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奥さまはモンバス姉さん編
31 異世界帰りの勇者 その2
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※主な登場人物
石川瀬利亜 熱血男前ヒロイン。結婚してもやることは一緒♪一人ノリツッコミが特技。
錦織光一 瀬利亜はんの夫。関西弁を操るイケメン。瀬利亜はんとの夫婦漫才が得意。
リディア・アルテア・サティスフィールド 瀬利亜はんの両親と瀬利亜はんの心友のゆるふわ超絶美女。魔法もすごいが、天然度もスゴイ。
サーヤ エルフの魔法使いで超絶美女。
神那岐千早 瀬利亜はんラブの人形みたいなかわいい女の子。
綾小路遥 瀬利亜はんラブのかわいい系お嬢様。
橋本太郎 お調子者の男子生徒。
カトリーヌ・アラウェイン 召喚主の女性神官。神官以外の能力はいろいろダメな人。
「まったく、カトリーヌはんにも困ったもんやなあ。」
「まあまあ、またみんなで対策を考えればいいじゃないですか♪」
いつの間にか光ちゃんとアルさんがカトリーヌさんの前に立っている。
「待て!なんで教室にいなかった二人の教師がここにいるんだ??!!」
伊集院君がびっくりして、叫んでいる。
「ふっふっふ、風流学園高校の教師をなめたらあかんのや♪」
光ちゃんがニヤリと笑うと伊集院君はさらに愕然となる。
確かに光ちゃんが只者ではないのは事実だけど、今回は教室を追って転移してきたアルさんにくっついてきただけだよね。ただ、それをばらさない方が面白そうだから、しばらく黙っていることにしよう。
「はい!!今度こそ『食べ物チート』をやりたいと思います!!」
…相変わらず橋本君はブレないよねえ…。
まあ、今回はサーヤさんがやってくれる可能性があるから、食べ物チートも……ダメだ!!サーヤさんは『まともに料理をしたことがない人』だから、料理は……待てよ?!
ハイエルフだから、森の植生とかそういうのには圧倒的に強そうだよね。 『殺人料理』のカトリーヌさんに携わらせなければ可能性はあるかもしれないね。
「はい!この前食べさせていただいた『イチゴ』を育ててみたいと思います!!」
……いつの間にかサーヤさんも来ているよ…。
「あら、サーヤちゃん、戻っていたのね。品種はどれがいいかな?
こっちが『あまおう』、こっちが『さちのか』、で、こっちが『女峰』ね♪」
アルさんが苗を取り出して、さらにイチゴの実まで取り出して、サーヤさんに試食を始めてもらいだしたのですが…。
「素晴らしいです!!そんな名物が生まれてくれたら、閑古鳥が鳴いている『観光ホテル』も一気に息を吹き返してくれるかもしれません!!」
カテリーナさん!!こんな交通の不便な世界のど田舎に観光ホテルなんぞ作ってもうまくいくわけがないじゃないですか!!!
「まあ、カトリーヌちゃんたら、そんな『無駄な物』を作っていたの?某国でバブル前に第三セクターが失敗したような悪い例を踏襲されたのね…。
これは、『温泉でも掘って滞在型高級リゾート』に改造でもするしかないかもね。」
「アルさん、掘れば地下水は出てくると思うけど、温泉になっているかどうかはわかるの?
いざとなったら魔法で『人工温泉』にするという裏技がありそうだけど…。」
「…そうね…ああ♪ちょうどいい具合にこの辺火山層が近いから温泉になっているわ。ちょっと深く掘る必要があるけど、充分観光資源になりそうだよ♪」
「さよけ♪なら、地熱発電設備も整えれば、動力源にもなりそうやね♪」
いえいえ、光ちゃん、それやって、技術の維持は大丈夫なの?……まあ、サーヤさんに任せるしかないか…。
「あら、瀬利亜ちゃん。施設の維持は最近移住してきたドワーフさんたちがやってくれるそうよ♪」
なんと、ファンタジーにつきもののドワーフさんがついにこのお話にも登場ですか!
話の流れ的に古代から続く『技術者集団』という感じなのだね。
そういや、童話の白雪姫に出てくる七人の小人はドワーフなんだよね。
後でドワーフさんたちとご対面したらやや小柄でひげもじゃの『スーパーマッチョ』なオヤジ集団でした!!
汗と涙と根性と職人魂が炸裂していました!!
この人達なら施設の維持はもちろん、各地の火山地帯で『地熱発電が普及』するかもしれません。
何ということでしょう!!村おこしどころか、チート技術が世界を変える…かもしれないのです!!
「温泉と地熱発電があるなら、その熱と電気でイチゴのハウス栽培をして、一年中イチゴやその関連品の生産、出荷が出来そうだね。」
「瀬利亜はん、さすがや!!そんな素敵なアイデアがよくすぐに出はるね♪」
「ええ、仕事でいろいろな橋渡しをする都合上、そういう訓練をしているから。
もっとも、光ちゃんにはしばしばアイデア提供してもらっているから、ありがとうしかないんだけどね。」
こんな感じで私、光ちゃん、アルさん、サーヤさん、村長、カトリーヌさんを交え、話はとんとん拍子に進み、『財政破たんしたカソノ村の再建計画』はあっという間に組み上がった。
「ありがとうございます!!これも『異世界勇者』の皆様方のおかげです!!」
村長が私たちに頭を下げてお礼を言うのを見て、半ば呆然としていた伊集院君が我に返ったようだ。
「君ら、異世界勇者と言っても『村おこし』しただけじゃん!!」
「ふ、なにを言っているのかしら?過疎の村の村おこしがいかに困難を極めるかは日本で膨大な数の村おこしや第三セクターが次々と無残な失敗を繰り返していることからわかるはずだわ。
『村おこししただけ』という表現は関係者に失礼だわ!
確かに勇者として国や世界を危機から救うこと自体は素晴らしいことだわ。
でもね、今回は武力ではなく、知恵と技術で村を救ったのよ!!
国防もとても大切だけれども、『国の基礎となる経済を救う』ことも同じくらい大切だということは『財閥系のグループの時期総帥』ならば、もっと重要視してもらわないと困るわね。」
「………確かにそうかもしれん。しかし、僕は勇者として魔王の手からいくつもの国を救ったのだ!村おこしと同列に扱わないでくれ!!」
うーーむ、なかなか粘りますね…しかし…。
「なるほど、それは確かに勇者としても素晴らしいことだわ。…でもね、国は一人一人の人間や小さな村が集まって成り立っているのよ。一人の人間を、一つの村を救わずして、最終的に国を救うことなんか、出来はしないわ!!」
私の言葉にショックを受けたのか、伊集院君が完全に固まってしまっている。
「あのさあ、お兄さん。誰もあんたの勇者としての活躍を否定したり、馬鹿にしたわけじゃないじゃない。ただ、目の前に『村おこし』があったからそれに取組んだだけでしょ。それをあなたが勝手に『自分の勇者としての活躍を否定された』と騒いだだけでしょ。
もっと頭を冷やしなさい。」
氷室さんが伊集院君を呆れたように見ている。
氷室さんに言われて伊集院君が頬をひきつらせている。
なにか言い返したいけど、言えない…そんな表情をしている。
「イジュウインさんとおっしゃいましたよね?もしかして、『烈火の勇者・イジュウイン』様ではないですか?」
突然サーヤさんが何かを思い出したように私たちの会話に入り込んでくる。
『烈火の勇者』ですか?
「そ、そうです!!私が烈火の勇者と呼ばれたこともある伊集院です!!」
伊集院君、うれし泣きしそうな顔をして答えているよ…。今までずっとアウェーだったのがよほど応えているのだね。
「サーヤさん、伊集院君がどんな活躍をしたか、知っているのね?」
「ええ、もう半年ほど前になりますが、西方大陸で『魔王を名乗る怪物の親玉』が軍団を率いて暴れまわったのです。
その時、私の双子の姉と西方大陸最強の騎士、さらに西方大陸最高の癒し手が『召喚された勇者』とともに戦ったの。
2カ月以上にわたる戦いの末、四人は魔王と親衛隊と決戦を行い、大激戦の末、何とか魔王を倒し、残った親衛隊も降伏させたそうです。
この戦いは西方大陸の戦史に残る戦いになりそうなのです。」
「まあ、すごいわ♪」
「正統派勇者の活躍伝なんやね!素晴らしいでんね♪」
「まあ、『烈火の勇者』は西方大陸の伝説になったのね♪」
アルさんと光ちゃんと私が『フォロー』に入る。
そのおかげで、他のみんなが『へえ、そうなんだあ』くらいの雰囲気なのがなんとかごまかせている。
私の『正義の直観』だと、サーヤさん(及び双子のお姉さん)と伊集院君はとんとんくらいに強いくらいで……おおっ!!鑑定がでてきたよ。
伊集院聡 男 人間 17歳
レベル 88
HP 880
(中略)
◎剣術LV35
【魔法】火系LV30 風系LV15
【称号】異世界勇者(烈火の勇者) 魔法剣士
サーヤ・エレメントリー・ガイア 女 人間 170歳
レベル 92
HP 500
(中略)
【魔法】精霊魔法LV45 理論魔法LV30
【称号】 『至高の魔術師』 『ハイエルフの王族』『大森林の隠者』
【特記事項】 世界でも有数の精霊術師。理論魔法もかなりのもの。
確かに強い、強いのだけれど……魔王に一人で勝つには少し厳しいのだよね。
それでも、私たちの態度で伊集院君は落ち着いてくれていたのですが…。
「ええ、じゃあ、私たちがぬいぐるみを作らせてもらっている勇者様は実質お一人で『魔王と大魔王と特大魔王をやっつけられた』そうですから、うちの大陸の勇者様の方がかなりお強いということですよね。」
あちゃあ!カトリーヌさんが余計なひと言を!!
当然伊集院君の顔が険しくなる。
「待て、英雄譚は話に尾ひれが付くものだ!いくら勇者とは言え、たった一人でそこまで戦えるはずがない!…ていうか、最後の『特大魔王』でなに?なんの冗談なんだ!!」
「ええええっ??!!で、でも、このお話は目撃されたサーヤさんが…。」
矛先を向けられたカトリーヌさんが大慌てだ。
「そうだね。概ね正解だ。
魔王は勇者の拳を受けて、魔王城の天井に突き刺さって戦闘不能になった。
大魔王は親衛隊たちが勇者の猛攻で次々と『瞬殺』されていき、最後に残った大魔王もあっというまにぼこぼこにされて、陥落。
特大魔王はあっという間に圧倒されて、人質を取って逃走を図るも、人質がブービートラップで自爆…というところだったよな。
これまた前魔王の娘にして、現在グリフォン国女王のミーシャちゃんが姿を現しました。
見た目は肌が褐色の合法ロリ美人ですが、種族が違うのですでに成人で女王なのです。
「まったく、『特大魔王』を名乗るとか、どんな神経をしているかと思ったよ。
瀬利亜、お久しぶり♪」
、「お前さんは勇者と魔王の戦いを見たというのか?!」
「魔王との戦いは一緒に参加したし、特大魔王との戦い以外は目撃したよ。
…しかし、烈火の勇者は思ったより貧弱だな…。これじゃあ、私にも勝てないんじゃあ…。」
あ、伊集院君がミーシャちゃんのセリフにキレた…。
「ぶ、侮辱だ!!けっ決闘を…。」
「決闘を申し込みたいのだね。了解した!」
あーあ、伊集院君ミーシャちゃんにはめられてるよ…。
ゴーレムマスターで、サポートに長けているから魔王よりは戦闘能力は劣るとはいえ、魔王に近いくらいの力があるからね…。
加えて、自立して動くゴーレム剣を複数使って、魔法も種々使えるから、伊集院君の手には余る相手だね。
「ねえねえ、決闘はいいんだけど、勝利条件は考えてあるの?
単に決闘するだけじゃあまり意味がないんじゃない?」
「「それはどういう……。」」
ん?アルさんが変なことを言いだしたよ。
「例えば、勝った方が瀬利亜ちゃんを口説く権利を得るとか♪」
「「乗った!!」」
アルさん、なにを言いだすの!!
それから、二人とも乗るんじゃありません!!
「よし!わても乗ったで!!」
「はーーい!私も参加します♪♪」
いやいや、光ちゃんもちーちゃんも何を言いだすんですか??!!
…こうして、話はさらにとんでもない方向に向かうのでありました。
続く
石川瀬利亜 熱血男前ヒロイン。結婚してもやることは一緒♪一人ノリツッコミが特技。
錦織光一 瀬利亜はんの夫。関西弁を操るイケメン。瀬利亜はんとの夫婦漫才が得意。
リディア・アルテア・サティスフィールド 瀬利亜はんの両親と瀬利亜はんの心友のゆるふわ超絶美女。魔法もすごいが、天然度もスゴイ。
サーヤ エルフの魔法使いで超絶美女。
神那岐千早 瀬利亜はんラブの人形みたいなかわいい女の子。
綾小路遥 瀬利亜はんラブのかわいい系お嬢様。
橋本太郎 お調子者の男子生徒。
カトリーヌ・アラウェイン 召喚主の女性神官。神官以外の能力はいろいろダメな人。
「まったく、カトリーヌはんにも困ったもんやなあ。」
「まあまあ、またみんなで対策を考えればいいじゃないですか♪」
いつの間にか光ちゃんとアルさんがカトリーヌさんの前に立っている。
「待て!なんで教室にいなかった二人の教師がここにいるんだ??!!」
伊集院君がびっくりして、叫んでいる。
「ふっふっふ、風流学園高校の教師をなめたらあかんのや♪」
光ちゃんがニヤリと笑うと伊集院君はさらに愕然となる。
確かに光ちゃんが只者ではないのは事実だけど、今回は教室を追って転移してきたアルさんにくっついてきただけだよね。ただ、それをばらさない方が面白そうだから、しばらく黙っていることにしよう。
「はい!!今度こそ『食べ物チート』をやりたいと思います!!」
…相変わらず橋本君はブレないよねえ…。
まあ、今回はサーヤさんがやってくれる可能性があるから、食べ物チートも……ダメだ!!サーヤさんは『まともに料理をしたことがない人』だから、料理は……待てよ?!
ハイエルフだから、森の植生とかそういうのには圧倒的に強そうだよね。 『殺人料理』のカトリーヌさんに携わらせなければ可能性はあるかもしれないね。
「はい!この前食べさせていただいた『イチゴ』を育ててみたいと思います!!」
……いつの間にかサーヤさんも来ているよ…。
「あら、サーヤちゃん、戻っていたのね。品種はどれがいいかな?
こっちが『あまおう』、こっちが『さちのか』、で、こっちが『女峰』ね♪」
アルさんが苗を取り出して、さらにイチゴの実まで取り出して、サーヤさんに試食を始めてもらいだしたのですが…。
「素晴らしいです!!そんな名物が生まれてくれたら、閑古鳥が鳴いている『観光ホテル』も一気に息を吹き返してくれるかもしれません!!」
カテリーナさん!!こんな交通の不便な世界のど田舎に観光ホテルなんぞ作ってもうまくいくわけがないじゃないですか!!!
「まあ、カトリーヌちゃんたら、そんな『無駄な物』を作っていたの?某国でバブル前に第三セクターが失敗したような悪い例を踏襲されたのね…。
これは、『温泉でも掘って滞在型高級リゾート』に改造でもするしかないかもね。」
「アルさん、掘れば地下水は出てくると思うけど、温泉になっているかどうかはわかるの?
いざとなったら魔法で『人工温泉』にするという裏技がありそうだけど…。」
「…そうね…ああ♪ちょうどいい具合にこの辺火山層が近いから温泉になっているわ。ちょっと深く掘る必要があるけど、充分観光資源になりそうだよ♪」
「さよけ♪なら、地熱発電設備も整えれば、動力源にもなりそうやね♪」
いえいえ、光ちゃん、それやって、技術の維持は大丈夫なの?……まあ、サーヤさんに任せるしかないか…。
「あら、瀬利亜ちゃん。施設の維持は最近移住してきたドワーフさんたちがやってくれるそうよ♪」
なんと、ファンタジーにつきもののドワーフさんがついにこのお話にも登場ですか!
話の流れ的に古代から続く『技術者集団』という感じなのだね。
そういや、童話の白雪姫に出てくる七人の小人はドワーフなんだよね。
後でドワーフさんたちとご対面したらやや小柄でひげもじゃの『スーパーマッチョ』なオヤジ集団でした!!
汗と涙と根性と職人魂が炸裂していました!!
この人達なら施設の維持はもちろん、各地の火山地帯で『地熱発電が普及』するかもしれません。
何ということでしょう!!村おこしどころか、チート技術が世界を変える…かもしれないのです!!
「温泉と地熱発電があるなら、その熱と電気でイチゴのハウス栽培をして、一年中イチゴやその関連品の生産、出荷が出来そうだね。」
「瀬利亜はん、さすがや!!そんな素敵なアイデアがよくすぐに出はるね♪」
「ええ、仕事でいろいろな橋渡しをする都合上、そういう訓練をしているから。
もっとも、光ちゃんにはしばしばアイデア提供してもらっているから、ありがとうしかないんだけどね。」
こんな感じで私、光ちゃん、アルさん、サーヤさん、村長、カトリーヌさんを交え、話はとんとん拍子に進み、『財政破たんしたカソノ村の再建計画』はあっという間に組み上がった。
「ありがとうございます!!これも『異世界勇者』の皆様方のおかげです!!」
村長が私たちに頭を下げてお礼を言うのを見て、半ば呆然としていた伊集院君が我に返ったようだ。
「君ら、異世界勇者と言っても『村おこし』しただけじゃん!!」
「ふ、なにを言っているのかしら?過疎の村の村おこしがいかに困難を極めるかは日本で膨大な数の村おこしや第三セクターが次々と無残な失敗を繰り返していることからわかるはずだわ。
『村おこししただけ』という表現は関係者に失礼だわ!
確かに勇者として国や世界を危機から救うこと自体は素晴らしいことだわ。
でもね、今回は武力ではなく、知恵と技術で村を救ったのよ!!
国防もとても大切だけれども、『国の基礎となる経済を救う』ことも同じくらい大切だということは『財閥系のグループの時期総帥』ならば、もっと重要視してもらわないと困るわね。」
「………確かにそうかもしれん。しかし、僕は勇者として魔王の手からいくつもの国を救ったのだ!村おこしと同列に扱わないでくれ!!」
うーーむ、なかなか粘りますね…しかし…。
「なるほど、それは確かに勇者としても素晴らしいことだわ。…でもね、国は一人一人の人間や小さな村が集まって成り立っているのよ。一人の人間を、一つの村を救わずして、最終的に国を救うことなんか、出来はしないわ!!」
私の言葉にショックを受けたのか、伊集院君が完全に固まってしまっている。
「あのさあ、お兄さん。誰もあんたの勇者としての活躍を否定したり、馬鹿にしたわけじゃないじゃない。ただ、目の前に『村おこし』があったからそれに取組んだだけでしょ。それをあなたが勝手に『自分の勇者としての活躍を否定された』と騒いだだけでしょ。
もっと頭を冷やしなさい。」
氷室さんが伊集院君を呆れたように見ている。
氷室さんに言われて伊集院君が頬をひきつらせている。
なにか言い返したいけど、言えない…そんな表情をしている。
「イジュウインさんとおっしゃいましたよね?もしかして、『烈火の勇者・イジュウイン』様ではないですか?」
突然サーヤさんが何かを思い出したように私たちの会話に入り込んでくる。
『烈火の勇者』ですか?
「そ、そうです!!私が烈火の勇者と呼ばれたこともある伊集院です!!」
伊集院君、うれし泣きしそうな顔をして答えているよ…。今までずっとアウェーだったのがよほど応えているのだね。
「サーヤさん、伊集院君がどんな活躍をしたか、知っているのね?」
「ええ、もう半年ほど前になりますが、西方大陸で『魔王を名乗る怪物の親玉』が軍団を率いて暴れまわったのです。
その時、私の双子の姉と西方大陸最強の騎士、さらに西方大陸最高の癒し手が『召喚された勇者』とともに戦ったの。
2カ月以上にわたる戦いの末、四人は魔王と親衛隊と決戦を行い、大激戦の末、何とか魔王を倒し、残った親衛隊も降伏させたそうです。
この戦いは西方大陸の戦史に残る戦いになりそうなのです。」
「まあ、すごいわ♪」
「正統派勇者の活躍伝なんやね!素晴らしいでんね♪」
「まあ、『烈火の勇者』は西方大陸の伝説になったのね♪」
アルさんと光ちゃんと私が『フォロー』に入る。
そのおかげで、他のみんなが『へえ、そうなんだあ』くらいの雰囲気なのがなんとかごまかせている。
私の『正義の直観』だと、サーヤさん(及び双子のお姉さん)と伊集院君はとんとんくらいに強いくらいで……おおっ!!鑑定がでてきたよ。
伊集院聡 男 人間 17歳
レベル 88
HP 880
(中略)
◎剣術LV35
【魔法】火系LV30 風系LV15
【称号】異世界勇者(烈火の勇者) 魔法剣士
サーヤ・エレメントリー・ガイア 女 人間 170歳
レベル 92
HP 500
(中略)
【魔法】精霊魔法LV45 理論魔法LV30
【称号】 『至高の魔術師』 『ハイエルフの王族』『大森林の隠者』
【特記事項】 世界でも有数の精霊術師。理論魔法もかなりのもの。
確かに強い、強いのだけれど……魔王に一人で勝つには少し厳しいのだよね。
それでも、私たちの態度で伊集院君は落ち着いてくれていたのですが…。
「ええ、じゃあ、私たちがぬいぐるみを作らせてもらっている勇者様は実質お一人で『魔王と大魔王と特大魔王をやっつけられた』そうですから、うちの大陸の勇者様の方がかなりお強いということですよね。」
あちゃあ!カトリーヌさんが余計なひと言を!!
当然伊集院君の顔が険しくなる。
「待て、英雄譚は話に尾ひれが付くものだ!いくら勇者とは言え、たった一人でそこまで戦えるはずがない!…ていうか、最後の『特大魔王』でなに?なんの冗談なんだ!!」
「ええええっ??!!で、でも、このお話は目撃されたサーヤさんが…。」
矛先を向けられたカトリーヌさんが大慌てだ。
「そうだね。概ね正解だ。
魔王は勇者の拳を受けて、魔王城の天井に突き刺さって戦闘不能になった。
大魔王は親衛隊たちが勇者の猛攻で次々と『瞬殺』されていき、最後に残った大魔王もあっというまにぼこぼこにされて、陥落。
特大魔王はあっという間に圧倒されて、人質を取って逃走を図るも、人質がブービートラップで自爆…というところだったよな。
これまた前魔王の娘にして、現在グリフォン国女王のミーシャちゃんが姿を現しました。
見た目は肌が褐色の合法ロリ美人ですが、種族が違うのですでに成人で女王なのです。
「まったく、『特大魔王』を名乗るとか、どんな神経をしているかと思ったよ。
瀬利亜、お久しぶり♪」
、「お前さんは勇者と魔王の戦いを見たというのか?!」
「魔王との戦いは一緒に参加したし、特大魔王との戦い以外は目撃したよ。
…しかし、烈火の勇者は思ったより貧弱だな…。これじゃあ、私にも勝てないんじゃあ…。」
あ、伊集院君がミーシャちゃんのセリフにキレた…。
「ぶ、侮辱だ!!けっ決闘を…。」
「決闘を申し込みたいのだね。了解した!」
あーあ、伊集院君ミーシャちゃんにはめられてるよ…。
ゴーレムマスターで、サポートに長けているから魔王よりは戦闘能力は劣るとはいえ、魔王に近いくらいの力があるからね…。
加えて、自立して動くゴーレム剣を複数使って、魔法も種々使えるから、伊集院君の手には余る相手だね。
「ねえねえ、決闘はいいんだけど、勝利条件は考えてあるの?
単に決闘するだけじゃあまり意味がないんじゃない?」
「「それはどういう……。」」
ん?アルさんが変なことを言いだしたよ。
「例えば、勝った方が瀬利亜ちゃんを口説く権利を得るとか♪」
「「乗った!!」」
アルさん、なにを言いだすの!!
それから、二人とも乗るんじゃありません!!
「よし!わても乗ったで!!」
「はーーい!私も参加します♪♪」
いやいや、光ちゃんもちーちゃんも何を言いだすんですか??!!
…こうして、話はさらにとんでもない方向に向かうのでありました。
続く
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