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16話目・女性がヒステリックなんていうけどそんなことないですから! あれは全部不甲斐ない男が女を怒らせるからであって・・・違うんです!
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「ではさっさととんずらしますよ!」
なお、ちゃんと鉛筆の粉は拭き取って記念館から脱出する。
「お姉さん。これでこの街の人たちは救われるんだよね」
外に出たところで、歩く真清の背中に言葉が投げかけられた。
夜の闇が静かすぎたせいだろうか。どこかしんみりとした声にゆっくりと振り返ってしまう。
「えぇ、少なくともちゃんとした視察は入るでしょう。ミレイ?」
しかし、そこにミレイの姿はなかった。周囲を探してみるもやはり見つからない。
「ミレイ……」
満足して生霊であることをやめてしまったのだろうか。もっと探して周りたかったが、これ以上はうろついていても怪しまれる時間だ。仕方なくホテルに戻り、また裏口から隙を見て入り、来た道を戻る。
やはり、ホテルについた後もミレイは姿を表すことはなかった。
そして何事もなく夜は明ける。
幸いにも昨晩のことは気づかれることなかった。今は、街の出口に向かう昨日と同じ道をあゆみの車で移動している。
「本当に取材を切り上げるので?」
「はい。社の都合で予定が変わってしまいました。残念なことですが」
昨晩のこともあり、記念館に行く予定を切り上げた。そのことを聞かれ、真清も考えてあった言い訳を適当に見繕う。得られた街の本性を記事にしたら、どうせそんなところまで記事掲載はしないだろう。
後は、この監獄を出るまで乗り切るだけ。
「……あ」
信号機前で車が停まったところで、近くに病院が見えた。
ミレイが言っていたことを思い出す。
“病院の窓からお姉さんが見えたから”
そう、この通り道で病院が見えるのはここだけだ。そこからの真清の動きは早く、助手席から飛び出した。
「沖さん!?」
当然あゆみが呼び止めてくるも、構わず真清は駆ける。そこが病院だということを忘れて。
なんらかの罰がある可能性もあるが、それは後で考えることにする。
「ミレイ……。み、れ、い。301号室ってことね!」
彼女は、ミレイの名前から彼がどの病室に入院しているのかを推理した。小さな体を通行人の隙間に滑り込ませ、ちょうどやってきたエレベーターに飛び込む。
「止まりなさい!」
後ろからあゆみが追いかけてくるが、制止など聞くつもりはなかった。
「止まれぇ!」
「申し訳ありませんが、しばしの自由を頂きます」
真清はお断りを伝え『閉じるボタン』を押し、追跡者を締め出した。
閉じゆく扉の向こうに見えるあゆみには、いつかのような不気味さはない。滑稽なほどに怒っているだけだ。それが彼女の本質なような気がした。
なお、ちゃんと鉛筆の粉は拭き取って記念館から脱出する。
「お姉さん。これでこの街の人たちは救われるんだよね」
外に出たところで、歩く真清の背中に言葉が投げかけられた。
夜の闇が静かすぎたせいだろうか。どこかしんみりとした声にゆっくりと振り返ってしまう。
「えぇ、少なくともちゃんとした視察は入るでしょう。ミレイ?」
しかし、そこにミレイの姿はなかった。周囲を探してみるもやはり見つからない。
「ミレイ……」
満足して生霊であることをやめてしまったのだろうか。もっと探して周りたかったが、これ以上はうろついていても怪しまれる時間だ。仕方なくホテルに戻り、また裏口から隙を見て入り、来た道を戻る。
やはり、ホテルについた後もミレイは姿を表すことはなかった。
そして何事もなく夜は明ける。
幸いにも昨晩のことは気づかれることなかった。今は、街の出口に向かう昨日と同じ道をあゆみの車で移動している。
「本当に取材を切り上げるので?」
「はい。社の都合で予定が変わってしまいました。残念なことですが」
昨晩のこともあり、記念館に行く予定を切り上げた。そのことを聞かれ、真清も考えてあった言い訳を適当に見繕う。得られた街の本性を記事にしたら、どうせそんなところまで記事掲載はしないだろう。
後は、この監獄を出るまで乗り切るだけ。
「……あ」
信号機前で車が停まったところで、近くに病院が見えた。
ミレイが言っていたことを思い出す。
“病院の窓からお姉さんが見えたから”
そう、この通り道で病院が見えるのはここだけだ。そこからの真清の動きは早く、助手席から飛び出した。
「沖さん!?」
当然あゆみが呼び止めてくるも、構わず真清は駆ける。そこが病院だということを忘れて。
なんらかの罰がある可能性もあるが、それは後で考えることにする。
「ミレイ……。み、れ、い。301号室ってことね!」
彼女は、ミレイの名前から彼がどの病室に入院しているのかを推理した。小さな体を通行人の隙間に滑り込ませ、ちょうどやってきたエレベーターに飛び込む。
「止まりなさい!」
後ろからあゆみが追いかけてくるが、制止など聞くつもりはなかった。
「止まれぇ!」
「申し訳ありませんが、しばしの自由を頂きます」
真清はお断りを伝え『閉じるボタン』を押し、追跡者を締め出した。
閉じゆく扉の向こうに見えるあゆみには、いつかのような不気味さはない。滑稽なほどに怒っているだけだ。それが彼女の本質なような気がした。
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