用具はあったほうが良いと、例によって本から得た情報として知っていた。
 ぽすん、とノルの横に腰をおろす。緊張のあまり身体の動きもいつもよりぎこちないような感覚だ。もう後のことは全てノルに任せよう。
 ノルは長い腕を大きく広げて、さあ飛び込め、とでも言うようなポーズをとった。

「ノルは余裕だね」

言うつもりのなかった不満が、思わずぽろりとこぼれる。

「そう見える? でも、そんなこと無いよ」

僕の体がノルに包まれる。力が強く少し息苦しい。昔は変わらない身長差だったのに、いつの間にこんなに逞しくなったのだろう。もう少し僕も鍛えようか。

「ほら、聞いて」

耳をあてるとどくどくと脈打つノルの心臓の音は、少し早かった。

「何か勘違いしてるのかもしれないから言っておくけど、俺はマティが全部初めてなんだからね。それなのにマティったら、モルテンの野郎なんかに体触らせてるしさ」

最後は半ば怒ったような口調でノルは言った。

「そうだったんだね」

これで僕の不安の大部分は消え去った。顔を上げると、ぱちりと目が合い、どちらからともなく、口づけを交わす。薄く目を開けると、綺麗なノルの真っ赤な瞳が今は燃えているようだった。僕は、こんなノルの眼は知らない。この眼はまるで、獲物を前にした捕食者の眼だ。食べられる――そう思いびくりとすると、ノルの大きな手がするりと滑り込んでくる。優しく撫でるような手つきが厭らしく同じ場所を行き来する。

「んあっ」

その手はお腹のあたりから段々上へとのぼり、やがて小さな出っ張りへとたどり着いた。

「ひぁっ……んん」

ぴんと弾かれ、声が出てしまう。

「すぐ硬くなったね。乳首も弱いの?」

耳元で囁かれる。耳は完全に僕の弱い部分となっていた。ずくんずくんと体全体に熱が溜まっていくのを感じる。

「あ……そこ駄目」
「駄目じゃなくて良いんじゃないの? ここ、大きくなってるよ」

僕の肩を抑えていたノルの手が離れ、下腹部の下にある中心部分へと移る。腰に力が入らなくなっていた僕はなだれ込むようにベッドに横になる。それでも胸の突起はいじられたままで、二つも同時に感じてしまう部分を触れられ、おかしくなりそうだ。
 ガウンの紐をほどかれ露になったその部分に、ちゅ、とノルが口を付ける。

「ま、待ってノル……んんっ、そんなとこ駄目っ」
「気持ち良くない?」
「良すぎるからぁっ」

僕ばっかりがこんなに気持ちよくなって、ノルは良いのだろうか。反撃したい気持ちもあって僕は、ノルの中心部分に触れた。

「マティ?」

どうにか手を伸ばして、やわやわと触れる。僕の手では全てを包めないほどの大きさにむくむくと膨れていくそこは、果たして僕の身で受け入れることができるのだろうか。

「ノル、気持ちいい?」
「良いっ……でも……ちょっと待って。まだマティの後ろ慣らしてないから」

お尻を突き出すような恥ずかしい体勢になってノルに浄化魔法をかけられると、きゅぽん、とボトルの開く音がして、お尻の穴に走る冷たい感触。太股につつつと垂れていくため、あまり気持ちのいいものではない。

「指、入れるよ。ゆっくり深呼吸してね」

言われるままにゆっくりと吸って吐いてを繰り返していると、指が入り込んでくる。不思議なことに、自分で指を入れようとしたときのような苦しみはあまり無い。

「辛くない?」
「ん、大丈夫」

そう答えると、圧迫感が増した。。指がどうやら増えたようだ。少し苦しくなり、深呼吸のリズムが崩れそうになる。

「ゆっくり息をして」

くぷりくぷりと音をたてて、指が動き始める。苦しかったものが、だんだん気持ちのいいものへと変わっていく。指を締め付けて、穴の入口の部分がひくひくとしているのが自分でも分かって、恥ずかしくなる。

「気持ちよくなってきたみたいだね。そろそろ入れても大丈夫かな。俺もそろそろ限界」

指が抜かれ、さらに入口の部分がひくひくとしてしまう。これではまるで――。

「ふふっ、マティのここ誘ってるみたいだよ」

周辺を突かれ、さらに反応してしまう。

「ノル……もう入れても良いよ」
「あんまり煽らないでよ。優しくできなくなるから」

ぐぷん、と音がして今までとは比べ物にならないような圧迫感に襲われる。

「ああっ……」

ああ、ついに僕はノルと繋がったんだ。圧迫感がそのことを示していた。

「ゆっくり進むけど、辛かったら言って」

振り返ると、ノルの顔は今までとは打って変わって、あまり余裕が無さそうだった。それが少し嬉しくなる。その間にもどんどんノルのものが僕の中に侵入してくる。それが段々と快楽になっていく。

「今はこれ位にしておこうか。動いても大丈夫そう?」
「うん……ノルのおっきい……」
「またマティはそういうことを言う」

始めは小さな律動だったものが、次第にふり幅の大きなものになって、がつがつと突かれ、声が抑えらえなくなる。こんな感覚僕は知らない。脳が溶けるような感覚で、もう何も考えられない。

「あぁっ……の、るっ。おかしくなるっ」
「もっとおかしくなってっ……はぁっ……乱れたマティを見せてよっ」

もう互いに息が荒い。腰ががくがくと震え、破廉恥な姿を晒していると分かっていながらも、あまりの気持ちよさに止めることができない。

「の、のるっ……も、出ちゃうよぉ」
「んっ、俺も限界っ、一緒にイこう」

大きな一突きをされると、ノルのものが僕の中でどくどくと脈打った。目の前がちかちかして、頭が真っ白になる。ごろん、と僕は仰向けになった。はぁー、と目を瞑ってノルが空を仰ぐ。ノルにも気持ちよくなってもらえただろうか。

「ああ、もう好き。大好きだよマティ」

その言葉に僕は安心して、僕もそれに応える。

「ノル、好き」

思ったよりも小さな声になってしまったけど、きちんと届いたようで、ノルは目を大きく見開いた。そして、額に頬に、首筋に。ちゅ、ちゅ、と軽い音をたててマティが口づけの雨を降らせる。こんなにも幸福感に包まれるのは、生まれて初めてだ。

 手を伸ばせば、「恋人」という形でノルがいる。好きと言えば好きと返事が来る。こんなこと、想像したことがなかった。生きていて良かった。大げさだけど、そう思った。
 幸せを噛み締めて僕は眠りについた。この世で一番好きな人の「おやすみ」の声を聞いて。
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