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17話目 タイトル・・・タイトルは・・・思いつかないわけじゃないんですよ? スランプってやつです!
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そしてエレベーターは3階へ到着する。
「……大丈夫そうですね」
チーン。真清がゆっくりと箱から出てみるも、まだあゆみは階段を登ってきていなかった。待ち伏せされていたら危なかったが、その逆に乱暴な手段を取らずにすんでよかったと安堵する。
そして前へ進み出す。まだ追いかけてくる可能性もあるため走る。
「はぁ、はぁ……。すぅー、ふぅ」
『301号室』の前で深呼吸を終わらせた。その間にもネームプレートを確認した。
当然、偽名だろうから久保 ミレイの名前はない。ただ久保 蒼夜という名前はあった。たぶん間違いはないだろう。
大部屋ということもあってさすがにノックもなしに入れなかったが、ノックをしたところで返事はない。
「……」
嫌な予感はしていたのだ。とりあえず入室してみたところそれは聞こえてくる。
ピーーーー。
急に姿が見えなくなったから肉体に何かがあったのだろうけれど、まさか間延びした電子音を聞くことになるとは思わなかった。
ベッドに横たわったミレイの側には、やせ細った女性と医者であろう男女が数人。
「どなたでしょう?」
母親であろうやつれた女性がそう問いかけてくる。
「ミレ……いえ、蒼夜君の、友達、です」
真清は、そう答えるのが精一杯だった。
警戒されない程度にゆっくり近づいて、最後までちゃんと蒼夜がミレイなのかを確認する。
間違いなく、昨晩を共に駆け回った少年の、病でやせ細った姿だった。
「アナタのような友達がいたとは思いませんでした」
母親が戸惑ったようにいうも、知らなくて当然だ。
「えぇ、昨日出会って友達になったので」
「はぁ?」
さらに戸惑うようなことを追加してしまう。外に出られるような状態でなかった息子が、果たして二十歳過ぎの女性をどう友達にしたのか。
細かい事は話せないし、母親も詳しく聞く気力もなさそうなのが救いだった。
いろいろと息子について話してくれはしたものの、生憎と真清も全てを頭に入れられるほど余裕はなかったが。
「――それで」
「すみません。所用もありますので」
あゆみも探しているだろうから、あまりゆっくり知ていられないことを伝えて立ち上がる。
「あ、引き止めてしまってごめんなさい。この子、あんなに苦しんでいたのに、意識を失ってからはとても嬉しそうにしてたから」
「いえ……」
迷惑をかけてもいけないので真清はさっさと切り上げて病室を出る。それ以後、あゆみに捕まり小言を聞くことになった以外、「いえ、なんとなく」でしのぎ特に問題は起こらなかった。
「……大丈夫そうですね」
チーン。真清がゆっくりと箱から出てみるも、まだあゆみは階段を登ってきていなかった。待ち伏せされていたら危なかったが、その逆に乱暴な手段を取らずにすんでよかったと安堵する。
そして前へ進み出す。まだ追いかけてくる可能性もあるため走る。
「はぁ、はぁ……。すぅー、ふぅ」
『301号室』の前で深呼吸を終わらせた。その間にもネームプレートを確認した。
当然、偽名だろうから久保 ミレイの名前はない。ただ久保 蒼夜という名前はあった。たぶん間違いはないだろう。
大部屋ということもあってさすがにノックもなしに入れなかったが、ノックをしたところで返事はない。
「……」
嫌な予感はしていたのだ。とりあえず入室してみたところそれは聞こえてくる。
ピーーーー。
急に姿が見えなくなったから肉体に何かがあったのだろうけれど、まさか間延びした電子音を聞くことになるとは思わなかった。
ベッドに横たわったミレイの側には、やせ細った女性と医者であろう男女が数人。
「どなたでしょう?」
母親であろうやつれた女性がそう問いかけてくる。
「ミレ……いえ、蒼夜君の、友達、です」
真清は、そう答えるのが精一杯だった。
警戒されない程度にゆっくり近づいて、最後までちゃんと蒼夜がミレイなのかを確認する。
間違いなく、昨晩を共に駆け回った少年の、病でやせ細った姿だった。
「アナタのような友達がいたとは思いませんでした」
母親が戸惑ったようにいうも、知らなくて当然だ。
「えぇ、昨日出会って友達になったので」
「はぁ?」
さらに戸惑うようなことを追加してしまう。外に出られるような状態でなかった息子が、果たして二十歳過ぎの女性をどう友達にしたのか。
細かい事は話せないし、母親も詳しく聞く気力もなさそうなのが救いだった。
いろいろと息子について話してくれはしたものの、生憎と真清も全てを頭に入れられるほど余裕はなかったが。
「――それで」
「すみません。所用もありますので」
あゆみも探しているだろうから、あまりゆっくり知ていられないことを伝えて立ち上がる。
「あ、引き止めてしまってごめんなさい。この子、あんなに苦しんでいたのに、意識を失ってからはとても嬉しそうにしてたから」
「いえ……」
迷惑をかけてもいけないので真清はさっさと切り上げて病室を出る。それ以後、あゆみに捕まり小言を聞くことになった以外、「いえ、なんとなく」でしのぎ特に問題は起こらなかった。
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