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番外編 マティアスの本気1
王都から少し離れた村のはずれで、巨大な魔物が目撃されたという。そこで、僕たち上級班第一斑が招集されることになった。
魔物というのは、小さい種はすばしっこく、大きい種は俊敏さがなくなる代わりに硬い鎧で体を覆うという規則性がある。稀に例外もあるけど、ほぼこの考え方で間違いはない。しかし、この「例外もある」というのが厄介で、今回の敵はその例外に含まれる種の魔物だという。巨大な体を持ちながらも俊敏で凶暴。熊が魔物化したものだ。こういう敵に対して、剣はほぼ無力だ。そこで、僕のような魔導士の出番となる。魔法ならば、遠距離からでも攻撃が可能だからだ。よって、今回の作戦では、僕とノルがメインとなって戦うことになる。
出発前日の夜。部屋には、今までにない緊張感で空気が張り詰めていた。
「ねえ、ノル。明日からの作戦、大丈夫かな」
「大丈夫、そんなに心配することないよ。マティは能力測りなおしたら、とんでもない数値が出たでしょ。あんな数値を出せる人が王族以外にいるなんてね」
あの昇級が決まった日のあと、僕は再び能力を測り直すことになった。しばらくきちんと全力を出したことがなかったため、全力を出せたかと言われれば微妙だけれど、やれる範囲で全力を出したのだ。そしたら、驚くべき結果が出てしまった。団長さんや副団長さんには日ごろ何を食べて生活をしていたのか根掘り葉掘り聞かれ、騎士団研究課の人にまで訪ねてくる事態になり、しばらく対応に追われ、訓練どころではなかった。
両親のことを話すのはためらわれ、何とか辻褄が合うように話すのには、それなりに頭を使う必要があったけれども……。
「どんなに僕に力があっても、油断はできない。だから、僕はもう力を偽ることはしない」
「マティが決めたことなら、俺にとやかく言う権利は無いけど、無理だけはしないでね」
「うん。おやすみ。明日、頑張ろうね」
頷いて、ベッドにもぐる。いつもならば既に眠気が自然にやってくるけれど、今日は目が冴えたままで、なかなか眠りにつけそうにない。
家庭教師から与えられた食事で生き延びていたような僕が、何故こんなにも強い魔力になったのか。調査の結果、やはり原因は食事だと調査員は口をそろえて言っていた。
庶民でも魔力の強い人が全くいないわけではない。しっかりと食事を摂っていれば、それなりに成長する。全ては食事がものをいう。お金に余裕のある立場にある人ほど、食事に使う食材のグレードが上がり、魔力の成長にも影響する。
今回の調査にあたって、僕を担当していた家庭教師――エドウィンも呼ばれた。
エドウィンが僕に与えていた食事が特別なものだったらしい。僕の魔力の成長の仕方を見て、両親が何もしないことをもったいないと思い、貴族でもない家では出ないような食事をたまに出すようにしていたという。そのころのエドウィンは家庭を持っておらず、お金にはそれなりの余裕があったらしい。そのころの僕は何も知らなかった。そのことを聞いて、僕はエドウィンに感謝をした。
僕の魔力は、家庭教師をしていたエドウィンのおかげだった。
何の因果か、今回、熊の魔物が出たという村は、エドウィンの生まれ故郷だ。
絶対に魔物から、あの村を助けなければいけない理由が僕にはある。
魔物というのは、小さい種はすばしっこく、大きい種は俊敏さがなくなる代わりに硬い鎧で体を覆うという規則性がある。稀に例外もあるけど、ほぼこの考え方で間違いはない。しかし、この「例外もある」というのが厄介で、今回の敵はその例外に含まれる種の魔物だという。巨大な体を持ちながらも俊敏で凶暴。熊が魔物化したものだ。こういう敵に対して、剣はほぼ無力だ。そこで、僕のような魔導士の出番となる。魔法ならば、遠距離からでも攻撃が可能だからだ。よって、今回の作戦では、僕とノルがメインとなって戦うことになる。
出発前日の夜。部屋には、今までにない緊張感で空気が張り詰めていた。
「ねえ、ノル。明日からの作戦、大丈夫かな」
「大丈夫、そんなに心配することないよ。マティは能力測りなおしたら、とんでもない数値が出たでしょ。あんな数値を出せる人が王族以外にいるなんてね」
あの昇級が決まった日のあと、僕は再び能力を測り直すことになった。しばらくきちんと全力を出したことがなかったため、全力を出せたかと言われれば微妙だけれど、やれる範囲で全力を出したのだ。そしたら、驚くべき結果が出てしまった。団長さんや副団長さんには日ごろ何を食べて生活をしていたのか根掘り葉掘り聞かれ、騎士団研究課の人にまで訪ねてくる事態になり、しばらく対応に追われ、訓練どころではなかった。
両親のことを話すのはためらわれ、何とか辻褄が合うように話すのには、それなりに頭を使う必要があったけれども……。
「どんなに僕に力があっても、油断はできない。だから、僕はもう力を偽ることはしない」
「マティが決めたことなら、俺にとやかく言う権利は無いけど、無理だけはしないでね」
「うん。おやすみ。明日、頑張ろうね」
頷いて、ベッドにもぐる。いつもならば既に眠気が自然にやってくるけれど、今日は目が冴えたままで、なかなか眠りにつけそうにない。
家庭教師から与えられた食事で生き延びていたような僕が、何故こんなにも強い魔力になったのか。調査の結果、やはり原因は食事だと調査員は口をそろえて言っていた。
庶民でも魔力の強い人が全くいないわけではない。しっかりと食事を摂っていれば、それなりに成長する。全ては食事がものをいう。お金に余裕のある立場にある人ほど、食事に使う食材のグレードが上がり、魔力の成長にも影響する。
今回の調査にあたって、僕を担当していた家庭教師――エドウィンも呼ばれた。
エドウィンが僕に与えていた食事が特別なものだったらしい。僕の魔力の成長の仕方を見て、両親が何もしないことをもったいないと思い、貴族でもない家では出ないような食事をたまに出すようにしていたという。そのころのエドウィンは家庭を持っておらず、お金にはそれなりの余裕があったらしい。そのころの僕は何も知らなかった。そのことを聞いて、僕はエドウィンに感謝をした。
僕の魔力は、家庭教師をしていたエドウィンのおかげだった。
何の因果か、今回、熊の魔物が出たという村は、エドウィンの生まれ故郷だ。
絶対に魔物から、あの村を助けなければいけない理由が僕にはある。
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