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その後…とは限らない番外編
番外編4.5 魔王はつらいよ! その2
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(SIDE:瀬利亜)
まおちゃんのパパが実は生きており、前魔王四天王のひとりにして、まおちゃんの叔父、つまりパパの弟ダレスにされた封印から脱出したという事件がありました。
まおパパが生きていたこと自体はいいのですが、シルバさんの話から悪い意味で『力こそパワー』な選民主義者で、ものすごいめんどくさい人だと判明しました。
能力的には出会ったころのシルバさんより五割増しくらい強い…出会ったころのまおちゃんより少し弱いくらいでしょうか?
温厚で優しいまおちゃんや基本善良で自制の効くシルバさんと違い、『傍若無人系』なので、放置しておくと何をやらかしてくれるか分かったものではありません。
そして、気絶していた、まおパパが目覚めたようなので、まおちゃんと一緒に様子を見に行くことにします。
まおちゃんは最初は激怒していましたが、『見知らぬ人物が愛娘とすごく親しいようなら警戒するのが自然だと思うの?』と言って、少しまおちゃんのガス抜きをしておきました。
私のためにまおちゃんが怒ってくれることはとてもうれしかったのですが、シルバさんから聞いた人となりから判断すると、激おこのまおちゃんとそのまま会わせたら大喧嘩になること間違いなしと思えたからです。
前魔王と現魔王の大喧嘩など本来なら最終戦争ものですから…。
もちろん、万が一大喧嘩になったら、『大人げないまおパパ』を私がかかと落しなりで沈めて、沈静化させるのは言うまでもありません。
まおパパの部屋に入ると、とてもばつが悪そうな顔をしています。
まおちゃんには弱いようですが…私を見る目は敵意が透けて見えるので、これはまだまだ波乱がありそうです。
(SIDE:グリュエール)
「パパ上!妾はすごく怒っているのじゃ!!」
ふんすふんすと鼻息を荒くしてマオが近づいてくる。
それを見て、俺は少し安心した。
これは『怒ってますアピール』で、本気で怒っているときはこんなものではないからだ。
とはいえ、ここで対応を間違えると本気で怒らせるので要注意だ。
しかも、そんなときはシルバの奴は必ずマオの味方になるので、めんどくささが何倍にもなるのだ。
「マオ、すまなかった。お前の大切な恩人に失礼なことをして、申し訳ない。」
俺は腹立たしいのを何とか押さえ込んでマオに頭を下げる。
「パパ上、謝るのは妾にたいしてではない!瀬利亜ちゃんに対して謝るのじゃ!」
マオが小さな体に似合わない迫力で俺に迫ってくる。
正論なだけに逆らいにくい。しかも…。
「グリュエール様!まお様のおっしゃる通りです!瀬利亜様にしっかりと謝ってください!」
シルバのやつも『心の底から』俺が謝るべきだと思っているようだ。
仕方なく俺はしぶしぶ謝罪の言葉を口にし、瀬利亜と言う女はあっさり許してくれた。
くそ、すごい屈辱だ!そのうち絶対にぎゃふんと言わせてやる!!
「まお様、東部地域に雨をお願いします。」
「うむ、わかったのじゃ。
『雨よ降れ!』」
まおが大きな窓?に移った魔族の要請に応えて、窓?に映った我が国の地図に向かって膨大な魔力の伴った言葉を掛ける。
まもなく、地図の上に雲が広がっていき、雲の上に水玉の模様が描かれていく。
…こ、これは一体?!
「まお様、雨が降ってきました!ありがとうございます!
これで作物が順調に育ってくれます!」
なんだと、窓に魔法を掛けるとずっと離れた場所に雨を降らせることができるだと?!どうなってるんだ?!
(SIDE:瀬利亜)
まおちゃんの叔父のダレスと魔神をぶっ飛ばした後、私やアルさんたちはまおちゃんの国の統治機構を効率化するために技術供与を含めたお手伝いをいろいろとしました。
それまで『力こそパワー』だった魔族の人達から『実務能力の高さ』を重視した人材も行政機関を中心にポストをあてがっていくようにしたり、作物栽培、食糧や食品生産・加工の技術のノウハウもいろいろな職人さんの育成も含めて指導していきました。
新技法の導入当初は皆さん戸惑っていましたが、生活の質が明らかに良くなってくると多くの魔国民たちはまおちゃんの政治を大歓迎するようになっていきました。
今日も魔法で打ち上げた気象衛星からの情報で降雨をコントロールし、作物への水不足解消作業をやってもらいました。
「まおちゃん、すごいわ!今日もばっちりだわ!!」
「えっへん、頑張ったのじゃ!!」
嬉しそうに胸をはるまおちゃんの頭を撫でてあげると、まおちゃんはさらに目を輝かせてくれます。
「まおちゃんはもう歴代最高の魔王だわ!なんてったって支持率が『99.99%』もあるんだから!!もう最高!!」
「おお!なんだかよくわからないけどすごいのじゃ!!」
もともと魔国民の方たちは『力こそパワー』な考えの人がほとんどであり、歴代魔王でも屈指の潜在能力を持っていたまおちゃんは魔王の地位に着いた時からそのことだけで多くの人から支持されていました。
そして、私達と共同で多くの人達の生活を底上げする政策を取った結果、『政治にまったく興味がない変わり者の人達(種族など)』を除いたすべての人達が支持する結果となったのです。
そして、まおちゃんがさまざまな魔法を使いつつ、政務に励むさまをまおパパがシルバさん付き添いで見学していました。
まおパパは非常にやきもきしながら見ていたようですが、シルバさんは…?
(SIDE:グリュエール)
なんだ?!これはなんだ?!
あまりにすごい技術を使っていることもさることながら、マオが完全に瀬利亜と言う女に手玉に取られているではないか?!!
子犬かなんかみたいになついているし?!!!
それを見るシルバは…非常に悔しそうだ。
正面切ってあの女を糾弾するのは難しいかと思っていたが、シルバを巻き込めば何とか…。
俺は小声でシルバに囁く。
「(おい、シルバ。あの状況は…。)」
「(ええ、大いに問題です。あの『お姉ちゃんポジション』は私がなるはずだったのに!!)」
えええええええ?!!気にしているのそっち?!!!
「(瀬利亜様はまお様を『私心なく心の底からかわいがっていらっしゃる』から、まお様がなつかれること自体は仕方ありません。
しかし、長年お仕えしてきた私よりずっとなついておられる状況は非常に悔しいです!)」
だめだ!こいつ使えねえ!!
こうなったら、俺が強いところを見せて、マオの奴の信頼を勝ち取ってから少しずつあの女から引き離すしかない!!
「ふむふむ、妾がどれくらい強くなったかパパ上が見てくれるというのじゃな。では、妾の今までのしゅぎょうの成果をとくと見るのじゃ♪」
模擬戦の話をすると、まおのやつはあっさりと了承してくれた。
それだけでなく、シルバや瀬利亜もすぐに同意した。
そして俺たちは魔王上地下の闘技場に入った。
俺の時とは違い明らかに飾り気がなくなり(ごてごてした飾り付けがなくなった)、闘技場自体は一回り広くなり、そして、周りに張ってある『防御結界』は桁違いに強力になっている。
…このとんでもない防御結界を作ったのはどんな奴だ?!想像もつかないくらい高い魔法技術を持っていやがる!!
そして、まおのセコンドとして涼しい顔で立っているあの瀬利亜と言う女……シルバの話だと、シルバを鎧袖一閃し、ダレスのバックに付いていた魔神をも一人で叩きのめした底知れぬ実力者だとか…。
こんな化け物どもは本当に俺がなんとかできる相手なのか?!
…いやいや、取りあえず、マオの信頼を得て、マオとともに何とかするしかない!!
「では、まずは格闘戦からするのじゃ。格闘モードなのじゃ♪」
マオの奴がにこにこしながら自身の体を変異させていく。
高位魔族の一部は普段は人型だが、俺やシルバのように魔獣に姿を変えることで、魔法は使えなくなるものの、格闘戦能力を大きく高める能力を持つものもいる。
俺は灰色の巨大オオカミ、シルバは漆黒のドラゴンに変異する。
そして、マオは…。
「ふっふっふ、これでばっちりなのじゃ!!」
本来のマオとあまり変わらない大きさの立ち上がった白いうさぎの魔物の姿になった。
以前マオの世話をさせていた侍女が「まあ、マオ様はおかわいらしくていいですわ♪」とか言っていたから、普通はかわいいと捉えるような姿をしている。
これなら、俺まで格闘モードに入る必要などないな。
俺はそのままの姿で歩いていってマオに向き合う。
「ん?パパ上は格闘モードにならないのか?」
「はっはっは、俺を格闘モードにさせたかったら、本気で攻撃してみるがいい!!」
「ふっふっふ、わかったのじゃ!妾の実力をとくと見るのじゃ♪」
ふんすふんすと鼻息荒く、マオがやる気を見せている。
そして、マオが走り出したかと思うと……え?あっという間に俺の目の前に…。
ゴスっと変な音がして、俺の腹にすさまじい衝撃が走り、俺は後ろに吹き飛ばされた。
「ふっふっふ!妾も瀬利亜ちゃんたちとの特訓で格闘能力も…え!?ぱぱ上、どうしたのじゃ?!大丈夫なのか?!!」
心配そうに駆け寄ってくるマオの顔を見ながら、俺は痛みのあまり気を失った。
(SIDE:瀬利亜)
なんとまおパパがどや顔でまおちゃんと模擬戦をやるとか言い出しました。
まおちゃんがすごく広範囲に雨を降らせるくらい強大な魔法の使い手であるということは分かったはずですが…出会ったころはともかく、今のまおちゃんは『気配やオーラを隠す』修練が出来ていますから、どれだけ強いかわからなくなっているようです。
下手な喧嘩をしてくれて、周りに大被害が出る前にまおちゃんの実力を知ってもらっておいた方がよさそうなので、快く了承します。
「なあ、瀬利亜。あの二人を戦わせて大丈夫なのか?」
闘技場で健人が心配そうに私に話しかけてきます。
「大丈夫よ!まおちゃんは私やちーちゃんと何か月も一緒にトレーニングしてきたから、自分にも相手にも重大な怪我をしないようにコントロールできるようになっているから♪」
出会った当初のまおちゃんは扱う力はすごく大きいものの、十分にはその力を制御できていないようでした。
思いやりの深いまおちゃんだからこそ、大きな力をコントロールできるようにと、シルバさんも加わって、私達と一緒にトレーニングをすることになりました。
「だがなあ、二人の実力差が…。」
さすがは魔王を倒した勇者だけのことはあって、まおちゃんとパパの実力を健人はかなり正確に捉えているようです。
おっと、まおちゃんの右フックが的確にまおパパのボディに炸裂したようです。
「さすがはまおちゃんだわ!!すごくきれいにパンチが決まったわね!!」
「瀬利亜、喜んでいる場合じゃない!!おっさん、大変そうだぞ?!」
おっとっと、まおパパは予想以上に打たれ弱いようです。
ちらっと見た感じ強烈なボディブローを食らって、肋骨が何本か逝ったのではないでしょうか?
ですが、すぐに女神ちゃんが飛んで行って、ヒーリングビームを浴びせます。
さすがは女神ちゃんで、あっという間にまおパパが全快しますが、すぐには目を覚まさないようです。
仕方ないので、心配するまおちゃんと共にまおパパを抱えて再び先ほどのベッドに放り投げることとなりました。
(SIDE:グリュエール)
俺が再び目を覚ますと、マオが心配そうに俺の顔を覗き込んでいた。
「パパ上、無事でよかったのじゃ!まだ目覚めたばっかりで実力が十分発揮できないパパ上に無理をさせてしまって、申し訳ないのじゃ!」
まじか?!ダレスとの再戦に備えて、万全の体調に整えて来たんだけど!!
「(グリュエール様。いかに目覚めたばかりで調子が出ないとはいえ、『本気でない』まお様のパンチ一発であの体たらくは情けないですよ。いくらなんでもなまり過ぎです。)」
シルバの奴が俺の耳元でため息をつきながら囁いてくる。
…ということは、今のマオの実力は………。
そして、俺は『修行の旅』に出ることにした。
あの後シルバとマオの模擬戦を見学した結果、マオはもちろん、シルバすら俺よりもかなり強くなっていることが分かったからだ。
シルバにすら頭が上がらなくなったら、魔王城に俺の居場所なんかないし!!!
俺を見送りにマオとシルバ、そして、なぜか瀬利亜も姿を現していた。
マオは最初は寂しそうだったが、俺が「修行の旅に出る」と告げると、「おおっ!強くなったパパ上と手合わせをするのが楽しみなのじゃ♪」とすごい怖いことを言われた。
しっかり実力をつけないと帰ってこれねえよ!!
シルバの奴は「変なもの食べて、体を壊さないで下さいよ」…て、お前は俺をなんだと思っていやがる?!!
ただ、一番怖かったのは「あなたがあまり変なことをしたら、せっかくのまおちゃんのいい評判が台無しになるんですからね。そうなったら、『覚悟』してもらう必要がありますから。」とか、目が笑っていない笑顔で念押ししやがったことだ。
怖ええよ!こんな怖い生き物今まで見たことねえよ!!
こうして俺は旅に出たのであったが、三年後に戻ってきた時には……。
(SIDE:瀬利亜)
「なあ、瀬利亜。まおちゃんのパパが旅に出たのって…。」
「ええ、自分がまおちゃんよりずっと弱いとまおちゃんと自分やシルバさんとの模擬戦を見て痛感したからでしょうね。だから、修行に出てまおちゃんより強くなりたいんでしょうけど、まおちゃんの成長速度の方が早いでしょうから、今から差が開く一方じゃないかしら。」
「じゃあ、永遠に戻ってこないということ?!」
「いえ、戻ってきて『残酷すぎる事実』に気づくということになるでしょうね。」
「ふっふっふ、瀬利亜ちゃん。妾はパパ上との再戦が楽しみなのじゃ♪」
「あら、まおちゃん。パパ上もいいけれど、あなたは近いうちに私達『うさぎさんチーム』の一員としてさらなる難敵たちとしのぎを削ってもらうことになるの♪」
私の言葉にまおちゃんは目をキラキラさせながら食いついてくる。
「その『うさぎさんチーム』と言うのはなんなのじゃ?!それからさらなる難敵とは?!」
「ええ、『うさぎさんチーム』は世界最強のスーパーなチームなの。あなたは『うさぎさんラビット』としてうさぎさんチームで活躍してもらうことになるわ♪」
「瀬利亜、なに言ってんの?!そのスーパーヒーロー名はなんなの?!それから、次も『うさぎさんチーム』で確定な訳?!!」
「大丈夫。すでにアルさんが健人の分もまおちゃんの分も喜んでコスチュームを作っているはずだわ♪」
「一ミリたりとも安心できねえよ!!!」
こうして三年後にまおパパが戻ってきた時には『うさぎさんラビット』の活躍に世間は大いに沸いていたのでした。めでたし、めでたし。
(了)
まおちゃんのパパが実は生きており、前魔王四天王のひとりにして、まおちゃんの叔父、つまりパパの弟ダレスにされた封印から脱出したという事件がありました。
まおパパが生きていたこと自体はいいのですが、シルバさんの話から悪い意味で『力こそパワー』な選民主義者で、ものすごいめんどくさい人だと判明しました。
能力的には出会ったころのシルバさんより五割増しくらい強い…出会ったころのまおちゃんより少し弱いくらいでしょうか?
温厚で優しいまおちゃんや基本善良で自制の効くシルバさんと違い、『傍若無人系』なので、放置しておくと何をやらかしてくれるか分かったものではありません。
そして、気絶していた、まおパパが目覚めたようなので、まおちゃんと一緒に様子を見に行くことにします。
まおちゃんは最初は激怒していましたが、『見知らぬ人物が愛娘とすごく親しいようなら警戒するのが自然だと思うの?』と言って、少しまおちゃんのガス抜きをしておきました。
私のためにまおちゃんが怒ってくれることはとてもうれしかったのですが、シルバさんから聞いた人となりから判断すると、激おこのまおちゃんとそのまま会わせたら大喧嘩になること間違いなしと思えたからです。
前魔王と現魔王の大喧嘩など本来なら最終戦争ものですから…。
もちろん、万が一大喧嘩になったら、『大人げないまおパパ』を私がかかと落しなりで沈めて、沈静化させるのは言うまでもありません。
まおパパの部屋に入ると、とてもばつが悪そうな顔をしています。
まおちゃんには弱いようですが…私を見る目は敵意が透けて見えるので、これはまだまだ波乱がありそうです。
(SIDE:グリュエール)
「パパ上!妾はすごく怒っているのじゃ!!」
ふんすふんすと鼻息を荒くしてマオが近づいてくる。
それを見て、俺は少し安心した。
これは『怒ってますアピール』で、本気で怒っているときはこんなものではないからだ。
とはいえ、ここで対応を間違えると本気で怒らせるので要注意だ。
しかも、そんなときはシルバの奴は必ずマオの味方になるので、めんどくささが何倍にもなるのだ。
「マオ、すまなかった。お前の大切な恩人に失礼なことをして、申し訳ない。」
俺は腹立たしいのを何とか押さえ込んでマオに頭を下げる。
「パパ上、謝るのは妾にたいしてではない!瀬利亜ちゃんに対して謝るのじゃ!」
マオが小さな体に似合わない迫力で俺に迫ってくる。
正論なだけに逆らいにくい。しかも…。
「グリュエール様!まお様のおっしゃる通りです!瀬利亜様にしっかりと謝ってください!」
シルバのやつも『心の底から』俺が謝るべきだと思っているようだ。
仕方なく俺はしぶしぶ謝罪の言葉を口にし、瀬利亜と言う女はあっさり許してくれた。
くそ、すごい屈辱だ!そのうち絶対にぎゃふんと言わせてやる!!
「まお様、東部地域に雨をお願いします。」
「うむ、わかったのじゃ。
『雨よ降れ!』」
まおが大きな窓?に移った魔族の要請に応えて、窓?に映った我が国の地図に向かって膨大な魔力の伴った言葉を掛ける。
まもなく、地図の上に雲が広がっていき、雲の上に水玉の模様が描かれていく。
…こ、これは一体?!
「まお様、雨が降ってきました!ありがとうございます!
これで作物が順調に育ってくれます!」
なんだと、窓に魔法を掛けるとずっと離れた場所に雨を降らせることができるだと?!どうなってるんだ?!
(SIDE:瀬利亜)
まおちゃんの叔父のダレスと魔神をぶっ飛ばした後、私やアルさんたちはまおちゃんの国の統治機構を効率化するために技術供与を含めたお手伝いをいろいろとしました。
それまで『力こそパワー』だった魔族の人達から『実務能力の高さ』を重視した人材も行政機関を中心にポストをあてがっていくようにしたり、作物栽培、食糧や食品生産・加工の技術のノウハウもいろいろな職人さんの育成も含めて指導していきました。
新技法の導入当初は皆さん戸惑っていましたが、生活の質が明らかに良くなってくると多くの魔国民たちはまおちゃんの政治を大歓迎するようになっていきました。
今日も魔法で打ち上げた気象衛星からの情報で降雨をコントロールし、作物への水不足解消作業をやってもらいました。
「まおちゃん、すごいわ!今日もばっちりだわ!!」
「えっへん、頑張ったのじゃ!!」
嬉しそうに胸をはるまおちゃんの頭を撫でてあげると、まおちゃんはさらに目を輝かせてくれます。
「まおちゃんはもう歴代最高の魔王だわ!なんてったって支持率が『99.99%』もあるんだから!!もう最高!!」
「おお!なんだかよくわからないけどすごいのじゃ!!」
もともと魔国民の方たちは『力こそパワー』な考えの人がほとんどであり、歴代魔王でも屈指の潜在能力を持っていたまおちゃんは魔王の地位に着いた時からそのことだけで多くの人から支持されていました。
そして、私達と共同で多くの人達の生活を底上げする政策を取った結果、『政治にまったく興味がない変わり者の人達(種族など)』を除いたすべての人達が支持する結果となったのです。
そして、まおちゃんがさまざまな魔法を使いつつ、政務に励むさまをまおパパがシルバさん付き添いで見学していました。
まおパパは非常にやきもきしながら見ていたようですが、シルバさんは…?
(SIDE:グリュエール)
なんだ?!これはなんだ?!
あまりにすごい技術を使っていることもさることながら、マオが完全に瀬利亜と言う女に手玉に取られているではないか?!!
子犬かなんかみたいになついているし?!!!
それを見るシルバは…非常に悔しそうだ。
正面切ってあの女を糾弾するのは難しいかと思っていたが、シルバを巻き込めば何とか…。
俺は小声でシルバに囁く。
「(おい、シルバ。あの状況は…。)」
「(ええ、大いに問題です。あの『お姉ちゃんポジション』は私がなるはずだったのに!!)」
えええええええ?!!気にしているのそっち?!!!
「(瀬利亜様はまお様を『私心なく心の底からかわいがっていらっしゃる』から、まお様がなつかれること自体は仕方ありません。
しかし、長年お仕えしてきた私よりずっとなついておられる状況は非常に悔しいです!)」
だめだ!こいつ使えねえ!!
こうなったら、俺が強いところを見せて、マオの奴の信頼を勝ち取ってから少しずつあの女から引き離すしかない!!
「ふむふむ、妾がどれくらい強くなったかパパ上が見てくれるというのじゃな。では、妾の今までのしゅぎょうの成果をとくと見るのじゃ♪」
模擬戦の話をすると、まおのやつはあっさりと了承してくれた。
それだけでなく、シルバや瀬利亜もすぐに同意した。
そして俺たちは魔王上地下の闘技場に入った。
俺の時とは違い明らかに飾り気がなくなり(ごてごてした飾り付けがなくなった)、闘技場自体は一回り広くなり、そして、周りに張ってある『防御結界』は桁違いに強力になっている。
…このとんでもない防御結界を作ったのはどんな奴だ?!想像もつかないくらい高い魔法技術を持っていやがる!!
そして、まおのセコンドとして涼しい顔で立っているあの瀬利亜と言う女……シルバの話だと、シルバを鎧袖一閃し、ダレスのバックに付いていた魔神をも一人で叩きのめした底知れぬ実力者だとか…。
こんな化け物どもは本当に俺がなんとかできる相手なのか?!
…いやいや、取りあえず、マオの信頼を得て、マオとともに何とかするしかない!!
「では、まずは格闘戦からするのじゃ。格闘モードなのじゃ♪」
マオの奴がにこにこしながら自身の体を変異させていく。
高位魔族の一部は普段は人型だが、俺やシルバのように魔獣に姿を変えることで、魔法は使えなくなるものの、格闘戦能力を大きく高める能力を持つものもいる。
俺は灰色の巨大オオカミ、シルバは漆黒のドラゴンに変異する。
そして、マオは…。
「ふっふっふ、これでばっちりなのじゃ!!」
本来のマオとあまり変わらない大きさの立ち上がった白いうさぎの魔物の姿になった。
以前マオの世話をさせていた侍女が「まあ、マオ様はおかわいらしくていいですわ♪」とか言っていたから、普通はかわいいと捉えるような姿をしている。
これなら、俺まで格闘モードに入る必要などないな。
俺はそのままの姿で歩いていってマオに向き合う。
「ん?パパ上は格闘モードにならないのか?」
「はっはっは、俺を格闘モードにさせたかったら、本気で攻撃してみるがいい!!」
「ふっふっふ、わかったのじゃ!妾の実力をとくと見るのじゃ♪」
ふんすふんすと鼻息荒く、マオがやる気を見せている。
そして、マオが走り出したかと思うと……え?あっという間に俺の目の前に…。
ゴスっと変な音がして、俺の腹にすさまじい衝撃が走り、俺は後ろに吹き飛ばされた。
「ふっふっふ!妾も瀬利亜ちゃんたちとの特訓で格闘能力も…え!?ぱぱ上、どうしたのじゃ?!大丈夫なのか?!!」
心配そうに駆け寄ってくるマオの顔を見ながら、俺は痛みのあまり気を失った。
(SIDE:瀬利亜)
なんとまおパパがどや顔でまおちゃんと模擬戦をやるとか言い出しました。
まおちゃんがすごく広範囲に雨を降らせるくらい強大な魔法の使い手であるということは分かったはずですが…出会ったころはともかく、今のまおちゃんは『気配やオーラを隠す』修練が出来ていますから、どれだけ強いかわからなくなっているようです。
下手な喧嘩をしてくれて、周りに大被害が出る前にまおちゃんの実力を知ってもらっておいた方がよさそうなので、快く了承します。
「なあ、瀬利亜。あの二人を戦わせて大丈夫なのか?」
闘技場で健人が心配そうに私に話しかけてきます。
「大丈夫よ!まおちゃんは私やちーちゃんと何か月も一緒にトレーニングしてきたから、自分にも相手にも重大な怪我をしないようにコントロールできるようになっているから♪」
出会った当初のまおちゃんは扱う力はすごく大きいものの、十分にはその力を制御できていないようでした。
思いやりの深いまおちゃんだからこそ、大きな力をコントロールできるようにと、シルバさんも加わって、私達と一緒にトレーニングをすることになりました。
「だがなあ、二人の実力差が…。」
さすがは魔王を倒した勇者だけのことはあって、まおちゃんとパパの実力を健人はかなり正確に捉えているようです。
おっと、まおちゃんの右フックが的確にまおパパのボディに炸裂したようです。
「さすがはまおちゃんだわ!!すごくきれいにパンチが決まったわね!!」
「瀬利亜、喜んでいる場合じゃない!!おっさん、大変そうだぞ?!」
おっとっと、まおパパは予想以上に打たれ弱いようです。
ちらっと見た感じ強烈なボディブローを食らって、肋骨が何本か逝ったのではないでしょうか?
ですが、すぐに女神ちゃんが飛んで行って、ヒーリングビームを浴びせます。
さすがは女神ちゃんで、あっという間にまおパパが全快しますが、すぐには目を覚まさないようです。
仕方ないので、心配するまおちゃんと共にまおパパを抱えて再び先ほどのベッドに放り投げることとなりました。
(SIDE:グリュエール)
俺が再び目を覚ますと、マオが心配そうに俺の顔を覗き込んでいた。
「パパ上、無事でよかったのじゃ!まだ目覚めたばっかりで実力が十分発揮できないパパ上に無理をさせてしまって、申し訳ないのじゃ!」
まじか?!ダレスとの再戦に備えて、万全の体調に整えて来たんだけど!!
「(グリュエール様。いかに目覚めたばかりで調子が出ないとはいえ、『本気でない』まお様のパンチ一発であの体たらくは情けないですよ。いくらなんでもなまり過ぎです。)」
シルバの奴が俺の耳元でため息をつきながら囁いてくる。
…ということは、今のマオの実力は………。
そして、俺は『修行の旅』に出ることにした。
あの後シルバとマオの模擬戦を見学した結果、マオはもちろん、シルバすら俺よりもかなり強くなっていることが分かったからだ。
シルバにすら頭が上がらなくなったら、魔王城に俺の居場所なんかないし!!!
俺を見送りにマオとシルバ、そして、なぜか瀬利亜も姿を現していた。
マオは最初は寂しそうだったが、俺が「修行の旅に出る」と告げると、「おおっ!強くなったパパ上と手合わせをするのが楽しみなのじゃ♪」とすごい怖いことを言われた。
しっかり実力をつけないと帰ってこれねえよ!!
シルバの奴は「変なもの食べて、体を壊さないで下さいよ」…て、お前は俺をなんだと思っていやがる?!!
ただ、一番怖かったのは「あなたがあまり変なことをしたら、せっかくのまおちゃんのいい評判が台無しになるんですからね。そうなったら、『覚悟』してもらう必要がありますから。」とか、目が笑っていない笑顔で念押ししやがったことだ。
怖ええよ!こんな怖い生き物今まで見たことねえよ!!
こうして俺は旅に出たのであったが、三年後に戻ってきた時には……。
(SIDE:瀬利亜)
「なあ、瀬利亜。まおちゃんのパパが旅に出たのって…。」
「ええ、自分がまおちゃんよりずっと弱いとまおちゃんと自分やシルバさんとの模擬戦を見て痛感したからでしょうね。だから、修行に出てまおちゃんより強くなりたいんでしょうけど、まおちゃんの成長速度の方が早いでしょうから、今から差が開く一方じゃないかしら。」
「じゃあ、永遠に戻ってこないということ?!」
「いえ、戻ってきて『残酷すぎる事実』に気づくということになるでしょうね。」
「ふっふっふ、瀬利亜ちゃん。妾はパパ上との再戦が楽しみなのじゃ♪」
「あら、まおちゃん。パパ上もいいけれど、あなたは近いうちに私達『うさぎさんチーム』の一員としてさらなる難敵たちとしのぎを削ってもらうことになるの♪」
私の言葉にまおちゃんは目をキラキラさせながら食いついてくる。
「その『うさぎさんチーム』と言うのはなんなのじゃ?!それからさらなる難敵とは?!」
「ええ、『うさぎさんチーム』は世界最強のスーパーなチームなの。あなたは『うさぎさんラビット』としてうさぎさんチームで活躍してもらうことになるわ♪」
「瀬利亜、なに言ってんの?!そのスーパーヒーロー名はなんなの?!それから、次も『うさぎさんチーム』で確定な訳?!!」
「大丈夫。すでにアルさんが健人の分もまおちゃんの分も喜んでコスチュームを作っているはずだわ♪」
「一ミリたりとも安心できねえよ!!!」
こうして三年後にまおパパが戻ってきた時には『うさぎさんラビット』の活躍に世間は大いに沸いていたのでした。めでたし、めでたし。
(了)
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※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
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アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
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気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
その狂犬戦士はお義兄様ですが、何か?
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※見切り発車で書いていきます(通常運転。笑)
※エブリスタでも同時連載。2021/6/5よりカクヨムでも後追い連載しています。
※2021/9/15けっこう前に追いついて、カクヨムでも現在は同時掲載です。
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