KAKERU 世界を震撼させろ

福澤賢二郎

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駆の章

若き帝王と皇帝

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《空山隆之介》
俺達は席についてフィールドに視線を映した。
レオン.メッシーが楽しそうに見ている。
キックオフでボールをネイマールから若き帝王と呼ばれるマテウス.エクシブがもらった。
マテウスはゴールを向くとドリブルを始めた。ボールを体の一部の様に自在に操り、高速でフィールドの中央を駆け抜けていく。巧みにかわすかと思うと、力で押してくるディフェンダーには力で対抗して弾き飛ばした。
俺は思わず立ち上がっていた。自然と握り拳となり、震えていた。
「アイツ、一人で持ち込むつもりか!」
「そのようだな。君のせいかな」
メッシーが楽しそうに言った。
あっという間にペナルティエリアに入る。
八人抜きだ。
若き帝王マテウスを誰も止めれない。
キーパーの前までくると、ボールをチョコンと前に出してしまった。
ミスだ。そう思った。
キーパーも前に飛び出してボールに向かって飛んだ。
直後、ボールはバックスピンが効いてマテウスの方へ戻っていく。
マテウスはそのボールをフワリと上げてキーパーの頭上からゴールを決めてしまった。
凄すぎる。
スタジアムは大歓声に沸き、会場が壊れそうだった。


今度はロシア皇帝と呼ばれるアレクサンドルがボールを持った。
一気に加速しながら、パスを横に流し、受けた相手はワン、ツーで折り返した。
一瞬で抜き去った。次は左サイドに大きく展開しながら、自分は中央に切り込んで行き、直ぐにボールをもらう。
全てのパスが速くて正確。
ペナルティエリアの手前で左後ろから駆け込んでくるロシア選手がいた。
アレクサンドルはそちらを見て蹴ろうとした。
その場にいる選手全員が左へパスをするとか思い、動き出していた。
ロシア選手のパスは速くて正確な為、早く動きださないといけない。
アレクサンドルは左へパスを出そうとした動きの直前にゴール右端へ蹴りだした。
不安定な体制だったが、ボールは低くて早いシュートが放たれてネットを揺らした。
皇帝アレクサンドルはチーム全体を生かしつつ、最後は自分の力で決めきった。
その後、両チームは熱戦を繰り広げ、最後は二対一で王者ブラジルが勝ちきった。

二人とも凄い勝負だった。
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